日本の農業の問題がよくわかるぞw「のうりん」白鳥士郎
のうりん(10) [ 白鳥士郎 ]最近いろいろございまして、農業方面のことを考えることがあったりなかったり。JAがどうのこうの、TPPがどうのこうのといろいろな問題があるようです。そんな、農業方面の問題を考えるときに参考になっているのが「のうりん」だったりしております。同じ農業系で「銀の匙 Silver Spoon」というマンガもあるのですが、あちらは北海道なので若干ニュアンスが違うんですよね。土地があるから大規模営農が可能ですし。駒場くんちの問題なんかもあるんですけど。たとえばTPPで酪農関係の農産品がニュージーランド(最強酪農大国)から入ってくるとするわな。生乳はさすがに遠いので、いまは結構高い輸入品の乳製品(チーズやバターなど)が安価かつ大量に入ってくることになるわけです。そうすると、消費地的に比較的遠いから&コスト的に安いからと乳製品の原料を供給していた北海道産の牛乳が打撃をうけます。余ります。そうすると生乳を売ればいいんじゃね?ってことで本州に本格的に参入することになります。そうすると、比較すると小規模が多い本州の酪農は壊滅です。生乳が売れなくて、加工もだめですからね。とかいう話を知ることができる作品なんですけど、一番びっくりしたのは農業就業人口の平均年齢。農林水産省の農業労働力に関する統計を見ると、平成26年の全国平均は66.7歳。平均の段階で年金がもらえてしまいます。そんな産業が、いまのままで海外の農産品に勝てるわけないじゃないですかってことです。じゃあ、新しい人は入っているかというとこれまたひどい。平成25年の新規就農者は全国で約50,800人。そのうち新規自営農業就農者は約40,400人。ちなみに「新規自営農業就農者」とは、農家世帯員で、調査期日前1年間の生活の主な状態が、「学生」から「自営農業への従事が主」になった者及び 「他に雇われて勤務が主」から「自営農業への従事が主」になった者をいうってことなので、実家の農業を継いだ人ってことでしょうね。はやっているんだかわからない農業法人への就農者は7,500人しかいなくて、完全?な新規参入にいたっては2,900人です。(それでも平成22年の1,700人にくらべたらましか?)こういう数字を見ると、農業で世界に輸出だ!とか言っているのがあほくさくなります。とはいえ世界に向けて動いている方もいるのですから、結局日本の農業っていうのは今あるのはもう知らん顔して、売れそうなやつだけがんばってもらうってことなんでしょうね。そこには日本人が思い浮かべる農業だったり農村だったりする「農業」ではないんだろうなーって思うんですけど、そこらへんは言わないようにしているんでしょうね。と、とっても暗い気持ちにさせてくれる作品であったりするのですが、作品としてはパロディ満載になっております。10巻のガンダムUCネタ(フル・フロンタル)は最高でした。偏ってはいるけど面白いですよ。あと、白鳥士郎の作品は『らじかるエレメンツ』から読んでますよ~。ホントに売れてなかったんだ…。