[報徳記＆二宮翁夜話]の記事一覧

日本大学生物資源部図書館が「八田與一と鳥居信平」を蔵書としていただいた、感謝！

日本大学生物資源部図書館0041九大中央289.1/N 760101120175511870042九産大109399330043京大図GK||30||ハ532000227881320044北教大289/Ha0112786200045北海学園大図289.1/HAT09794390046弘大本館289.1||H43083990170047日大生物資源図N000016833560048日女大図書館24893630049長大289.1||H4315978240031分大289.1||NH20114113970032国学院11800063950033室工大図281||N764676430034東北大本館001701628090035東女大04038300036玉川大289.1H/ハ0135213540037石川県大289.1||N1107196480038福井大289.1||HAT1000793350039静岡文芸大289.1/N 76012656610040高知工大289.1||N76001489730021創造大289.1||HaT1192770022北大北図書館627.092/HAT02810399920023宇大図289.1||N7620170489720024宮教大178006830025東大総289.1:H4300145247890026東洋大222.406:N7601118250890027東海大湘南中央289.1||H028518110028東院大289.1/H43a0117215514b0029法大市図289.1||1657210110002209000030福岡大289.1/H43/120000003626010011奈県図情一般289.1-ハツタ1113140630012東農大生学情セ7503740013水大校289.1||J15043640014神大総合国際289-1-H0602017300510015福大117045460016立命館220009147430017駒大289.1/22131713139840018高経大図289.1||H430029442960019鹿児島純心短大289.1||HA1606150360020鹿県短289.1/N 76500328010001九大理系289.1/N 760311120176016970002岩大289.1:H4300128591120003放送大学セ289.1/H43111191526100004樽大S 5.7||01711||3514720003514720005武庫女図289.175||HA213681610006沖国大289.1/H-430072690860007聖心女289.1/N76h6318250008聖隷ク大289.1/HA/302213810009酪農大図117024960010高大60260971

2018年10月24日

子育てという面で見れば、やはりタワーマンションの上層階は望ましくない

プロ家庭教師が気づいた「タワマン上層階の子」注意すべき特徴中学受験専門のプロ家庭教師を始めて約４０年。豊富な経験と指導力を自負する家庭教師の授業料は安くはない。そのためおのずと経済力のある家庭が顧客になり、経営者の家庭に訪れることが多くなった。かつては都内の高級住宅地を訪れることが多かったが、ここ数年増えているのが、都心のタワーマンションの上層階に暮らす子供の指導だ。　はじめは、たまたまだと思っていた。次第に「あれ？　なぜだろう？」と思うようになった。そして今は、確信に近いものを持っている。それは、タワーマンションの上層階に暮らす子供は、成績が伸びにくいという事実だ。　足音のない床、風のない部屋　もし、今ここでエレベーターが止まってしまったらどうしよう。タワーマンションのエレベーターに乗るときは、いつも体がこわばる。Ａくん（小５）の家は、都心にある５５階建ての高級タワーマンションの最上階。玄関は大理石、リビングに続く廊下はふかふかのじゅうたんで、歩いても足音ひとつ聞こえない。リビングには巨大なソファと、父親の趣味なのだろうか、高級カメラがズラリと並ぶ。天井にはゴージャスなシャンデリアが吊されているが、灯りは部屋全体に届かず、間接照明が必要だ。だが、その間接照明もムーディーな雰囲気で、とても子供が勉強できる空間ではない。大人の私でも、何だか落ち着かないのだ。　Ａくんの家を訪ねたときにいつも感じるのが、住空間の違和感だ。Ａくんの家は窓が開かない。タワーマンションも中層階くらいまでなら、窓が開けられ、ベランダもあるが、上層階になると危険を防ぐために、わずかしか開けることができない。そのため部屋は年中エアコンで温度調整をすることになる。窓が開かない家は、虫が入ってくる心配はないが、自然の風を感じることができないし、鳥のさえずりも聞くことができない。タワー上層階の暮らしは、子供を人間らしい当たり前の暮らしから遠ざけてしまう。　外に出るのを面倒くさがる、温室育ち　Ａくんの家で指導をしていると、とても疲れる。Ａくんに算数の問題を教えてもなかなか理解してくれないからというのもあるが、一番の理由はエアコンによる人工的な室温が身体にダメージを与えるからだ。Ａくんがたった１時間の授業に集中できないのも、この部屋の温度が一定で、刺激がないからだと推測している。　人間は変化のない空間にずっといると、身体感覚が育たない。暑かったり寒かったりといった肌感覚がなく、足裏の感覚も常に一定だと、身体に刺激が少なく、身体感覚が鈍る。そして、いろいろなことに興味を示さなくなる。　タワーマンションの最上階に暮らすＡくんは、外に出ることを面倒くさがる。いつも快適な温度の部屋で過ごしているから、「晴れているから外で遊ぼう」「涼しくなったから散歩に行こう」という気持ちにならないのだ。外に出ようと思っても、エレベーターの待ち時間があったり、エレベーターホールから玄関まで距離があったりで、時間がかかる。このアクセスの悪さも面倒くさがる原因になる。外に出るのが面倒な子は、世界が広がらない。小学生の学習には、イメージが不可欠だからだ。子供は自分が体験したことや見たものでないとイメージできない。イメージができないと頭の中に知識が入りにくいし、そもそも問題を理解できないこともある。だから、実体験の乏しい子は、成績が伸びにくい。　「集める＝足すこと」という概念がない　別のタワーマンションの上層階に暮らすＢくん（小２）も、外に出ることを億劫がる。母親は教育熱心で、幼少期から早期教育に走っていたが、Ｂくんの成績は常に低迷。母親はＢくんを男子御三家のひとつに入れたいと思っているが、今の成績ではとても叶わない。Ｂくんは、計算問題は速く解けるものの、文章問題がまったくできない。　Ｂくんは、算数の足し算が「増えること」というイメージを持ち合わせていない。外遊びの経験が少ないＢくんは、公園で砂を集めたり、バケツに水を入れたりといった実体験がないから、「合わせる」「加える」「集める」「一緒になる」といった表現に対して、どういう状態かイメージが持てないのだ。そのため「この問題は足すの？　引くの？」とトンチンカンな質問をしてくる。嘘だろうと思うかもしれない。でも、これは本当の話だ。　ＩＨで育ったから、火を見たことがない　タワーマンションの上層階で暮らしていると、風や雨の音、太陽の光が感じられないため、四季を感じにくい。国語には情景をイメージし、それを人の心に喩えることがある。でも、四季が感じられない子には、それを人の心に喩えるなんてことは到底できない。「初夏のような清々しい気持ち」と書かれていても、初夏がどんな景色でどんな匂いがするのかイメージすることができない。季節を感じられない子は、旬の食べ物にも関心を持たない。旬の食べ物というと、有名校では慶應中等部でよく出題されるテーマだが、土いじりをしたことがないＣちゃん（小２）は、理科の植物分野全般が苦手だ。じゃがいもが土の中で育つこと、きゅうりにはつるがあることを知らなかった。実際に見たことがないから興味すら沸かない。そこで、私はＣちゃんプランターでゴーヤを育ててみることをすすめた。はじめは母親に水やりを任せっぱなしだったか、育っていく様子を見るうちに、少しずつ自分で世話をするようになった。それから植物への興味も見せるようになった。　高層タワーマンションのキッチンは、ガスコンロではなくＩＨクッキングヒーターが多い。生まれたときからＩＨのキッチンで育ったＤくんは（小４）は、間近で火を見たことがない。家には仏壇もないので、ろうそくに火を灯したこともない。私が驚いたのは、線香を知らなかったことだ。理科の気象の単元でフラスコに線香の煙を入れて、雲ができるしくみを知る実験がある。でも、Ｄくんは線香を知らないため、まずは線香とは何かを説明をしなければならなかった。　子供の五感を刺激するには、最上階は…　タワーマンションの上層階に暮らす子供はすべてダメかといえば、もちろん、そんなことはない。ただ傾向として、実体験が乏しいために物事をイメージできず、理解するのに時間がかかる傾向にあるのは事実だ。　タワーマンションの上層階は価格も高く、誰でも住める場所ではない。おそらく会社の経営者だったり、医者であったりと経済的に余裕のある家庭だろう。そういう家庭は、子供の教育にも熱心なはずだが、大人の欲望を優先してしまう傾向にある。タワーマンションの上層階のつくりや間取りは、都会を楽しむ大人向けにできていて、子供が伸び伸びとすごせる場所とは言い難い。伸び伸びできないということは、物事に興味・関心を持ちにくく、学びのスイッチが入りにくい。子育てという面で見れば、やはりタワーマンションの上層階は望ましくない、というのが私の率直な意見だ。タワーマンションの立地に捨てがたい価値を感じるのなら、子育て中はあえて階を下に変えるなど、できるだけ地上に近い環境にし、子供の五感を育ててほしいと思う。引っ越すことができないのなら、床を無垢に変えたり、大人が好むムーディーな照明を明るいものに変えたり、ガラスやメタリックの家具を手触りのいい木製にするなど、リフォームや家具の買い替えで、できるだけ自然に近い環境にしてほしい。部屋に観葉植物を置くだけでも効果はある。　小中学生の学びの根底は、自然と生活　子供の集中力は、“ゆらぎ”（風のそよぎや、揺れるカーテンによって室内に差し込む光がゆらゆらと変化するもの）があるほうが続く。同じ状態が続くと飽きて、疲れる。エアコンや照明はときどき強弱が変わるものを選ぶといい。少し不安定で不快なくらいの方が、人間の身体感覚は鍛えられる。　タワーマンションの居住者に限らないが、子供を意識的に外に連れ出したい。都心にも自然が残る公園はあるし、少し郊外に行けば畑もある。そしてできるだけ自然や生活を感じさせるといい。小学校で学ぶ勉強も、中学受験の勉強も、学びの根底にあるのは「自然」と「生活」だ。小学生の学びにそこが欠けていると伸び悩む。成績の伸び悩みは、子供自身の能力よりも環境によるところが大きい。あまり表に出ない、子供をめぐる環境の実態を伝えていくのも、家庭教師の役目だと思っている。　（プロ家庭教師集団「名門指導会」代表　西村　則康　石渡真由美＝構成　写真＝ｉＳｔｏｃｋ．ｃｏｍ）（PRESIDENT Online）

2018年10月20日

丸亀城の石垣崩れる

丸亀城の石垣崩れる　香川、台風２４号の大雨影響か８日午前１０時１５分ごろ、香川県丸亀市の丸亀城の石垣が広範囲にわたって崩落した。市教育委員会によると、９月３０日の台風２４号の際の大雨が原因になったとみられる。　石垣は老朽化が進んでおり、所々隙間ができていた。市は付近を立ち入り禁止にしていたため、けが人はいなかった。　崩落したのは、丸亀城の南西部に位置する「帯曲輪石垣」。高さ約１６メートル、幅約１８メートルの範囲が大音響とともに崩れ落ちた。８日朝、近くに住む人から「音がする」という通報が市にあり、駆け付けた職員の目の前で崩落した。　美しい曲線を描く石垣は観光パンフレットなどに使われている。天守閣や大手門は国の重要文化財。７月の西日本豪雨で、今回の場所とは別の石垣が崩落していた。丸亀市立図書館には「八田與一と鳥居信平」が蔵書となっている。1 中学生からお年寄りまでよくわかる二宮金次郎の対話と手紙　第一　小田原編（少年・青年期）　 2 八田與一と鳥居信平　台湾にダムをつくった日本人技師　 3 ボーイズ・ビー・アンビシャス　第５集　内村鑑三　神と共なる闘い 4 ボーイズ・ビー・アンビシャス　第４集　札幌農学校教授・技師広井勇と技師青山士 5 ボーイズ・ビー・アンビシャス新渡戸稲造の留学談・帰雁の蘆　第３集復旧が早急にされればいいな。

2018年10月09日

「西郷どん」で、二宮尊徳が登場

「西郷どん」で、二宮尊徳が登場した。江戸城無血開城で、篤姫から徳川家存続の礼を言われ、徳川家に伝わる施政記録の書類を譲られる。西郷はその中に、二宮尊徳が呈上した提言書をみつけ、大喜びする。　おそらくはドラマの中でのこの一シーンは視聴者のほとんど注意を払わなかったと思うが、西郷が二宮尊徳を尊敬していたことは事実である。（篤姫から譲られた書類のなかに、二宮尊徳の報徳仕法の提言書があり、江戸城で読みふけって朝を迎えたというのは、幾分無理があるが、ドラマ製作者としてどうしてもいれたかったところなのだろう）　しかし、西郷がなぜこの時点で二宮尊徳を知り、尊敬していたのか、その経緯を知る者は少ない。　西郷は斉彬時代に知り合い、師として尊敬した水戸藩の藤田東湖から二宮尊徳を知った。藤田と相馬藩家老池田胤直とは親しく、相馬への行きかえり、池田は水戸によるたびに藤田に二宮尊徳の相馬仕法の素晴らしい実績について話していたのである。　維新後、相馬仕法存続のために、明治政府に陳情に来た富田高慶を篤くもてなし（「なに、富田先生が来られたと･･･」と庭からはだしで走って出て、富田を出迎えた）、日本国中に相馬と鹿児島から報徳を広めましょうと約束した。　西郷は大蔵省の渋沢栄一にあって、相馬仕法の存続を申し出るが、渋沢からもうそういう時代ではない、むしろ支出を抑制するのに協力してくださいとはねたと渋沢は得意げに記している。　西郷が西南の役で倒れた後に、富田は「報徳を日本全国に広めることができるのは、西郷その人であったであろう。ほかの人を知らない」と嘆じた。　斎藤高行の「報徳外記」を読むと、二宮尊徳その人は、日本国中に報徳仕法を施して日本国が豊かになったならば、さらに世界に報徳仕法を施し、世界人類を豊かにすることを考えていたようである。報徳千話　井口丑二　より西郷隆盛と富田高慶とが会談し、西郷隆盛が相馬と鹿児島から報徳で攻め上りましょうと言った話があり、西郷はその後、当時大蔵省官僚だった渋沢栄一に廃藩置県により磐城県となった旧相馬領に報徳仕法が継続して実施できるよう働きかけ、逆に渋沢から逆ねじをくわされた話は渋沢自身が伝えるところである。富田が維新後の相馬仕法継続を新政府に陳情にいった折、当時大蔵大臣だった松方正義から西郷に会うように勧められたという。そして西郷宅を訪問したところ、西郷が裸足で庭に飛び降りて富田を家に招き入れたという。なぜに西郷は富田を知っていたかというと、西郷は水戸の藤田東湖と親しくその学識人物を尊敬していて、その東湖から聞いたというここまでは世に知られた話である。それでは、藤田東湖は誰から二宮尊徳や富田高慶のことを知ったのか？「報徳千話　井口丑二」の「１８　二宮翁と東湖南洲」（「斯民」第８編第８号）にそれが記されている。「西郷南洲が報徳の事について、富田高慶と議論を上下したことがあるは、一部の人が聞き知っている所である。しかし南洲が二宮翁の事を知ったのは、富田に逢って後のことではなく、遠く明治維新の前であるという。どのようにして南国の薩摩と野州（栃木県）との間に交通連絡があったのかというと、それは直接の連絡ではなく、南洲は藤田東湖によって知ったという。それではまた東湖はどのようにして、二宮翁の事を知ったのかというと、私が最近中村（相馬）で調査したところによると、それは相馬の家老池田図書が東湖の親友であって、江戸往復の途中、必ず東湖を水戸に訪問するその際に二宮翁の事をも、詳しく物語ったことによるということを確かめることができた。」

2018年10月08日

茨城県の八千代町立図書館で「八田與一と鳥居信平」を蔵書としていただいた、感謝！

茨城県の八千代町立図書館で「八田與一と鳥居信平」を蔵書としていただいた、感謝！1 二宮尊徳と日本近代産業の先駆者　鈴木藤三郎(図書)二宮尊徳の会2 八田與一と鳥居信平台湾にダムをつくった日本人技師　「紳士の工学」と「報徳の精神」　(図書)二宮尊徳の会　2017.123 報徳記を読む　第１集(図書)二宮尊徳の会　2013.44 報徳記を読む　第２集(図書)二宮尊徳の会　2013.45 報徳記を読む　第３集(図書)二宮尊徳の会　2016.36 報徳記を読む　第４集(図書)二宮尊徳の会　2016.97 ボーイズ・ビー・アンビシャス《クラーク精神》&札幌農学校の三人組(宮部金吾・内村鑑三・新渡戸稲造)と広井勇　Boys be ambitiousはいかにして現実化されたのか日本の近代化・合理化の一源流「札幌農学校精神」　(図書)二宮尊徳の会　2013.38 ボーイズ・ビー・アンビシャス　第４集(図書)二宮尊徳の会　2014.29 ボーイズ・ビー・アンビシャス　第3集新渡戸稲造の留学談・帰雁の蘆　(図書)二宮尊徳の会　2014.210 ボーイズ・ビー・アンビシャス　第5集内村鑑三神と共なる闘い　(図書)二宮尊徳の会　2014.8＜ひと物語＞幕末～明治　中山元成（上）　坂東市出身、緑茶輸出の先駆者　さしま茶は奥久慈茶、古内（ふるうち）茶と並ぶ県内の三大茶どころと言われます。では、さしま茶の具体的エリアはどこでしょう。石山嘉之・さしま茶協会会長に聞きました。　「利根川と鬼怒川にはさまれた古河、坂東、常総、境、八千代の三市二町で生産された茶をさしま茶と言います」。そして、さらに続けてこう言います。「さしま茶は現在、約百ヘクタールの茶畑で栽培されてます」　緑茶は日本人の嗜好（しこう）品。生活がいかに洋式化してもお茶にせんべい、饅頭（まんじゅう）という習慣は失いません。　総務省家計調査における二〇一五年から一七年の一世帯当たりの茶類（緑茶、紅茶、ペットボトル入り茶飲料など）の消費額は一位静岡市、一万七千七十九円。二位川崎市、一万五千九百八十二円。三位水戸市、一万五千九百六円となっています。　実は、さしま茶はわが国最初の緑茶の海外輸出第一号でした。輸出に先鞭（せんべん）をつけたのが中山元成です。彼は一八一八（文政元）年十月に現在の坂東市辺田で生まれ、五九（安政六）年十月、米国向け緑茶輸出を開始します。　緑茶の海外輸出に着目した背景には、儒学者の河田廸斎（てきさい）と、友人で商人の高木五郎兵衛の二人の存在がありました。まず河田との関係はこうでした。　「ペリーが二度目に来日した際、幕府の交渉役であった林大学頭の若衆として元成は両者のやりとりを見ていたんです。本来、彼は民間人なので、こうした場にはいられない。だから、河田が林に彼を紹介したんです」（石山会長）　ペリー提督は黒船艦隊を率いて五三（嘉永六）年六月、浦賀沖に停泊。日本に開国を迫る米国大統領の国書を幕府に渡し、一年後の再訪を伝えます。ところが半年後に再訪し、開国に関する日米交渉を開始。元成が同席したのは、この時でした。　河田は青年時代、三年ほど中山家に身を寄せていた。そこで、元成は河田と親交を深め、彼を介して林の若衆となり、交渉の様子をつぶさに観察し、この体験が後の緑茶輸出に着目させるのでした。　（ノンフィクションライター・岡村青）

