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[報徳記＆二宮翁夜話] カテゴリの記事

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• 二宮先生語録巻の5 【391】

  二宮先生語録巻の5 【391】【三九一】俗(ぞく)儒(じゆ)（見識が低い儒学者）中(ちう)庸(よう)を以(もつ)て解(かい)し難(がた)きの書(しよ)と為(な)す。余(よ)を以(もつ)て之(これ)を看(み)るに、人(にん)間(げん)常(じよう)行(ぎよう)（常に行う）の道(みち)、簡(かん)易(い)平(へい)坦(たん)解(かい)すべからざる無(な)き如(ごと)し。然(しか)りと雖(いへど)も、独(ひと)り中(ちう)庸(よう)と曰(い)ふ者(もの)、猶(な)ほ幼(えう)子(じ)、母(はゝ)に対(たい)し何(なに)をか賜(たまは)れと請(こ)ふごとく、辞(ことば)足(た)らざるに似(に)る。且(か)つ喜(き)怒(ど)哀(あい)楽(らく)の未(いま)だ発(はつ)せざる之(これ)を中(ちう)と謂(い)ふの語(ご)も、亦(また)審(つまびらか)ならざるに似(に)る。夫(そ)れ四極(きょく)（東西南北）未(いま)だ定(さだま)らざれば、則(すなは)ち何(なん)の処(ところ)に中(ちう)有(あら)ん。權(はかり)の秤(はかり)星(ぼし)、度(ものさし)の丈(じやう)尺(しやく)、未(いま)だ定(さだ)まらざるも亦(また)然(しか)り。然(しか)らば則(すなは)ち改(あらた)め喜(き)怒(ど)哀(あい)楽(らく)未(いま)だ発(はつ)せざる之(これ)を元(もと)と謂(い)ふ。発(はつ)して節(ふし)に中(あた)る。之(これ)を中(ちう)と謂(い)ふに作(つく)らば、則(すなは)ち如何(いか)ん。伊藤(いとう)仁(じん)斎(さい)、楽記(がくき)の錯簡(さくかん)と為(な)すも、亦(また)見(けん)無(な)きに非(あらざ)るなり。１　伊藤仁斎の『中庸発揮』に、「喜怒哀楽より万物育に至る四十七文字は、もと中庸本文にあらず。けだし古楽経の脱簡、誤って中庸書中に攙入（ざんにゅう）せるのみ」とあり、この見解もまた見識がないとはいえないとしたもの。２『報徳秘稿』二九九「中庸と云う、未だ何物たることを知らず。幼子の母に乞う、何をか賜れと云うが如し。一元有って後中あらわる。東西南北なくして」《訳》見識の低い儒者は「中庸」をわかりにくい書とする。私が見るところでは、人間が常に行う道をやさしくわかりやすく説いた書じゃ。しかし、ただ中庸というだけでは、幼子が母に対して「何か頂戴」と言っているようで言葉が足らないように思われる。そもそも東西南北がまだ定まらなければ、どこに中があろう。はかりの星や物差しの目盛りが定まらないのもまた同じじゃ。そうであれば中庸の最初の言葉を改めて「喜怒哀楽のまだ発せざる、これを元という。発して節にあたる、これを中という」というふうに作ればどうであろうか。伊藤仁斎が、楽記の文章がまぎれこんだものだというのも、また見識がないわけではない。白馬村図書館の蔵書11件

  2018年08月03日

• 二宮先生語録巻の5 【390】

  二宮先生語録巻の5 【390】【三九〇】世(せ)人(じん)書(しよ)を著(あら)はす。多(おほ)くは是(こ)れ空(くう)言(げん)なり。未(いま)だ身(み)を修(おさ)め家(いへ)を斉(とゝの)ふる者(もの)有(あ)るを聞(き)かざるなり。亦(また)未(いま)だ荒(くわう)蕪(ぶ)を墾(こん)し衰(すゐ)邑(いう)を復(ふく)する者(もの)有(あ)るを聞(き)かざるなり。況(いは)んや廃(はい)国(こく)を興(おこ)すに於(おい)てをや。徒(いたづら)に古(こ)語(ご)を剽(へう)掠(りやく)し、以(もつ)て空論(くうろん)を拡張(かくちやう)するのみ。宜(むべ)なり。其(そ)の実(じつ)功(こう)無(な)きなり。余(よ)は則(すなは)ち然(しから)らず。荒(くわう)蕪(ぶ)を墾(こん)し廃(はい)家(か)を復(ふく)して、而(しか)る後(のち)之(これ)を書(しよ)し、衰(すゐ)邑(いう)を復(ふく)し廃(はい)国(こく)を興(おこ)して、而(しか)る後(のち)之(これ)を記(しる)す。名(めい)実(じつ)全(まつた)く備(そなは)る。叔(しゆく)世(せい)豈(あに)此(こ)の如(ごと)き著(ちよ)書(しよ)有(あら)んや。二三子(し)宜(よろし)く余(よ)が言(げん)行(かう)を記(しる)すべし。余(よ)若(も)し自(みづか)ら記(き)せば、則(すなは)ち自(みづから)矜(ほこ)るに似(に)る。二三子(し)之(これ)を記(しる)せば、則(すなは)ち仁(じん)為(た)り義(ぎ)為(た)り。此(これ)を世(せ)教(けう)と為(な)し、以(もつ)て千(せん)載(ざい)に伝(つと)ふるも、亦(また)何(なん)の耻(はじ)か之(こ)れ有(あら)ん。《訳》世の人の著わす書は、多くは空言じゃ。身を修め家をととのえる書はまだ聞かない。また荒地を開墾し衰えた村を復興する書物もまだ聞かない。廃国を興す者はなおさらじゃ。いたずらに古語をかすめとって、空論を拡張するだけのことじゃ。私はそうではない。荒地を開墾し廃れた家を復興して後に書し、衰えた村を取り直し、廃れた国を興して、その後に記す。名実共に備わる。衰えた世にこのような書がほかにあるだろうか。諸君よろしく私の言葉と行いを記録するがよい。私がもし自ら記せば自分を誇っているように見える。諸君がこれを記せば、仁であり、義にあたる。これを世の教えとし、千年後に伝えてもどうして恥とすることがあろうか。腰痛を予防するには、立っている時も座っている時も、正しい姿勢を保つことが大切です。

