『子猫をお願い』
≪青春の悩みは世界共通。子猫を遠くからそっと見守ってあげてください≫これは1ヶ月以上前に観ていたのですが、今頃のアップになりました。ソウル郊外の仁川の商業高校出身の仲良し5人組。今年で20歳になる彼女たちは高校卒業後も事あるごとに集まって近況報告をし合っていた。証券会社のOLで上昇志向の強いヘジュは我がままで自分勝手なところがある。両親が無く祖父母とバラック街に住んでいるジヨンは、テキスタルデザイナーの夢を持っているが、定職も無く友人から借金をしても返せない状態にある。ヘジュの20歳の誕生日にお金の無いジヨンは拾った子猫をプレゼントする。だが最近ジヨンとヘジュの仲がしっくり行っていない。父親の店を無報酬で手伝っているおっとりしてやさしいテヒはそんな2人を昔のように仲良くさせようとしている時にジヨンに追い討ちをかけるような出来事が…タイトルからしてかわいらしい、楽しい映画なのかと思っていたら、実は結構深刻なテーマの作品でした。だから最初はどうってことなく観ていたのですが、途中から目が離せなくなり眠さも吹っ飛ぶ状態に。20歳になろうとしている女性たちが社会に出て厳しさを知り、自分の居場所を探しながら葛藤している様子が、自然に描かれています。5人の内双子の姉妹は特にこれといったエピソードはありませんが、あとの3人の悩みは、この年代の若者誰もが持つ共通の悩みが描かれているかもしれません。お金も無く年老いた祖母との生活、障害を持つ詩人の為のボランティア、商業高校出身の為大学進学は無理だったという現実、両親の離婚、娘とは考えが合わない傲慢な父親。上の段階へ踏み込もうにも目に見えない壁を越えることは出来ない過酷な世の中はどこの国も共通だと思います。それに携帯のメールでの会話がいかにも今の世の中を映し出していると思います。このままどういう暗いラストを迎えるのかと思いきや、実は結構希望を持ってもいいのではないかと思える終わり方で少し気が晴れた感じでした。まだ若いんだもの、「人生これからというつもりで頑張れ!」と応援したくなります。若い人向けの韓国映画ってラブストーリーが多いのかと思っていましたが、これは等身大の若者の、特に女性の悩みや友情がリアルに描かれていて好きな作品です。結局彼女たち自身が子猫のようなものなのですよね。2001年韓国監督/脚本:チョン・ジェウン出演:ぺ・ドゥナ、イ・ヨウォン、オク・ジヨン