北アルプス スケッチ紀行(その1)
白出沢出合いから_story(1306) 2008.8.7 8泊9日で北アルプスを縦走した。計画登山時間75時間。標高差up8535m down8535 計17070mであった。前半の7日が快晴、後半の2日がガス・小雨という気象条件でおおむね恵まれていた。山に来た中高年の多くが「blog=日記の公開=なぜ? 」という疑問を持っているいることも知ったので、ここでは、北アルプスに行けない人々に、臨場感あふれる北アルプス紀行(山頂からの風景画など)を届けることを目的に、本blogを書き進めることにする。描いた絵は48枚。実際の総登山時間77時間。 1日平均8.5時間の登山時間であった。これらの絵を、blog1日分で2枚掲載するとして24日間の掲載となるが、ゆっくりお付き合いください。行程とmapは下記。第一日目 その1(2008.8.7(木))白出沢(しらだしさわ) 雪渓下部山岳は、蒲田川の由来となった蒲田富士(2742m)。標高差1600mの沢。過去この雪渓は無い場合が多いが今年は異常か? 左にある白出岩をトラバースしながら登っていく。荷継沢(につぎざわ)などの多数の沢がこの沢と合流するため迷うことも多く、最近新しい道標(「ここを対岸に渡れ」)が追加された。ただし雪渓では、対岸が2つありどこに渡っていいか迷うことろである。高地トレーニングのために訪れていた濁河温泉をam4:00に出発したものの、北アルプスの飛騨側玄関口の「新穂高温泉」へは160km。相当の距離であるにもかかわらず、途中山道で道を誤るなどしたためam6:30頃、ようやく到着。お目当ての駐車場は有料で1日2000円。9日間だと18000円。これはもったいない。小さく無料駐車場の案内が書いてあった。ロープウエイ乗り場から1kmも南下した所というではないか。ベテランはこの無料駐車場の場所を知っておりダイレクトにここに駒を進める。さて、槍や穂高に登るルートは、松本に近い上高地から、富山に近い折立からの2大ルートがあり、行列となる。岐阜県側では高山に近い、新穂高温泉が有名であるが、全国区ではないため空いている。しかも白出沢出合から奥穂高岳に登るルートでは、1人/1日という ほとんど人が行き交わない待ち時間ゼロの快適なルートである。しかし、これが問題であった。地図上では、「大雨の時は渡渉(としょう)不可」という警告以外に不安なところはない。しかし、実際は、この冬の豪雪の影響か、雪渓が渡渉部分に5mも積もっており、この雪渓部分をよじ登らないと先へ行けないことが判明。川がごうごうと流れ、その上に雪渓が張りだしている。いわゆる雪庇であり、この上に下山中の外人2人が立っており、途方にくれている。雪庇部分であることが本人には見えていないため、危険を知らせ、飛び降りる場所を指定しつつ、救助してあげる。この外人、さっさと下山をしていく。1人取り残された小生はこの5mばかりの雪渓をよじ登らばければならない。アイゼンを靴に付けているいるものの、2つの雪渓の塊に両手、両足をくさびのように引っ掛けた。3点位置決めであれば先に進めるが4点固定となってしまってはこのまま凍死する以外にない。リュックを背負ったまま、逆上がりのような形で反動をつけ、1つの雪渓にしがみつくことができた。爪をたて、5cm,10cmとずるずると身体を這わせ、雪渓部分に重心を移動していく。なんと最初の登攀で、第一日目にして、しかも登攀を開始して2時間もたたないのに、もう全身どろまみれになってしまった。雪渓部分に上り、最初に描いた絵が上の絵である。傾斜地からの絵で、パレットが雪渓を滑っていく筆が転がるわで、もうこのまま帰ってしまいたい気持ちであった。難関は続く。左斜面の草地に這い上がり、トラバースしたものの、さらに1時間後に巨大な雪渓部分が出現。角度はかなり急。ガスで先が見えない。2人がこわごわに降りてくる。コース分かりますか?と聞くが、足跡をたどれという。雪渓上にわずかに残った消えるような足跡と、ストックの丸い穴を虫眼鏡でみるような感覚で目を雪渓10cmの場所に這わせさぐる。角度30度。このまま油断すると、谷底に落ちてしまう。一歩一歩では時間が無限にかかると思え、丸く凹面になった部分を10歩くらい「えりまきとかげ」のように高速に歩を進めることにした。小さい岩なども、休憩のよりどころとして、上に上に登っていった。はてしない雪渓で、漸く1人がこのガスのなかに現れた。聞くと、まだ相当あるという。なんということか。もう後退はできない。