  2018年08月03日

• 福島県立図書館が「八田與一と鳥居信平」を蔵書とし、12件所蔵館となった、感謝！

  福島県立図書館1鈴木藤三郎　　(「二宮尊徳の会」鈴木藤三郎氏顕彰 第3集) 2鈴木藤三郎の『米欧旅行日記』　　 3二宮金次郎の対話と手紙　第一 小田原編（少年・青年期）　 4二宮尊徳と日本近代産業の先駆者鈴木藤三郎　　 5八田與一と鳥居信平　　 6報徳記を読む　第2集　 7報徳記を読む　第4集　[ 8報徳記を読む　第3集　 9報徳記を読む　第1集　 10ボーイズ・ビー・アンビシャス　第3集　11ボーイズ・ビー・アンビシャス　第4集　 12ボーイズ・ビー・アンビシャス　第5集＜福島県＞震災と原発事故「語り部」育成事業開始　浜通りの現状12人学ぶ福島県は７月２８日、東日本大震災と東京電力福島第１原発事故の体験を伝える語り部の育成事業を始めた。１回目はフィールドワークがあり、応募した県内の被災者らが原発事故や津波の被害を受けた浪江町などを見学した。　浜通り地方に住む４０～７０代の１２人が参加。浪江町では、町に若者を呼び込む活動に取り組む団体の小林奈保子代表（３１）から「今春の小中学校再開で、町には少しずつ活気が戻っている」と町の現状の説明を受けた。昨年３月に試験操業が解禁された同町の請戸漁港も訪れ、津波で被災した港の復旧工事の進捗（しんちょく）状況を学んだ。富岡町や南相馬市小高区などの被災地もバスで回った。　広野町に避難している富岡町の管原ユウ子さん（５９）は「被災地の状況がよく分かった。避難の混乱時の経験を伝えられる語り手になりたい」と語った。　育成事業は、県内の被災地で語り部が減少していることを受けて実施した。１２月まで計４回あり、口演の原稿を書いたり、アナウンサーから話し方を学んだりする。西田敏行さんに県民栄誉賞　９月に表彰式毎日新聞2018年7月31日　福島県は３０日、俳優で同県郡山市出身の西田敏行さん（７０）＝写真・所属事務所「オフィスコバック」提供＝に県民栄誉賞を贈ると発表した。同賞は故田部井淳子さんらに続き４人目。西田さんは１９６７年に俳優デビュー。「釣りバカ日誌」シリーズなど数多くの映画や舞台、ドラマに出演し、歌手や司会者としても評価されるなど、芸能生活５０年を超えて現在も第一線で活躍。内堀雅雄知事はこの日の記者会見で、今年４月の旭日小綬章の受章が直接のきっかけになったと話した。　西田さんは東日本大震災と東京電力福島第１原発事故の復興や風評払拭（ふっしょく）のために県が製作したＰＲ動画「ＭＩＲＡＩ　２０６１」に特別出演。５０年後に復興を遂げた県内をイメージした動画で、内堀知事は「国内外で評判が良かったが、西田さんが演じたおじいちゃんの魅力がダイレクトに伝わるからこそ。これからも県の活力や風評払拭のためにお力添えをいただければ」と話した。

  2018年08月02日

• 二宮先生語録巻の5 【389】その２

  二宮先生語録巻の5 【389】その２夫それ農夫のうふは、天子てんしの民たみなり。藩はん侯こうの衰すゐ邑いうを余よに托たくする所ゆ以えんの者もの、天てん民みんを安やすんぜんと欲ほつするなり。今いま汝なんぢが田産でんさんを復ふくし、汝なんぢが家か道だうを優ゆうにする者もの、即すなはち藩侯はんこうの宿志しゆくしに非あらずや。天てん子しは幕ばく府ふ有あつて四し海かいを保やすんじ、幕ばく府ふは諸侯しよこう有あつて征せい夷いの職しよくを奉ほうじ、諸侯しよこうは庶民しよみん有あつて述じゆつ職しよく（参内し政務を述べること）を全まつたふす。庶民しよみん田産でんさん有あつて生せいを安やすんず。汝なんぢ宜よろしく田でん産さんを修おさめ、耕かう耨じよくを勉つとむべきなり。海うみに漁ぎよせんと欲ほつする者もの網あみを刺さし（作る）、田たに培つちかはんと欲ほつする者もの肥こへを畜たくはふ。此これを之これ務つとめず、懶らい惰だ日ひを消せうし、苞はうを携たづさへ田たに往ゆき嘉か禾くわ（よい稲）を求もとむるも、亦また之これを如い何かんともする無なし。汝なんぢ骨ほねに刻きざみ肝きもに銘めいじ、夙しゆく夜や以もつて懈おこたる勿なかれ。《訳》先生は下館藩の一人の農夫に諭して言われた。お前は父母に孝行で、郷里の人々には義で、誠実に勤勉し、耕作につとめ、一村の手本とするに足りる。すでに郡代の視察するところとなる。だから私は無利息金を貸してしれで負債を償還させ、田地を回復したのじゃ。お前はよく朝夕努め励んで、余った利益で償還するがよい。必ず償還の期限におくれてはならない。もしまだ完済しないうちは親戚や友人との交際にも物を贈ることを義理としてはならない。また人が嘲笑しても構ってはならない。専ら完全に償還することを義理としなさい。いったい農夫は天子の民じゃ。藩侯が衰えた村を私に任せられたのは、天民を安んじようと思われたからじゃ。今お前が田地を買い戻し、お前の家政が豊かになることは、藩侯の永年の志ではないか。天子は幕府があって天下を安らかにすることができ、幕府は諸侯があって征夷の職を奉ずることができ、諸侯は庶民があって任された職務を全うすることができる。庶民は田地があって生活が安らかにできる。お前はよく田地をおさめ、耕作に努めるがよい。海で漁をしようとする者は網をつくろう、田に栽培しようと思う者は肥料をたくわえる。こういうことを努めないで、遊惰に日をつぶし、たわらをもって田に行っても、よい稲を求めても、またどうしようもないではないか。お前はよくよくこのことを肝に銘じて、朝夕怠ってはならない。

