「資本主義は完ぺきではないが、ほかに優れたシステムはない。広がる所得格差をどう是正し、社会階層の流動性を高めていくか。資本主義は再定義をせまられている。」
MSC論文エッセイ集p.28 日本経済新聞朝刊2020年7月25付けで、アメリカのカーライル・グループ創業者デビット・ルーベンスタイン氏は「資本主義が抱える問題がコロナ禍で浮き彫りになったのでは」との記者の質問に答えて「資本主義は完ぺきではないが、ほかに優れたシステムはない。広がる所得格差をどう是正し、社会階層の流動性を高めていくか。資本主義は再定義をせまられている。」を指摘している。💛なにやら民主主義についてのイギリスのチャーチル首相の言葉を想起させる。「民主主義は最悪の政治といえる。これまで試みられてきた、民主主義以外の全ての政治体制を除けばだが」アテナイの民主政治はスパルタの組織的な政治体制とペロポネソス同盟に敗れ去った。そのスパルタの軍国主義もともに対抗すべきアテナイを失ったことで、アケメネス朝ペルシアに滅ぼされることになる。民主政治が専制政治に必ず勝利するというわけではない。軍国主義の日本もそうであったが、その政治体制のなかにとりこまれている国民は自らの政治体制を是とし、圧迫する対外勢力を非とする。ソクラテスの洞窟のたとえのように専制主義のなかにいる国民は自らの境遇を是とし、それから外に連れ出そうとするものに怒りをもって排除しようとする。果たして現代のアメリカを中心とする民主主義国家と台湾をとりこもうとする中国の専制主義(民主主義の一形態と主張する)のどちらが優れた統治機能として働くか、アテナイとスパルタ、そしてアケメネス朝ペルシアの歴史的事例を見ても判然としない。おそらくは中国の共産党体制は台湾を強奪することによって自らを解体する過程に入っているのかもしれない、ドイツのナチス体制や日本の軍国主義体制が敗戦によって解体されたように。しかしそれは多大の犠牲を伴うことになるであろうか。人類は「民主主義は最悪の政治といえる。」「資本主義は完ぺきではないが、ほかに優れたシステムはない。」を超えたシステムをつくりあげることができるのあろうか。