2018年10月07日

「老いるということは、しわも増える、目も悪くなる、歯も抜ける。腰も曲がるのよ。頭もぼけるのよ。それで、ちゃんと死んでいくのよ。ねぇ……何が不満なの？　どうしたいの？」

「老いるということは、しわも増える、目も悪くなる、歯も抜ける。腰も曲がるのよ。頭もぼけるのよ。それで、ちゃんと死んでいくのよ。ねぇ……何が不満なの？　どうしたいの？」「こちら希林館です。留守電とファクスだけです。なお過去の映像等の2次使用はどうぞ使ってください」　このメッセージが流れる電話に初めてかけたのは昨年4月。「年をとるのは怖くない」と題した本誌特集（2017年5月15日号）へのインタビュー依頼のためだった。樹木さんはマネジャーを置かず、全て自分で対応し、ファクスした翌日、本当にご本人から電話があった。「こういう老いや死をテーマにした取材依頼がいっぱいきて困っちゃうのよ。全部お断りしているんです。話せることなんて何もないんだから。死んだことないからわからないのよ」　断りの電話だった。「ほかに誰かいないの？　私でなくてもいいでしょう」「一つ受けるときりがないからいやなのよ」　何度かの応酬のあと、ふいに沈黙が訪れた。じっとこらえていると、突然こう切り出した。「ねぇ、『こういう取材がいっぱい来て困っちゃう』という（インタビューの）書き出しにするのはどう？」　こういうテーマの取材はアエラの今回きり。手土産は絶対に持っていかない。カメラマンはなしで、写真は記者がスマホかなにかで撮るとの条件もついた。気を遣ってしまうからだ。　指定された都内の自宅を訪ねると、モダンなコンクリート建築で仕事用の打ち合わせ室があった。扉は木の重いアンティーク。広い空間にピアノ、革張りのソファ、木の長机がセンス良くすっきり配置されていた。椅子にかけると「さぁ、どうぞ。なんでも聞いて」と取材は始まった。半ば戦々恐々と臨んだが、樹木さんは質問のひとつひとつに真摯に答えてくださり、一貫して静かな緊張感のなか話は進んだ。　15分たったころ、「この取材は完全に終わった」と青ざめる瞬間があった。老いや死について「何も話すことはない」と言われながら手を替え品を替え質問を繰り出した記者に対し、少し苛立った声でこう言い放った。「老いるということは、しわも増える、目も悪くなる、歯も抜ける。腰も曲がるのよ。頭もぼけるのよ。それで、ちゃんと死んでいくのよ。ねぇ……何が不満なの？　どうしたいの？」　この6行に全てが集約され、返す言葉がなかった。事態を救ったのは1年前の宝島社の広告だった。名画「オフィーリア」に樹木さんが扮し「死ぬときぐらい好きにさせてよ」というコピーが話題を呼んだ。好きで手元に残していた新聞広告をこの日持参していた。樹木さんが目にとめた。「『死ぬときぐらい好きにさせてよ』なんて、だから思ったことないのよ。普段から好きにしているから」　話題はそこから希望のある子でなかった少女時代、ものを持たない暮らし、俯瞰でものを見る癖、お金の話などへと発展し、2時間を超すインタビューとなった。さらに翌日、補足の電話が入った。「昨日はなんだかえらそうなことを言ってしまったような気がするんだけど。私はとてもそんな分際の人間でないのよ。人（夫）に添うということができない。夫にご飯作ったり、お茶出したりといった当たり前の日常ができていないんです。それをとても恥じているのよ。そのような人間なので、どうぞ過大評価せずに書いてほしい」　取材は今回きりと思い、個人的に知りたかったことを最後にひとつだけ尋ねていた。　なぜ樹木さんのナレーションはこうも心にしみ入るのか。映画「あん」にあったような詩的な語りも、樹木さんだとなぜ本当のように聞こえるのか。　うーん。しばらく考えこんだのち樹木さんは言った。「ナレーションで一番いいなと思うのは森繁（久彌）さんだったわねぇ。私にもわからないけれど……強いて言うなら年月による汚れとすり減りがうまく混ざって、そうなっていくのかなぁ」　映画監督の崔洋一さんが夫の内田裕也さんを追った番組「ザ・ノンフィクション　転がる魂」でもナレーションを務めた。この夏放送された番組の最終盤、樹木さんは40年以上別居を続けながら別れなかった夫に、温かい眼差しを感じさせる声で伝えていた。「裕也さん、面白かったわね」「面白い」は樹木さんにとって最上級の言葉であり、核となる言葉だ。老いの特集でもこう語っている。「楽しむのではなくて、面白がることよ。楽しむというのは客観的でしょう。中に入って面白がるの。面白がらなきゃ、やってけないもの、この世の中」　実際、「面白い」と反響の大きかったインタビューだが、そこには哀しさも内包されている。のちの樹木さんの原点をなす「歩き競走」のエピソードだ。　子どものころ運動が苦手で、クラスでの存在感も薄かった。小学校6年生のとき水泳大会では「歩き競走」に出ることにした。出場すると6年生は自分だけ。1、2年生ばかりで体格も違い、あっという間にゴールしたが、同級生はばかにしていた。ところがいざ賞品の段になると、クロールや平泳ぎの2位、3位より、歩き競走の1位のほうが輝いていた。「これでいいんだと味をしめ、そのまま人生来ちゃったわね」　と樹木さんは笑った。　1度きりと思ったインタビューだったが、画家・熊谷守一を描いた映画「モリのいる場所」の公開後に2度目の機会に恵まれた。山崎努さん演じる守一の妻・秀子の役をチャーミングに演じた樹木さんのはからいだった。取材は是枝裕和監督のもと出演した「万引き家族」がカンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞した直後で、「役者」「演技」について縦横無尽に語った（18年6月18日号）。　自宅の同じ部屋で、1年ぶりに対面した樹木さんは体が痩せ、顔色も優れなかった。そのころメディアへの露出も多かったので、お疲れなのかなと思った。声が少しかすれることもあったが、1年前と変わらず質問に真摯に答えてくださった。「万引き家族」の老婆の役に入れ歯をはずして臨み、「ヌードになるより恥ずかしいことだ」と人に言われたことや、カンヌに向かう途中の飛行機で落雷にあった爆笑話。大好きな着物の話には熱がこもり、役者が「普通の日常」を暮らすことの大切さを力説した。　今年3本目となる「日日是好日」の公開も10月に控えていた。「その話はまた今度ね」　と樹木さんは言い、ご自宅を後にした。その後、映画会社とアエラの「表紙」出演を打診する方向で話を進めていた。　しかし、樹木さんはこうも話していた。「雑誌の表紙とか、なんでみなさん出たがるのかしら？　私は全然出たくないのよ。人に見られたくないの」　もし表紙の登場が決まったら記事の書き出しはこうしようと決めていた。「表紙とか、困っちゃうのよね。本当は出たくないのよ」　そして尋ねてみたかった。なぜそんなに恥ずかしがりの人が俳優になり、続けてこられたのか。恥ずかしがりを時に飛び越えさせる、どんな魔力が「演じること」にはあったのか。　高校卒業後、入った文学座では恥ずかしさからできるだけ舞台の後ろのほうにいて、後ろ向きでいるのを得意にしていた。「なんで前を向かないんだ？」　と言われたこともあると明かしていた。「ただの成り行き。義理だけで『やります』って言っているうちにここまで来ちゃっただけよ」　と、また答えるのだろうか。　まぶたに浮かぶのは、すっきり整えられた部屋でひたすら真摯に答えてくださる姿だ。（編集部・石田かおる）

2018年10月01日

宇宙は今後1400億年ほどは、ビッグリップが起こらないという結論を得た

宇宙は今後少なくとも1400億年は生きながらえる - Kavli IPMUなど東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)ならびに、東京大学、国立天文台、米国プリンストン大学、台湾中央研究院天文及天文物理研究所(ASIAA)などで構成される国際研究チームは、すばる望遠鏡に搭載された超広視野主焦点カメラ HSC(ハイパー・シュプリーム・カム)の観測データから、ダークマターがどこまで銀河などの宇宙の構造を作ったかを決める宇宙の基本定数を、世界最高級の精度で測定することに成功したと発表した。同成果は、Kavli IPMUの日影千秋特任助教、同大栗真宗助教、同高田昌広教授(主任研究員)、国立天文台の浜名崇助教、インド天文学天体物理学大学連携センターのSurhud More 准教授(Kavli IPMU客員科学研究員)、カーネギーメロン大学のRachel Mandelbaum教授らによるもの。研究成果は9月26日付でプレプリントサーバ「arXiv」に掲載され、今後、「日本天文学会欧文研究報告(Publication of Astronomical Society of Japan:PASJ)」に投稿され、専門家による査読が行われる予定。○宇宙のダークマターの空間分布を高精度で復元宇宙の全エネルギーの約95%を占めるといわれるダーク成分。それを構成するダークマターやダークエネルギーの正体は依然としてよく分かっておらず、その解明に向けて、世界中でさまざまな観測が行なわれている。今回、研究チームがすばる望遠鏡を用いて行なった研究もそうしたものの1つで、重力レンズ効果によって生じる観測対象の銀河の歪みの効果を測定することで、宇宙のダークマターの空間分布の解明を目的として行なわれた。具体的には、2016年4月までにHSCで観測された、プロジェクト全体の約11%に相当するデータの解析を実施。研究チームが、「宇宙の国勢調査」と称したこの作業では、銀河の大小に関わらず、手前のダークマターにより、必ず重力レンズの影響を受けている(弱い重力レンズ歪み効果)ということを踏まえ、小さな銀河の形状も定量化するなど、約2年間にわたって、宇宙の膨張なども考慮しつつ、約1000万個以上の銀河の形状をカタログ化。この結果、高精度な3次元のダークマター地図を作成することに成功したほか、この地図の断面を宇宙の進化と照らし合わせることで、各時代におけるダークマターの分布や量などが判明したという。○世界最高級の精度で宇宙の基本定数を決定さらに、観測で得られたダークマターの構造の凹凸を銀河の歪み具合から算出した結果、0.3%の歪みの違いを算出。この凹凸の具合をシミュレーションと比較。その結果、ダークマターの総量と現在の宇宙で銀河などの構造をどこまで作ってきたかの度合いを表す宇宙の基本定数(S8)は、3.6%と、重力レンズ効果を用いた手法では、世界で最高クラスの精度で決定することに成功したという。この結果は、欧米で進められているほかの重力レンズ効果を用いた観測結果と同等以上の結果であるものの、欧州のプランク衛星の測定結果におけるS8と比べて、若干小さいことが、先行研究と同じく示されており、研究チームでは矛盾はないとしつつも、宇宙の標準模型を超える新たな物理を考える必要があることを示唆するものである可能性があるともしている。○1400億年は無事であり続ける宇宙加えて研究チームでは、ダークエネルギーの時間的進化の調査も実施。ダークエネルギーは時間進化の量がアインシュタインが導入した宇宙定数(W=-1)よりも離れるほど、宇宙の終焉(宇宙のすべての物質がばらばらになる)と言われる「ビッグリップ(Big Rip)」が起きると言われているが、今回の研究では、95%の確率で-1.08よりも大きいという下限が判明したとのことで、ほかの観測結果と組み合わせると、少なくとも宇宙は今後1400億年ほどは、ビッグリップが起こらないという結論を得たとする。

2018年09月29日

至誠勤労は天道の至極なり。推譲分度は人道の要諦なり。

朝5時半に家を出て3時間ウオーキングしてきた。途中、ふてぶてしい猫としっぽをふりふりした　りす　に出会った。明治小学校の二宮金次郎像を写真にとる。明治小学校の像に刻まれたもの（カタカナ表記をひらかなにした）「それ至誠勤労は天道の至極なり。推譲分度は人道の要諦なり。我らが郷土の偉人に二宮尊徳先生これを立首しこれを体現し、あまねく救世済民の実を挙げ、ひろく社会国家の福祉を増進し以て範を百世に圭し訓を後世に貽せり。而して現代国民教学の理想は実に斯カ紹述拡充に在りとす。本校夙（つと）に観る所あり。常に先生の徳風を景仰しその実行を模範とし黌の機構を提げ心を傾け力をつくして児童の教化薫陶につとめて既に歳月を重んず。当町に田中勇吉氏あり。志を商に立て家業に淬礦（さいこう）すること五十余年篤く報徳の教えを信じ修身斉家処世行事みなそれを規によく效を顕わす。本校教育の実績をしり、心に合うあるをよろこび、これが助成をねがい尊徳先生幼時の像を建設寄附す。おもうに此の徳業やただに学校の教育と社会の善導、国家の興隆に鴻益するのみならず、まことに報徳の真義にあなうものと言うべし。ここに功成るに当り聊事（少しの事）の次第を誌を以て後に伝う。　昭和九年七月　　明治尋常小學校長遠藤安太郎誌（しるす）　福岡信書　高野宏刻」

2018年09月23日

朝のひと時、マックで語録の校正

巻の３の校正に入って、読み下し文が旧かなづかいのままだったことに気づき、読み下し文・全ルビを新仮名づかいに直しながら、現代語訳の校正をしている。これからの読み下し文は、新仮名づかいでなければ、若い人は読めない。そう会員の一人から指摘を受けて、いったん旧かなづかいで作成した原稿を新かなづかいである。また、漢字の理解力は人それぞれで大きく違うということは輪読で体験してきたところである、全ルビでなければ、読書会等では訳にたたない。そうした10年もの読書会での経験が語録についやされている。朝から雨が降り続く朝のひと時、マックで語録の校正

2018年09月21日

啓子　今までありがとう。人を助け　人のために祈り　人に尽くしてきたので　天国に召されると思う。おつかれ様。安らかに眠ってください。見事な女性でした

内田裕也が妻・樹木希林さんへ追悼コメント発表「啓子　今までありがとう。見事な女性でした」9/20(木)１５日に死去した女優の樹木希林（きき・きりん、本名・内田啓子）さん（享年７５）の夫でミュージシャンの内田裕也（７８）が２０日、所属事務所を通じてコメントを発表した。「最期は穏やかで綺麗な顔でした。啓子　今までありがとう。人を助け　人のために祈り　人に尽くしてきたので　天国に召されると思う。おつかれ様。安らかに眠ってください。見事な女性でした」　樹木さんとは１９７３年１０月に結婚したが、同居したのは最初の約１年半だけ。その後は別居状態を続けながら、つかず離れずの独特な夫婦関係を築いてきた。　関係者によると、樹木さんの容体が急変した１４日深夜、親族が別居中の裕也に電話で連絡し、声が聞こえるようにスピーカーをオンの状態に。裕也は、次第に意識が薄れていく樹木さんに名前を呼ぶなど言葉を掛けた。樹木さんはそれから程なくして、息を引き取ったという。最期をみとることはできず、１６日に樹木さんの自宅を訪れ、無言の対面を果たした。　１７日に都内の斎場で営まれた密葬に参列。黒スーツに黒いハット、メガネ姿で斎場を訪れた。関係者によると、長女で女優の内田也哉子（４２）ら親族と会話する場面もあったが、終始うなだれた様子だったという。荼毘（だび）に付された際は遺骨を拾い、妻を見送った。その後、車いす乗り、無言で帰宅。同行した女性スタッフは「（裕也は）ショックを受けていて、気持ちを整理して後ほどコメントします」と話していた。