  2018年08月02日

• 二宮先生語録巻の5 【389】その１

  二宮先生語録巻の5 【389】その１【三八九】下(しも)館(だて)藩(はん)の一農(のう)夫(ふ)に諭(さと)し曰(いは)く、汝(なんぢ)父(ふ)母(ぼ)に孝(かう)、郷(きやう)党(とう)に義(ぎ)、敦(とん)篤(とく)力(りき)耕(かう)、以(もつ)て一邑(いう)の師表(しへう)と為(な)すに足(た)る。既已(すで)に郡(ぐん)官(くわん)の視(し)察(さつ)する所(ところ)と為(な)るなり。故(ゆゑ)に余(よ)、無息(むそく)金(きん)を貸与(たいよ)し、以(もつ)て負債(ふさい)を償(つぐな)ひ、以(もつ)て田(でん)産(さん)を復(ふく)す。汝(なんぢ)宜(よろし)く夙(しゆく)夜(や)勉(べん)励(れい)、余(よ)贏(えい)（余った益）を以(もつ)て之(これ)を償(つぐな)ふべし。必(かなら)ず償(しやう)期(き)を愆(あやま)つ莫(なか)れ。若(も)し夫(そ)れ未(いま)だ完(くわん)償(しやう)せざれば、則(すなは)ち其(そ)の親(しん)戚(せき)朋(はう)友(いう)に交(まじは)る、物(もの)を贈(おく)るを以(もつ)て義(ぎ)と為(な)す勿(なか)れ。又(また)人(ひと)嘲(あざける)を顧(かへりみ)る勿(なか)れ。宜(よろし)く専(もつぱ)ら完(くわん)償(しやう)を以(もつ)て義(ぎ)と為(な)すべきなり。

  2018年08月02日

• 二宮先生語録巻の5 【388】

  二宮先生語録巻の5 【388】【三八八】余(よ)幼(おさなく)して父(ふ)母(ぼ)を喪(うしな)ひ、且(か)つ洪(こう)水(ずい)に遇(あ)ひ、世襲(せしふ)田産(でんさん)を失(うしな)ひ、外家(ぐわいか)に寄食(きしよく)し、暇(か)日(じつ)廃(はい)地(ち)を墾(たがや)し、棄(すて)苗(なへ)を拾(ひろ)ひ、以(もつ)て之(これ)を種(う)へ、僅(わづか)に産粟(さんぞく)一苞(はう)を得(う)。此(これ)を以(もつ)て資(し)本(ほん)と為(な)し、二十二年(ねん)を積(つ)み、田(でん)産(さん)を再(さい)復(ふく)し、小(こ)屋(や)を結(むす)び、之(これ)に居(を)る。歳入(さいにふ)百有(いう)余(よ)苞(はう)。殆(ほとん)ど膝(ひざ)を容(い)るゝ所(ところ)無(な)し。若(も)し夫(そ)れ田(でん)産(さん)小(せう)にして、巨(きよ)室(しつ)に居(を)るは、非(ひ)なり。苟(いやし)くも人(ひと)を済(すく)ふの心(こゝろ)有(あ)る者(もの)、小(こ)屋(や)に之(こ)れ安(やす)んず。復(ま)た何(なん)の慊(うらみ)か之(こ)れ有(あら)ん。１『報徳秘稿』二一〇「父母を喪して後、親家に托す。田畑流失して一歩も持せず。用水堀変化して不用の地となる、一年之に捨苗を植えて、米一俵余を得たり。これを種として、三年を経て下々田質地を受戻し、米三俵を得たり。ああ種々の患苦を尽して、漸く二十年にして一家を再興す。」２『報徳秘稿』五六七「先生曰く、予幼き時（十二、三頃）父病（やめ）り。予代って人夫に出る。幼年、人並の働きをなすことあたわず。故に家に帰りて夜中草鞋を作り置き、明日之を持出し、木の枝などに掛置く時は、草鞋なきもの、若公、草鞋をはき替えざるが、はき替るならば其の古きをと乞う。乃（すなわ）ち其の古きを与え、之とかつぐ時は、彼重きを引くゆえ、予棒の先をかつぐ時は、微力にも易々とかつがる也。力あり働くものに限って草鞋の用意なし。人情新しきをくれよとは云わず。はき替えたらば古きをと乞う。故に昼休みの内にも作り、家に帰りても夜業に作り、数々人に与えて其の力を借り、人並みの働きをせしなり。幼少の微力如何に思うとも、人並みにかつぐことは出来ず。故に此の如くせしなり。之を中庸に、高きに登るに必ず下（ひく）きよりし、遠くに行くに必ず近きよりす、又、人一たびにして之を能くすれば、己之を十たびすと云えり。」《訳》私は幼いうちに父母を失い、その上洪水にあって、先祖伝来の田畑を失い、親戚の家に世話になり、仕事が休みの時、不用の地を耕し、捨て苗を拾ってそこに植え、わずかに一俵の収穫を得た。これを資本として二十二年かかって田畑を元通りとして小屋を作ってそこに住んだ。一年の収穫は百余俵となり、小屋はほとんど膝をいれる余地もないほどだった。そもそも田の収穫が少ないのに大きな家にいるのはよくない。いやしくも人を救う志がある者は、小屋でも安住すべきで、どうしてはばかることがあろうか。朝の運動

