上ツキ 下ツキ...
(下野の花 砂浮琴撮影)下野(しもつけ)は、在来種のバラ科植物としても代表的で、Spiraea japonicaと、学名でJaponicaを冠する落葉低木だ。最初に見出されたのが、下野国(栃木)だったことが和名の由来だそうだけど、花が、まるで霜がついたような咲き姿から呼ばれたという、ひねくれた説もある。ともあれ、下野は国内のほぼ全域に見られ、自生する勢力範囲も広い。寒さにも暑さにも強いので、庭木としても庭園樹としても人気があり、初夏にピンクまたは白い花を咲かせ、秋には紅葉する変化を楽しめる。小手毬(こでまり)や雪柳(ゆきやなぎ)も、 同じバラ科 シモツケ属の仲間だ。地名は読み方が難しく、関西で"下野"なんて読みは馴染み薄い。なので、「かの」とか「かや」とか「しもの」とか、訳の解らない読み方をする人もいる。古典の笑い話にこんなのがある...奉公人が、ある人に「うちの主を下野の出身」という者もあり、また「野州(やしゅう)の出だという者もいるがどっちが正しい?」と聞いた。「どちらでも構わない」と教えられ、奉公人は妙に納得した。そんな奉公人が、ある座敷にあがったとき、下野の花を生けてあるのをみつけ、座敷の主に、「さてさて、この野州はよく生けられましたな」と愛想したという。(安楽庵策伝 龍川清訳「醒睡笑」より...)さてさて...知らないということは、恥をかいたり笑いネタを生むもんだ。R子は、聞き違えて「シモツキ?」と怪訝な顔で聞き返し、中途半端に聞いたエリカは、「アタシは上ツキ~っ!」と自己申告したとき、職場の未来に、微かな不安を感じた...(汗)