『牛乳読本』<その5(最終回)>
最終回は、牛乳の種類についてだ。牛から絞ってそのまま何も手を加えないのが生乳100%で、それだけが分類に「牛乳」と表示することが許されている。ダイエット志向の人向けに低脂肪にしたものは「加工乳」になる。牛乳の中身を少しでもいじってしまったら、もう牛乳とは表示できない。乳脂肪分を減らすだけでなく、増やして濃厚な味わいにしても「牛乳」ではない。生乳から加工したかどうかで決めるこの辺は、乳脂肪分で分類するアイスクリームとは異なる。友達の家に行って「アイスクリーム食べる?」「うん」と答えてスーパーカップや爽が出てきたら文句を言わなければならない。乳脂肪分が8%以上ないと、アイスクリームとは表示できない。3%以上あれば「アイスミルク」だ。でなければ「ラクトアイス」。かき氷なら「氷菓」になるが、かき氷でもないのに「氷菓」ならそれは「乳」とは無関係な冷たいお菓子だ。自分が訊く場合は「アイス食べる?」と言おう。ハーゲンダッツやaya(彩)など、濃厚な味の高級アイスは、当然ながら「アイスクリーム」だ。最近は150~180円する商品が百円アイスコーナーに混じっているが、パッケージだけ高級感を出して誤魔化そうとしているんじゃないかと疑いはじめたなら、分類を見るのがひとつの判定方法だ。いかにも「アイスクリーム」風なパッケージにしておきながら「ラクトアイス」なら、まぁポイしておいて正解だろう。たぶんスーパーカップの方がずっと美味しい。(新しく出たヨーグルト味、いいね^^)牛乳に話を戻そう。「牛乳」として売るなら何も手を加えてはダメというなら、各社各商品ごとの乳脂肪のバラつきはどういうわけか。それは、どこの牧場の牛か、主にどんな草を食べているか、によって、生乳に含まれている乳脂肪はバラつくものなのだ。とはいえ3.5~3.8%あたりになる。乳脂肪は、春夏は薄く、秋冬になると濃くなるそうだ。「成分無調整」と書いてある牛乳をよく目にすると思う。そう書いてあると、混ぜ物なしのピュアな牛乳という印象を受けるが、分類が牛乳であれば、もとよりピュアな牛乳なのだ。季節や個体差で乳脂肪がバラつくのを極力なくすために、乳脂肪が一定になるように調整するのが「成分調整」で、それが「無調整」になると、この牛乳を採った牛さん達は、いいお乳を出す牛さんばかりだから、そんなことしなくっても、乳脂肪たっぷりのリッチな味わいの牛乳が一年を通じて味わえますよ、という意味になる。今は乳牛の飼い方も行き届いた管理がなされているので、「成分無調整」が当たり前になっている。ただバラつきはあるので、乳脂肪表示は「3.6%以上」と最低値「以上」という書き方になる。最後に、私が普段どういう牛乳を買っているかを書くと、カスピ海ヨーグルトを家で作っていて、そのために買うのが殆どなので「乳脂肪3.6%以上の牛乳」になる。ヨーグルトはまた機会があれば取り上げたい。まとめる必要は感じないが、まぁ一応まとめておくと、・牛乳は最強のカルシウム源・牛乳は完全食品だが、鉄分とビタミンCは僅か・消費期限は自己管理が必要 (とくにESL)・低脂肪乳はダイエット向き、牛乳は味わい重視向き (シチュー、プリンやケーキ作りなら牛乳が適している)といったところだ。以上で、『牛乳読本』から得た知識をもとにした牛乳講座は終り。