I Can't Get No Satisfaction(イングランド vs ドイツ)
■アメリカ戦でクリントン元大統領とにこやかに観戦していたと思ったら、このドイツ戦にも映っていたミック・ジャガー。きっと専用機か何かで南アフリカを縦断したに違いないが、このロックンローラーがアメリカにとってもイングランドにとっても疫病神であったとは。彼曰く、It's Only Football, But I Like It.ってところだろう。■そんなカリスマのせいかどうかはともかく、この日のイングランドにはツキがなかったことも確かだ。ランパードのループが認められなかった不運は66年のハーストのゴールのしっぺ返しだったのかもしれないが、あれで火のついた闘志が却ってドイツのカウンターの餌食となったのだからかなり罪深いミスジャッジだったと言える。■結局ファーディナントの負傷欠場が最後までセンターの安定感を欠いた原因だが、面白いように彼らの裏をすり抜けたドイツの速さと巧さには舌を巻く。中でも8番エジルの速攻時のここぞという時の瞬発力と、遅攻時の人を食ったようなパスさばきが小憎らしいほど。それに反応する13番ミューラーの体格に似合わない足技の巧さにも唸った。21世紀型13番ミューラーは爆撃機というよりは速射砲に近い。■そもそもベスト16でこのカードが実現してしまった遠因は初戦のアメリカ戦でのGKグリーンのファンブルに端を発しているのだが、アルジェリア相手に1点も取れなかった第2戦も今となっては悔やまれるところだ。グループCを1位で抜けていれば今頃スコッチ片手にウルグアイ対策でもしていた頃だろうに。■まあそれでも、こうやって記憶に残る試合を実現してくれただけでもサッカーファンとしては満足しなければならいだろう。こんなゲーム、なかなか見られる機会なんかない。ましてスコアは4対1。あんなにドイツのボール回しに子供扱いされるイングランドなんか滅多に見られたものじゃない。■トーナメントに入り、わたしの予想もことごとくはずれ続けている。しばらくトトは自粛だな。アメリカ●、イングランド●の原因はやっぱりミック・ジャガーにある。ミュージシャンはスタジオに行きなさい。そして歌いなさい。悪魔を憐れむ歌でもサティスファクションでも無情の世界でも今夜は何でも似合うと思う。PS拝啓ミック・ジャガー様 パラグアイの応援席に空きがあります。どうかいらしてくれますように。