2018年09月20日

トーマス・カーライルよ、汝は愚人である、汝の書いた『革命史』などはソンナに貴いものではない、

『二宮先生語録』の校正中、誤って古いバージョンのを訂正してしまった。ぐちゃぐちゃになる前に、はやいとこ、最新バージョンを訂正しておかなくては。内村鑑三の「後世への最大遺物」に、「クロムウェル伝」で内村に大きな影響を与えたイギリスのカーライルが書き終えた「フランス革命史」の原稿を友人に貸したところ、その友人の召使いが誤って全部もやしてしまった場面がある。「トーマス・カーライルよ、汝は愚人である、汝の書いた『革命史』などはソンナに貴いものではない、第一に貴いのは汝がこの艱難に忍んでそうしてふたたび筆を執ってそれを書き直すことである、それが汝の本当にエライところである、実にそのことについて失望するような人間が書いた『革命史』を社会に出しても役に立たぬ、それゆえにモウ一度書き直せ」といって自分で自分を鼓舞して、ふたたび筆を執って書いた。」人が何かを成し遂げようとするとき、大なり小なり障害がおこる。そういうとき、特に大きく障害がたちはだかる時に、この話はいつも心を奮い立たせてくれる。『二宮先生語録』【５７】人の子が、父祖の家業をいやしんで、その家法を変える。これは家をやぶるきざしじゃ。太陽がその家を照らすや、朝日は東方から照らし、夕日は西方から照らす。その父祖の勤勉・倹約、艱難辛苦によって、朝日がのぼるようにその家を興す。その子は怠けおごって、夕日が没するようにその家をやぶる。そしてその子は言う。日は西方からのぼる、父祖はなぜこれを東方からと言うのかと。自分の居所が違っていることを悟らない。その家法を狭いとし、その家財を劣るとし、自ら父祖の事業をかえ、もっぱらおごりになびいて、借金は日に加わり、ついに貧困に陥る。孔子のいわゆる「愚にして自用を好み、卑にして自専を好む者はわざわい必ずその身に及ぶ」ということじゃ。戒めなければならない。【５８】貧者が自分の分限をわきまえずに、みだりに富者をうらやみ、これをまねようとする。たとえば橋のない川を隔てて、向う岸の行楽を見て、一緒に楽しみたいと願うようなものじゃ。向う岸の人に従おうとすれば必ず溺れる。自分の分をわきまえずに富者にならおうとすれば必ず滅ぶ。人がもし富者にならおうとするならば、まず富を得る橋を架けるべきじゃ。橋とは何か。分度を守ることと勤労と倹約とこれじゃ。

2018年09月17日

二宮先生語録巻の３　目次

二宮先生語録巻の３　目次【１８２】書に曰く、人心惟れ危く、道心惟れ微【１８３】伝に曰く、誠なれば則ち明か。明なれば則【１８４】孔子曰く。無為にして治る者、其れ舜か。【１８５】孔子曰く。工、其の事を善せんと欲する。【１８６】語に曰く。滅国を興し、絶世を継ぎ、逸民【１８７】孔子曰く。国を治る者、敢て鰥寡を侮らず【１８８】孔子曰く。道の行はれざるや、我之を知る【１８９】孔子曰く。之を罔て生るや、幸にして免る【１９０】孔子曰く。巍巍たり。舜禹の天下を有つや【１９１】孔子曰く。大学の道、明徳を明にするに在【１９２】孔子曰く。君子道を謀り、食を謀らず、耕【１９３】孔子曰く。民の利する所に因て之を利す。【１９４】孔子曰く。教るに孝を以てするは、天下の【１９５】哀公有若に問い曰く。年饑て、用足らず。【１９６】孔子曰く。悪を隠して善を揚ぐ。其の両端【１９７】孔子曰く。父子の道、天性なりと。今夫れ【１９８】子貢曰く。君子下流に居るを悪む。天下の【１９９】有子曰く。礼の用、和を貴しと為すと。先【２００】孔子曰く。三人行けば、必ず我が師有りと【２０１】孔子の問に答えるや、一を問えば、則ち一【２０２】孔子仁を人に許すや。其の徳大小有りと雖【２０３】聖人天下を治る。猶お雑劇のごとくなり。【２０４】程子、孔孟を比するに冰玉を以てす。至当【２０５】古語に曰く。天下、民の父母と作り、以て【２０６】上古法無し。何となれば、鴻荒の世、生民【２０７】太宰春台、孝経に序し曰く、天下父母無き【２０８】井を鑿て飲み、田を耕して食う、。帝力何【２０９】孔子曰く。言尤め寡く、行悔い寡なければ【２１０】老子曰く、道の道とすべきは、常の道に非【２１１】老子の言、意を尽さず。譬えば乳児父を称【２１２】伝に曰く。人有れば、此れ土有り。朱子之【２１３】孔子曰く。巧言令色、鮮し仁。程子曰く。【２１４】余、少小四書を読み、以て之を儒者の行う【２１５】儒と仏とは、則ち其の教を異にす。儒は則【２１６】儒に仁義礼智信と曰い、仏に空風火水地と【２１７】悉陀の初て生まるるや、左手天を指し、右【２１８】仏経に曰く。光明遍照、十方世界、念仏衆【２１９】仏経に曰く。極楽国土、七宝池有り。池底【２２０】釈氏極楽浄土を説き曰く、地は則ち金銀を【２２１】仏経に曰く。具一切功徳。慈眼視衆生。福【２２２】仏経に曰く。東方薬師瑠璃光如来と。東方【２２３】仏経に所謂阿弥陀は、即ち天地人なり。天【２２４】仏氏南無阿弥陀仏の文字を綴るや、至れり【２２５】仏経故らに凡夫解すべからざるの語を作る【２２６】仏経、天の徳を称し、虚空蔵と為し、地の【２２７】仏経に所謂地蔵は、地の庫蔵なり。人物の【２２８】仏氏有を貴ばず。無を貴ぶ。其の形見るべ【２２９】仏経に所謂不動尊は何を謂うや。動かざる【２３０】仏に所謂三尊は、父母と我と、是れなり。【２３１】仏氏が世界を三千大千と為し、万物を称し【２３２】仏経に所謂仏は、何を謂うや。菽を㧒き以【２３３】瞿曇氏の衆生を諭すや。曰く、余は王子な【２３４】大般若経六百巻。一言以て之を蔽う。曰く【２３５】大般若経理趣分は、六百巻中説く所の来往【２３６】仏氏世界を称し蓮華蔵と為す。夫れ蓮は泥【２３７】仏氏所謂方便は、譬えば木閣の如くなり。【２３８】世人仏師の方便を以て不用の物と為すは、【２３９】仏氏所謂仏菩薩は、是れ固より形体無くし【２４０】仏氏三世を説く。肉眼三世を通観する能は【２４１】釈氏の托鉢、施米一鉢に満つれば、則ち止【２４２】阿弥陀経一言毎に、舎利弗と曰う。是れ言【２４３】仏氏に所謂九品浄土の中、安養浄土は、富【２４４】仏に所謂迷故三界城なりは、作為の人道を【２４５】仏氏地獄を説き、人に戦慄せしむ。今や漁【２４６】仏語は猶お衣を縫うごとし。所謂空即是色【２４７】達磨の悟道、至ると謂うべし。其の像或は【２４８】仏氏五輪を以て人体に象る。何を五輪と謂【２４９】生ずる者、必ず死し、壮なる者必ず老う。【２５０】人の情為るや、清浄を好で、汙穢を悪む。【２５１】仏氏衆生を喩す。之を豆豉に譬う。曰く、【２５２】天台宗山王を尊ぶ。其の意深し。山の字為【２５３】禅宗は今日を尊ぶ。其の意深し。今日の訓【２５４】仏経に曰く。空即是色、色即是空と。至れ【２５５】仏氏殺生戒を説く。何を生と為すや。仏氏【２５６】仏法東漸以来人之を奉じ家之を祀り、嘗て【２５７】仏経に所謂本尊は、本を尊ぶなり。如来は【２５８】仏経に所謂金胎両部の大日は、何を謂うや【２５９】瞿曇氏数千里外の西域に生れ、而して数千【２６０】仏氏人欲を去るを以て悟りと為す。譬えば【２６１】数術に曰く。九九畢竟八十一と。九九の積【２６２】仏国に生ずる者、人類鳥獣虫魚草木、皆な【２６３】釈空海、衣食と情欲とを取る。是れ仏教に【２６４】釈親鸞、深く後世を慮り、乃ち末法の僧侶【２６５】釈氏の托鉢、襯米満れば則ち止む。而して【２６６】瞿曇氏の人を諭すや、懶夫を見れば、則ち【２６７】祖師名僧奇妙不可思議を説くや、幻術人と【２６８】仏氏所謂恒河砂、阿僧祇、或は無量大数、【２６９】仏氏所謂悟なる者、名僧知識尚以て難しと【２７０】仏経に所謂観世音菩薩は、世界の音声を観【２７１】天地有て、陰陽有り。陰陽循環して、寒暑【２７２】青黄赤白黒の五色を分たざる者、大地の分