  2018年08月02日

• 二宮先生語録巻の5 【387】

  二宮先生語録巻の5 【387】【三八七】善(ぜん)人(にん)治(ち)世(せい)に用(もち)い見(ら)る事(こと)を能(よく)すと雖(いへど)も、乱世(らんせ)に於(おい)ては、則(すなは)ち能(よく)する所(ところ)無(な)し。悪人(あくにん)乱世(らんせ)に用(もち)い見(ら)れ、奸(かん)を逞(たくましう)すと雖(いへど)も、治(ち)世(せい)に於(おい)ては、則(すなは)ち逞(たくましう)する所(ところ)無(な)し。是(こ)れ猶(な)ほ飛(ひ)鳥(てう)の目(め)、昼(ひる)見(み)ゆる者(もの)夜(よ)る見(み)へず。夜(よ)る見(み)ゆる者(もの)昼(ひる)見(み)へざるごとくなり。悪人(あくにん)は猶(な)ほ蔓草(まんさう)（つる植物）のごとし。耕(かう)耘(うん)灌(くわん)培(ばい)を仮(か)らず、以(もつ)て自(みづか)ら蔓(まん)延(えん)すと雖(いへど)も、人(ひと)を養(やしな)ふの徳(とく)無(な)きなり。善人(ぜんにん)は猶(な)ほ稲(たう)梁(りやう)のごとし。人(ひと)を養(やしな)ふの徳(とく)有(あ)りと雖(いへど)も、耕(かう)耘(うん)せざれば、則(すなは)ち生(しやう)ずる能(あた)はず。灌(くわん)培(ばい)せざれば、則(すなは)ち実(みの)る能(あた)はざるなり。故(ゆゑ)に善(ぜん)人(にん)家(か)法(ほう)無(な)ければ、則(すなは)ち其(そ)の家(いへ)を保(たも)つ能(あた)はず。悪人(あくにん)家法(かはふ)無(なし)と雖(いへど)も、能(よ)く其(そ)の家(いへ)を保(たも)つなり。《訳》善人は治世に用いられて役に立つが、乱世では能力を振えない。悪人は乱世では役に立ち悪だくみを大いに振うが、治世では振うことができない。これは飛ぶ鳥の目が昼見える鳥は夜は見えず。夜見える鳥は昼見えないようなものじゃ。悪人はまるでつる草のようなものじゃ。耕し草取り水やりしなくても自ずからはびこるけれども、人を養う働きがない。善人はまた稲のようなもので、人を養う働きはあるが、耕作しなければ生ぜず、水やりしなければ実ることはできない。だから善人は家法がなければその家を保つことができない。悪人は家法がなくても、よくその家を保つことができるのじゃ。ゾンビ体操

  2018年08月01日

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  秦野市立図書館が「報徳記を読む第4集」を蔵書とし１７件所蔵館となった、感謝！

  秦野市立図書館１７件【郷土】　遠州報徳の師父と鈴木藤三郎　【郷土】　砂糖王　鈴木藤三郎　【一般書】　二宮金次郎の対話と手紙　第一　小田原編（少年・青年期）　【郷土】　二宮尊徳と日本近代産業の先駆者鈴木藤三郎　【郷土】　二宮尊徳と日本近代産業の先駆者鈴木藤三郎　【一般書】　ボーイズ・ビー・アンビシャス　第一集　【一般書】　ボーイズ・ビー・アンビシャス　第二集　【一般書】　ボーイズ・ビー・アンビシャス　第三集　【一般書】　ボーイズ・ビー・アンビシャス　第四集　【一般書】　ボーイズ・ビー・アンビシャス　第五集　【一般書】　報徳記を読む　第一集　【一般書】　報徳記を読む　第三集　【一般書】　報徳記を読む　第二集　【一般書】　報徳産業革命の人 ; 「二宮尊徳の会」鈴木藤三郎氏顕彰　第１集　【郷土】　補注　鈴木藤三郎の『米欧旅行日記』　【郷土】　八田與一と鳥居信平マンホールカード観光活性化に新たな一手４月28日から配布開始小田原市のカラーデザインマンホール蓋が、「下水道広報プラットホーム（ＧＫＰ）」（事務局・東京都）が企画する「マンホールカード」に採用され、４月28日（土）から配布される。　マンホールカードとは、下水道事業への理解を広めることを目的に、ＧＫＰが２０１６年４月に開始した全国統一企画。ご当地の特色などをモチーフにしたデザインは多彩で、コレクターも多い。今年４月17日現在、全国３０１自治体の蓋が採用、神奈川県内では横浜市、川崎市などのマンホールカードが発行されている。また、平塚市、大井町、愛川町でも、28日から新たに配布される。​マンホールカード　秦野市​

  2018年07月31日

• 秦野市立図書館が「報徳記を読む第４集」を蔵書とし１７件所蔵館となった、感謝！

  秦野市立図書館１７件【郷土】　遠州報徳の師父と鈴木藤三郎　【郷土】　砂糖王　鈴木藤三郎　【一般書】　二宮金次郎の対話と手紙　第一　小田原編（少年・青年期）　【郷土】　二宮尊徳と日本近代産業の先駆者鈴木藤三郎　【郷土】　二宮尊徳と日本近代産業の先駆者鈴木藤三郎　【一般書】　ボーイズ・ビー・アンビシャス　第一集　【一般書】　ボーイズ・ビー・アンビシャス　第二集　【一般書】　ボーイズ・ビー・アンビシャス　第三集　【一般書】　ボーイズ・ビー・アンビシャス　第四集　【一般書】　ボーイズ・ビー・アンビシャス　第五集　【一般書】　報徳記を読む　第一集　【一般書】　報徳記を読む　第三集　【一般書】　報徳記を読む　第二集　【一般書】　報徳産業革命の人 ; 「二宮尊徳の会」鈴木藤三郎氏顕彰　第１集　【郷土】　補注　鈴木藤三郎の『米欧旅行日記』　【郷土】　八田與一と鳥居信平

  2018年07月31日

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  石川県立図書館が「報徳記を読む」第3集、第4集を蔵書とし、16件所蔵館となった感謝！

