アメリカのすることはなんでもよいことだというような考えが、一般に認められているが、我々の道は断固として平和の道でなければならないbyガンジー
「わたしの非暴力1」ガンジー森本達雄訳より「ヤング・インディア」1929年8月22日号より「平和主義と国家の安全」というジョン・ネヴィン・セイアの論文が紹介される。この論文は1928年8月号の「明日の世界」に載ったものだが、80年前に書かれたことのなんと現代と符合しているか驚くべきばかりである。(略)40年という短い年月の間に、合衆国は海軍のための年間支出を1,500万ドルから31,800万ドルにひきあげた。1927年3月の「ニューヨーク・タイムズ」紙の社説は「戦争ー人類最大の産業」という見出しだった。筆者は「戦争準備は、事実上、世界最大の産業となっている」と断言している。兵器は人間が操作しなければならない、軍需品は人間が製造しなければならない。こうして軍需産業と国民総動員に関するプランの方向へ一歩づつ近づいてゆく。・・・さらに悪いことは、現代の世界では軍備費が増加したからといって安全度が増すことにはならないという事実である。・・・最近ポーラ上院議員は、「諸政府は将来戦わなくてはならないのは、自国民の経済的困窮と政治的不安であろう」「大規模な軍事計画は、かえって紛争を招く事になるだろう」とわれわれに警告している。ガンジーはこのように論評している。アメリカやイギリスのすることはなんでもわれわれにとってよいことだというような考えが、一般に認められている。けれども上の論者が示したアメリカの軍備費の増大は考えるだに恐ろしい。戦争は破壊の武器を発明するための金と資源の豊かさの問題になってしまった。それはもはや勇気や忍耐の問題ではない。男性や女性を破滅するためには、ボタンを押して彼らの上に爆弾を落とすだけで足りる。われわれはこうした自己防衛の方法を真似したいというのであろうか?たとえ真似したくても、われわれにそれだけの財力があるだろうか?(略)今日われわれは西洋の表面的な魅力に幻惑され、日々われわれをひきつけているめまぐるしい舞踊を進歩ととり違えている。それは確かにわれわれを一歩一歩死へと導いている。・・・暴力は一見して優位に立つように見えても、世界を支配するのは精神の力であることを自覚するならば、非暴力の無限の可能性を完全に信じて、そのために修練するべきである。われわれが救われたいなら、世界の進歩に貢献したいなら、われわれの道は断固として平和の道でなければならない。