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絵手紙・回れ観覧車

　観覧車　回れよ回れ　想ひ出は　　　　　君には一日(ひとひ)　我には一生(ひとよ)　　　　　　　　　～栗木京子～千本松大橋、なみはや大橋と渡って天保山へ行った。大きな橋、大きな水族館、大きな観覧車。広い空、広い海。通り抜けるだけで、じゅうぶんに楽しめた。観覧車は英語で、Ferris wheel。機械式観覧車を発明したアメリカ人フェリスの名にちなむ。天保山の大観覧車は1997年に開業した。高さ112.5mは当時世界一で、2年間世界一の座にいた。現在は2008年にシンガポールに造られたシンガポール・フライヤーが、高さ165mで世界一。天保山大観覧車。日本では今でも最大級と言っていい大きさ。一周約15分。60台のキャビンがありそのうち2台はシースルーキャビンといって足元も透明になっている。これを狙って待つのもあり。独りでもこのキャビンならその想い出は一生モンになるかも。

絵手紙・一つ残った柿

　ただ一つ庭に残りし　柿の実の　　　　　　　くれなゐの色を　母は惜しめリ　　　　　　　　　～岡野弘彦「冬の家族」～背景がベージュなのは、この葉書がそういう色のついた和紙だから。筆に水を少し多く含ませると滲みが瞬時に広がって、ちょっと描きにくかった。モノクロで一部だけカラーなのはよくある手法。この歌にぴったりだと思った。たしか昔に一度、何かでやったなぁと探してみたら。あった。もう６年と３か月も前。2006.09.04 「秋茜は十月の草に休む」http://plaza.rakuten.co.jp/misty247/diary/200609040000/あの頃は制作意欲が高かったなぁ。まぁ絵手紙もがんばっているかな。６年後には、この絵手紙を感心して眺めることになりそうだ。

ツワブキに日が照っています

冬の植物園は、花が少なくてさびしい。水仙の色合いは寒々しい。パンジーの華やかさにも薄っぺらさを感じる。その中、ふと温かさを感じるのはツワブキの花だ。もう傾いた日差しが木立の間から射しこんできて、黄色の花びらを照らしている。スポットライトで照らされたように、日陰のなかでぽっとツワブキが浮き上がっている。その黄色の跳ねだした空間が温かい。　石蕗の反る花びらに日の照れば　　　　　　　和みし心ひと日保たん　　　　　　　　　～尾崎左永子「さるびあ街」～ツワブキに出会って満足して帰る気持ち。この歌には、同じ温もりがある気がする。この歌を入れて、また絵手紙を書いた。今度は筆と墨で字を入れた。ちょっと「らしく」なったと自分では思っている。

絵手紙の交換

　検定試験の合格祝いと退院祝いを兼ねた、近しい人らの食事会があった。そこで私はプレゼント交換を提案した。『何を渡そうかな～』　ペンを動かして字を書くことがめっきり少なくなったことを、最近嘆いていた私は、他の方も同じに違いないと考え、それを持っていると少しでも書きたくなるようなペンをプレゼントに選んだ。それとは、三菱鉛筆のクルトガというシャーペン。　クルトガは、こちらのメーカーＨＰに詳しいが、書いていると自動的に芯が回って、芯の先端が常に尖り続けるという機能を持ったシャーペンである。発売されてもう4年ほどになるそうだ。　プレゼント分を買っただけで、自分用のは買わなかった。売場でつい、自分で握る位置を回してるからいいよ、と考えてしまったからだ。『それを言っちゃ、おしめぇーよ』　クルトガと別にもうひとつ用意した。　画仙紙や鳥の子紙のハガキである。これらは書画用の手すき和紙のことで、つまりは絵手紙に適したハガキ。3種類のパックを買って、開封して分けあった。これは自分の分も戴いた。このプレゼントの重要な点は、分けあって終わりではないという点だ。このハガキで絵手紙を出しあいましょう、というのが掟。　絵手紙を書いたことはない。でも、あれぐらいならチャチャッと書けるだろうと考えていた。自分が実際にやるまでは、軽く甘く考えてしまうのが私の悪い癖だ。いや、一概に悪いとは言い切れないか。他の人が取り組むことを慎重に考えて控えてしまいがちなところを、私は比較的なんにでも気軽にチャレンジしているように思う。　自分が言いだしっぺだから自分が先ず出さないと、と思っていたけど、なかなか書けなかった。ハガキの一面だけなのに、こういうのは面積の問題ではないのだろう。ぐずぐずしていると、相手からハガキがきた。さらにもう一枚きた。これ以上、ほっちらかしていると自己嫌悪になりそうなので、えいやっ！で書いた。　この時期の好きな歌、『金色の小さき鳥のかたちして銀杏散るなり夕日の丘に』という与謝野晶子の歌を添えて、銀杏を書いた。私の頭の中では、もっと色彩うつくしく、もっと風雅な構図で、もっと情感たっぷりな書であったのに、結果はこうだ。　仕方ない。とりあえず形になっただけで満足だ。先ほどポストまで走っていって投函してきた。

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