アルディッティ弦楽四重奏団を聴く
アルディッティ弦楽四重奏団を聴きました。バルトーク:弦楽四重奏曲第3番ベルク:弦楽四重奏曲 作品3細川俊夫:パサージュ(通り路) 弦楽四重奏のための(2019)リゲティ:弦楽四重奏曲第2番12月3日 武蔵野市民文化会館アルディッティ弦楽四重奏団を聴くのは4~5回目になるかと思います。いつも高い技術と鋭い音楽性に惚れ惚れし、かつ圧倒されます。今回もそうでした。全編にわたって集中・緊張が高く保たれたハイレベルの演奏が繰り広げられました。私以前からどうもバルトークは良くわからず、今回もすばらしい演奏だろうとは思うのですが、残念ながらピンときませんでした。ベルクの抒情性に親和性を感じたところでプログラム前半が終了。休憩後の後半が、わたくし的にはすこぶる感興をそそられた、至福のひとときでした。細川作品は、2020年のベートーヴェン生誕250周年に向けて、ベートーヴェンの会話帳の文章(耳が遠いベートーヴェンのために対話者が書いた文章)の返事を、ベートーヴェンの代わりに音楽作品(弦楽四重奏曲)で書いて欲しいという委嘱により作られ、初演者のアルディッティ弦楽四重奏団に捧げられた作品ということです。思索的な、静かな風の流れを感ずるような音楽でした。演奏終了後、客席で聴いていた細川さんが壇上に上がり、メンバーと抱き合っていらっしゃいました。そしてリゲティが凄かったです。とんでもない緊張を孕んだ微弱音が続くと、その静寂を切り裂くように、強烈な切込みが突如現れます。CDで聴いたときはあまりピンと来なかったですけど、生で聴くとそのエネルギーの強さ、凄さがびんびん伝わってきます。1968年作曲なので、もう50年前の作品なのに、そんなふうには全然思えない斬新な響きです。これは凄いものを聴かせていただきました!アンコールはクルタークの「小オフィチウム」作品28より最終楽章と言う曲で、リゲティの張り詰めた緊張を和らげてくれてちょっとほっとするようなきれいな始まりでした。さわりが終わってこれから発展が始まるのかなと思ったら、そこではいおしまい、という曲でした(^^)。サイン会にて。左から Ehlers (Va), Sarkissjan (2nd Vn), Arditti (1st Vn), Fels (Vc)