ノルウエー・フロム鉄道
●ノルウエー・フロム鉄道港に直結したフロム駅にはすでに列車が待っていた。駅に併設された鉄道博物館には建設当時の様子が展示してあるのだが見学する時間は無かった。16:05発の1864列車、これで海抜867mある山頂の「ミュルダール駅」までのフロム鉄道に乗る。前後を機関車に挟まれた客車6両編成でそのうちの数両を貸し切として乗車した。運よく先頭機関車の次の車両で左右の景色が楽しめる座席だった。車内の案内はTVモニターに表示され、世界15か国の言語が収容され最大3か国の案内ができるようだ。 トンネルとトンネルの間に板張りのホームがあり停車した。ハイライトの「ヒョースの滝」で、ここで5分間臨時停車し伝説の妖精(フレドル)が現れるシーンを見学した。落差93mの滝の水量は迫力があり風向きによりびしょびしょになる。妖精はネットより拝借冬はこの滝が氷結してしまうようだ。ちなみに妖精役はアルバイトの男性大学生らしく、二人いて瞬間移動したかのように現れるのだ。このフロム鉄道は、ベルゲン線のミュルダールからフィヨルドのフロムをつなぐ鉄道として1940年から運行している。20.2㎞の距離に11駅、20のトンネル(18は手掘り)、55パーミル(1,000mで55m登る)の急勾配となり、険しくも風光明媚路線としてノルウエーでは3番目に人気の場所で、年間80万人が利用している。1998年に民営化されノルウエー鉄道が運行しているが、線路はノルウエー鉄道庁、運営とチケット販売等は地元の観光業者と自事体のフロム開発社が行っている。 ネットで見る機関車はグリーンのEL17型だったが、最近は新型車EL18が導入されたようだ。夏季は1日10往復、冬季は4往復運転している。運賃は所要時間50分で4,800円とびっくりする値段だ。開業当時はSL運転、寝台車両も連結、一時は廃止の検討もされたこの鉄道も現在は世界で有数の観光鉄道になった。途中のベーレクバム駅は唯一の交換駅でフロム行きの1863列車と交換する。標高865mのミュルダール駅ではベルゲン線に接続している。ベルゲン線も魅力の路線で、ベルゲンからオスロ方面に471.1㎞もあり184のトンネルで、北欧で一番高い標高1200mを走る山岳鉄道なのだ。1日3~4本で所要時間も7時間ほどかかるので一日がかりである。運賃は12000円ほどだ。この駅は乗換駅だが、周囲には道も無いため家も店もなく乗り継ぎがうまくいかないと大変だ。食事場所まで再び列車に乗る。今度は近郊型の電車BM69型で、路線図を見るとミュルダル~ベルゲン間を走っているようだ。途中のVOOS(ヴォス)駅で下車すると少し雨模様になってきた。帰船後は市内に点在し世界遺産となっている木造の長屋倉庫だった、ブリッケン地区を駆け足で見学した。港の近くのフロイエン山にケーブルカーが走っており320mの展望台からベルゲンの街並みが一望できる。 カラフルな建物で奥行きが長く居酒屋や床屋お土産屋などが入っている。そのうちの一軒は改修工事中だが表面に実物大の絵を書いたシートが貼ってあり景観を損ねないように工夫されていた。出港時にはお約束のように雨となってきた。 ノルウエーは大変厳しい地形と気象条件のため内陸の移動は困難である。120年前から各港を北上する大型のフェリー(沿岸急行船)が定期就航している。