自分の葬式にかけたい音楽(かけクラ第98駅 2022年6月19日放送から)
かけクラ、聴き逃しサービスで聴いています。先週のかけクラでやっていた、自分の葬式にかけたい音楽が聴きごたえあったので、久々に書き起こしました。今月のテーマ「セレモニー」に関して、とりわけ葬儀に関して沢山の投稿が集まったということです。6曲、8人の方の投稿が紹介されました。 ------------------------------------------------------------------------------------------- 〇野球も電車も阪神さん(兵庫県)、トイボ・クーラの結婚行進曲:その微かにもの悲しさを含んだ穏やかで美しい調べにすっかり魅了されてしまいました。私は今68歳で、自分の葬式ではミッシャ・マイスキーがチェロで奏でるグノーのアヴェ・マリアを流してもらおうと決めていたのですが、この結婚行進曲のあまりの美しさに惚れてこの曲に変えることにしました。お葬式に結婚行進曲は変かなぁと初めは思いましたが、結婚も旅立ちであり別れでもあるので、まあいいかと思いなおしました。 〇すさびさん(埼玉県)、シベリウスの悲しきワルツ:小生、還暦もとっくに昔過ぎた身としては、妄想できるセレモニーと言えば自分の葬式位です。毎年年初にエンディングノートなるものをつけ始めました。そこに記すのが葬儀の時に流してほしい音楽。毎年その時に一番好きと思った曲を書き記しています。今年の更新時に書いたのは、シベリウスの悲しきワルツ、作品44-1。なんて悲しくそして美しい曲なのでしょう。泣いているような、微笑んでもいるような、過去と現在、夢と現を行ったり来たりするような不思議な曲です。来年はまた変わるかもしれませんが、この曲が今の私に一番しっくりくる曲です。できれば大好きなバルビローリ指揮のものでお願いします。 〇第六中仙道踏切さん(埼玉県)、マスカーニのカヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲:私のお葬式の音楽は決まっています。曲目はカヴァレリア・ルスティカーナの間奏曲です。私はまもなく65歳となる高校の理科教員です。40代頃の11年間、女子高で勤務していました。運転手役でいいから吹奏楽部の顧問を、と先輩教員に頼まれ、8年間引き受けました。途中入学してきた娘も吹奏楽部(バッカス担当)に入り、親子で部員でした。もちろん私は楽器運びや練習場の鍵の開け閉めでしたが。その後交代した顧問が定期演奏会のセレモニーの間のBGMの指揮役に抜擢してくれました。そしてその曲がカヴァレリアでした。練習時、オーケストラに合わせてゆっくり指揮すると、息が続かないと文句を言われましたが、無事に本番は終了しました。その後、都合でギター・マンドリン部の顧問に変わり4年担当しました。仕事は同じ楽器運搬などでした。そのギタマンの定期演奏会に際し、演奏曲目の募集があったので、毎年のようにカヴァレリアを出していましたがいつも却下。そして11年間の勤務ののち私は他の学校に移動となりました。移動直後に開かれた春の定期演奏会を私は聴きに行きました。演奏会の最後、引退する部長が挨拶した後、プログラムにはないのですが、と言って演奏してくれたのが、このカヴァレリアでした。私は心の中で大泣きしました。そして、自分のお葬式にはこの曲を流してもらおうと決めたのでした。 〇DH500さん(静岡県)、マーラーの交響曲第3番第6楽章:今のところ結婚する予定がない私ですが(爆笑)、10数年前から私が死んだらこの曲を流してほしいというものだけ決まっていました。グスタフ・マーラーの交響曲第3番ニ短調第6楽章です。マーラーは私が唯一、交響曲全曲聴いた作曲家です。第3番は合唱付きで大掛かりな演奏が続くのに、終楽章の六楽章は祭りのあとのごとく静かに終わることが、チャイコの6番悲愴にも似てとても印象的。このドタバタ感が私の人生と似てるんじゃないかと思い、最後ぐらいは静かな曲をというわけでした。