2018年09月15日

「二宮先生語録」巻の２の校正が終わり、目次を整理する。

「二宮先生語録」巻の２の校正が終わり、目次を整理する。巻二　八一　神言に曰く。我に智慧無し。忠孝を以て･･････　八二　相歌に曰く。高山より谷底を見れば瓜と茄と花盛･･････八三　天祖天孫譲道を以て天下を治む。其の徳、三皇五･･････八四　神史に所謂天孫日向の国に降臨すと。是れ我が邦･･････八五　仏国に生ずる者、人類及び鳥獣虫魚草木皆是れ仏･･････八六　東照公遺訓に曰く。日本全秩二千八百十九万石。･･････八七　元和偃武の後、僧遊行に天下を巡り、十念を衆生･･････八八　下野の国為るや、戸口消耗、田野荒蕪、民其の生･･････八九　野州素より荒蕪多し。県令竹垣氏越州の窮民を招･･････九〇　先君鵜沢氏に謂て曰く。汝不学を憂うる莫れ。寡･･････九一　孔子曰く、閨門の内、礼を具うるなり。是れ･･････九二　或人問い曰く、山内薫正、葬次法華経を手写･･････九三　方今天下泰平。上に文武の政有り。下に神仏･･････　九四　我が道行れば、則ち金を闔国の大路に敷くも･･････　九五　貧者富者の財を借り、年に其の利を納れ、而･･････　九六　世人財利を争い損益を論じ、東奔西走、汲汲･･････　九七　民助貸の徳に靡く。猶お草木風に靡くごとし･･････　九八　余初め以謂く。我が助貸金を乞う者、私欲な･･････　九九　此に貧民有り。賦性朴実。善く父母に事え、･･････一〇〇　人清浄を好で汙穢を悪む者、私なり。夫れ･･････　一〇一　漁子の鰮魚を網するや。其の始め綱を引く･･････　一〇二　我が法は上より下に施す道なり。天下に於･･････　一〇三　禍福吉凶は、一なり。猶お米に糠有り。肉･･････　一〇四　禽獣唯貪を知て譲るを知らざれば、是を以･･････　一〇五　太古の世、人道未だ明ならず。鳥獣と共に･･････　一〇六　天道人道相反す。何となれば則ち人の稲を･･････　一〇七　天道と人道と、豈異なる無らんや。循環自･･････　一〇八　耕法一耒一発を以て度と為す。力有る人と･･････　一〇九　人の路を行く。必ず一歩より始め、両脚遞･･････　一一〇　鯉魚を獲て之を市に鬻げば、則ち人必ず之･･････　一一一　松材を伐て之を市に鬻げば、則ち人必ず之･･････　一一二　小にして忍耐せざる者、長じて速に亡ぶ。･･････　一一三　禍福損益は一なり。僥倖の奇福と不慮の奇･･････　一一四　幸不幸は、一なり。己に便なる、之を幸と･･････　一一五　天地一年を以て一呼吸と為す。吸気百八十･･････　一一六　弘化中。信州地大に震い、山崩れ川塞り陸･･････　一一七　燕は皇国の鳥なり。何ぞ万里の波濤を超て･･････　一一八　武なる者、治世の用にして、乱世の用に非･･････　一一九　世に所謂祟りを為す者、自ら之を招くなり･･････　一二〇　郷村各々の清丈冊有り。之を称し。水帳と･･････　一二一　貧者は安逸の如く、富者は労苦に似たり。･･････　一二二　貧民食を求る有り。乃ち田家に入り、主人･･････　一二三　腐夫有り。暑月竊に涼処を尋て惰る者、寒･･････　一二四　貧農草を刈んと欲して鎌無きを憂え、乃ち･･････　一二五　貧富の本は、利を計る遠近に在るのみ。利･･････　一二六　人の貧富有る。猶お天の陰陽有るごとくな･･････　一二七　人の貧富有る。豈偶然ならんや。必ず由り･･････　一二八　貧民を救う、時有り。猶播種の時有るごと･･････　一二九　茄苗を植る者、其の未だ根を生ぜざるに当･･････　一三〇　貧富貸借、自然の勢なり。之を男女の道に･･････　一三一　天下の貨財は、猶お河水のごとくなり。善･･････　一三二　商賈千金の資を有する者、其の半を以て商･･････　一三三　商賈高利を貪らざれば、則ち天下の売買皆･･････　一三四　農業は、半天に順い、半天に逆い、順逆相･･････　一三五　凡そ培養を為す者、宜く賓客を款待する如･･････　一三六　古人言える有り。曰く、隠徳有れば、必ず･･････　一三七　原野に露糞すれば、則ち艾草肥生す。粛霜･･････　一三八　匏瓜を種るや、一根の培擁、鰮糟米粃各々･･････　一三九　世人勤動慳吝を以て富を得、大厦を造り倉･･････　一四〇　事の成否は、恩を記すと恩を忘るとに係る･･････　一四一　報徳の心を存する者、必ず其の家を富ます･･････　一四二　刑罰を用いずして、悪を懲す。蓋し術有る･･････　一四三　国君下民を恤まざれば、則ち下民逋租を以･･････　一四四　柱礎の深く地に入る者、厚重にして之を動･･････　一四五　世人金銭を尊び米粟お卑しむ。是れ本末を･･････　一四六　魯の哀公問い曰く。年飢え、用足らず。是･･････　一四七　管子曰く、衣食足て礼節を知ると。宜なる･･････　一四八　論語幾諫め章を誦し曰く。善いかな。人子･･････　一四九　争論の発するや。各々其の居処を定めざる･･････　一五〇　稼穡を為す者、農夫の常。愚者と雖も而も･･････　一五一　人生安楽を好む。何を安楽と謂う。春植て･･････　一五二　家狸を養う者、之を順撫すれば則ち睡り、･･････　一五三　農家秋実を得、尽く之を秋冬に用いば、則･･････　一五四　深山雪あり。幽谷氷り、寒気凛凛たるも、･･････　一五五　物有れば必ず弊有り。猶お蔓菁を種れば則･･････　一五六　父母の子を育するや、縦令無頼の子と為る･･････　一五七　父母祖父母及び祖先累世の心、皆吾が身に･･････　一五八　人子為る者、宜く父母の心を安んずるを以･･････　一五九　物各々数有り。猛火の炎炎たるも、薪炭尽･･････　一六〇　海を航る。徒に風波に任せば、則ち望む所･･････　一六一　夭を戚え寿を欣ぶ者、人の情なり。然れど･･････　一六二　手の物を執るや、左出れば則ち右出で、右･･････　一六三　形を斯の世に現する者、滅せざる莫し。然･･････　一六四　明中暗有り。暗中明有り。明昼、豁目して･･････　一六五　人の家計を理むるや、勤労を竭すと雖も、･･････　一六六　堯曰く、四海困窮せば、天禄永く終ると。･･････　一六七　世道、小を積むを貴ぶ。小を積み大と為す･･････　一六八　甘辛の味に於るや、甘は益々甘、辛は益々･･････　一六九　粟、地生ずと雖も、而も天より降るなり。･･････　一七〇　細民の富豪の下に棲息する者、其の家必ず･･････　一七一　貧民飢饉に遭て飢餓を免れざる者は、何ぞ･･････　一七二　多才の士、道徳に乏く書を著わし古語を引･･････　一七三　粟と葦と、一なり。故に葦の生ずる処、之･･････　一七四　水に生死有り。地中に在る者、生水なり。･･････　一七五　世人吝者を見て、輙ち倹と曰い、倹者を見･･････　一七六　他人の酒食を貪る者、国家の用を為すに足･･････　一七七　余、我が衣食を務めず、唯救済之務む。且･･････　一七八　我が法施行する所の出納簿を称し、現量鏡･･････　一七九　誰れか我が法を迂遠と謂うや。余、一苞米･･････　一八〇　闔郷挙げ之を為し、久遠を経るも亦窒碍無･･････　一八一　門弟子に謂て曰く。我が日夕説く所の理、･･････　二宮先生語録巻の２【８１】神託に「我に知恵無し。忠孝を以て知恵となす」という言葉がある。なんと素晴らしい言葉か。知恵は善に用いれば知恵となり、悪に用いれば知恵ではない。忠孝は善の大なるもので、不忠不孝は悪の大なるものじゃ。善を大きく、悪を小さくする。悪（奪い、怠り、偽るなど）を避け、善（業に励み、恩に報い、忠孝の道）に従うならば、知恵は大となる。孟子が「孝悌と仁義を知ることが知の実である」というのもこのことじゃ。【８２】臼ひき歌にいう。「高い山から谷底見ればウリやナスが花盛り。」この歌はいずれの世に誰が作った歌かわからない。今のはやり歌は時が移れば廃れる。ひとりこの歌はいつまでも廃れないだろう。なぜならば、その意味が深いからじゃ。高い山に登って下を見れば、谷底が明瞭にわかる。天皇が紫宸殿におでましになり、天下に臨まれるのもまた同じじゃ。上は侯爵・伯爵から下は武士、庶民に至るまでおのおのその職業を治め勤めて国家を経営する。侯爵・伯爵は儀式を盛んにし、家老や武士が職を治め、農・工・商人が業を勤め、儒者・医者・巫女（みこ）、かごかき・船頭・芸者・さぎやその他など、太平の世の恩沢に浴して、その生を営む者は挙げて数えきれない。瓜がつるをはって花を開き、なすがまっすぐに伸びて花が咲くようなものじゃ。天皇はこれを見られて民の情を察せられ、その誠をおして、貧民の米びつが空っぽで、便所もないことまで、深く憂えられて、天下を安定された。これが我が国の神州の皇道というものじゃ。ああ、この臼ひき歌は俗謡の伝えるところだが、どうして天照大神の作られたものでないといえようか。そうでなければ、誰がよく伝えて廃れないであろうか。【８３】天照大神天孫は譲道をもって天下を治められた。その徳は古代中国の三(さん)皇(こう)（伏(ふつ)羲(ぎ)・神農(しんのう)・黄帝(こうてい)）五(ご)帝(てい)（少(しょう)昊(こう)・顓(せん)頊(ぎょく)・嚳(こく)・堯(ぎょう)・舜(しゅん)）より過ぎ、滅することがない。しかし我が国は古くからの書物がないために、孔子に先んじられたのじゃ。惜しいかな。【８４】神代の歴史にいわゆる天孫が日向（ひゅうが）の国に降臨するという。これは我が国が開けた始めで、西のほとりにまず草を生ずることをいう。日向は日に向かう。たとえば宅地の西のひなたに、まず草を生ずるようなものじゃ。【８５】仏国に生ずる者は、人類及び鳥獣・虫魚・草木、みなこれ仏じゃ。神国に生ずる者は、人類及び鳥獣・虫魚・草木、みなこれ神じゃ。そうであれば神の国に生ずる者を死後みな神となすならば、西域の仏法をかるに及ばない。【８６】徳川家康公の遺訓にいう、日本の総高二八一九万石、うち二千石を功績のある大名・小名に分封し、その八一九万石で天子を守り、四方の敵を制御するために使うため保有すると。何と素晴らしい言葉だ。家康公は乱れた世を治める大功績があり、自ら取る所は、天下の三分の一に及ばない。それも天子を守り、四方の敵を制御するためであり、私有しない。およそ人臣たる者がこの道を踏むならば、国家を長く保ち、滅ぼす憂いを免れるであろう。【８７】元和年間、遊行上人に天下を巡らせて十念の札を人々に授けさせ宿場に馬各々百頭を置かせた。その思慮は深い。荻生徂徠（おぎゅう・そらい）は「政談」でこれをよくないとしたが、その深慮を察しないものじゃ。当時は乱世が治まったばかりで治まっているかどうか分からなかった。家康公は遊行上人に十念の札を授けさせ、それを受ける者の多少を見て、大衆の気持が従うか背くかを察せられたのじゃ。その天下を思慮することのなんと素晴らしいことよ。私の無利息金貸付法もまたその国が治まっているかを知ることができる。無利息貸付金を借りて返さない、財産を得て恩を知らなければ、その国の道義心はないと知ることができる。【８８】下野の国（現在の栃木県）は戸数人口が減少し田畑は荒れて、民は生計が安らかでなかった。これは土地が薄く、たとえ一度衰廃を復興して、その民を安らかにしても、永遠に保つ方法を見つけられなかった。それではどうすればよいか。現在の租税額を永世に固定し、私の安民法（分度を立て分度外の収入で繰り返し振興）を行うならば、民を保つことができ、再び衰廃する憂いを免れることができよう。これはその人（仁君賢相）を待って、その後に行うべきじゃ。【８９】下野は元々荒地が多かった。代官の竹垣直温（たけがき・なおひろ/なおあつ）氏は越州（新潟・石川）から困窮した民を招いて、開墾させて新しい家を置いた。およそ三百戸余りの越州の民は深く浄土真宗の教えを信じたが、下野には寺がなかった。そこでその僧を呼び寄せ、草庵を設けさせ、民心を安んじた。さとして言うに、寺を新しく創建するのは厳禁されている。私が代官でいる間に速やかに創建するがよい。私が去れば創建できなくなろうと。その民は感動してすすり泣き、心をあわせ力をあわせ新たに数寺を設けた。ああ、厳禁をおかして困窮した民を憐れむ。その民を思う心のなんと厚いことか。後に山内氏が代官となるに及んで、草庵がまだあり、僧は新たに寺を設立しようとした。山内氏は驚いて言った。これは厳禁のことだ。私の罪は免れない。命令して建築を止めさせた。屋根をまだ葺いてなく、数十日雨露にさらされた。僧は憂悶し、発狂してしまった。ああ、一人は民のために官を忘れ、一人は官のために民を忘れる。竹垣氏は昔の優れた官僚に恥じない人物といえよう。【９０】小田原藩の先君が鵜沢氏に言った。「なんじ、不学を憂えることはない。私は広く通じることに努めたが、その要は貝原益軒の『大和俗訓』と林羅山の『貞観政要諺解』にある。なんじはこの二つの書を読めばよいと。なんと素晴らしい言葉じゃ。【９１】孔子は言う。家庭にあって礼を備える、と。これはいつの世も変わらない良い教えじゃ。昔から妻や妾のために身をあやまる者が多い。小田原藩の家老服部（十郎兵衛）氏、三弊（又左衛門）氏はともに智勇を兼ね備え、君主を補佐して藩政をとり、藩士も二言を唱える者はなかった。しかしその終りを全うすることができなかった。これは家庭を治めることができなかったからじゃ。ああ、二氏の智勇も妻や妾を制御できなかった。深く考えなければならない。【９２】ある人が先生に質問した。「代官山内薫正は母の葬式の際、供養のため法華経を写経しました。これは孝といえますか」先生は言われた。「葬式の際に写経しようとする、孝といえば孝じゃ。しかし写そうとして何度も筆をとっても写すことができない。悲痛の深さに筆をとることができなければ、孝はその中にある。人は時が経つと忘れやすい。数年たって、親の恩を思って写経するならば、孝といえようか」【９３】今の世は天下泰平で、上に文武の政（まつりごと）があり、下に神儒仏（神道・儒教・仏教）の教えがあって政治も教えもすべて備わっているから、天下の民はその所を得て、その生活を楽しみ、必ず荒地や借財の憂いはないはずじゃ。しかし天下一円にそれに苦しむ者があるのはなぜか。諸侯は諸藩を治め、多くの官僚がこれを助けるから、土地が荒れ、戸数や人口が減少し、借財が山積する憂いはないはずじゃ。ところが諸侯にその憂いがあるのはなぜか。神儒仏の三教はおのおの身を修め家をととのえ国を治める道をとくから、借財で家を失う憂いはないはずじゃ。ところが三教それぞれその憂いに苦しむ者があるのはなぜか。これは皆文武の政（まつりごと）と神儒仏の教えをぬけてくる憂いじゃ。その憂いを救い、政教を補うのは、ひとり私の報徳の道にある。なんと大道ではないか。【９４】私の道が行われれば、金を全国の大通りに敷くこともまた難しくない。これは金が特に増えるからではない。たとえば川の水を引いて、田にそそぐようなものじゃ。今、川の水を引いて広々と田にそそぐとした場合、それが直接海に流れ入るのと、灌漑して田を養って海に入るのとでは、川の水には増減はない。金もまた同じで、富者から富者に入るのは、ちょうど川の水が直接海に入るようなもので、百金は百金の用をなすのみじゃ。私の無利息貸付法でこれを貧しい家に及ぼすならば、潤沢するところは、川の水が田を養って海に入るように、貧しい家は裕福になり、衰えた村は復興し、千万金の用をなす。そして出入りするところはただ百金のみじゃ。【９５】貧者は富者から借財して利息を返して、元金を返すことができない。常にこれを憂いとする。富者は貧者に財を貸して年ごとに利息を受けるが元金を見ることがない。常にこれを憂いとする。私の無利息貸付法の財は、その憂いを除くものじゃ。なぜならば貧者はこれを借り、他の古い負債を全額償還し、利息を払う憂いを免れる。富者は今まで見なかった元金を受けて、財産を失う憂いを免れる。貧富共にその憂いを免れて助かるものではないか。【９６】世の人は財利を争い、あるいは損益を論じて東西に走り、あくせくとして止まない。ただこれに得れば彼に失い、彼に得ればこれに失うだけだ。全国においては損益はない。そもそも田畑山林は財利の本じゃ。しかし田畑は農力を失い、荒地に帰し山林は野火をおこし、材木を失い、民家を延焼し、戸数・人口を減らし、村里は廃墟となる。これを一国の損とする。農業もまた財利の本じゃ。しかし村民あげて遊び怠けて、飲酒やばくちを事とし、田を耕し草をとる事を怠り培養を欠き、大いに秋の収穫を減ずる。これを郡村の損とする。勤労もまた財利の本じゃ。しかるに農器具がないとか、農馬がないとかいい、身体が健康なのに日を空しく過ごしたり、借金のために走り回って日を費やし、秋の収穫で利息を返す、これを一家の損とする。ああ、国家の損は何と大きいではないか。私の無利息貸付法はこの損失を除くものじゃ。貸付が循環して止まなければ、荒地は治り、負債は償われ、怠惰な農民も耕作に励み、困窮した人民もよみがえり、山野の火事もやみ、山林はしげり、廃れた国も復興する。ああ、国家の益はこれより大きいものがあろうか。【９７】民が無利息貸付法の徳になびくのは、草木が風になびくようなものじゃ。草木がなびくのは枝葉があるからじゃ。民がなびくのは、妻子があるからじゃ。もし枯木に枝葉がなければ必ずしも風になびかない。独り者で妻子が無い者もまた同じじゃ。ただ無利息貸付法におけるばかりでなない。施政においても同じじゃ。考えなければならない。【９８】私は初め思うのに、私の無利息貸付の金を借りに来る者は私欲によるものであろうと。今これを思うに、そうではない。これは過ちを改める道であって、治平の本であると。なぜかというと借金を返し質入れした田を受け戻したいと欲するからじゃ。このような者がますます多くなれば、天下は平和に治まるように自然となっていくことは必然じゃ。【９９】ここに貧民があり、天性実直で、よく父母につかえ、昼は農業に勤め、夜は縄をない、わずかに飢えや寒さを支えた。ところがその父が病気になり、次第に重くなったが、医薬が効いて幸い治った。ところが翌年父はまた大病になった。薬も効果はなく、終に亡くなった。既に五両の借金を負い、かつ仕事ができず、父の病を看病すること数年。きわめて貧しく何もない。五人組はこれを憐れんで、名主からまた五両を借りた。一時飢えを免れて、農業に力を尽くしたが、既に十両の借金をおい、二両の利息を払う余力はない。そこで親類、五人組の者は名主に相談して、下僕とした。雇い賃は三両。その二両を利息にあて、一両を食費とした。このようにすること五年。古い債務は前の通りで、母もまたますます老いた。誰がこれを養うことができよう。その家はついに存続することができない。もし無利息金を貸し与え、その借金を償還し、本業に帰すことができるならば、すなわち国に一農家も減ずることはない。【１００】人は清浄を好んできたないものを嫌うが、これは私心じゃ。穀物や野菜は糞養しなければ成長しない。今、大根を洗い、これを座上に置けば、数日ならずして腐敗し、これを糞土に養えば、喜んで栄える。人は糞土を嫌い不浄とする。大根はこれを好んで清浄とする。清浄と不浄とは一つであることを知るべきじゃ。この考えを推すならば、善悪・邪正、禍福・吉凶、上下・貴賤、損益・多少、苦楽・存亡、みな一つであることを知ることができる。人はその一つであることを知らないで、好んだり嫌ったりする。どうして私心でないといえようか。不浄の糞養で清浄の穀物野菜が生じ、人民の命を養うものは、人道の最高の働きじゃ。私の方法は人の嫌う所を取って、人の好む所を与える。借金を変じて無借とし、荒地を変じて良田とし、衰貧を変じて富み栄えさせる、これが私の道の最高の働きじゃ。【１０１】漁師がいわしを網でとるとき、始めに綱を引くのはとても緩やかで、漁長がひとり綱を巻いてとぎれることはない。そのおもりに及ぶと、漁長が板を合図にたたき、漁師が一心協力して綱を引く時はとても急となり、魚もとても多くとれるものじゃ。ああ、知者や愚者、老人・年少者もなく一心に漁長の指揮に従うのはなぜか。これは均等にその魚を分けるからじゃ。堯舜が天下を治めたのもまた同じで、人民とその利を同じくする。だから多くの民は心をあわせ、苦労を忘れ生業を楽しみ、天下は盛んになったのじゃ。衰えた世はそうではない。君はただ租税を徴収することを思い、人民はただ租税を免れることを思う。だから君民は和することがない。多くの民の心が一つにならず租税を納めないで国家は衰える。たとえば漁長ひとりが利益をほしいままにして、人々の心が一つでなければ、力がひとしくないために魚をとることができない。私の方法はその道理を窮めて天の恵みをわきまえ、分度を立て、分度外の余財を推譲し、民と利を同じくし、善を賞して困窮者をあわれみ、おのおのその所を得させる。だから土地は日に開け、田畑は月におさまり、租税は年に増し、国家は治まるのじゃ。【１０２】私の法は上から下に施す道じゃ。天下においては天子将軍。一国においては君主家老。一郡においては郡長。一村においては村長。一家においては主人。これを馬引が馬を養い、農民がなすを育てるのに譬えよう。馬引がやせ馬を責めて言う。重荷を負えば豆を与えようと。厳しく叱っても何の益があろう。もし一着のはんてんを質入れし、その代金で豆を買って馬に食べさせれば、馬は必ず重荷を負う。痩せ衰えて重荷を負えない時に、豆を食べさせるのはとても無益のように見える。しかし一たび与えてダメなら再び食べさせ、再び与えてダメならば三たび与える。三たび与えれば馬の力は必ず回復する。馬の力が回復すればよく重荷を負う。よく負えば馬引は金銭を得て、父母妻子を養うことができる。これは他でもない。最初に一着のはんてんを質入れして、豆を食べさせたからじゃ。農民がなすを育てるのも同じじゃ。農民がなすに言う。多く実を結べば肥料を与えようと。百回これを責めてもまた何の益があろう。もし休息の間にでも、よく肥しをやることに勤めれば、必ず多く実を結ぶ。衰えた国の民におけるも同じじゃ。怠惰に甘んじ、飲食やばくちを事とし、家が壊れても補修しない。雨風に家をおおわず、飢え凍えることを免れない。田畑は月に荒れ、租税を年に積む者は貧民の常じゃ。この時に当って、政治や教育があっても、またこれをどうすることもできない。ひとり君主が分度を守り、余財を生じて、農業に精出す者を表彰し、困窮者を救い、壊れた家を補修し、水利を通じさせ、荒地を開墾し、安定した職業を与え、専ら民を恵むならば、怠惰は改まり、田畑は治まり、衣食は足り、人々は脱税を恥じて、必ず先を争って納税するようになろう。【１０３】禍福・吉凶は一つじゃ。米にぬかがあり、肉に骨があるようなものじゃ。料理したマグロを見て骨がないとするのは、子供の考えじゃ。肉が多いものは必ず大きい骨がある。肉は食べられるが骨は食べられない。食べられるのを吉とし、食べられないのを凶とする。肉を食べるのを福（さいわい）とし、骨が喉につかえるのを禍（わざわい）とする。米とぬかも同じじゃ。米は食べられるが、ぬかは食べられない。ご飯は生命を養うから福とし、腐って生命を害すれば禍とする。野菜は食べられるのを吉とし、雑草は食べられないから凶とする。天はそうではない。野菜は草切りし培養しなければ、消失するものは消失するにまかせ、雑草は耕し培養しないで、しげるものはしげるに任せる。そうであれば天にどうして禍福吉凶があろうか。禍福吉凶は結局、人道の私（わたくし）じゃ。この理を明らかにわきまえなければ、私の道を行うに足りない。【１０４】鳥獣はただ貪ることを知って譲ることを知らないために一日も安んずることができない。太古の世、人類もまたそうであった。神聖（祖宗）が推譲により人道を立て、万民を安んじた。ああ、人類が鳥獣と異なるのは貪と譲とのみじゃ。もしあきることがなく貪る者は、衣服を得れば酒食を求め、酒食が得られると音楽と色欲を求める。音楽と色欲が得られると不老不死を求める。田を十石所有すれば百石を求め、百石を得れば千石を求める。千石を得れば万石を求める。貪欲が止まる所が無く、推譲の道を知らなければ、何によって鳥獣と分かつことができようか。【１０５】太古の世、人道がまだ明らかではなく、鳥獣とともにあり、日夜、食を求めて争奪して一日も安らかなときはなかった。神聖（祖宗）はこれを憐れんで、推譲の道を立て、農業を教えられた。五穀が熟して衣食は豊かになり、人道は明らかになって万民は安らかになった。すえの世の民の心情はややもすれば太古にかえり、秋に田の稲穂が実ると得ようと欲し、初夏に麦畑の熟するのを見ると、得ようと欲する。