錦織圭選手に
国際テニス・男子シングルスの4大大会(全豪オープン、全仏オープン、ウィンブルドン、全米オープン)制覇、いわゆるグランド.スラム(Grand slam)を目標にして闘っている錦織圭選手は、ウィンブルドン第4試合(16強)でM. チリッチ選手(クロアチア)と対戦。残念ながら、傷めていた左脇腹の痛みが悪化し、試合途中で棄権して敗退した。 第2、3回戦と次第に調子を上げてきているように見受けたので、まことに残念。棄権して後のインタビューで、痛みは思わしくなかったが、他の試合だったら初めから出場しなかったけれど、ウィンブルドンにグランドスラムの目標があったので、それをモチベーションにして戦ってきた、と言っている。 錦織選手にとっては悔やんでも悔やみきれない棄権であっただろう。 それはわかる。しかし、昨年もウィンブルドンでケガで棄権し、今年度も前の大会で左脇腹を傷めている。完治しないまま国際試合を転戦していると、そのケガが持病のように定着してしまいはしないだろうか。様子を傍観していると、すでにその兆候を感じる。 アスリートが長期に戦線離脱すると、筋力は回帰がむずかしくなるほど衰える。国際的トップ・アスリートともなれば、前線復帰について心配もするだろう。激しく鎬を削って競い合っている世界だ。それを理解しないではないが、錦織選手は日本テニス界が数十年待ち望んだ逸材。いまや世界が注目しているスター・プロフェッショナル・アスリートである。しかも史上5人しか達成していないグランドスラムを目標にしているのだったら、今のうちに左脇腹に固着しつつあるケガを完治させるべく治療に専念したほうが良くなかろうか。 試合中に抑えようにも苦しくて頭をかかえている姿より、エア・ケイのような力強くコートに飛翔する姿を、世界中のファンが望んでいるはずだ。