憎まれっ子世に憚ると申しますので、いつそうなるかわかりませんが、あくまでも妄想世界の中、ということで。 〇旦那さん(東京都)、マーラーの交響曲第3番第6楽章:自分の葬式で流してほしい曲はマーラーの交響曲第3番の第6楽章です。マーラーのみならず今まで聴いたすべての曲の中でもっとも好きなのがこの第3番です。この曲にはマーラーの魅力のすべてが詰め込まれていると個人的には思っているのですが、特に第六楽章の美しさはこの世のものとは思えないほどで、まさに葬式にぴったり。寄せては返す波のような旋律が、人生山あり谷ありを表しているようにも思います。たとえば終盤のトランペットがコラール風に歌い上げるところなど、俺の人生いろいろあったけど、自分なりによくやったよ、自分を褒めてあげたい、と言ってるようにも思えるんです。そして、なんといってもコーダに入ってからも、まだこの世への未練があるかのようなしつこさ。最後の最後までなかなか鳴りやまないティンパニーの音で、涙腺崩壊。本当は第一楽章から通しで全曲流してほしいところですが、さすがにちょっと長いので、第六楽章だけで我慢しようと思います。 〇独身の午後さん(山口県)、ラフマニノフの交響曲第2番第3楽章:初投稿ですが、私のお葬式はこの曲で決まり。ラフマニノフ交響曲第2番第3楽章です。この曲は何か海の上で波間に漂っているような感じの部分が好きです。私の死後海上散骨を希望していますが、一人娘に遺言状とともに、この曲のその部分をCD-Rに焼いて渡してあります。洋上で揺れる船上から娘にとって思い出がぎっしりと詰まっているだろう粉末状の骨が波間に消えていくさまに、しばし浮かんでいる沢山の薔薇の花びらが波間に揺れる美しいさまを、この楽曲が物語っているシーンを妄想しています。 〇もりさん(香川県)、ラフマニノフの交響曲第2番第3楽章:自分の葬式にかける曲なんて決めてるのは私ぐらいのものだろうと常々思っておりましたが、他にもまあまあの程度でいらっしゃるのだとうれしくなりました。自分の葬式用の曲ですが、今のところ2曲選定済み。ひとつはマーラーの交響曲第5番第4楽章のアダージェット。もう一つはラフマニノフの交響曲第2番第3楽章。どちらもベタですが、私にとっては魂が震える曲です。絶対これで成仏できます!今回はラフマニノフの第3楽章をリクエストします。こんなご時世ですが、明るさを失わないよう、葬式用の曲は決めてもすぐに使用することのないよう元気でいたいと思います。お二人も毎日お忙しいと思いますが、くれぐれもご自愛いただいて、日曜日な毎週お元気な声を聴かせてください。 〇まーにゃさん(東京都)、パッフェルベルのカノン:私の葬儀の曲はパッフェルベルのカノンです。この曲は私の結婚式のキャンドルサービスでかけた曲で繰り返しのカノンが何度も幸せを感じさせる大好きな曲です。ウエディングドレスで式場のドアが開き、曲がスタート。各テーブルにご挨拶しながら高砂席について頭を下げたときに計ったかのように曲がぴったり終わり感動でした。以後毎年結婚記念日にはビデオを見返し悦にいっています。一男一女に恵まれ、娘は大学の管弦楽団でチェロを弾いており、某有名ホテルのクリスマスディナーでアンサンブルを披露する機会をいただいています。昨年のクリスマス、結婚30周年の記念にディナーを予約し、娘たちの演奏を楽しみにしていました。その日は、一人暮らしで家を出る息子の引っ越しも重なりましたが、親の役目も最後かと思い、荷物を車に詰め込み、息子の新居に運びました。もう一緒に暮らすこともないのかとバックミラーに映った息子の姿をみて寂しい気持ちでホテルに向かいました。そしてクリスマスディナーでの、娘が演奏した最初の曲がこの曲でした。結婚30周年と息子の卒業を娘の演奏で祝ってもらい、こんなにも幸せな気持ちを味わえて感動の涙が止まりませんでした。私の葬儀のときは同じメンバーでカノンを生演奏してもらいたいと、娘にお願いしています。いつになるかわからず、そのとき駆け付けて弾いて欲しいので、前金で事前予約の値段交渉中です。奮発しなきゃ。 ------------------------------------------------------------------------------------------- やはりというか流石というか、マーラー3番第6楽章を選ばれる方、多いんですね。念のため、今回私は投稿しておりません(^^)。私も昔から、自分のときにはこの曲をかけて欲しい、バーンスタイン&ニューヨークフィルの旧盤で、と漠然と考えていました。でも実際にその気持ちを表明はしていませんでした。 あとラフマニノフには泣けました。娘さんに海に散骨してもらう、そのための準備もしてあるということ、揺るぎない、迷いのないまっすぐなお気持ちや、娘さんとの強い絆が感じられます。この曲をちょっと久しぶりに、第三楽章だけですが、じっくりと聴きました。 投稿された文章は「何か海の上で波間に漂っているような感じの部分」「この曲のその部分をCD-Rに焼いて」ということでしたが、第三楽章全部じゃないのだろうか、もしも一部ということなら、どこだろうか。楽章冒頭からか、あるいは楽章の丁度真ん中あたり、音楽が一度しずまったあとでホルン、独奏ヴァイオリン、各種木管と旋律が受け継がれていくあたりからかな、と想像します。でも折角だから、第三楽章全部をかけたら良いのではないかと思います。ところで私が実際に体験した葬儀の場でのクラシックはただ一度だけです。もうずいぶん昔になりますが、職場でご指導いただき大変お世話になった方がご逝去されたときです。クラシック音楽を愛好し、我が家にも一度音楽を聴きにおいでいただいた方でした。キリスト教会で、参列者が献花するときに、フォーレのレクイエムが静かに流れていたのが、印象的でした。この曲がご本人の指定だったのかどうかはわかりませんが、寛容で誠実なお人柄がしのばれました。 お葬式に流す音楽、教会だとクラシックが合いますね。ただ私の場合は、遺言で指定しない限り、普通の仏式になると思われます。となると、実際の場を想像すると、お通夜やお葬式で、お坊さんに読経していただいている中でお焼香するときに、クラシックはかなり流しにくい、というか、そもそも音楽を流せないですね。ではいつ?弔辞や弔電を読み上げるときのBGMは、読んでいただく方の理解があれば、なかなか良いかもしれません。あと、出棺を見送る時?これもいいですけど、流す時間がかなり短くて終わってしまうのが難点です。こうして考えると仏式の場合は、実際の葬儀の場でクラシックをかけるというのは、なかなか難しそうに思えます。仕事などで音楽に深く関わっている方なら大丈夫でしょうけれど、そうでないと、なかなか。 お葬式のその場というよりも、家族とかごく親しい人達だけの場で、自分の選んだ音楽を流してもらう、という場をもしももってもらえたら、それが良いな。そのときに、番組でもちょっと話題になっていましたが、音楽を流す目的というか、何を期待して流すかを考えてみました。自分の好きな音楽をかけてもらって、それで成仏する、というのが一つ。あと、周りの方々への感謝の気持ちを伝えたい、というのも込めたいです。あなたたちのおかげで人生何とかやってこれました、ありがとう、と。 こんなことを考えていて思い出しました。以前、きらクラの「勝手に名付け親」コーナーで、スクリャービンのピアノ協奏曲の第2楽章に、「ありがとう、君と過ごした日々」というタイトルが選ばれました。旅立ったペットへの思いを込めた素晴らしいタイトルでした。これと逆に、一足先に旅立った自分が、現世に残る自分の大事な方々に送る感謝の音楽。これからはこういう視点からも考えてみようかな、などと思います。 スクリャービンのピアノ協奏曲は、真理さんも、ブロ友のゆめこさんも、気に入っていると仰っていました。この曲を久しぶりに、個人的愛聴盤、ローランド・ペンティネン、セーゲルスタム、ロイヤル・ストックホルムフィル(BIS)で聴きました。第2楽章はこちらです。https://music.youtube.com/watch?v=x1LZDAeQPUY&list=OLAK5uy_lFJkaqqAIlLta_iuqS8_-RKNr07VT0ZDM