  石川県立図書館１６件1｡ 図書｡ 遠州報徳の師父と鈴木藤三郎｡ 2｡ 図書｡ 砂糖王鈴木藤三郎 氷砂糖製造法の発明｡ 3｡ 図書｡ 二宮金次郎の対話と手紙 中学生からお年寄りまでよくわかる 第一 小田原編(少年・青年期)｡ 4｡ 図書｡ 二宮尊徳と日本近代産業の先駆者鈴木藤三郎｡ 5｡ 図書｡ 二宮尊徳と日本近代産業の先駆者鈴木藤三郎｡ 6｡ 図書｡ 八田與一と鳥居信平 台湾にダムをつくった日本人技師｡ 地7｡ 図書｡ 報徳産業革命の人 報徳社徒鈴木藤三郎の一生｡ 8｡ 図書｡ 報徳記を読む 第1集 『報徳記』第一巻(『報徳要典』準拠全ルビ原文(朗読・輪読用)、現代語訳、資料集)｡ 9｡ 図書｡ 報徳記を読む 二宮尊徳の報徳の教えが世界に広まり真正の文明の実を見ることを 第4集 『報徳記』第六～八巻全ルビ補注付原文、現代語訳｡ 10｡ 図書｡ 報徳記を読む 報徳は国を興し民を安んずる大業である 第3集 『報徳記』巻の三、巻の四、巻の五『報徳論』 (『報徳要典』準拠全ルビ)｡ 11｡ 図書｡ 報徳記を読む 報徳は精神変革である 第2集 『報徳記』巻の二、『報徳論』 (『報徳要典』準拠全ルビ)、報徳本教・青木村治蹟｡ 12｡ 図書｡ ボーイズ・ビー・アンビシャス 第3集 新渡戸稲造の留学談・帰雁の蘆｡ 13｡ 図書｡ ボーイズ・ビー・アンビシャス 第4集 札幌農学校教授・技師広井勇と技師青山士｡ 14｡ 図書｡ ボーイズ・ビー・アンビシャス 第5集 内村鑑三 神と共なる闘い｡ 15｡ 図書｡ ボーイズ・ビー・アンビシャス 米欧留学篇 米国留学中の内村鑑三の日記と手紙 内村鑑三から新島襄、広井勇あて書簡 宮部金吾・新渡戸稲造往復書簡抜粋｡ 16｡ 図書｡ ボーイズ・ビー・アンビシャス 《クラーク精神》&札幌農学校の三人組(宮部金吾・内村鑑三・新渡戸稲造)と広井勇｡​人類のために　刊行しているものです​

  2018年07月31日

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  二宮先生語録巻の5 【386】

  二宮先生語録巻の5 【386】【三八六】聖(せい)人(じん)天(てん)理(り)に本(もとづい)て、憲(けん)法(ぱふ)（根本の法）を作(つく)り、以(もつ)て天(てん)下(か)を治(をさ)む。故(ゆゑ)に法(はふ)なる者(もの)、人(じん)作(さく)にして自(し)然(ぜん)に非(あらざ)るなり。之(これ)を白田(はくでん)（はたけ）に譬(たと)ふ。苟(いやし)くも耕耘(かううん)せざれば、忽(たちま)ち原(げん)野(や)と為(な)る。又(また)之(これ)を梳(そ)剃(てい)に譬(たと)ふ。苟も梳(くしけづり)剃(そら)ざれば、忽(たちま)ち蓬頭(ほうとう)（乱れ髪）と為(な)る。故(ゆゑ)に耕耘(かううん)梳(そ)剃(てい)、皆(みな)人(じん)作(さく)にして自(し)然(ぜん)に非(あらざ)るなり。国家(こくか)を治(おさ)むる者、宜(よろし)く其(そ)の自(し)然(ぜん)を悟(さと)り、勉(つとめ)て憲(けん)法(ぱふ)を厳(げん)にすべきなり。蓋(けだ)し聖(せい)人(じん)推(すゐ)譲(じやう)を以(もつ)て民(みん)人(じん)の道(みち)と為(な)し、略奪(りやくだつ)を以(もつ)て禽獣(きんじう)の道(みち)と為(な)す。譲(ゆづ)れば則(すなは)ち財(ざい)日(ひ)に増(ま)し、奪(うば)へば則(すなは)ち財(ざい)日(ひ)に減(げん)ず。此(こゝ)に一芋(いも)有(あ)り。之(これ)を奪(うばつ)て食(くら)へば、則(すなは)ち一芋(いも)にして止(や)む。是(こ)れ貧(ひん)困(こん)の本(もと)なり。之(これ)を譲(ゆづ)て種(うへ)れば、則(すなは)ち十芋(いも)を得(う)。再(さい)三(さん)之(これ)を種(うへ)れば、則(すなは)ち倍(ばい)蓰(し)（数倍に増える）極(きはま)り無(な)し。是(こ)れ富(ふ)優(ゆう)の本(もと)なり。聖(せい)人(じん)憲(けん)法(ぱふ)を設(まう)け略奪(りやくだつ)を禁(きん)じ推(すゐ)譲(じやう)を奨(すゝ)め、以(もつ)て四海(しかい)を富(とま)し、長(なが)く天(てん)下(か)を保(たも)つ。聖(せい)人(じん)の欲(ほつ)する所(ところ)、亦(また)大(だい)ならずや。 １『報徳秘稿』七三一「釈迦の色即是空と説き給いしも、世界春は万物生育し、秋は万物枯れて滅する、有の儘を説き給いし也。聖人の父子・夫婦・兄弟の道も交わり能き為に立て給いし也。畔を作りて田の出来たるにはあらず。天自然、地低き場を畔を立て、地を平均して一面に水掛り候よう成されし也。人作を以て作り、都（すべ）て能きよう立て給いし也。故に少し油断して修復せざれば、忽ち損じて荒地となる。人倫の道、身勝手を本道と覚えたるより、善悪・邪正・吉凶、己が辟より発す。何となれば、雨の降る世界に生れて室屋を作り、裸で生れて衣服を作り、雨露寒暑を凌ぎ、身勝手也。右の道を取れば善悪邪正有ることなし。」《訳》聖人は天理に基づいて憲法（根本の法）を作って天下を治めた。だから法というものは人為のもので自然ではない。これを畑にたとえよう。もし耕し草取りなければ、すぐに原野になる。またこれを調髪にたとえよう。もし調髪しなければ、すぐによもぎ頭になる。だから耕作や調髪は、みな人為であって自然ではない。国家を治めるものは、よくその自然を悟り、憲法を厳しくすべきじゃ。聖人は推譲を以て人類の道とし、略奪を以て鳥獣の道とした。譲れば財産は日に増し、奪えば財産は日に減ずる。ここに芋が一つあるとする。これを奪って食えば、一つの芋にとどまる。これが貧困のもとじゃ。このこれを譲って植えれば、十の芋を得る。これを再三植えれば数倍に増えて極まりない。これが富裕のもとじゃ。聖人は憲法を設けて略奪を禁じ推譲を勧め、世界を富まし、天下を長く保った。聖人の欲するところはなんと大きいことか。