ああ、自分で植えないものがどうしてこれを得ることができようか。もしこれを取れば鳥獣争奪の道じゃ。じゃによって秋に稲穂を得ることができなければ自ら植えなかった過ちを悟って麦を植えるべきじゃ。初夏に麦を得ることができなければ、稲を植えるべきじゃ。ああ、植えてその後にこれを収穫する。これが人道における推譲の道じゃ。衰えた国の君も民もこのことをよく省察しなければならない。【１０６】天道と人道は反する。なぜなら人が稲を好むのはそれを食べるためで、雑草を嫌うのは食べられないからじゃ。きれいな服を好むのはそれを着るためで、破れた服を嫌うのは着れないからじゃ。天はそうではない。草は雑草を生じ、服は破れるに任せる。どうして好んだり嫌ったりしようか。好むと嫌うというのは結局、人が衣食を十分にするかどうかにあるだけじゃ。【１０７】天道と人道とは異なる。循環自然は天の道じゃ。専ら作為を務めるものが、人の道じゃ。天道は自然に行われ、植えず収穫しない。秋の実りを争うものが鳥獣じゃ。自然に循環する天道に逆らって耕し草切りし、農業に務めて、秋の実りを食べるのが人道じゃ。よいかな、農業の道は。穀物の種一つをまけば秋の実りは千倍となる。なすの場合は万倍。人の衣食は人道に頼る。もし人が怠惰に一日を過ごし、農業に務めず、秋の実りを飽食しようと欲するなら、これは鳥獣の心ではないか。人と鳥獣とその道が異なることを両足でたとえよう。人道を左足とすれば鳥獣の道を右足とする。しきいを越えて出ようとするときに、まず左足を出すのは人道をふむのじゃ。まず右足を出すのは鳥獣の道に走るものじゃ。千里の道の大きな違いも、この両足に過ぎない。いったんしきいを出ては、左足、右足とたがい違いに行くから、人道と鳥獣の道と見分けることができない。ああ、人道と鳥獣の道と混乱することが久しい。私は天道と人道の異なる理由を明らかにし、人道と鳥獣の道と区別して説明する。人はよくこれを区別してわきまえ、人道（明日のために勤労し貯蓄、推譲する）をふみ行って、鳥獣の道（勤労せず実りを求めて争う）に走ることのないようにしなければならない。【１０８】土地を耕す方法は、一度にひと鍬ずつほりおこすことを原則とする。力がある人でも、一度にふた鍬ずつ掘り起こすことはできない。もししいてこれをすると器具を壊すだけでなく自分の体をいためる。だから大昔から土のよしあしは同じでなく、耕し方の遅い早いはあっても、一度にひと鍬ずつ進む原則をかえることができないのじゃ。このようによくひと鍬ひと鍬と少しずつ進んでいけば一畝（せ）から十畝に至り、百畝から千畝に及び、天下の田地をことごとく耕すことができる。【１０９】人が道を行くには、必ず一歩から始め、両脚を互いに移すほかに方法はない。たとえ速やかに行こうと思っても、両足を一緒にあげればひっくりかえる。ひっくり返るどころか、あるいは手足をくじいてしまう。だから大昔から二歩を一歩とする者はいない。足が強い弱いはあっても、一歩ずつ互いに進むのが天理なのじゃ。いやしくもよく一歩ずつ互いに進むならば、足の弱い者でも万里の遠くまで行きつくことができる。【１１０】鯉を得てこれを市で売れば、人は必ずこれを買い、さばいて食べ、必ず「美味だ」と言い、賞嘆される。これはその湖にある日、風や波をしのぎ、寒さや暑さを忍んで泳ぎ、昼となく夜となく、精気を知らず知らずに養って成長する。これは労苦を生前に積んで、そして栄誉を死後に受けるものではないか。人はこの理をよく考えて、労苦を忍び、精力を生前に尽くして、死後に栄誉を取るべきじゃ。【１１１】松材を切ってこれを市場で売れば、人は必ずこれを買い、たちきって用いて、必ず「良材」と言い、人々に称賛される。思うに松が山林にあるときに、風雨をおかし暑さ寒さをしのぎ、歳月に久しく耐え、いばらの中に成長する。これは労苦を忍んでその材となるものではないか。人はよろしくこの理を省みて、労苦を耐え忍んで、おのおのその職業に勤め、良材の名を取らなければならない。【１１２】小さいとき、忍耐しないものは、生育してすぐに亡びる。桃やすももがこれじゃ。小さいとき、忍耐するものは、生育して永く存する。楠の木や樫の木がこれじゃ。人も幼いときに、学問につとめ、成長して身を立て、死んで名をのこす。またあるいは幼いとき遊び怠けて、成長して家を失い、死んで名をのこさない。これは忍耐するか忍耐しないかによる。人はよろしく桃やすももを見て戒め、楠の木や樫の木を見て発奮すべきじゃ。【１１３】幸せと不幸、利益と損益は一つじゃ。思いもよらない幸いと思いもよらない災いは相対する。思いもよらない幸いの利益を分内（生計費）に入れるから思いもよらな災いが生ずる。思いもよらない幸いを分外とすれば、思いもよらない災いが生じない。また何の損益があろうか。これを米の売り買いで利をはかるのにたとえよう。米を買う資本を分外とし、米を安く買って高く売った利益を分内に入れなければ、米を高く買って安く売った損をしても、憂えることはない。【１１４】幸と不幸は一つじゃ。自分に便利なものを幸といい、自分に不便なものを不幸という。これを小刀にたとえてみよう。よく切れる小刀でよく鰹節を削れば幸とし、誤って指先を傷つければ不幸とする。鈍い小刀でよく鰹節を削れなければ不幸とし、誤っても指先を傷つけなければ幸とする。指先を傷つけないような鈍い小刀は鰹節を削れない。よく鰹節を削れる小刀はややもすると、指先を傷つける。だから、世の中のいわゆる幸・不幸というものは自分の便・不便から出るのじゃ。【１１５】天地は一年で一呼吸じゃ。入る息百八十日で万物を生じ、出る息百八十日で万物を滅する。春風は地から生じ、秋風は空から起る。だから生滅する。人の呼吸も同じで、言葉が腹から出れば事は必ず成り、背から出れば事は必ず敗れる。【１１６】弘化四年三月、信州大地震で地はおおいに振動し、山は崩れ川はふさがり、大地は割れ、泥はわき、人や家畜が多く死んだ。ある人が、震災の理を尊徳先生に聞いた。先生がおっしゃるのに、「天地はもともと一大活物で、これを人の身体（からだ）でたとえると、ちょうど、はれ物がつぶれるようなものか。」【１１７】ツバメは日本の鳥じゃ。どうして万里の海上を渡り、南の国に行くのか。雁は北国の鳥じゃ。どうして、絶海万里を渡り日本に来るのか。漁夫は陸地の民じゃ。どうして陸地を去り、ひろびろとした海へ船を浮かべるのか。これは皆、食を求めるためじゃ。あるいは絶海万里を渡り、あるいはひろびととした海に浮かび、あえて身命を顧みないのはなぜか。他でもない。食は身命より重いためじゃ。民は食をもって天となすというのも、また、もっともなことじゃ。【１１８】武は、治世の用具であって、乱世の用具ではない。これを医療で病気を治すのにたとえよう。身心が健康であって病気にかかる者は医療で治すことができる。身心が皆病むならば医療には用がない。天下が治まって辺境で乱が起るときは、武で治めることができる。天下全体が乱れるならば、武を用いる所がない。仁と譲の道だけがこれを治めることができる。孟子が「仁者に敵なし」というのは、このことを言うのじゃ。【１１９】世にいわゆる祟りというものは、皆自ら招くものじゃ。釈尊が殺生を戒め、人々はこれを信ずる。だから祟りをなすものがある。もし生き物を殺して祟りがあるものならば、人が食べるものは皆、生き物ではないか。鶏はみみずをついばみ、蛇は鶏の卵をのみ、犬は狐の子をかむ。なんの祟りがあろうか。なぜかといえば、大が小を食べ、強が弱をのむのは、自然の勢いだからじゃ。【１２０】村々にはおのおの土地台帳がある。これを称して水帳という。その名と実物とそぐわないようじゃが、水は平らであればおさまり、平らでなければ乱れ、自然と平均する徳（働き）を持っている。思うに大昔は土地の標準がまだ定まらず、山や谷や原野に高い低いの差があり、田の形も広い狭いや、四角い丸いと等しくなく、土壌の性質も肥えたところとやせたところ、乾いたところと湿ったところと同じでなく、基準とするものがなかった。そこで神聖（祖宗）が地形を測って地積を定め、産出する穀物を調べて租税を決めた。肥えた土地は狭くても租税が重く、やせ地は広くても租税は軽く、その法は公平であって、広々とした水面のようであった。これが水帳と称する根拠であろうか。【１２１】貧者は安楽のようで富者は労苦に似ている。なぜなら貧者は余分な食糧や財産がなく、鶏や犬にとられる心配がない。どろぼうに盗まれる心配もない。富者は大きい屋敷や倉があり。財産や宝物があり、失火をいましめる必要がある。窃盗を防ばなければならない。飢饉のときは貧者の心配は小さく、富者の心配は大きい。たとえば小さい草は風当りが少なく、高い木は風当りが強いようなものじゃ。ところが世の人は天分の貧を嫌って、不義の富を好むのはなぜであろうか。【１２２】貧しい民が食を求めるに、農家の主人に「よく耕作を手伝いますから、先に食事を与えて下さい」と言っても、主人は決して承知しない。もし「今日は天気がよく田を耕すのに最適です、役に立たないでしょうが手伝わせて下さい」と、一心不乱に力を尽して手伝えば、主人は必ず酒や食事で報いよう。これが自然の情であり、万事、皆このようじゃ。己を捨てて人に従い、事を先に、得るを後にすれば天下に服しない者はいない。かごに乗るに中途でかごを降り、さらに心づけをはずめば、かごかきで有難く思わない者はいない。論語に「孝弟（親を敬い兄を敬する）の至りは神明に通ず」「思わずして得る」「為すなくして成る」というのはこのことを言うのじゃ。【１２３】役に立たない男があり、暑い時節は涼しい所を求めて怠け、寒い時節には必ず暖かい所を求めて怠ける。人に雇われると、必ず多忙の家を嫌う。しかしそれを嫌っても、必ず多忙の家の雇うところとなる。これは理の必然じゃ。もし酒屋に雇われてその多忙を苦しんで、たまたま山寺がひまなのを見てこれに雇われようとする。そして山寺は歳末に多忙になって人を雇う。雇われれば多忙じゃ。また去って他に行く。去るごとにますます多忙の家の雇うところとなる。「中庸」の伝にいう。「艱難に素しては艱難を行う。君子は入るとして自得せざる無し」と。かりによくその多忙をしのんで自得するならば、必ずひまな時節が来よう。【１２４】貧農が草を刈ろうとして鎌がないのを憂い、これを隣人に借りようとする。これが貧を免れない理由じゃ。もし鎌がないことを憂えるならば、隣人に雇れて賃金を得て、鎌を買うほうがよい。一日雇われてその鎌が自分のものとなる。これが天照大神が国を開かれた道じゃ。およそ貧を免れ富を致す方法は、この理を拡充するのみじゃ。【１２５】貧富の本はただ遠きを計ると近くを計るとにある。利を遠きに計る者は、木を植えてその成長を楽しむ。まして穀物の種を蒔くにおいてはなおさらじゃ。だから富裕が身を離れない。利を近くに計る者は穀物の種を蒔くことすらなお遠いとする。まして木を植えるのはなおさらじゃ。ただ目前の利を争って種まきせずに収穫しようと欲する。だから貧困がその身を離れない。種まきせずに収穫するという理があろうか。春に種をまいて秋に収穫する。これは万世変わらない業じゃ。そして年々これを務めれば、その利は尽きることがない。これを仏の経典に福寿海無量（ふくじゅかいむりょう）と説く。【１２６】人に貧富があるのは天に陰陽があるようなものじゃ。陰が極まれば陽が生じ、陽が極まれば陰生ずる。貧が極まれば富が生じ、富が極まれば貧が生じる。陰陽・貧富が循環して止まないのが天の道じゃ。自ら努力して富を保つのが人の道じ:ゃ。何を道というか。分度がこれである。分を立て度を守れば、その富は極まりない。極まりない富で人を救済すれば、上は天命にかない、下は人心に合う。富を保つ道、これに過ぎるものがあろうか。【１２７】人に貧富があるのは、どうして偶然であろうか。必ず由って来るところがある。財は倹約する者に集まり、おごる者に散じる。なぜなら収入が百で、支出が百なら貧でもなく、富でもない。収入が百で支出が八十なら財が集まって富む。収入が百で支出が百二十の者は財が散じて貧しい。そうであれば貧富の本は、支出が分度の外に進むかと分度の内に退くかの二つの道のみじゃ。分度内に退く者は天に合致する。分度外に進む者は天にそむく。だから事をなせば必ず敗れ、貧困に自ずからなってしまう。貧富がどうして偶然であろうか。【１２８】貧民を救うに時あり。なお種まきに時があるようなものじゃ。春・夏の時があり、秋・冬の時がある。その時を得てこれを救えば繫栄することができる。もしその時を失うならば、単に繁栄しないのみか、かえって消滅を促す。私の道を行う者は知らなければならない。【１２９】なすの苗を植える者が、その苗が根を生じる時にこれを動かせば枯れる。動かさないで肥料をやれば、根が生じ幹が成長する。幹が成長すれば実を結ぶ。無利息貸付金を借りる者は、あるいは五年、あるいは七年、あるいは十年と、約定の年限ごとに毎年償還し、その後、家の暮しがよくなる。家の暮しがよくなれば百事成る。もし償還を待たずに、あるいはむこを入れたり嫁をめとったり、あるいは馬屋をつくり農馬を買い、あるいは衣服をつくり家具を整えれば、負債は更に生じて暮しが困窮する。思わなければいけない。【１３０】貧富・貸借があるのは自然の勢いである。これを男女の道にたとえよう。男は体に余っている所があり、女は足らない所がある。男は余っている所を女に貸し、女は足らない所があり、これを男に借りる。男女が貸し借りて和楽する。だから子孫が生じる。富者は財が余り、貧者は財が足りない。富者は余っている所を貧者に貸し、貧者は足りない所があり、これを富者に借りる。貧富が貸し借りして和楽する。だから財産が生ずる。これを男女が和して子孫が生じ、貧富が和して財産が生じるという。【１３１】天下の財産は川の水のようなものじゃ。よく泳ぐ者は、水を得て渡る。よく泳がない者は、水に溺れる。よく倹約する者は、財産をもって身を立て家を興す。よく倹約しない者は、財産をもって家を亡ぼし身を失う。同一の財産で、一つはもって幸いを得、もう一つはもって災いを得る。同一の川の水で、一つはもって水を渡り、一つはもって身を溺らせる。思わなければならない。【１３２】商人で千金の資金を持つ者が、その半分の資金を商売の元手とし、その半分の資金を寝かせるなら価格の安い物資が集まってきて利益が多い。これが商人の道じゃ。更に店の品物のいくらかを分外とし原価で売れば、このために利益が多くなる。これもまた商人の方法じゃ。なぜならば物の価格が安ければ買手どころか、路上の人すら足を止めよう。物価が高ければ買手もかえりみず、ましてや路上の人が足を止めようか。千金の資本で千金の商売をするのすら、人は危ぶなかしく思う。まして千金の資本で二千金の商売をして、失敗しない者はほとんど稀れじゃ。【１３３】商人が高利を貪らなければ、天下の売買は皆ここに集まる。天下の売買が皆集まれば、商人として大きく富むのは必然じゃ。これはあえて高く買って安く売るからではない。ただ高利を貪らないからで、商人が高利を貪らないだけでこのとおりじゃ。まして私の無利息金貸付法はなおさらじゃ。どうして高く買って安く売るのたぐいであろうか。【１３４】農業はなかば天（自然）にしたがい、なかば天に逆らい、順逆があいまって成る。これを水車にたとえよう。水車はなかば水中に入って順流にしたがい、なかば水上に出て逆流にしたがい順逆あいまって循環を全うする。もし丸ごと水中に入り、丸ごと水上に出れば循環を失う。原野のぼうぼうとしたのは天で、農業はそれに逆らってこれを開墾する。春に生育するのは天で、その天にしたがって種まきをする。秋に枯れるのは天で、その天にしたがって収穫する。これはなかばその天にしたがい、なかば天に逆らうことではなか。その天にしたがって、種まきの時を失わない。なかば天に逆らって農耕を怠らないものが、人の道じゃ。【１３５】およそ培養をなす者は、お客を丁寧にもてなすようにしなければならない。そしてこれに水や肥しをかけるにも時があり、これをちらしかけるにも分がある。苗しろに培養するとき、苗をさすときイワシの肥料を与えれば、苗が豊かに実り緑色をます。苗をさせば新しい芽が生じて成長する。これは女の子を養育するのと同じで、常に倹約・質素にし、嫁ぐに臨んで、嫁入り道具を豊かにすれは、嫁入り先によいようなものじゃ。きびを植えるとき、初めはやせほそるにまかせ、穂をぬく時に肥料を施せば、長い穂を生ずる。これは多くの子を養って、常に労苦し、むこに出すにあたってしたくを豊かにすれば、その家庭によいようなものじゃ。すべて培養するにはこのような方法がある。しかし肥料も分を過ぎれば実を結ばない。糞土に生ずるもので実るものは無い。実るものは、たで草、水ひえと、必ず人の役に立たないものじゃ。人もまた同じで、富んだ家で常に衣食におごる者には子が無い。もし子があれば、必ずかたくなで愚かな者であり、世の中に役立たない者じゃ。【１３６】古人は、陰徳があれば必ず陽報ありと言った。これを農業に励むことと、学問に勤めることにたとえよう。春夏、力を耕作に励む、これが陰徳で、そして秋に収穫する、これが陽報じゃ。朝から夜まで心を学問に勤める、これが陰徳で、そして禄位・栄誉を受ける、これが陽報じゃ。柴を刈る子供がやかましく叫び、学生の読書する声、これはもとより陰徳で、なぜなら陽報を得る資本だからじゃ。世の中の人はただ隠れて財を施すことを陰徳とするのは一を知って二を知らないものじゃ。【１３７】原野に野ぐそをすれば、それを肥料としてヨモギが生長する。霜が降れば枯れ、こがらしが吹けば落葉がヨモギの株に集まり、野火にあって灰になり、雨にあってうるおい、翌年の春、大きいヨモギを生ずる。これは他でもない。野ぐその陰徳による。財産の貧富におけるもこれと同じで、陰徳がある者は財産が必ず集ってきて富み、陰徳が無い者は財産が必ず散じて貧しい。【１３８】ひょうたんをつくるには、一本の根にイワシかす二升、もみがら二升を入れなければ、その実が丸く大きくならない。その後、耕してアブラナをまけばその畑は必ず繁殖する。いわゆる積善の家には必ず余慶あり、陰徳あれば必ず陽報ありとはこのことを言うのじゃ。【１３９】世の人は勤労して欲深くけちで富を得て、大きな屋敷をつくり蔵を建て、これを子孫に伝えて、長久を保つとする。これを堅い氷を積むのにたとえよう。氷の質は鉄や石のように堅いが、もとは寒気に凍ったものじゃ。だから暖気がひとたび来れば解けてしまう。中国の猗頓（いとん）のような大富豪も勤労と節倹によってなる。だからおこたり・ぜいたくがひとたび生ずればくずれる。もし長く氷をたくわえようと望むならば、氷室（ひむろ）におさめなければならない。永くその富を保とうと欲するならば、分度を立て経費を制限し、おこたり・ぜいたくを禁じ、勤労・倹約を守り、余財を推し譲って、困窮した者を憐れみ、陰徳を積んで永久に保つことを計るべきじゃ。【１４０】事の成否は、恩を記憶するか、恩を忘れるかによる。前に受けた恩を記憶してこれに報いようとする者は、事を成そうとすれば必ず成功する。前に受けた恩を忘れて、後の恩を貪ろうとする者は、事を成そうとすると必ず失敗する。だから成功と失敗とは、恩を記憶するか忘れるかにある。【１４１】報徳の心がある者は必ずその家を富ませる。報徳を忘れる者は必ず貧困を免れない。これは理の必然じゃ。人が食事をするのに、炊事道具や皿・茶わんを用いる。食べ終わってこれを洗うのは、また用いるためか。もし食べる米が既に尽きて、またこれを用いて放置する。これは日用の徳を忘れるもので、このような者は一生貧困を免れない。もし餓死しようとしても、これを洗って台所の戸棚に収納する。このような者は必ず家を富ませる。貧富・得失は徳に報ずるのと、徳を忘れるとにあるのみ。【１４２】刑罰を用いないで悪をこらしめる。これには方法がある。これを斧で大木を倒すのにたとえよう。そもそも大木の根を張りめぐらしているのをきるのは難しい。だから根を張っていない土地をグルリと掘っておけば、大木は風雨にあうとおのずから倒れる。仏教でいう五逆消滅、即心成仏というのがこれじゃ。【１４３】国の君主が人民をあわれまなければ、人民は税を逃れるのを利益だと思うようになる。家の主人が下男を愛さなければ、下男は怠けることを得だとするようになる。これは自然の勢いじゃ。いやしくもこのようであれば、国は廃れ、家は衰える。その損害は大変に大きい。君主と人民、主人と下男は、たとえば一本の木のようじゃ。その根を培養すれば、枝や葉は茂り、花や実は盛んに美しくなる。君主が人民をあわれむならば、人民は仕事に励んで租税を納め、家の主人が下男を愛すれば、下男も勤めて忠を尽くすようになる。これもまた自然の勢いじゃ。いやしくもこのようであれば、国は興り家はさかえよう。その利益はこれより大きいものはない。【１４４】柱の礎（いしずえ）が深く地に入るものは、とても重くこれを動かそうとしても動かないものじゃ。柱の礎が浅く地に入っているものは、軽く浮いてこれを動かそうとしなくてもおのずと動いてしまう。人の心を立てるのもまた同じじゃ。誠の有る者はとても重く、誠の無い者は軽く浮いている。それは柱の礎が深く地に入るか、浅く地に入るかを見るようじゃ。【１４５】世の人は金銭を尊んで、米穀を賤しむ。これは本末を知らないものじゃ。米穀は本で、金銭は末じゃ。なぜかといえば一日でも米穀がなければ飢えてしまう。金銭があったとしても、米穀を得ることができず、食べることができない。もし金銭で田をうずめても、繫殖することはできない。繫殖することができなければ、米穀がない。米穀がなければ、飢えがすぐに来る。そうであれば金銭を取り除いて作付けをしなければならない。いやしくも作付けして繫殖すれば、米穀を得る。米穀を得て、その後に金銭は用を為すのじゃ。どうしてその本末を思わないでよかろうか。【１４６】論語（顔淵篇）に、魯の哀公が「今年は凶作で、国費が足らないが、どうしたらよいか」と尋ねたのに対して、有若が、「どうして昔のとおり十分の一の税率に切り下げないのですか」と答えたという。まことに良い言葉じゃ。私はあるとき人夫を諭してこう言った。「人夫賃を一日三百文取って足らなければ、二百文取れ。二百文取って足らなければ、百文取れ。百文取って足らなければ、何も取らないで働け。そうすれば決して足らないことはない」と。これは有若が言ったのと同じ意味じゃ。【１４７】管子（斉国の宰相・管仲）は言う。「衣食足りて礼節を知る」と。なんと素晴らしい言葉か。今、食べ物を子どもに与えるとしよう。腹に満たなければ泣き、すでに満腹すればそれ以上食べない。まして成人はなおさらじゃ。欲深い人間でも、飽きれば必ず譲る。これこそが真の礼儀ではないか。【１４８】尊徳先生は、論語の幾諌（きかん）の章を読まれた。「子曰く、父母に事(つか)えては幾(ようや)くに諌(いさ)む。志の従われざるを見ては、又敬して違(たが)わず、労して怨みず。」そしてこう言われた。「まことに善いことだ。人の子が父をいさめる道はまことにこうあるべきじゃ。ただ父をいさめる道だけではない。およそ物事に対処するには、すべてこのように、いくたびも心を尽していさめ、自分が願うとおりに従われなかったとしても、敬してたがわない、苦労してもうらまない、このようにするべきじゃ。」【１４９】争論が発するのはおのおのがその立場を定めないからじゃ。いやしくも立場を定めたならばどうして争論が生じよう。今、東西を論ずる者があるとする。東にある者は西とする。米価を論じて、高いことをよいとする者は、米を売る者じゃ。低いのをよいとする者は、米を買う者じゃ。かぼちゃを論じてツルを喜ぶ者は、生え始めの時で、ツルを嫌がるのは実を食べる時じゃ。遠近を論じて近くてよかったとするのは、用をたす場合であり、遠くてよかったというのは失火の場合じゃ。一切の事を論ずる場合、それぞれその立場を定めれば、是非ははっきりして、どうして争論など起こることがあろうか。【１５０】農業をするのは農家の常じゃ。愚かな者でもこれを知る。ただ力を用いることが、分外に進むならば、秋になれば収穫が多くなる。秋の収穫が多くなれば、その家は必ず富む。農業によって富を得る方法がほかにあろうか。父母を養うことは人の子の常じゃ。かたくなな者でもまたこれを知っている。ただ力を用いることが分外に進めば、父母は必ず喜ぶ。父母が必ず喜べば、これを孝という。そもそも孝とは自分の徳を修めるものじゃ。人として徳を修める方法がほかにあろうか。【１５１】人生、安楽を好む。何を安楽というか。春植えて秋収穫する、これじゃ。作物を植えれば生じ、生ずれば生長し、生長すれば花が咲き、花が咲けば実が実る。だから作物を植えてその生長を楽しみ、花や実を楽しみ、これを食べれば、身は安らかで心は楽しむ。これが本当の安楽ではないか。

