燃える指・あとがき
半年に渡る連載になってしまいました。この話の原型は十年以上前に書かれたものなので、それを考えるとかなりの長いつきあいの話です。ストーリーは決まっていたし、以前書いたものも所々に織り交ぜてありますが、それでも最後まで来れたとは感無量です。原稿用紙だと800枚くらいになる計算です。最初に生まれたのが『火消し』の神内威(じんないたけし)とサギリで、それから木波マサトとさゆら子、彼らの息子の狩野幸彦が出来ていきました。カヅキとカナも最初からの仲間でした。いくつかの短編があって、長い話を書く時にマサトと幸彦の方にウエイトを置いてみました。それが「燃える指」です。佐原に関する話は長くなりそうなので「哀しみの異称」の方で書く予定です。セバスチャン・メルモスと恵美子の話も別枠で、彼らの出会いから別れまでもう一度書けたらと思っています。今回の一番の収穫は、人物が育つ事がまざまざと感じられた事です。これは内的作業であるので、どこまで文章に反映されたかどうかはわかりませんが、長編ならではの醍醐味だったと思います。最後にこの物語を読んでくださった皆様に、厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。