「朝あけて」の額
わが実家の床の間に大きな額がかかっています。何でも「日展」に入選した書が掲げてあり、「朝あけて船より・・・・大笛・・・・」とか読めます。短歌の好きな方はお気づきかも知れませんが、私はこれは誰の何の句だか、知りませんでした。古い歌かなあ、くらいに思っていました。「舟」でなく「船」なのには???それが、「和歌文学の世界」のテキストに載っていました。作者は斎藤茂吉。「朝あけて船より鳴れる太笛のこだまはながし竝(な)みよろふ山」です。茂吉が長崎医専の教授になったときに詠んだ歌です。ですから「太笛」とは長崎港にある船の汽笛のことです。帰ったらしっかり読んでおきましょう。勉学と卑近なものとが交わるいわゆるひとつの例です。