下からもガスが沸いてきたからだ。ふと大きな岩山が目の前に現れた。みると黄色と白のペンキではないか。たくさんの踏み跡もあり、本で読んだ、「岩を巻く」場所であると確信して、雪渓をはずれ、この絶壁に取り付くことにした。白出沢(しらだしさわ) ガレ最上部コル(鞍部)に穂高岳山荘(風力発電と太陽光発電が有名)が見える。ここからでも1時間。ガラ場の登攀は道が縦横につき、目標物を決めて登る時間に10分を擁す。このようにして高度をかせで行く。5年計画で、小屋の裏側(西側)の石積みを青年たちが忙しく立ち働いていた。しかし、立錐の余地のないコル部分から白出沢へ向かって、降りてくる人は居ない。登る人も居ない。考えを変えればたいへん空いたコースであった。しかしおかしい。登るためには雑草以外に手にするものはない。勢いを付けて10mくらい登るも、大きな岩稜がせまるばかりで、道は閉ざされている形。さて、これも「迷い道」の一つと気づいたのは、さきほどのペンキは見事な、岩に張り付いた苔の絵文字であった。気を取り直して雪渓にもどり(岩稜の登攀よりは雪渓のほうがまだよっぽどましであることに気づいた)、さらによちよちと雪渓を登った。もともと7時間の登攀という白出沢ルートであるため、覚悟はしていたが。雪渓が終わり、溶岩の部分(ガラ)となっても、道が縦横に取れ、なかなか確定できない。そのうちに、「長年人が踏んでいる道であれば、S字状の回廊を形成する」という原則があることに気づき、難なく穂高岳山荘(2990m)に到着。標高差upのみ2000m。行程:凡例・・山は青太字。小屋は赤太字。日記部分が茶太字。2008/8/7(木)新穂高温泉(990m)→白出沢出合(しらだしさわーであい)(1320m)→穂高岳山荘(2990m)2008/8/8(金)奥穂高岳(3190m)往復→涸沢岳(3103.1m)→北穂高岳(3106m)→長谷川ピーク(2841m)→大キレット(2748m)→南岳小屋(2970m)2008/8/9(土)南岳(3032.7m)→中岳(3084m)→大喰岳(おおばみ)(3101m)→槍ヶ岳(3180m)往復→西鎌尾根→樅沢岳(もみざわ)(2755m)→双六小屋(2545m)2008/8/10(日)鷲羽岳(わしば)(2942.2m)→ワリモ岳(2821m)→水晶岳(往復)(2977.7m)→水晶小屋(2900m)2008/8/11(月)黒部源流(2380m)→雲の平(日本庭園)(2660m)→スイス庭園往復(2580m)→祖父岳(じじがたけ)(2825m)→高天原温泉往復(2040m)→高天原山荘(2150m)2008/8/12(火)大東新道(E,D,C,B,Aの各沢)(1900m)→薬師沢出合(1940m)→薬師岳山荘(2701m)2008/8/13(水)薬師岳(往復)(2926m)→北ノ俣岳(2661.2m)→赤木岳(2622m)→黒部五郎岳(往復)(2830.6m)→五郎のカール(2600m)→黒部五郎小舎(2350m)2008/8/14(木)三俣蓮華岳(2841m)→双六岳(2840m)→弓折岳分岐(2592m)→鏡平山荘(2285m)2008/8/15(金)弓折岳分岐(2592m)→笠ヶ岳(往復)(2879.8m)→笠新道(杓子平(2460m))→新穂高温泉(990m)map:今回の北アルプス縦走map緑が今回の日記の部分スケッチ情報:上の絵は白出沢雪渓下部(120° am9:30 Google Earth 地名=新穂高温泉 スケッチpoint 36.294386,137.621078 (単位は°)(北緯、東経表示では、36°17′39.79" N,137°37'15.88" E))下の絵は白出沢最上部(120° pm1:19 Google Earth 地名=新穂高温泉 スケッチpoint 36.292831,137.644347 (単位は°)(北緯、東経表示では、36°17′34.19" N,137°38'39.65" E))Google Earth(北アルプスが立体で見ることができます):(チルド、パン(回転)させることにより迫力ある3D鳥瞰図が得られます)(Google Earthの検索ウィンドウ(ジャンプ先)に、10進度数、あるいは北緯,東経(E,Nの文字も)を入力(ドラッグしてコピーし貼り付け)し検索ボタンをクリックしますと、その場所に地球儀が周り拡大表示されます。都心部ではくっきり映りますが、山岳部では、ぼやけます。高度が下がっていくとき、クリックすれば止まります。)