We haven't had that spirit here
誰でも知ってるイーグルスの、とゆーよりもロック史に残る名曲である「ホテル・カリフォルニア」にこんなくだりがある。♪So I called up the Captain, ♪'Please bring me my wine' ♪He said,♪We haven't had that spirit here (since nineteen sixty nine)訳すと。。。ホテルの支配人に「ワインをくれ」と頼んだら、 「1969年以降、ここには酒は一切おいてございません」って言われた。。。ってことなんだが、ここではアルコール類を意味するspiritという単語は、もちろん普通我々が思い浮かべる「魂・精神」でもあるわけで、つまりは、1969年以降カリフォルニアに集うミュージシャン連中には、ロックスピリッツをもったヤツなんかひとりもいない、という痛烈な皮肉だ。1969年は伝説のウッドストックが開催された年であり、反体制の戯言だったロックミュージックは金になる、とオトナ共に認識された年である。F1撤退を決めた今のホンダがまさに、♪We haven't had that spirit here since nineteen ninty twoであろうよ。客寄せパンダ?株主対策としての参戦?いずれにせよそこにホンダイズムは存在せずイギリスのレース屋にいいように牛耳られても、魂なき参戦を続けた結果がこれだ。魂がなければ共鳴する人間も出てはこず、アースカラー、アースドリームといえば聞こえはいいが、そんなものはスポンサーがないことの隠れ蓑に過ぎない。チーム運営はほとんどホンダの持ち出し。F1に莫大な金をつぎ込み、その一方で派遣労働者を切り捨てる、では世間体が悪いそういう判断だろう。オトナの事情に右往左往するホンダには、だから何の感傷もない。チーム総帥は、特に悲観的ではないらしい。切り札にロス・ブラウンのシャシーと先駆的なブレーキ回生システムがあるからだ。たとえホンダエンジンがなくとも、このふたつを取引材料に切り抜けられる、と。やり手のレース屋は、中東オイルマネーにパイプを持っていそうだしそしてその中東は、フェラーリとも近しい者がいる。フォースインディアがメルセデスに鞍替えしたこのタイミングならば、チームアブダビあるいはチームバーレーンとしてブラウンシャシーにフェラーリエンジン。充分ありえる話じゃねーか?野望が潰えてチーム解散となれば、行き場のないジェンソン・バトンが狙うのはトロロッソしかなく、再び佐藤琢磨の芽を摘む可能性がある。一体なんて運命なんだろうかね。ホンダは投げ捨てたが、ホテルカリフォルニアの最後は♪You can checkout any time you like, but you can never leave!「おりるのは勝手だけど、甘い蜜の味はそう簡単に忘れられないだろ」げに名言。来シーズン、ニック・フライ率いるホンダ残党はグリッドに並んでる、と思うね。