  2018年07月31日

• 二宮先生語録巻の5 【385】

  二宮先生語録巻の5 【385】【三八五】日(じつ)月(げつ)星(せい)辰(しん)寒(かん)暑(しよ)昼夜(ちゆうや)循(じゆん)環(くわん)止(や)まざる者、天地(てんち)の常道(じやうだう)なり。人世(じんせい)万事(ばんじ)も亦(また)然(しか)り。公(こう)婆(ば)（夫の両親）老(おゆ)れば、則(すなは)ち幼(えう)孫(そん)長(ちやう)ず。薪(たきゞ)を此(こゝ)に焚(た)けば、則(すなは)ち樵夫(きこり)諸(これ)を彼(かれ)に伐(き)る。炭(すみ)を此(こゝ)に装(よそお)へば、則(すなは)ち炭工(たんこう)（炭焼き）諸(これ)を彼(かれ)に焼(や)く。烟(けむり)を此(こゝ)に吹(ふけ)ば、則(すなは)ち烟(えん)舗(ほ)（たばこ屋）諸(これ)を彼(かれ)に切(き)る。紙(し)障(しやう)此(こゝ)に壊(やぶ)れば、則(すなは)ち紙工(しこう)（紙すき）諸(これ)を彼(かれ)に抄(す)く。足(た)衣(び)此(こゝ)に敝(やぶ)れば、則(すなは)ち針(しん)工(こう)（したて屋）諸(これ)を彼(かれ)に裁(さい)す。其(そ)の他(た)善(ぜん)悪(あく)邪(じや)正(せい)禍(か)福(ふく)吉(きつ)凶(きよう)貧(ひん)富(ぷ)存(そん)亡(ばう)の類(るゐ)、循(じゆん)環(くわん)窮(きゆう)尽(じん)有(あ)る無(な)し。吁々(あゝ)、公(こう)婆(ば)の老(おい)に迫(せま)るを忘(わす)れ、幼(えう)孫(そん)の長(ちやう)遂(つひ)（大きく育つ）を希(こひねが)ふ者(もの)、世人(せじん)の通(つう)情(じやう)なり。是(こ)れ循(じゆん)環(くわん)の世(よ)に在(あつ)て、其(そ)の循(じゆん)環(くわん)を知(し)らず。哀(かなし)むべきなり。面(まのあ)たり循(じゆん)環(くわん)の理(り)を見(み)る、鏇工(せんこう)（ろくろ師）に若(し)くは無(な)し。鏇工(せんこう)を見(み)ば、則(すなは)ち其(そ)の理(り)明了(めいれう)なり。《訳》太陽、月、星、寒さ暑さ、昼夜も循環してやまないのが天地の常道じゃ。人の世もまた同様で、じいさんばあさんが年取れば、孫が成長する。たきぎをこちらにたけば、きこりがあちらで切る。炭をこちらでつげば、炭焼きがあちらで焼く。たばこをこちらで吸えば、たばこ屋があちらで刻む。障子がこちらで破れると、紙屋があちらですく。たびがこちらで破れると、仕立て屋がありらで裁断する。その他、善悪・邪正・禍福・吉凶・貧富・存亡のたぐい、ことごとく循環して窮まることがない。ああ、じいさんばあさんが自分の年をとるのを忘れ、孫が大きく育つのを願うのが世の人情だが、これは循環の世の中にあってその循環を知らないもので、かなしむべきことじゃ。目のあたり循環の理を見るには、ろくろが一番よく、ろくろがぐるぐる回るのを見ればその理は明了じゃ。

  2018年07月31日

• 二宮先生語録巻の5 【384】

  二宮先生語録巻の5 【384】【三八四】歌(か)人(じん)秋(しう)気(き)を称(しよう)し、悲(ひ)涼(りやう)と為(な)し、粛殺(しゆくさつ)（秋の気が草木を枯らす）と為(な)し、以(もっ)て無(む)常(じやう)を歎(たん)ず。是(こ)れ蓋(けだ)し偏(へん)見(けん)なり。夫(そ)れ秋(あき)は百(ひやく)穀(こく)熟(じゆく)して、貨(くわ)財(ざい)足(た)る。何(なん)の悲(ひ)凉(りやう)か之(こ)れ有(あら)ん。何(なん)の粛(しゆく)殺(さつ)か之(こ)れ有(あら)ん。且(か)つ夫(そ)れ種(たね)は春(しゆん)風(ぷう)に乗(じよう)じて茁(めば)へ、草(くさ)は秋(しゆう)風(ふう)に乗(じやう)じて実(みの)る。故(ゆゑ)に種(しゆ)界(かい)に在(あ)れば、則(すなは)ち春(しゆん)風(ぷう)を無(む)常(じよう)と為(な)し、茁(めばへ)るを以(もつ)て死(し)と為(な)し、茁(めばへ)て草(くさ)と為(な)る。之(これ)を仏(ぶつ)と謂(い)ふ。草(くさ)種(しゆ)界(かい)に在(あ)れば、則(すなは)ち秋(しゆう)風(ふう)を無(む)常(じよう)と為(な)し、実(みの)るを以(もつ)て死(し)と為(な)し、実(みのつ)て種(たね)と為(な)る。之(これ)を仏(ぶつ)と謂(い)ふ。然(しか)らば則(すなは)ち死生(しせい)、死生(しせい)に非(あら)ず。無(む)常(じよう)、無(む)常(じよう)に非(あら)ず。此(こ)れを之(こ)れ円(ゑん)見(けん)と謂(い)ふなり。１『報徳秘稿』六八六「倩（つらつら）有常無常を案ずるに、有常有常にあらず、無常無常にあらず。如何となれば、草木は秋風に滅するなれども、種の類は春風に滅す―。此の世界は半分世界故、己が体ある故に体ある草木の方より見て、歌にも作り、詩にも詠じ、秋風を無常と云う。然れども、己が日々食する処の穀物の世界より見れば、春風が無常也。此の故に仏説、未来こそ一大事と云えり。譬ば草に向かえば、雨露を争い、糞土を争いなどするとも、今に秋風吹く時は汝等自他一本も残るべからず。早く種とならんことを願え、早く霜降らざる内に実らずば六道に流転するぞと。又種に向かえば又此の如し。仏説此の如きといえども、只理を以て此の如く威し、今日の上に悪心を制するのみ也。別に何もあるにあらず。」《訳》歌人は秋を称してもの悲しく、草木を枯らすと無常を嘆くが、これは偏った見解じゃ。それ秋は多くの穀物が熟して財貨が満ち足りる。どうしてもの悲しいことがあろうか。どうして草木を枯らすと嘆くことがあろうか。かつそれ種は秋風に乗って実る。だから種の世界から見れば春風を無常とし、めばえることを死をし、めばえて草となる。これを仏という。草の世界から見れば、秋風を無常とし、実ることを死とし、実って種となる。これを仏という。そうであれば死生は死生ではなく、無常は無常ではない。これを円見というのじゃ。

