祗園のバーが着々と
祗園と言えば、一力茶屋周辺の情緒あふれる花街。舞妓はんが行きかう風情に大勢の観光客がカメラを向ける。しかし四条通りの北側は当世風の飲み屋が密集する雑然とした地区。せっかくの雰囲気が台無しと私は憤慨するが、何処の都市にも必要な地区なんでしょう。でもまあ一応ここも祗園の領域。案内された物件はそんな一画にありました。○○会館というレトロな名称がすべてを物語る。階段を上がった手前にアーチ状の低い木のドアがある。開けると廊下のような空間があり、その奥にカウンターとソファ席の小部屋というL字型空間。せまっ苦しく、昭和感覚丸出しのインテリア。Hinaちゃんが探してきたその物件を気に入ってない私、うーん、これはこれで面白いんだなあ、とヤケクソ半分でつぶやいてみる。最近はこんなお店も流行るんだけどなあ。和風の便器なんて若い人には珍しいので改装しなくていいんじゃない?そんな嫌味を言って、Hinaちゃんと不動産屋さんを困らせる。日頃は主張しない穏やかな人間で通している私ですが、最近はどうも依怙地になって毒舌になりがちです。特に今回は低予算ながらも祗園の名に恥じないレベルのお店にしたいと、強いこだわりを持っているだけに、ちょっとしつこい。とはいえ、今更ごねて見仕方ない。予算の都合で、条件に合うのはここしかないとのこと。ならばこの陰気な空間を何とかしなければならない。幸い大家さんは大幅に手直ししてくれるとのこと。しかし業者さんが用意した改装図面があるので大幅には変えられない。とりあえず、L字型の空間が穴倉みたいなので、それを逆手に取って、南欧のワイン倉庫を改造した酒場というイメージコンセプトを立てました。ワイン樽はオーク材、壁は粗目の漆喰。なのでダークオーク調の木材と白壁のシンプルな構成とし、色味のある布地を飾って変化をつけよう。店のドアを開けても続くスペースを地下通路と見立て、その奥が倉庫部屋と考える。現状はS字型のカウンターとL字型型のソファが置かれているがとても使いにくそう。厨房のレイアウトも無理がある。<写真:S字カウンター&厨房>L字型のソファは雰囲気はいいが、コーナーには人が座りにくい。なのでカウンターとソファを共に直線配置にして出来るだけ多くのお客さんが座れるように考えました。ソファはネットで最少寸法のモノを探して、その寸法を元にした図面を描いて業者さんを説得。結果、カウンター5席、ソファ席8席となり、これで4組程のお客さんを入れられる。入口横にはコートや荷物収納のクローゼットを作り、厨房とカラオケ機器棚配置も変更。その他、家具類の選定、クロスやカーペットなども選ばせてもらいました。カウンターの後ろはボックス棚やレンジを撤去して、全面を棚にするというので、少し厚目の棚を一気に通して水平線を強調。これで狭さ感が和らぎます。幅3.2mあるので結構広がり感が出ました。ついでに棚下照明を入れられるように細工をお願い。<写真:旧カウンター><写真:新カウンター>照明は古臭いダウンライトと壁のブラケットだけなので、天井が暗くて重苦しい。そこで壁側のソファ席の後ろに上向きの間接照明を作ってもらいました。カウンターの棚下にも照明を入れたかったが、見積りを見ると15万円!それはちょっとと断って、後でネットで買った4500円のLEDテープライト2本を取り付けて、こうしてできたのがこの雰囲気。明る過ぎたので、後程、何か遮光パネルを取り付けましょう。<写真:間接光>そろそろHPや看板に取りかかろうと、店名は?と聞くと、「決めました。ひなだんご。」え、なんて?「ひなだんご」あ、あのね、学園祭の模擬店じゃあるまいし、真面目に...「かわいいでしょ?」「昔、そう呼ばれてたんですよー。」一生懸命店づくりに励んでいるのに、一気にシラケました。こんなあほらしい名前、恥ずかしくて呼べないよ。と回りに愚痴って回ると、「え?いいじゃない」などと意外な反応。特に女性にウケる。そんなもんかねえ、Barなのに。「でしょう?女性に来ていただきたいんです。」はいはい。で、パワーポイントで強引にロゴ作り。(イラストレーターは難しくて挫折したんですよ)で、それを看板、名刺、HPに展開しようとしたところでまたひと悶着。彼女は現在、合気道に打ち込んでいるので、今度は店名に合気道・無限塾 BARと入れたいと主張。意味不明!なんだか怪しげなバーのようで気味悪い。看板をあっせんしてくれる不動産屋さんと一緒に説得したが聞き入れない。練習の都合で胴着で店に出ることもあるのでとのこと。あー、なんちゅう店や!結局、ローマ字にして読みにくくして誤魔化すことに。ちなみに看板屋さんが用意したロゴと比較を。(本当はウッディにしたかったけれど、ちょっと硬いイメージになったドア看板)(業者さんが用意してくれたドア看板ロゴ、Hinaちゃんは「あ、これでいいです」って、あかんやろ!)それやこれやで、なんとかお店としての骨格はほぼ完成。さあこれから室内装飾だ!アクセントカラーは赤を基調に...と張り切ると、どうもありがとうございました。これで十分ですよ。これからはこちらでお客さんらがお持ちになった花とか絵を飾りますからとのこと。えー?これからが大切なのにと私はズッコケました。お店というのは細部まで完璧なモノで満たさないと店の品格や個性は出せないよと息巻きたかったのですが...、ま、装飾アイテムの調達に悩む私への気遣いなのか、それとも店をお客さん好みの品で満たしたいから、なのかも知れません。どちらにしても私は勝手な思いを押し付けちゃって、有難迷惑になっているのにやっと気づきました。困った性格ですね。思い込むと止まらない。人様のお店なのに我が物顔でのモノ言い。おおらかなHinaちゃんだから我慢してくれたんでしょうね。ごめんなさい。ということで私のお店づくりは、ちょっち中途半端な思いを残しながらも完了しました。あー面白かった!*とりあえず、HPも貼っておきましょう。Bar ひなだんごホームページURLhttp://bar-hinadango.jimdo.com/