福島原発告訴団・編『これでも罪を問えないのですか! 福島原発告訴団50人の陳述書』
原発本続けます。福島原発告訴団・編『これでも罪を問えないのですか! 福島原発告訴団50人の陳述書』株式会社金曜日発行 2013年9月10日2012年、福島原発事故の被害者たちが、東京電力の元幹部、原子力安全委員会や原子力安全・保安院の責任者、近藤俊介氏や山下俊一氏などの御用学者の重要人物合計33名および、会社としての東京電力に対して、刑事責任を問う集団告訴を、福島地検に起こしました。告訴した人は14586人!にのぼります。原発事故以来、いっこうに責任をとろうとしない東京電力、国の関係者、御用学者たち。しかも加害者である東京電力が賠償のルールや金額を一方的に決めるというありえない理不尽さです。普通の事故で加害者が賠償金を決めるなんて、ありえないですよね。この理不尽な仕打ちに対し、被害者が決起したものです。この本には、告訴状に添えられた7000通の陳述書から、50通の陳述書がそのまま掲載されています。福島にとどまった人も、遠く避難した人も、一つ一つの陳述書に、不条理な仕打ちに対する切実ないのちの叫びがこめられていて、読むのがつらいです。本当に、ひどい仕打ちです。この本が出版された2013年9月以降の推移をまとめておきます。ちょうど同じ2013年9月に、検察は「不起訴処分」を発表しました。強制捜査も何もなく、検察がどこまで調べたうえでの判断なのか、なんとも不確かです。これに対し告訴団は検察審査会に審査を申し立てました。なおこの際に告訴団は、被告訴人を当初の33人+東電、から東電の元幹部6人だけに的を絞って、告訴することにしました。検察審査会での審査がより円滑に進むたように、まずは中核人物に的を絞ったということだそうです。これを受けて東京検察第五審議会(民間人から抽選で選ばれた11人)が審査し、その結果が2014年7月末に出ました。6人中勝俣恒久元会長、武藤栄元副社長、武黒一郎元副社長の3人は、大津波の危険性を事前に知っていながら対策しなかったとして「起訴相当」と決定されました。もう一人も、不起訴不当、と決定されました。画期的な決定です。「想定外」というのは嘘だった、という判断がくだったわけです。このため、東京地検は再捜査することが決まりました。前途は多難と思いますが、この判断がどうなるか見守るとともに、福島の被害者を、日本全体が応援し続けなくては、と思います。なお福島原発告訴団は、汚染水についても、東電を「公害罪」で福島県警に告発しています。こちらも良い結果を期待したいです。福島原発告訴団については、サイトhttp://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/があります。とても良くまとめられていて、流れが良くわかります。