  2018年07月29日

• 沖縄県立図書館が「鈴木藤三郎の米欧旅行日記」「遠州報徳の師父と鈴木藤三郎」を蔵書とし、17件所蔵館となった、感謝！

  沖縄県立図書館17件遠州報徳の師父と鈴木藤三郎報徳記を読む 第4集 二宮尊徳の報徳の教えが世界に広まり真正の文明の実を見ることを報徳記を読む 第3集 報徳は国を興し民を安んずる大業である補注 鈴木藤三郎の『米欧旅行日記』 米欧旅行日記 日本精製糖株式会社 専任取締役 鈴木藤三郎二宮金次郎の対話と手紙 中学生からお年寄りまでよくわかる 第一小田原編(少年・青年期))報徳記を読む 第2集 『報徳記』巻の二、『報徳論』 (『報徳要典』準拠全ルビ) 、報徳本教・青木村治蹟ボーイズ・ビー・アンビシャス 第5集 内村鑑三 神と共なる闘いボーイズ・ビー・アンビシャス 第4集 札幌農学校教授・技師広井勇と技師青山士報徳記を読む 第1集 『報徳記』第一巻(『報徳要典』準拠全ルビ原文(朗読・輪読用)、現代語訳、資料集)ボーイズ・ビー・アンビシャス 第3集 新渡戸稲造の留学談・帰雁の蘆ボーイズ・ビー・アンビシャス 米欧留学篇 米国留学中の内村鑑三の日記と手紙 内村鑑三から新島襄、広井勇あて書簡 宮部金吾・新渡戸稲造往復書簡抜粋砂糖王鈴木藤三郎 氷砂糖製造法の発明ボーイズ・ビー・アンビシャス 《クラーク精神》&札幌農学校の三人組(宮部金吾・内村鑑三・新渡戸稲造)と広井勇二宮尊徳と日本近代産業の先駆者鈴木藤三郎二宮尊徳と日本近代産業の先駆者鈴木藤三郎報徳産業革命の人 報徳社徒鈴木藤三郎の一生 「二宮尊徳の会」鈴木藤三郎氏顕彰 第1集鈴木藤三郎 日本近代製糖業の父 台湾製糖株式会社初代社長 「二宮尊徳の会」鈴木藤三郎氏顕彰 第3集

  2018年07月29日

• 二宮先生語録巻の5 【382】その２

  二宮先生語録巻の5 【382】その２此こゝに孝かう子し偽いつはり有あり。其その初しよ念ねん虚きよ偽ぎに出いづ。故ゆゑに其その善ぜん行かう美び草さうの如ごとしと雖いへども、美び花くわに似にると雖いへども、而しかも結けつ局きよく必かならず不ふ孝かうに帰きす。此こゝに忠ちゆう臣しん偽いつはり有あり。其その初しよ念ねん虚きよ偽ぎに出いづ。故ゆゑに其その善ぜん行かう有ありと雖いへども、而しかも遂つひに不ふ忠ちゆうに帰きす。余よ故ゆゑに曰いはく、虚きよ種しゆ播まけば則すなはち虚きよ草さうを生しやうじ、虚きよ花くわを発ひらき、虚きよ実じつを結むすぶ。凡およそ初しよ念ねん虚きよ偽ぎに出いづれば則すなはち一旦たん善ぜん行かう有ありと雖いへども、而しかも遂つひに虚きよ偽ぎに帰きせざる莫なし。人じん倫りん百ひやく行かう皆みな然しからざる無なし。豈あに察さつせざるべけんや。《訳》仏教では三世（前世・現世・来世）を説く。私は四世とする。草木でたとえよう。種から草が生じ、草は花を開き、花は実を結ぶ。これを四世とする。種草花実その形は異なるが、元は一つで、その異なる形を見るたびに、世人は疑いを生じる。これを迷いという。種草花実の四世を通観すれば何の疑いを生じよう。稲の種を播けば草を生じても、花を咲かせても遂に稲の種となる。ところが稲の種を播いて冬瓜が生ずるよう求め、西瓜の実ることを願うのが小人に通情じゃ。ここに偽（にせ）の孝子があり、最初の念は虚偽に出る。だからその行いの善行は美しい草のようでも、美しい花に似ても結局不孝に帰する。ここに偽の忠臣があり、最初の念は虚偽に出る。だから善行があっても遂に不忠に帰する。だから私は常に言う。偽りの種を播けば偽りの草を生じ、偽りの花を開き、偽りの実を結ぶ。およそ最初の念が虚偽ならばいったん善行があっても遂に虚偽に帰さないものはない。人倫のすべての行いはみなこのとおりじゃ。深く考察しなければならない。

