HAPPINESS(幸福感) と WELL-BEING(幸福)(3)
この論考では、HAPPINESSを主観的幸福感、WELL-BEINGを幸福感を感じるための、社会的、身体的条件、というほどの意味で捉えている。現在、日本の幸福度は150カ国ほどの43位で、まずまずというところなのだが、プラスに寄与する社会的条件は平均寿命、健康寿命の高さ(1位/36)、安全(2位/36)なのだが、マイナス要因は長時間労働と余暇時間の少なさ(35位/36)だった。そして、高齢者になると極端に生活満足度(主観的幸福感)が下がり、後は漸減し続ける。それは、老化という人間の自然現象なのだが、特に男性の場合、60代での落ち込みが激しい。なぜかというと、男性にとって、仕事がアイデンティティであり、それを喪失してしまい、十分な老後資金もなく、消費をアイデンティティにはできない、という現実があることを指摘した。今、現役世代は、年金も上がることはなく、退職金も減額傾向で、ますます幸福度は下がっていくことが予想できる。対策は二つ。なるべく長く働ける算段をすること。仕事がアイデンティティなら、それで幸福を感じることができる。もう一つは、老後の蓄えをアクティブな投資で増やすこと。自分の歳では、もうそういうことはできないが(それでもつみたてNISAとかいろいろやってはいる)、定年前に少なくとも3,000万くらいの現金資産を持っておくことだろう。しかし、そうだとしても「幸福感」は主観の問題であることには変わりがない。昨日、近所の方と洗濯物を取りに行った妻が、少し話し込んで、自分がまだ働いていること、趣味でもよく出かけることなどを聞いて、「いいねぁ。ウチなんか一日中テレビ」と嘆いたそうだが、自分は趣味にはそれほどお金は使ってはいない。麻雀に行っても千円ちょっと、弓は2万弱の年間会費を払えば、ただである。試合に出れば、参加料、遠征ならホテル代、移動費用がかかるが、それもたいした費用ではない。今している仕事で稼ぐ金額の1/3以下だろう。エリーゼはさすがに二人で数十万かかる。が、共通の楽しみなので、それはそれでいい。今の自分のように、趣味が多すぎて収拾がつかなくなる、というのは間違いなく幸せなことであり、それはちょっと自分から動けば可能である。フォーク居酒屋と麻雀は、もう少し趣味のチャンルを広げようと思って、問い合わせをしてから行った。二銭や三銭のもの――といってぜいたくなもの、美しいもの―――といって無気力な私の触角にむしろ媚びてくるもの。少しでも心の動きかけた、わたしの心を慰めるにはそんなぜいたくが必要であった。(梶井基次郎 『檸檬』)二銭や三銭ではないし、無気力なわけでもないが、「ぜいたく」、分に応じた贅沢を楽しむことは、主観的幸福感を高めるために必要なことである。まあ、これからは、弓の比重を減らしていき、冬期は完全に休養。近射だけ。ピアノとフォーク居酒屋でのライブ比率を上げていく、というのが今年後半の予定である。