☆トイレット☆
ある企業に勤めるレイ。彼は他人と深く関わらずに生きてきた。唯一の趣味は、ロボット型のプラモデル。母の葬儀の後、図らずも実家に戻ることになったレイ。実家には、4年間引きこもり状態の兄モーリー、勝気でいつも上から目線の大学生の妹リサ、猫の「センセー」。そして、母が死ぬ前に日本から呼び寄せた祖母がいた。この「ばあちゃん」は、毎朝トイレから出てくるといつも深い溜息をつく。レイはこの事が気になってしかたがないが、兄妹は気にしていないようだ。英語を全く理解しない祖母と3兄妹の生活はなかなか上手くいかないが…『かもめ食堂』のあのまったりした中でホッと出来、フィンランドの景色や北欧家具、グッズに囲まれた雰囲気が大好きで、今回もその荻上直子監督の作品だと言う事で興味を持ちました。ただ、タイトルが『トイレット』、つまり[便器]ですからね。一体どういう映画なのか皆目検討もつかずに観たのです。台詞はオールイングリッシュ。パニック障害で4年間一度も家を出なかった兄は、ちょっとのことですぐにレイの職場に電話をかける。妹はいつも命令口調で、何かと彼らに振り回されている感じの次男レイの、いかにも振り回されそうな雰囲気がこの俳優に妙に嵌っています。そして、日本から来た「ばあちゃん」にもたいまさこ。とにかく一言もしゃべらず、にこりともしないばあちゃん。いくらばあちゃんでも、こんな感じの人と一緒に暮らすのは容易じゃない。でも、一緒にいるうちに、言葉はわからなくても何か通じるものがある。物言わずとも、ギョーザを作る事で、それを温め直して用意してくれる事で、ばあちゃんの優しさも伝わってきます。そして、自分の思うように生きたらいいよ、と言っているようなメッセージを残してくれたばあちゃんと孫たちとの絆が少しずつ深まっていく様子は、やっぱりほっこりします。孫たちは“grandma”とか言わずに「ばあちゃん」と日本語で言うのがかわいかったし、いい響きでした。それにしても、日本のウォシュレットは考えてみたらやっぱりすごい。普段当たり前のように使っているから、温かい便座とウォシュレットのないトイレに出くわした時はそのありがたさに改めて気付かされるわけですが。最後のオチにも笑ってしまいました。「ああ~、そんなぁ~。」思わず最後まで見入ってしまいましたが、謎の部分も結構ありました。ばあちゃんは本当にウォシュレット付きトイレをそんなに懐かしがっていたのか。最初私は溜息の理由は便秘なのかと思っていました。本当はお腹の調子が悪かったのかもしれません。でも、不調の原因はトイレが代わった事か?レイたちの亡くなった母親は、自分の幼い頃別れた母親を、何故今頃探し出して日本から呼び寄せたのか。サチ・パーカー演じるあの謎の女性は?もうちょっとだけ活躍させても良かったかも。モーリーは結局○○ではないのか。なぜ○○○○が必要なのか。いや、これは別にはっきりさせなくてもいいのですが。でも、インド人のレイの同僚は良かったです。まあ、あまり深く考えずに観るのには良いと思います。謎を追求したい方にはちょっと物足りないでしょう。私は今回、ちょうどその半分、と言ったところの印象でした。その部分は観る人が考えてください、的なものがちょっと多すぎる気がしないでもなかったし。もたいまさこが何を言うか、何か言うだろう、と思っていましたが、あの一言でしたか…。トイレット2010年日本/カナダ監督/脚本:荻上直子出演:もたいまさこ、アレックス・ハウス、タチアナ・マズラニー、デヴィッド・レンドル、サチ・パーカー 他【22%OFF!】トイレット(DVD)価格:3,849円(税込、送料別)