2018年09月15日

北海道の比布町立図書館と静岡県三島市が「八田與一と鳥居信平」を蔵書としていただいた、感謝

一番重いカボチャどれ？　佐呂間でコンテスト　比布・渋谷さんＶ４09/03 【佐呂間】巨大カボチャの重量を競うコンテストが２日、オホーツク管内佐呂間町で開かれ、１９７・２キロのカボチャを育てた上川管内比布町の渋谷興二さん（７８）が優勝した。　町特産のカボチャにちなんだイベント「シンデレラ夢２０１８」（実行委主催）の中で行われ、今年で３１回目。昨年のコンテストは台風が接近していたため中止になり、２年ぶりの開催となった。北斎、広重作品１５０点　三島・佐野美術館で展覧会（2018/9/9 08:17）江戸時代後期に活躍した葛飾北斎と歌川広重の浮世絵版画を集めた展覧会「江戸にあそび、街道をゆく　北斎・広重競（くら）べ」（静岡新聞社・静岡放送など主催）が８日、三島市の佐野美術館で始まった。１０月１４日まで。　大阪府の和泉市久保惣記念美術館の協力を受け、６千点以上のコレクションから厳選した約１５０点を出品。北斎、広重が描いた東海道五十三次の作品を、県内の宿場町を中心に対にして展示した。来場者はそれぞれの表現の違いを見比べ、楽しんでいる。　担当学芸員の河内えり子さん（４７）は「県内ゆかりの作品が集まっている。江戸時代の文化なども感じてくれたら」と話している。９月１５日、１０月１３日には、河内さんによるギャラリートークを行う。　入館料は一般・大学生千円、小中校生５００円。木曜休館。問い合わせは佐野美術館＜電０５５（９７５）７２７８＞へ。平成30年9月10日現在「八田與一と鳥居信平」所蔵館全１８６館国立国会図書館　１件都道府県　２３件岩手県　山形県　福島県　茨城県　埼玉県　東京都　神奈川県　富山県　静岡県　愛知県石川県　奈良県　和歌山県　岡山県　広島県　徳島県　香川県　福岡県　長崎県　佐賀県　熊本県　鹿児島県　鹿児島県立奄美市立図書館　１０３館北見市　帯広市　富良野市　恵庭市　別海町　京極町　佐呂間町　比布町　八戸市　五戸町　二戸市　久慈市　名取市　奥州市　遠野市　岩泉町　金ヶ崎町　本宮市　会津若松市　南会津町　郡山市　相馬市　新地町　須賀川市　鹿沼市　那須烏山市　真岡市　富岡市　さいたま市　横浜市　厚木市　大和市　小田原市　伊勢原市　秦野市　海老名市　御殿場市　浜松市　菊川市　掛川市　磐田市　袋井市　静岡市　下田市　富士市　裾野市　三島市　川根本町　森町　白馬村　愛西市　安城市　武豊町　富山市　滑川市　黒部市　金沢市　羽咋市　加賀市　白山市　輪島市　能登町　野々市　小松市　七尾市　内灘町　あわら市　大阪市　松江市　防府市　藍住町　牟岐町　吉野川市　三好市　北島町　鳴門市　阿南市　阿波市　小松島市　松茂町　海陽町　徳島市　新居浜市　西条市　大洲市　高松市　丸亀市　善通寺市　宿毛市　南国市　いの町　佐世保市　唐津市　臼杵市　上天草市　都城市　小林市　薩摩川内市　日置市　姶良市　与論町　指宿市　北谷町大学図書館　５９館東京大学　京都大学　北海道大学　東北大学　九州大学　九州大学理系　小樽商科大学　弘前大学　岩手大学　福島大学　宇都宮大学　福井大学　神戸大学　徳山大学　高知大学　福岡大学　長崎大学　大分大学　高崎経済大学　聖隷クリストフアー大学　武庫川女子大学　桐蔭横浜大学　聖心女子大学　放送大学学習センター　酪農学園大学　沖縄国際大学　高崎経済大学　東京農業大学　駒沢大学　敬和学園大学　鹿児島純心短期大学　山梨学院大学　鹿児島短期大学　立命館アジア太平洋大学ライブラリ　水産大学校　東北学院大学　鳥取短期大学　北海道教育大学　宮城教育大学　四天王寺大　創造大学　東洋大学　法政大学　東海大学　東京女子大学　静岡文化芸術大　国学院大　高知工科大学　室蘭工業大学　金沢工業大学　石川県立大学　玉川大学　北海学園大学　日本女子大学　国学院大学　早稲田大学　神戸国際大学　九州産業大学　大倉山精神文化研究所

2018年09月10日

石川県の小松市立図書館と七尾市立図書館が「八田與一と鳥居信平」を新たに郷土図書として蔵書としていただいた。

石川県の小松市立図書館と七尾市立図書館が「八田與一と鳥居信平」を新たに郷土図書として蔵書としていただいた。石川県は徳島県のAさんのやり方にならって、ローラー寄贈を行ったところである。徳島県ほどではないが、かなりの収蔵率となっている。感謝します。平成30年9月10日現在「八田與一と鳥居信平」所蔵館全１８４館国立国会図書館　１件都道府県　２３件岩手県　山形県　福島県　茨城県　埼玉県　東京都　神奈川県　富山県　静岡県　愛知県石川県　奈良県　和歌山県　岡山県　広島県　徳島県　香川県　福岡県　長崎県　佐賀県　熊本県　鹿児島県　鹿児島県立奄美市立図書館　１０１館北見市　帯広市　富良野市　恵庭市　別海町　京極町　佐呂間町　八戸市　五戸町　二戸市　久慈市　名取市　奥州市　遠野市　岩泉町　金ヶ崎町　本宮市　会津若松市　南会津町　郡山市　相馬市　新地町　須賀川市　鹿沼市　那須烏山市　真岡市　富岡市　さいたま市　横浜市　厚木市　大和市　小田原市　伊勢原市　秦野市　海老名市　御殿場市　浜松市　菊川市　掛川市　磐田市　袋井市　静岡市　下田市　富士市　裾野市　川根本町　森町　白馬村　愛西市　安城市　武豊町　富山市　滑川市　黒部市　金沢市　羽咋市　加賀市　白山市　輪島市　能登町　野々市　小松市　七尾市　内灘町　あわら市　大阪市　松江市　防府市　藍住町　牟岐町　吉野川市　三好市　北島町　鳴門市　阿南市　阿波市　小松島市　松茂町　海陽町　徳島市　新居浜市　西条市　大洲市　高松市　丸亀市　善通寺市　宿毛市　南国市　いの町　佐世保市　唐津市　臼杵市　上天草市　都城市　小林市　薩摩川内市　日置市　姶良市　与論町　指宿市　北谷町大学図書館　５９館東京大学　京都大学　北海道大学　東北大学　九州大学　九州大学理系　小樽商科大学　弘前大学　岩手大学　福島大学　宇都宮大学　福井大学　神戸大学　徳山大学　高知大学　福岡大学　長崎大学　大分大学　高崎経済大学　聖隷クリストフアー大学　武庫川女子大学　桐蔭横浜大学　聖心女子大学　放送大学学習センター　酪農学園大学　沖縄国際大学　高崎経済大学　東京農業大学　駒沢大学　敬和学園大学　鹿児島純心短期大学　山梨学院大学　鹿児島短期大学　立命館アジア太平洋大学ライブラリ　水産大学校　東北学院大学　鳥取短期大学　北海道教育大学　宮城教育大学　四天王寺大　創造大学　東洋大学　法政大学　東海大学　東京女子大学　静岡文化芸術大　国学院大　高知工科大学　室蘭工業大学　金沢工業大学　石川県立大学　玉川大学　北海学園大学　日本女子大学　国学院大学　早稲田大学　神戸国際大学　九州産業大学　大倉山精神文化研究所

2018年09月10日

「ちびまる子ちゃん」のマンホールのふた

漫画「ちびまる子ちゃん」の作者で、静岡市清水区（旧清水市）出身の故さくらももこさん（享年53）がデザインしたマンホールのふたが6日、JR清水駅江尻口バス乗降所付近に設置された。設置に先立ち、さくらさんを悼んで、静岡市の田辺信宏市長らが黙とう。田辺市長は「生前最後のオリジナル作品。さくらさんの素晴らしい業績をたたえたい。多くの方にデザインを見ていただきたいです」などと述べた。このふたは、さくらさんが8月7日、市に寄贈していた。昨年10月、市に持ち掛け、2枚が制作された。清水駅前のものは、まる子ちゃんの背景に富士山や駿河湾が描かれている。もう1枚はまる子ちゃんの背景に茶畑などが描かれ、7日に静岡鉄道新静岡駅近くに設置される予定。さくらさんは寄贈に際し、「まる子のマンホールもあればかわいいと思い、相談しました。皆さんに喜んでいただけるとうれしいです」とメッセージを寄せていた。

