フェルセン伯爵との出会い
さて、ここらで有名なフェルセンとの恋の話にいきましょう。マリー・アントワネットの生涯を語る上では唯一の救いといえるかも知れません。彼女が始めて美貌のスウェーデン貴族であるフェルセン伯爵に会ったのは、ルイ15世が亡くなる数週間前のオペラ座の仮装舞踏会でした。1774年でともに18歳のことでした。その4年後の1778年、フェルセン伯爵がヴェルサイユ宮殿に赴いたとき、マリー・アントワネットはすぐに彼のことを思い出しました。彼女はすでに王妃となっていて、初めての子供を身ごもっていた時期でしたが、フェルセンの登場によってその単調な生活は一変したのです。そして、出産後に健康が回復すると、彼女はプライベートな集まりの仲間にフェルセンを加えました。フェルセンは王妃の顔色ばかりをうかがっている他の取り巻き連中とは違って、自分自身というものをもつ人物でした。男らしさと謎めいた雰囲気をあわせもつフェルセンは、女性たちの心をすっかりとりこにし、マリー・アントワネットも彼と一緒に居るときは胸の高鳴りを抑えることができませんでした。