マルティン・ルーサーよ。義のために立て、真理のために立て。見よ、私はあなたとともにいる。世の終わりまでともにいる。 And lo, I will be with you, even until the end of world.
2007年08月22日 コーヒーカップの上の祈り「マーティン・L・キング」梶原寿著 より1955年12月5日モンゴメリー改良委員会の会長にキング牧師は推挙された。これ以後381日に及ぶバス・ボイコット運動の幕が切って落とされた。12月10日 モンゴメリーのバス会社、黒人居住区の運転を中止した。1956年1月26日 キング牧師がモンゴメリー市の25マイル速度制限区域を30マイルで走ったかどで逮捕される。1月30日 キング牧師宅のポーチに爆弾が投げ込まれる。その前々日1月27日の夜、「コーヒーカップの上の祈り」として有名な体験がキングに起こったのであった。「それは真夜中のことだった。その夜私は運営委員会で外出していた。帰宅すると妻はすでにベッドについていた。私も休むためにすぐにベッドにもぐりこんだ。するとまもなく電話のベルが鳴った。向こう側から汚い声が聞こえてきた。『黒んぼ(ニガー)、おれたちは、お前やお前らのごたごたはうんざりしている。もし3日のうちにお前がこの町から出て行かなかったら、お前の頭をぶち抜き、お前の家を爆破するぞ(in three day, we're going to blow your brains out and blow your house)』。私はこのような言葉をそれまでにも何回も聞いたが、どうしたものかその夜は胸にこたえた。寝返りをうって眠ろうとしたが眠れなかった。そこで起き上がって台所に行き、コーヒーでも飲めば少しは落ち着くかも知れないと考えて沸かし始めた。そこで私はいろんなことを考えた。大学で学んだばかりの神学と哲学をふり返って、罪と悪の存在と現実に対する哲学的・神学的理由付けを試みてみた。だが答えはそこからは出てこなかった。私はそこに座り込んで、生まれてから1ヶ月しかならない可愛い娘のことを考えた。また向こうで寝ている献身的で忠実な妻のことを考えた。そして、彼女たちは私から取り去られるかも知れないし、私も彼女たちから取り去られるかも知れないと思った。私はもう耐えられないと思った。私は弱かった。 その時、何者かが私に語りかけた。『お前は今お前の父親に電話してはいけない。彼は175マイル先のアトランタにいる。お前は今お前の母親に電話してもいけない。お前はただ、お前の父親がかつてお前に話してくれたあのお方に頼らなければいけない。道なきところに道をお作りになることができるそのお方に頼るのだ。』私はその時、宗教(レリジョン)は私にとってリアルなものでなくてはいけない。私は自分自身で神を知らねばならないということが分かった。そこで私はコーヒーカップの上にうつ伏せになった。私はそのことを決して忘れない。私は祈りに祈った。その夜私は声をあげて祈った。私は言った。『主よ私はここで正しいことをしようとしています。私たちが掲げている主張は正しいと考えています。しかし主よ、私は告白しなければなりません。私は今弱いのです。くじけそうです。勇気を失いつつあります。だが私はこんな姿を人々に見せたくあります。なぜなら、もし彼らが私の弱い姿を見、勇気を失っていることを知ったら、彼らも弱くなってしまいます。("Lord, I'm down here trying to do what's right. I think I am right. I think the cause that we represent is right. But Lord, I must confess that I'm weak now. I'm faltering. I'm losing my courage. And I can't let people see me like this because if they see me weak and losing my courage, they will begin to get weak." )私は明日の朝笑顔で執行委員会に出られるようにしたいのです。』その瞬間、私は内なる声(インナー・ボイス)を聞いたように思った。『マルティン・ルーサーよ。義のために立て、真理のために立て。見よ、私はあなたとともにいる。世の終わりまでともにいる。("Martin Luther King, stand up for righteousness. Stand up for justice. Stand up for truth. And lo, I will be with you, even until the end of world.")』私は閃光の輝きを見た。雷鳴の轟きを聞いた。罪の大波が私の魂を征服すべく突進してくるのを感じた。しかし私は同時に闘い続けよ、と優しく語りかける主イエスの声をも聞いた。彼は私に、決して一人にはしないと約束した。決して決して一人にはしないと」