フンくさいオアシス(マザー3プレイ日記)
■3章の始まりはどこかの砂漠。飛行船みたいなものから連れてこられたのはサルの夫婦(または恋人)だ。かわいそうに奴らに捉えられてふたりは離ればなれにさせられてしまう。■ここで私が操るのはまさにそのサル君なのであるが、彼の後ろにはぴったりとヨクバという名のいけ好かない男がついてくるわけだ。逃げだそうとしたり、間違った道に進もうとすると付けられた首輪に電流が流される。びびびびびっびびっびびぃ。その都度、黒こげにされてだんだん人間性(サルにそれがあるとすればね)が損なわれていく。条件反射で主人の指示に従う動きになってくるわけだ。■ゲームの青少年に与える悪影響云々はずいぶん前から議論されてきた。じゃ、オトナは大丈夫かといえば、実はそんなことはない。サルになった私はできるだけ痛めつけられないように慎重にそこらじゅうを歩きまわるのだが、時として何をグズグズやっているんだと罵られ、とある部屋の前に来た時はその男から踊ってみろと強制される。そしてコントローラーを上下左右どちらに動かしても怒声を浴びせられ電気を流される。結局36回くらい痛めつけられた。(それは踊る前にしておかなければならなかった何かが足りなかったんだ)■マザーやマザー2でも心が痛む場面はあった。だから、マジカントではできるだけフライングマンには会わないようにしてきたし、HAPPY HAPPY村では果物をもらわないように、ジェフの寄宿舎ではプレゼントの箱をチェックしないようにして先に進んだ、2回目からは。■ここでイヤらしいのは酷い目に遭わなければ先に進めないというゲームの成り立ちなんだよな。プレイヤーは次第にある種の感情を覚えるわけだ。この男さえいなければ・・・、いつかきっとこの男を・・・、ええい、そんなに強く引っぱるんじゃない。サルが時々、鏡をチェックすると「笑顔はどんな顔だったっけ」って言われるのだが、その彼を操る私自身が厳しい顔してコントローラーを握っているわけだ。■砂漠には無数のフンコロガシがいて、サルが拾ってくるフンをくれくれとやたらに欲しがる。そしてそれをあげると本当に嬉しそうにそれをコロコロ転がしていく。ヨクバはタツマイリ村の住人たちに”お金”という新しい価値を渡してみせた。それを受け取った彼らはまるで砂漠のフンコロガシのように嬉々として見えた。■こんなに不穏な雰囲気をたかがゲームによって植え付けられる気分はどうよ。敵にあって戦って成長してまた敵にあって戦って・・・ただそれだけの繰り返しですすんでいくゲームにないもの。自分の中にある悪意とか優越感とか差別意識とか、あからさまにそんなものまで見えてきてしまうのはこの作り手(糸井重里)のねらいに他ならないと思う。しかし砂漠で見つけたオアシスは少しフン臭かったけれどとっても心は安らいだんだ。できればずっとあそこに浸かっていたかったんだけど。現在のセーブポイント 第4章 コーバ