鈴木米の詳しい解説(その1)
鈴木米が生産される静岡県袋井市は静岡県西部にある都市です。周りには浜松や磐田など自動車産業をベースとした街があるものの、袋井市自体は工業よりも人の住みやすい町を重視しています。それはJR袋井駅に降り立てばわかります。これが市の駅か???と疑いたくなるような駅舎は筆者(ささだのことね)が小学生だったころと印象は変わっていません。なんでそんなことを知っているかって??父方の実家があるからです。というか、ぶっちゃけ田舎です。実家の周りには何もありませんでした。いまは郊外型スーパーなんかがありますが、昔は山まで障害物なし!ってかんじでした。主要な農産物はメロン。クラウンメロンの生産で有名です。うまいです。マスクメロンのもっとすごい版です。知り合いのT原から買っても3,000円します(これでもすごくお友達価格です)そんな袋井というか遠州では米作りは盛んでしたが、あんまし歴史には出てきません。有名なのは田沼時代に浅間山か富士山が噴火して、お米が江戸に入ってこなかったときに、遠州相良の領主だった田沼意次が商人におねがいして、遠州米を大阪に回さずに(昔はお米は大阪を経由して全国にまわった→相場価格になってえらい高くなる)江戸に入れるようにしたことがありました。それも田沼が失脚してからは入ってこなくなり、幕末に至るまでお米の相場は下がらなかったといいます。さて、袋井市は遠く南アルプスから始まる丘陵地帯がくだってきてだらーんとしたところに位置します。袋井市には太田川が流れ長い時間をかけて肥沃な土地を形作っています。天竜川を擁す浜松市と似たようなかんじです。南側は遠州灘とよばれる海岸線が広がっています(見たことないけど)気候は温暖ですが冬は南アルプスからの吹き降ろしと、海岸では海の難所と呼ばれた遠州灘(サーフィンが有名ね)からの強い風によってそこそこ冷えますが雪とかはほとんど降りません。全体的に静岡県自体気候が中途半端なところが快適さをかもし出しているのです。ただし、稲作にとってはそのあたりが微妙で、寒暖の差が激しいほうが糖度の高いお米ができます。東北地方や北陸が米どころなのもそういった理由です。ブドウもお米もおなじでストレスをかけたほうが生存本能が働いて、次代に残すもの(種ね)に力をそそぎます。ブドウで言うとやせた土地で水もあまり無いほうが、根は地中にしっかりはって土地の栄養分を取ろうとします。これがテロワールと呼ばれるものの正体だといわれています。収量も多ければいいというわけではなく、ある程度出来上がりを絞ったほうが一粒一粒のお米の味は増します。(100の決まった美味しさを100粒で分けると1粒=1の美味しさですが、50粒しか作らなかったら1粒=2の美味しさとなります)まあ、ブドウのことをベースに書いているので一概には言えませんが。ブドウの場合は剪定とかをして1本の木にできるブドウの数を調整しますが、お米はできません。そこで鈴木米では十分な日照と養分を与えつつ収量を減らすために、水温の低下で対処しています。通常は収量を増やすために山から出てきた水をため池にいれて水温を上昇させてから田んぼに流します。けれど鈴木米では余分な稲の生育はお米自体には益にならないと考え、通常は太田川もしくは磐田用水から引いている水にかわって、地下水を利用しています。幸いに袋井は最初に書いたように南アルプスからの伏流水に恵まれており豊富な地下水を使うことができます(まっかなウソ)このミネラル豊富な水を最大限に利用するためもうひとつ工夫をしています。それは、雨水の不活用です。雨水は昔と違い、空気中のチリなどを含みとても綺麗なものとはいえません。余計な水を稲に吸収させないために、雨が降ると自動的に透明ビニールで覆って直接雨水が田んぼに入らないようにしています。なお、その雨水自体は高度浄水機能の付いた貯水槽を通って下流に流されます。くみ上げた地下水は浄水機を通すと地中から抽出されたミネラル分が濾過されてしまいますので水質チェックを定期的に行う以外はそのままです。地下水の水温は年間を通じて15℃~18℃。ミネラル分は多いですが、軟水ですので酒米を作っても面白いかもしれません。