2018年09月08日

平成３０年北海道胆振東部地震

＜北海道震度７＞平成３０年北海道胆振東部地震と命名　気象庁は６日夕、北海道厚真（あつま）町で震度７を記録した地震について、「平成３０年北海道胆振（いぶり）東部地震」と命名したと発表した。【最上和喜】(毎日新聞)札幌市内は全域が停電しており、都市機能がマヒ状態に陥っている。　札幌市内の信号機は一部をのぞき停止している。都心部の大通公園近くの交差点では、警察官が交差点中央に立ち、笛を吹きながら交通整理をしていた。警察官がいない交差点では、車が一時停止をしながら交差点に進入し、交互に譲り合いながら走っていた。市内では渋滞が発生している。車同士が出合い頭に衝突しそうになりクラクションを鳴らしあう光景もみられた。　大通公園の地下を通る市営地下鉄の大通駅は閉鎖されており、入り口はシャッターで閉められたまま。入り口周辺は通勤客らがスマートフォンを見ながら情報収集していた。　市内の会社員男性（４２）は、午前７時半から１時間ほど待ち続けた。「そのうち再開すると思っていたが、時間がかかりそう。仕方ないのでタクシーで職場に向かいます」と話す。大通公園駅では、大きなスーツケースを持った観光客らが多く見られた。中国から個人旅行中の３人組みの女性（２９）は「地下鉄が走ってくれないとどこにも行けない。楽しみにしていたのに運が悪い」と眉をひそめた。　都心から１０分ほどの閑静な住宅街に位置する円山公園駅の入り口でも、利用者が次々に訪れては「閉鎖中」の貼り紙を見て帰っていった。午前９時過ぎに来た市内の無職男性（８０）は「ずっと札幌で暮らしているが、これまでは地震で停電しても、２、３時間で復旧していた。こんなに長い停電は初めてだ」と話した。テレビも見られず、スマホも持っていないため情報がまったく入手できないという。「電気がないとこんなに不便になることを思い知った」と話していた。　近くのドラッグストアに勤める店員男性（５３）は、停電のためシャッターが開かない店の前で、店の上司に電話で連絡を取っていた。「どうしたらいいのかわからない。とにかく早く復旧してほしい」と、困惑した様子を話した。　市内のコンビニエンスストアやスーパーには、食料品を買い求めようとする客で長蛇の列ができた。一部のコンビニでは店を開けており、入れる人数を制限し手動で手打ちをしながら営業していた。カップ麺や栄養補助食品などを買い物かごいっぱいに買った主婦（４６）「停電で冷蔵庫が使えないので生物は控えた。幸いガスと水道が使えるので、復旧まで何とかしのぎたい」と話していた。（斎藤徹）６日午前３時８分ごろ、北海道胆振地方を震源とする地震があり、震度７を観測した。気象庁などによると、震源の深さは約３７キロ、地震の規模を示すマグニチュードは６・７と推定される。厚真町などで多数の家屋の倒壊や土砂崩れが発生し、生き埋めの人がいる模様だ。北海道電力によると、道内のすべての火力発電所が停止し、道内全戸の約２９５万戸が停電している。北電によると、厚真町の苫東厚真発電所（石炭火力）に大きな被害が出てダウンしたため、電力の需給バランスが崩れ、ほかの火力発電所などが連鎖的にストップしたという。　電力復旧のめどは立っていない。北電は水力発電所を立ち上げ、供給の再開を急いでいる。　原子力規制委員会や北海道電力によると、北海道電力泊原発（北海道泊村）の外部電源が喪失した。非常用ディーゼル発電機によって、燃料プールにある使用済み核燃料の冷却は継続しており、午前４時現在、異常は確認されていないという。ディーゼル発電機の燃料は、少なくとも７日分は確保されているという。　ＪＲ北海道は６日朝の始発から全線で運転を見合わせた。復旧のめどはたっていない。札幌市営地下鉄と市電も停電のため、始発から運転を見合わせている。　新千歳空港は午前５時４０分現在、全館で停電している。旅客ターミナルビルで水漏れが発生し、受付カウンターの一部が破損している。　胆振東部消防組合（厚真町）によると、午前５時半現在、「民家が倒壊している」との情報が厚真町内で６件、土砂崩れによる民家倒壊の情報が厚真町内で３件寄せられた。道路が液状化によって寸断されている場所があり、救助にいけない場所もあるという。停電が続く中、１１９番通報が相次いでいるという。厚真町消防に入った情報によると、町内で１０棟が倒壊し、生き埋めの人がいるという。人数は不明だ。　苫小牧市役所によると、市内在住の８２歳男性が階段から転落して心肺停止、そのほか９人がけがを負ったという。同市立病院には男性が骨折で搬送されている。市内ではガス臭がするとの情報も入っている。同市役所の職員は自宅で大きな揺れを感じた。立っていられないほどの強さで、揺れは１分ほど続いたという。　室蘭市の新日鉄住金室蘭製鉄所構内にある三菱製鋼室蘭特殊鋼によると、製鉄工場から出火した。ただ午前６時１０分現在、ほぼ鎮火し、人的被害や施設の大きな被害はないという。

2018年09月06日

「日本はヨシダがすごいすごいと言っているが、韓国にもあのくらいの選手はいる。特別な選手ではない」「」

【Ｕ１８アジア選手権】韓国が挑発発言「吉田輝星なんて…」「日本は時代遅れ」9/5(水)「第１２回ＢＦＡ　Ｕ１８アジア野球選手権大会」高校日本代表は４日、ＫＩＲＩＳＨＩＭＡサンマリンスタジアム宮崎で行われたスリランカ戦に１５―０の６回コールドで勝利。初戦の香港戦に続く大勝で、スーパーラウンド進出を決めた。次戦は最大のライバル・韓国戦となるが、韓国側からは日本のエース・吉田輝星投手（３年＝金足農）と日本代表に向け、「挑発発言」の数々が飛び出し、不穏なムードとなっている。　この日、アイビースタジアムで香港を相手に４１―０と日本以上のワンサイドゲームを演じた韓国代表のキム・ソンヨン監督は「ご覧の通り。韓国のレベルは高く、香港はそうではなかった。それがそのままこういう展開になった。パワーが売りのチームで、それが出た結果」と淡々と話した。　日本戦に向けては「燃え上がるというよりも、平常心で行くだけ。甲子園の試合は全部見た。ヨシダはいい選手だし意識しているが、今さらという感じかな。対策？　ウエートトレーニングと（頭を指さし）ここを使ってね。日本はヨシダがすごいすごいと言っているが、韓国にもあのくらいの選手はいる。特別な選手ではない」と、まずはジャブ程度の挑発発言を放った。　微妙なムードになりかけた中、さらに本紙がキム監督を直撃すると、吉田が甲子園６試合で８８１球を投じたことについて「韓国ではそんなことは絶対にさせない。１０５球の球数制限のルールはとっくにあるからね。日本は今大会から初めて導入されて戸惑っているのかもしれないが、はっきり言って時代遅れ。ヨシダはまだ若い選手で、この先の選手生命は長い。韓国は有望な選手の人生を酷使で奪うようなことはしない。私が仮に今大会で日本を指揮するなら、ヨシダを登板させることはしないよ」と一刀両断。　さらには「酷使しないためにはどうするかって？　私だったらヨシダのような投手を３枚、４枚と揃えるね。実際今回はそういう選手が揃っている。だから負けることはない」と言い切った。　だが、挑発発言はキム監督だけでは終わらなかった。　韓国代表のある選手は「日本は甲子園で活躍するとあっという間に話題になるけど、韓国ではすごいプレーヤーがいても野球自体がそこまで取り上げられないからね。でも、話題にならないだけでヨシダみたいな選手はたくさんいる。うらやましいところもあるけど、日本は騒ぎすぎじゃないかな」と、知名度先行の見掛け倒しだと言わんばかり。吉田フィーバーを「騒ぎすぎ」と一笑に付した。　もともと韓国は日本に対するライバル意識が強く、対抗したい気持ちはわからないでもないが…。日本のエースもずいぶん軽く見られたものだ。　その吉田はこの日、試合途中からブルペンで変化球を交えて５０球を投げ込み「まだ投げるかはわからないが、準備はしっかりしている。（韓国は）日本のシャープなスイングとは違って、１番から９番までホームランを狙って大きいスイングをしてくる印象。直球も生きてくると思うので、しっかり空振りを取れるようにしたい。絶対勝ちたいと思います」と韓国戦を前に闘志をみなぎらせた。２大会連続の優勝に向けて、韓国は避けては通れない相手。吉田にとっても日本代表にとっても、負けられない戦いとなる。＜試合方式＞１次ラウンド（Ｒ）は４チームずつＡ、Ｂの２組に分かれ、各組上位２チームがスーパーＲに進む。Ａ組は日本と韓国、Ｂ組は中国と台湾のスーパーＲ進出が決定。進出したチームの１次Ｒの対戦成績は持ち越される。スーパーＲでは別組の２チームと対戦。計３試合の成績上位２チームが決勝、３、４位チームが３位決定戦に進出する。中国と台湾は力が落ちることから決勝が日本と韓国の再戦になる可能性は高い。＜球数制限＞今大会から採用され、１人の投手が投球可能な球数は１０５球に定められた。それ以上、投げた場合は中４日の休養が義務付けられた。イニング中に上限に達した場合、対戦中の打者には最後まで投げることができる。５０球以上投げた場合は中１日空ける。３日連続登板すると球数に関係なく４日目は登板できない。

2018年09月05日

舘ひろしが最優秀男優賞　モントリオール映画祭　「舘さんが10行くらいのセリフを言うんですよ！なんだ、やればできるじゃん！って（笑）。僕はそのセリフを目の前で聞いていて、ちょっと感動してウルウルしました」

舘ひろしが最優秀男優賞　モントリオール映画祭で　高倉健さんも過去に受賞9/4(火) 俳優の舘ひろしが、４日（現地時間３日）に行われた第４２回モントリオール世界映画祭で「終わった人」の演技で最優秀男優賞を受賞した。同映画祭で最優秀男優賞を受賞した俳優は９９年に「鉄道員」での高倉健さんがいる。同映画祭では、木村大作監督の「散り椿」が、準グランプリに相当する審査員特別賞を受賞している。舘は、「終わった人」で定年を迎え、悲哀に満ちたエリートサラリーマン役。仕事一筋だったことから、定年後は時間をもてあます毎日。再就職を求めるも高学歴、高職歴のプライドから思うように仕事が見つからず…。そんな定年男性をコミカルに演じきった。　舘の所属事務所は同映画祭審査員の「作品としては現代社会の変化をうまくとらえて描いていてとてもよかった。舘さんが定年前から定年後の主人公の心の変化を見事に表現していた。主人公が人生にくだびれた人物から、モダンに変化していく様は素晴らしかった」とのコメントを発表した。　同映画祭で、最優秀男優賞を受賞したのは９９年の高倉健さん、最優秀女優賞は８３年の「天城越え」の田中裕子、２０１０年「悪人」の深津絵里がいる。舘ひろし、主演作に3行以上のセリフが！あぶデカ仲間ベンガル「やればできるじゃん」2018年5月10日「終わった人」の完成披露舞台挨拶が、本日5月10日に東京・東京国際フォーラムにて開催され、キャストの舘ひろし、黒木瞳、広末涼子、田口トモロヲ、ベンガル、監督の中田秀夫、原作者の内館牧子が登壇した。本作は、大手銀行のエリートコースを外れ定年を迎えた男・田代壮介を主人公にしたコメディ。館が壮介を演じ、美容師として忙しく働く壮介の妻・千草に黒木瞳が扮する。初の夫婦役となる舘との共演について、黒木は「舘さんとは長い長いお付き合いをさせていただいておりますので、長年連れ添った夫婦の空気感が出せるんじゃないかと、自信を持ってオファーをお受けしました」と話す。過去に恋人役は演じたことがあることから、舘は「ドラマで、一緒にお風呂（温泉）に入ったこともある」とニヤリ。続けて「今までは受ける芝居が多かったのですが、今回はアドリブも許されたので楽しくやりました。フラフラした芝居をしていたんですが、黒木さんが正統派の芝居でそこにいてくれるのでやりやすかったです。黒木さんを信じてこの映画をやりました！」と感謝を述べた。黒木は現場を「舘さんはすごくダンディで気配りが利く方。飲みたいときに『コーヒー飲むか？』と言ってくれて、かゆいところに手が届くような感じです。でも壮介は真逆で、かゆくもないところを掻いてくれるような人（笑）。そういう舘さんを見ることができて新鮮でした」と回想し、舘と中田の様子を「男同士のミーティングをなさって、ずっとニタニタしていた」と証言。それを受け舘は「壮介がいやらしい写真を見ようと思って（雑誌の）袋とじを開けるシーンがあるんですけど……もう、これはまるっきり監督のアイデアです（笑）」と責任を放棄してみせた。舘の大ファンだという広末は「小学校の頃『あぶない刑事』が大好きで。柴田恭兵さんの走り方をまねしていたくらいです」と明かす。また「あぶない刑事」で舘と共演したベンガルは「『あぶない刑事』でアドリブをやるとしたら柴田恭兵さんか、浅野温子さんか、僕くらいで、舘さんはやらない。『俺は脚本通りにしか言わないよ』と言いながらも3行以上のセリフは短くカットしちゃうんですよ（笑）」と暴露しつつ、本作終盤での共演シーンに関して「舘さんが10行くらいのセリフを言うんですよ！なんだ、やればできるじゃん！って（笑）。僕はそのセリフを目の前で聞いていて、ちょっと感動してウルウルしました」と笑いを起こした。広末涼子に「あぶない刑事」ファンだったと告白され、照れる舘ひろし。広末涼子に「あぶない刑事」ファンだったと告白され、照れる舘ひろし。最後に舘は「定年を迎えた方、迎えそうな方には非常に参考になる映画だと思います。定年は終わりではなく、次のステージの始まりだと感じさせてくれる作品です」とアピール。そして黒木は、これから本編を鑑賞する観客へ「舘さんが本当にかわいい。こんなに無防備な舘さんは初めて見ました。定年した人は戦うものがない、名刺もない、プライドもない、そんな無防備な状態なんだなと思いました。そんな舘さんをご覧になれば、きっとがんばろうという気持ちになれると思う。たくさん笑って楽しんでいただけたら」と語りかけた。「終わった人」は、6月9日よりロードショー。舘ひろし、モントリオール映画祭で最優秀男優賞　会見で喜び爆発「感謝の気持ちでいっぱい」2018年09月04日俳優の舘ひろし（68）が、6月に公開された主演映画『終わった人』（英題『LIFE IN OVERTIME』）で、『モントリオール国際映画祭』ワールド・コンペティション部門で最優秀男優賞を受賞（現地時間3日夜）。これを受けて4日、都内で行われた会見に出席した舘は「本当にありがとうございます。自分の芝居で、最優秀男優賞なんてものをいただけるとは43年間やってきて思ったことは一度もなくて、本当なのかなという気持ちとどうなっているんだっていうのが正直なところでございます。良かったです」と喜びをかみしめた。　1999年の『鉄道員』で高倉健さんが受賞して以来の快挙。「高倉さんはずっと大スターなので私なんぞと一緒に…。でも、同じ賞を受賞できて光栄です」と謙そん。「芝居には全く自信がないままできました。この賞がいただけたのは、きっと中田（秀夫）監督の演出だったり、内館（牧子）先生の原作、一緒にやってくれた黒木（瞳）さんだったり、ほかの俳優さんたちが僕をそこへ持っていってくれんじゃないかなと感謝しています」と言葉に力を込めた。　受賞を知った時の状況については「きょうの午前中ですね、10時半くらいですか。アシスタントから電話がかかってきて、本当は（定期検診で）病院に行くはずだったので、それを忘れていたことと、そのついでに『モントリオールでもらった』ということを聞きました」とにっこり。「連絡しようと思ったら、すぐに渡（哲也）から連絡がありまして『おい、お前良かったな』というふうに言われました。いつも『それ以上、うまくなるな』と言われていたものですから、この賞をもらって怒られるのかなと思ったのですが『おめでとう』と言われました。うれしかったです。今ここに立っていられるのも、渡がずっと支えてくれていたからかなと感謝の気持ちでいっぱいです」と語った。　渡からの芝居の助言の真意については「『小芝居はするな』というか、先代の石原裕次郎さんもそうだったんですけど、言い換えれば『人生丸ごと演じてしまえ』というか、ほかに上手い人はいっぱいいるので、自分の存在で芝居をしていけということなんじゃないかと思います」と推察。「受賞の決め手はどこだと思いますか？」との質問には「まったくわかりません（笑）。ただ、現場がすごく楽しくて、その楽しさはきっと伝わったのかな。こんなに信用できない俳優はいませんけど、この賞で『終わってない』ことを証明できたかな」と笑わせていた。　同作は、定年を迎えて世間から“終わった人”と思われるようになった元銀行マンの田代壮介（舘）と、かつての輝きを失った夫と向き合えない美容師の妻・千草（黒木瞳）の笑って泣けるコメディー。今回、モントリオール映画祭の審査員から「作品としては現代社会の変化をうまくとらえて描いていてとても良かった。1960年代の『砂の女』（勅使河原宏監督）を思い出した。舘さんが定年前から定年後の主人公の心情の変化を見事に表現していた。主人公が人生にくたびれた人物から、モダンに変化していく様は素晴らしかった」との評価を受けた。　受賞を受けて、中田秀夫監督と原作者の内館牧子氏からもコメントが寄せられた。■中田秀夫監督舘さん、モントリオール世界映画祭での、最優秀男優賞の受賞たいへんおめでとうございます。名作映画を沢山ご覧になっている舘さんと、クランクイン前に、『アバウトシュミット』のニコルソンのお腹について語ったり、『夫婦善哉』の森繁さんの身体のキレなどを楽しく話し、また現場でも、そうした“映画的記憶”を掘り起こしながら、エンタメであり、かつ“リアルな人生”を感じさせる場面、映画をと、懸命に考えてくださった、舘さんならではの受賞だと思います。ご一緒できて光栄でした。改めて、すべてのスタッフを代表して、感謝とお祝いを述べさせていただきます。■内館牧子氏舘さん、今、仕事部屋で一人で乾盃しています。あのしょぼい定年オヤジ役をよくぞ引き受けて下さいました。誰もが「あの舘ひろしがこんな役を?!」とのけぞったのです。なのにお腹にアンコを入れ、メタボ気味のフツーのオヤジの哀愁をみごとに表現して下さって、原作者として感動しました。それが世界で認められ、誰もが舘ひろしの俳優力を再認識したでしょう。今度はみんなで乾盃を必ずね！

