オールド・ウーマンを目指す
昨日は節分。節分の行事を終えて、今日は立春。北向きの我が家では冬の間全く日が入らず、おまけに一階が駐車場の上に住んでいるので、底冷えがしてしんしんと冷えます。朝起きると温度計を見るのが悲しくなるくらい・・・。心が辛いときは以外と体が冷えているものだけど、体が冷えてきて心が辛くなる事もあるのかもしれないと、昨晩娘が寝た後に夫婦喧嘩をしながら思いました。まぁ、一生喧嘩やいい争いをせず済む夫婦なんて無いでしょうから、これも必要な事なんですけどね。せめて目に春を感じようと、室礼コーナーに春を呼ぶ事にしました。 良い種智の種を蒔いて、自分自身の力にできた!と感じた後は、必ずやってくるちょっとした試練。これもきっと、私の胆の座りを試されているのかも。まるで今までの自分を脱皮するが如く自分自身の固定概念の殻を脱ぎ捨てて、新しい自分でずっと今までやってきたかの如く振舞っているけれど・・・・・。『ちゃんと肚が座ってる?』『それ』を本当に自分の物にするための最終段階の意思確認。この階段を一歩上がったら、また景色が変わるはず。どんな景色が見えるか・・・?そこはまた絶壁の孤島かもしれないし、ヒマラヤの山頂のような厳しい環境かもしれないけれど・・・・。『今』を楽しんでいるんだもの。『今』が『正』の状態なら、人生絶対『負』の状態の時もある。人生山あり谷ありなんだから、また絶対山が来る。山にいるときは、景色を楽しみ風を楽しみ空を楽しむ。谷にいるときは、谷川の水を楽しみ木陰を楽しみ鳥の声を楽しむ。どんな時でも、『楽』の心を忘れない。生まれる時に纏ってきた、硬い固い氷のような私を囲う塊。それは、試練であったり、この世で学んで得るための魂の学びだったり、出逢いだったり、喜びだったりしあわせだったりの様々なご縁によって、少しずつ少しずつ溶かされて行って・・・・。いつしか塊の幕を持たない私になった時、初めて『私』として勝負が出来る。そして、その『私』もまたどんどん溶けて行って、何もかも無くなったとき迎える死。その時、できれば純粋な水のような清らかさで土に還りたい。ひろさちやさんの本にも、同じような事が書かれていました。「老いる事に価値がある」私はこれまで読んだ本の中で腹立たしく思っているものがあります。それは『人は死ねばゴミになる』という本で、元検察庁長官が書いた本です。 人が死ぬと言うことは、どういうことなのでしょうか。私は「老婆は一日してならず」(ローマは一日にしてならず)という格言を作りましたが、死とは、生まれた瞬間からジワジワと老いて行くという事です。つまり、一秒一秒、老いに向かって進行し、100%老いが完成した時に、人間は死を迎えます。氷がどんどん溶けていくようなものです。しかし、現代人は死を点と捉えています。点の右側は「生」で、左側が「死」と考えています。そして、その点をできるだけ左に寄せようとします。生きているときが絶対で、死んだら何も無くなると思っています。このように考えると、「人は死ねばごみになる」ということは、毎日人間はゴミ化している事になります。とんでもないことです。これは、人間を商品として考える発想からきています。つまり、若いうちは値打ちがあるが、歳を取るにつれ不良品化してゴミ同然になり、ついにはまったく価値がなくなるということです。私は、人間は死んだら「仏」になると思っています。次第に知恵がついて老熟し、丸くなって「お浄土」に行くのです。つまり、どんどん仏様に近づいているのですから、歳を取る事や老いる事、死ぬ事に価値がなければならないのです。中国に「老酒」というお酒があります。とても上等なお酒です。中国人は老人をとても尊敬してきましたから、こうした名前をつけたのです。英語の「オールド」を調べてみrと、例えば「オールド・カー」のように物につく場合は「古い」といった悪い意味に使われますが、「オールド・マン」になれば、「知恵ある人」と尊敬の念が込められます。発達心理学と言う学問の分野があります。人間は生涯に渡って発達を続けるというものです。それは、人間を幼児期、思春期、成人期、老年期というようにいくつかの段階に区分して、その時々の社会的葛藤や問題解決に必要な活力を示しています。もっとも有名なのは、エリクソンの「発達段階モデル」です。比較的若い時は、希望、意思、決意、才能といった要素が活力になりますが、年齢を重ねるうちに、愛や叡智といったことが活力になるというものです。若さや体力、知能指数だけを価値として認める社会には、愛や叡智は生まれません。(「あるがままに生きよ」ひろさちや著 より)あるがままに生きよオールド・ウーマンになって、叡智と愛を友に生きられる日が来るように・・・・。その道は長いのか、短いのか・・・・。でも確実に訪れる仏様になる日。その日を幸せに迎えられるように・・・・。昨日の祖父の13回忌の法要でお坊様が読経なさっている間、心に浮かんだ人生観・・・・。