オバマ大統領のヒロシマ・スピーチ
今日は歴史的な一日だったと思います。広島と長崎に原爆が投下されてから71年。原爆を投下した米国の現職の大統領が被爆地・広島を訪問。終戦記念日のように、戦争について考える日になりました。オバマ大統領のスピーチはわかり易く、追悼と世界平和を願う気持ちが伝わるものだったと思います。17分の間、まるで叙事詩を聴いているようでした。The New York Timesにテキストが載っていたので読み返すと、名スピーチだったことが実感できました。Text of President Obama’s Speech in Hiroshima, Japan冒頭から引きこまれてしまった71年前の雲一つない晴れやかな朝、死が空から降り注ぎ、世界は一変してしまいました。目を突き刺すような光と猛火が街を徹底的に破壊し、人類が自らの手で人類自身を壊滅させる方法を持っていることを証明してしまったのです。なぜ、私たちが今、ここ広島に来ているのでしょうか?そう遠くない過去に抑えることが出来なかった恐ろしい力についてじっくりと考えるために、私たちは今、ここに来ています。そして、10万人を超える日本の男性、女性、そして子供たち、数千人に及ぶ韓国の方々、多数の捕虜となった米国人を含む亡くなられた方々全てを追悼するためにここに来ています。彼らの魂が私たちに語りかけます。「内面を見つめなさい。『自分たちは何者なのか』『自分たちはどうなるべきなのか』についてよく考えなさい」と言っています。後半の『核無き世界の実現』へのメッセージも心に響きました。武力侵入行為、テロ、腐敗した政治、残虐な行為、弾圧など、私たちが世界中で目にする全ての行為は、私たちの仕事に終わりがないことを示しています。人間が持つ邪悪なことをしてしまう能力を私たちは排除することは出来ないでしょう。だからこそ、国同士が、同盟を結んだ者同士が手を取り合って邪悪なものから自分たちを守る方法を確保しなければならないのです。しかし、我が米国のように核兵器を保有する国々は、恐怖の論理を排除する勇気、核兵器を持たずに世界平和を成し遂げる勇気を持たなければなりません。ラストも余韻を残すというか、「今日、ここから始まる」という気持ちが込められているように思いました。あの日、世界はここ広島で変わってしまいました。しかし、今日、この広島の子供たちは平和に暮らしています。なんと素晴らしいことでしょうか。この平和は守る価値のあるものであり、全ての子供たちが享受すべきことであり、私たちが選択することができる未来の一つであります。そして、その未来の広島と長崎は、核戦争が幕を開けた街として知られるのではなく、私たち人類の良心が目覚めた街として知られるのです。オバマ大統領は今の自身が置かれている状況で示すことができる最大限の感情をスピーチに表わしたと思います。米国、日本、韓国、それぞれの国の立場を考慮していてさすがだなあ、と思いました。戦争は起こさない、巻き込まれない。核は廃絶する。再確認した一日でした。