【 ぼくの伯父さん (MON ONCLE)】 1958年 フランス・イタリア映画
超モダンな邸宅に住む社長アルペル氏のひとり息子は、自分の家が大嫌い。下町のアパートに住むのんびり屋の伯父さんユロ氏がお気に入りだった。ある日アルペル夫妻は義兄に就職や結婚の世話をするが、どこでもハチャメチャになるばかり…。シュールで独創的なギャグを放つジャック・タチの代表作。 ジャック・タチ作品、今回が初鑑賞でした。ゆるいほのぼの系笑いで有名な方で、主人公ユロ氏が登場する伯父さんシリーズの中の一作です。台詞が少なく優しくて、のんびりゆったりなコメディ、本当にシュールですね~隅々までオシャレな映像と小道具の数々に、目を輝かせて観ていました。ミッドセンチュリーと呼ばれる家具・雑貨がいっぱい。「アルペル氏の超モダンな邸宅魚の噴水には、笑いのツボをくすぐられっぱなしでした。げらげら笑いではなく、にんまりしちゃう様な、ほのぼのゆったりした笑いが心地よいです。音楽も、素朴な叔父のユロ氏を慕う少年も、そのまま自分の好みが映像になっていて、物語云々ではない楽しさ。とにかく映像を楽しむ―そんなタイプの作品でした。「いたずらっこの少年たち」欧州映画に登場する少年たちが、好きです。澄んだ目で日常を見つめてるまなざしが。撮る側の思い入れも強いようで、ヨーロッパ映画にはなくてはならない存在ですね。男同士の関係に焦点を当てるのは、欧州人に感情移入しやすい設定だからなのでしょうか。そして、一番気に入ったのがこちら。ユロ氏の住むアパート。窓や通路を通り抜けて、二階の部屋まで辿り着くまでのユロ氏の長い道のりが、ちゃんと見えるようになっています。モダンな生活や合理的な便利さを、やんわり笑い飛ばしつつも風刺する、チャップリンの「モダン・タイムス」を思い出しました。後半、少年がほとんど出てこず、かなりあっさりとした最後でありましたが楽しい映画です。違うユロさんも観てみたいかも。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 監督 ジャック・タチ 脚本 ジャック・タチ 、ジャック ラグランジェ 、ジャン ロッテ 撮影 ジャン・ブールゴワン 美術 アンリ・シュミット 音楽 アラン・ロマン 、フランク・バルセリーニ 出演 ジャック・タチ 、ジャン ピエール ゾラ 、アラン ベクール 、ドミニク マリ