2018年09月04日

地上の星

「地上の星」　「地上の星」は、プロジェクトＸの主題歌である。二〇〇三年の大晦日の紅白で中島みゆきが黒部ダムの坑道で歌ったため、ヒットチャートに再び踊り出た。中島みゆきも自分の子どもを誉められたみたいに嬉しいと語ったという。　2003年は、中島みゆきの長いキャリアの中でもひと際輝く一年だった。「地上の星／ヘッドライト・テールライト」が1月にチャートで1位になり、4つの年代（70・80・90・00年代）で1位獲得という史上初の快挙を成し遂げ、5月には連続チャートインのロングセラー記録を23年振りに更新した。二〇〇二年、NHKスタッフから紅白への出演依頼があったとき、「家族も親戚もでてほしいといってるし、自分もでたいという気持ちはあるが、途中のショータイムに出るほど自分をふっきれない」とやんわりと断った。その後、NHK「プロジェクトX」の人気と共にCD「地上の星」の好調なセールが続き、昨年暮れにはオリコン100位以内のロングセラー記録をうちたてた。その時点で彼女はNHKの２年越しの依頼をはねつける理由がなかった。彼女は「NHKに感謝します。恩返しがしたい」と言って出場を決意した。しかし彼女は紅白でNHKホールの舞台の上に立ちたくなかった。黒部ダムからの中継というのは彼女自身のアイデアだったのである。　この「地上の星」が生まれるにあたってのエピソードをご存知だろうか。「プロジェクトX・挑戦者たち」のプロデューサー今井彰の講演記録から。　プロジェクトXは、火曜日の夜九9時15分という時間帯を与えられた。NHKにとって、魔の時間帯といわれていた。　今井プロデューサーは、プロジェクトXを始めるにあたって、「どうしてもこの番組を支えてくれる味方が欲しかった。」と語る。　そこで、中島みゆきのチームに主題歌とエンディングテーマを書いていただけないかと頼んだが、夜会とかやっていて忙しいし、そもそも彼女はその番組のためだけの書き下ろしはやっていないと断られた。　その回答を受けて、今井さんは、富士山レーダー、VHS開発、青函トンネル、黒部ダムなど5本分の企画書を入れてほとんどラブレターに近い手紙を中島さんに出した。すると、中島さん本人からこんな電話があった。「今までドラマとかバラエティから依頼があることはあったけれど、社会情報部のプロデューサーからお手紙をいただいてどういうことかと思いました。本当に一つだけお伺いします。これは本当にまじめな番組なんですね。」「こういった人々の話をやるのに我々も真剣にひたむきにベストを尽くさなければできない番組です。」すると、中島さんは2週間半くらいこもって、作詞作曲した。　中島さんは、ある雑誌のインタビューに対して、「大きなプロジェクトの完成には、実際に現場でボルトを締めたり、重いものを運んだ人々の姿がある。華やかな報道の裏で、そんな注目されない人たちが勇気をもてるような歌を作りたかったのです」とコメントしている。今井さんはこう言う。「ですから、あの歌の中にある草原のペガサス、街角のヴィーナスという歌は、実は一般に生きている方々、それは技術者だったり、家庭の主婦だったり、営業マンだったり、そういった人たちを彼女の中で消化して書きぬいていったときに、それがギリシャ神話の神々にたとえられるくらい集中していった歌なんですね。　ですから、あの歌にはそれだけの彼女の想いがこめられている歌なんです。そして我々はこの歌がプロジェクトXの中で出てくる名もなき登場人物を守ってくれていると思っているんです。」　そして、プロジェクトXについてこう語った。「ある目的に向かって一生懸命働いた人間の気持ちを、運命は決して裏切らないんです。それをこの番組で是非ともお伝えしたかった。」そして最後にこう結んだ。「思いは叶う、努力する人間を運命は裏切らない、逆境の中でも道は開ける、思いは叶う・・」１．風の中のすばる　砂の中の銀河みんな何処へ行った　見送られることもなく草原のペガサス　街角のヴィーナス　みんな何処へ行った　見守られることもなく地上にある星を誰も覚えていない　人は空ばかり見てるつばめよ高い空から教えてよ　地上の星をつばめよ地上の星は今　何処にあるのだろう２．崖の上のジュピター　水底のシリウス　みんな何処へ行った　見守られることもなく　名立たるものを追って　輝くものを追って　人は氷ばかり掴むつばめよ高い空から教えてよ　地上の星をつばめよ地上の星は今　何処にあるのだろう３．名立たるものを追って　輝くものを追って　人は氷ばかり掴む風の中のすばる　砂の中の銀河　みんな何処へ行った　見送られることもなくつばめよ高い空から教えてよ　地上の星をつばめよ地上の星は今　何処にあるのだろう

2018年09月03日

仲本工事　やりたいことはやれる時にやっといた方がいい。

77歳仲本工事が語る“ドリフ秘話”「加藤は天才、志村は秀才」の理由9/2(日) 目って演技には欠かせない要素だと思う――　カンヌ国際映画祭にも出品された『寝ても覚めても』には東北の漁師役で出演されていますよね。メガネを外されていたので、最初は仲本さんなのか分からなかったんですが。仲本　わかんなくていいんですよ。僕は何でもいいんです（笑）。――　主演の唐田えりかさんが「仲本さんの目は、いろんなことを経験した人の目で印象的でした」って仰っていて。仲本　唐田さんとは二人になるシーンがいくつかあってね。駅の改札のシーンとか、玄関口のシーンとか、僕にとっても唐田さんの目は印象的でしたよ。ああ、こういう人間的な訴えを持った眼差しを、瞬間的に出せる人ってなかなかいないよなって。やっぱり、目って演技には欠かせない要素だと思う。――「仲本さんの地元感が半端なかった」って、スタッフの方もおっしゃってました。仲本　あ、そう?　僕は東京生まれだから、東北弁のなまりってすごく難しかった。現地の人に喋ってもらったテープを何回も聞いたりしてセリフの練習しました。でも、現地の人みたいに流暢に喋る必要はないなと思って、わりとゆっくり喋るようにしたんです。その分、間を大事にしたっていうか、それで地元感が出ていたんならよかったかもね。――　俳優としての初めてのお仕事って覚えてますか?仲本　ドラマでは高橋英樹さんの『遠山の金さん』かな。そしたら高橋さんが気に入ってくれて、高橋さんの舞台にも準レギュラーで呼んでもらいました。ほかにも、賞をとった『ウルトラマンをつくった男たち』の仕事も印象に残ってます。三谷幸喜さんの『総理と呼ばないで』では官房副長官の役だったかな、あれは僕にとっては難役だったな。――　仲本さんの中では、芝居の演技とコントの演技は繋がっているものですか。仲本　あまりにもドリフ的なことをやっちゃ流れを壊しちゃうけど、僕なりにドリフ的な部分を1個は残そうと思ってます。真面目に芝居をしてて、いつの間にかドリフっぽい仲本工事になって、また戻るって感じなのかな。――　いかりやさんも俳優として活躍されましたよね。仲本　いかりやさんは全く隙のない演技をする人ですね。セリフも完璧に覚えて、前もって演技プランを色々考えてました。舞台を一緒にしたときなんか、楽屋に入るなりお付きの人とセリフの稽古を始めるんですよ。僕は楽屋では何もしないから、いかりやさんに怒られてね（笑）。でも、セリフはその場で考えながら言った方が伝わると思ってるんです、僕はね。本番になったら何も考えないで、舞台でセリフが出てくる瞬間を大事にする。その点だけは、いかりやさんと考えが違ってましたね。――　『8時だョ!全員集合』は、まさに舞台の生放送というスタイルでしたよね。そのスタイルは、ドリフのメンバーにとってはどんな感じだったんでしょうか。仲本　僕らはテレビの収録より、お客さんを入れた舞台のほうがやりやすかった。元々ドリフは、ジャズ喫茶という舞台出身だから、お客さんの前でやる方が好きなんですよ。無言のテレビカメラに向かって芝居するというのは、間がとりにくい。どうしても同じ間になってしまうからね。お客さんがいれば、目の前のお客さんの息づかいを聞いて、それに乗って芝居すればいいから、手ごたえがある。――　その頃は毎週の『全員集合』があって、さらに日劇や国際劇場といった大舞台にも出てましたよね。仲本　僕らにとっては同じ舞台だから、特別に構えることはないです。ただね、日劇とか国際劇場には正月とゴールデンウィークに出るんだけど、そのときだけは『全員集合』も前もって収録しとかなきゃいけない。だから、めちゃめちゃ忙しくなるんですよ。『全員集合』は1回の放送に3日かけてたんだけど、そのときだけ1週間に2本やるの。もちろん、同じ時間かけるんですよ。だから、あのころはもう休む暇なんかなかったよね。――　『全員集合』の途中で、メンバーが荒井注さんから志村けんさんに変わりました。付き人時代の志村さんの印象はありますか?仲本　志村はやる気があったから、付き人やりながら自分でコンビ組んで、営業の仕事もしてたんです。本当に一生懸命でしたね。コンビのネタは、志村が全部考えてたんだよね。でも、志村がウンウン考えてる横で、相方は新聞の求人広告見てたんだってさ（笑）。そういうところは苦労してるし、荒井がやめて志村が入ったときも、慣れるまで大変だったと思うよ。まさに志村は努力家だよね。――　仲本さんが感じている、志村さんの魅力って何でしょう?仲本　誰よりも新しい笑いに貪欲なんですよ。とにかくいろんな笑いや音楽を見たり聞いたりしてましたね。それを取り入れるのがすごく上手かった。ほら、早口言葉の音楽があるでしょ。「生麦生米生たまごイェー!」っていうの。あれも、志村が「これがいいんじゃないですか」って言うんでそうしたんだよ。――　加藤さんの魅力とはまた違いますか?仲本　加藤は天才だもん。思わず口について出ることが面白いし、いるだけでホッとするとこもあるしね。テレビに出始めのころなんて、ほんとにかわいくて、いい男でしたよ。今でいうと、お笑いもできるアイドルみたいだよね。だから加藤は天才、志村は秀才かな。――　さきほどドリフは「劇団」と仰いましたが、仲本さんはドリフでの立ち位置をどう考えていましたか?仲本　どうかな、ドリフのメンバーはみんな、その状況に合わせて自分のポジションをうまく変えられるんだよね。5人でコントするときは5人にそれぞれの立場があるんだけど、4人や3人になったらまた違う立場がある。場合によっては主役になることだってある。ポジションってあんまり固定されてないって思ってますけどね。――　仲本さんが主役のコントと言えば、『全員集合』の体操コント。仲本　あれは後半のショートコントのコーナーで、最初の相手は宇多田ヒカルのお母さん、藤圭子さんでした。彼女って体操しなさそうじゃない。そういう人に僕が体操のコーチをしたら面白いかなって発想から始まったんですよ。失敗したら罰ゲームとして腕立て伏せさせるんですけど、藤圭子さん、何回やっても失敗してウケんだよね。それがきっかけで、体操コントがレギュラー化したんじゃないかな。――　いろんなアイドルと体操コントをされてましたよね。印象に残っているお相手はいますか?仲本　やっぱりキャンディーズがうまかった。うまいというのは、コントとしての動きね。彼女たちは、前日にちゃんとコントの稽古してましたからね。だから見せ方もよく分かってる。笑いをしっかりとれるアイドルでした。9/2(日) 17:00配信文春オンライン体操コントの前には、1時間くらい準備運動した――　ちなみに体操コントの前には、ちゃんと準備運動するんですか?仲本　もちろんやりますよ。当日はみんなに集まってもらって、昼の12時から1時間くらい準備運動をしました。僕が一番気をつけたのは、タレントさんに絶対ケガさせちゃいけないってこと。だから無理させないようにして、このタレントさんなら、ここまでできるなって想像しながらコントを作りました。でも、それ以上にやってくれる人もいましたね。西城秀樹君とか、にしきのあきら君とか、運動神経が抜群だから。彼らは現場にきて、こっちが「えっ、大丈夫」って思うようなこともやってくれました。――　10代のころにやってた体操が、意外なところで役に立ちましたね。仲本　いや本当にね。人生というのは、やりたいことができなくなった時が出発点だと思う。ずっと体操をやってきたけど、大学に体操部がなくて音楽に走った。それでドリフに入ったら、今度は音楽ができなくなって、コントをやるようになった。だからこそ思うんだけど、やりたいことはやれる時にやっといた方がいい。僕の体操コントみたいに、いつか昔の自分と今の自分が組み合わさって、活かせるときがくるからさ。――　それが仲本さんのポジションの一つになったんですね。仲本　そうですね。俳優の仕事にしたってさ、全体を見回して出演者の中で自分のできることを見つけるんですよ。1回稽古すると、相手役の演技がわかるからね。相手が早口だったら遅く言うとか、違う言い回しをしたりしてね。そうやってるうちに、自分のポジションもおのずと決まってくるんです。――　ドリフメンバーを含め、さまざまな出会いから得た仲本さんの人生訓って何でしょうか。仲本　ヘタに流れに逆らわないで、身を委ねるってことかな。このお店だって、今のカミさんとやっているわけだけど、夫婦だって流れに身を任せ合うような関係なんじゃない?　なるようにしかならないもので、お互いに何かを強要したり、求めてもストレスになるばっかりだと思うよ。だから、人生って無理せず自然でいいんですよ。自分の立ち位置ってものもそうだよ。人との出会いを大事にして、流れに身をまかせていれば、きっといい巡りあわせがあるんじゃないかな。

2018年09月02日

第1回二宮先生語録の輪読

9月1日（土）から、会員で『二宮先生語録』読み下し・全ルビ版と現代語訳を輪読した。巻の１【１】から【２９】まで読み終わった。「新しい試みとして、読書会の会員の公募をフェイスブックの交流サイトで行いましたが、今のところ、応募者はありません(^^)」「それはすぐには無理だよ。」「相馬報徳社からおいでくださいと連絡をいただいていますので、巻の１か、巻の２を読み終わった時点で、懸案だった相馬見学会を一泊二日で行いたいと思います。」W「現代語訳は難しい、もっと意訳したほうがよいのでは」「報徳記を読む」シリーズは、原文の内容がわかるように逐語訳で行っています。「二宮先生語録」も「報徳記を読む」第5集というシリーズの一環ですので、同様に逐語訳で行います。」『二宮先生語録』は佐々井典比古先生の「訳注」がありますが、原文の読み下し、全ルビ版は求めることが難しい。その意味でこの本は、原文を声に出して読み、その内容を現代語訳で味わうものになるであろう。そうだ、こんな日本人がいらした。私は人類を超越せねばいけない

二宮先生語録巻の5 【455】【四五五】余(よ)幼(よう)少(せう)より、肯(あへ)て招(せう)飲(いん)に赴(おもむ)かず。索(なは)綯(なひ)作(さく)籃(らん)を以(もつ)て人(ひと)の窮(きゆう)乏(ばう)を助(たすく)、楽(たのしみ)と為(な)す。爾(じ)来(らい)孜(し)孜(し)事(こと)斯(これ)に従(したが)ふ。敢(あへ)て自(じ)己(こ)の衣(い)食(しよく)を計(はか)らず。以(もつ)て今(いま)に至(いた)る。亦(また)嘗(かつ)て衣(い)食(しよく)に困(こま)らず。是(こ)れ猶(な)ほ農(のう)夫(ふ)衣(い)食(しよく)を念(おもは)ざる、専(もつぱら)耕(かう)耘(うん)灌(かん)培(ばい)を務(つと)め、多(た)粟(ぞく)を得(う)るなり。所(いは)謂(ゆる)学(まな)べば禄(ろく)其(そ)の中(なか)に在(あ)る。是(これ)なり。１『報徳秘稿』一九九「我幼より人の饗応を喜ばず、人の饗応に行かんよりや、その隙に籠を作り、縄を索いて、人の不足を補うを好めり。故に終に人の饗に行く事なし。行かざれば、却て彼より饗膳を持ち来る。かつて食を求めず、唯人の為を作す。衣食の算勘を為さず、然りと雖も、今に至りて衣食に困しむことなし。是田を耕す者は食に念なくして田の草を取るに専らなれば、多く実りを得るが如く、論語、学べば則ち禄其の中にあり、之を謂うか。」《訳》私は幼少のときから、人に酒盛りに招かれても行かなかった。縄をない、かごをあんで人の窮乏を助けることを楽しみとした。それ以来こつこつと人を助けることに従事して、あえて自分の衣食のことを計らわないで今に至ったが、一度も衣食に困ったことはない。これはちょうど農夫が衣食を思わないで、専ら耕作や肥料・水やりに努めて多くの米を得るようなものじゃ。いわゆる、学べば則ち禄その中にありとはこのことじゃ。「これ読める？」

2018年08月22日