SLの思い出(あぶくま号)
●SLの思い出(あぶくま号)2004年5月22、23日、福島県の磐越東線で蒸気機関車が走ったことがある。1968年(昭和43年)のヨンサントウで磐越東線からD60の姿が消えて以来、36年ぶりに地元にSLが走るとなったのでちょっと遠いが撮影に出掛けたことがあった。運転区間は磐越東線の郡山駅からいわき駅間の85,6kmで、2日間「SLあぶくま号」として運転された。その前に5日間も試運転が行われた。使用された機関車は、C11325号機で栃木県の真岡鐵道からの出張運転だった。 旧型客車の編成はスハフ322357+スハフ422173+スハフ422234(赤帯)で高崎車両センターの3両だ。坂道を登るシーンを撮るために田んぼのあぜ道に陣取っていると、遠くからかん高い汽笛の音がする。映画「裸の太陽」でD60が力強く走っていたのとは少し迫力が劣るが、久しぶりの石炭の匂いで昔を思い出される時間だった。翌日は、隣の川前駅のホームで到着を待って、給水や石炭を積み込むための停車シーンを見学した。出発間際に移動して走行写真も撮ることができた。帰りの郡山行きは坂が多く、いわき→小野新町間は後部にDE10の補機が付いたようだ。郡山には転車台があるが、いわきには無いのでバック運転となる。2006年まで5回運転された。このC11325号機は、真岡鐵道以外に只見線や左沢線、八戸線など東北地区のイベントに貸し出されていたが、2020年に東武鉄道に引き取られ、現在は東武鬼怒川線などで運転されている。