  2018年07月29日

• 二宮先生語録巻の5 【382】その１

  二宮先生語録巻の5 【382】その１【三八二】仏(ぶつ)氏(し)三世(さんぜ)を説(と)く。余(よ)は則(すなは)ち四(よん)世(せ)と為(な)す。之(これ)を草木(さうもく)に譬(たと)ふ。種(しゆ)子(し)草(くさ)を生(しやう)じ、草(くさ)花(はな)を発(ひら)き、花(はな)実(み)を結(むす)ぶ。是(これ)を四(よん)世(せ)と為(な)す。種(しゆ)草(さう)花(くわ)実(じつ)、其(そ)の形(かたち)を異(こと)にすと雖(いへど)も、而(しか)も本(もと)是(こ)れ一物(ぶつ)、其(そ)の異(ことなる)を見(み)る毎(ごと)に、世(せ)人(じん)疑(うたがひ)を生(しやう)ず。是(こ)れ之(これ)を迷(まよひ)と謂(い)ふ。種(しゆ)草(さう)花(くわ)実(じつ)四世(せ)を通観(つうかん)せば、則(すなは)ち何(なん)の疑(うたがひ)か之(こ)れ有(あら)ん。夫(そ)れ稲(いね)種(たね)を播(ま)けば則(すなは)ち草(くさ)を生(しやう)ずと雖(いへど)も、花(はな)を発(ひら)くと雖(いへど)も、遂(つひ)に稲(いね)種(たね)と為(な)る。然(しか)るに稲(いね)種(たね)を播(まき)て、而(しか)して東(とう)瓜(がん)の生(しやう)ずるを求(もと)め、西(すゐ)瓜(くわ)の実(みの)るを希(ねが)ふ者(もの)、小(しやう)人(じん)の通(つう)情(じやう)なり。

  2018年07月29日

• デニソンの教え

  内村鑑三と幣原喜重郎５　デニソンの教え　幣原は昭和二十一年八月十九日外務研修所で若い外務研修生にデニソンの思い出に事寄せて説いた。「外務省に昔アメリカ人で顧問をしておりましたデニソンという人がおりました。この人は私がその頃電信課長というものをやっていた時代でが、午前中でも午後でも暇さえあると、私の部屋にやってきてきました。このデニソンは私に次のような話をして聞かせ、私は今でもよく覚えている言葉があります。その話というのは、長年商売をやっていたある老人が、ある日自分の倅を読んでいうには、お前にこの一言をいって聞かせておきたいことがある。よく覚えておきなさい。『自分はいままでに正直なことも不正直なこともやってみたが、結局正直な方が儲かった』と老人が息子にいったということをデニソンが私に話して聞かせたことを覚えております。これは商売人の話ではありませけれども、私は外交問題も、結局この一語に尽くしておると思います。　私は、電信課長時代でありますが、当時の長官は小村侯爵でして、ちょうどその頃日露戦争の始まる直前で、情勢は危険緊迫しておった頃です。初めはピータースブルグ（ペテルブルグ）で談判していたが、終いには小村大臣が交渉の場所を東京に移し、東京でロシア公使と談判していたのですが、最後の段階になると、回答が何ほど督促しても動かない。そこで小村さんも匙を投げられまして、いよいよ戦争をするより以外道がないというので、陸海空大臣とも話をされ、遂に日本の有力なる艦隊が日本を乗り出すという時機になったのです。ところがもうすでに日本の艦隊が佐世保を出発してしまった後へ、ロシアの大使のところに一通の電報が入ったのです。　そこで小村大臣は、最後の瞬間、先方は日本の要求を容れるというような事を訓令してきた電報ではなかろうか。万一そうだとすると、こちらの艦隊は既に日本を出てしまっており、今更引込みがつかない。殊にピータースブルグにおいて粟野公使より日ロ交渉の打切り及び国交断絶の通告をロシア政府に発送した後であるから、ロシア公使あて電報を差し止めても差し支えないと、電報を差し止めた。そのことを小村大臣は始終頭に病んでおりまして自分の一生涯でこんな噓をついたことはない。始めてのことで実に気持ちが悪いと良心の呵責を感じていた。ポーツマス談判でロシア側全権ウィッテに日本にいたロシア大使ローゼンに会う。きっとローゼンは例の電報を差し止めた問題を提起するだろう。非常に困った事になったと私に話されて『自分は初めて噓をついたが、こんなことはやるものではない。』といわれました。私は小村さんのような人こそ、真に外交を解する一人であったと思うのです。　私はその後大使館参事官としてワシントンに赴任することになりました。するとデニソンが、自分も一緒に行きたいというので、それでは一緒に行こうということになり切符も一緒に買ったのですが、急に先生は外務省の公務で引き止められ、一船遅れることになりました。私が出発する前に訪問すると、デニソンは部屋の中をすっかり取り片づけ、書類の整頓をやっていました。私も上着を取って手伝ってあげました。私が机の引出しを片付けていますと分厚い綴込みが出てきたのです。なにげなく開けると、それはデニソンが日ロ談判当時の草稿を書いていたもので、その多くは一つの電文ごとに少なくとも十四、五回、始め書いたものを清書して、それに鉛筆なり朱のインキで書き入れ、それをまた書き直し、更に張紙したり修正している。最初の談判から最後の国交断絶の談判の草稿まで十六通の綴込みがありました。これを私に呉れないかと私はそれを抱えこんだのです。するとデニソンは少し考えて、やがてちょっと見せてくれと、その草稿を取り上げると共に立ち上がって歩きだしたのです。その時ストーブには、彼が部屋の整理をしながら、古い書類を焼くため火が焚いてあったのです。デニソンはそのストーブにいきなりその草稿をくべてしまったのです。私は『焼くくらいなら私に呉れてもいいではないか』というと『いやそれはいけません。日ロ談判の交渉は小村さんが自分でやられたもので、その結果がよくも悪くもそれは小村さんの責任です。あなたが書類を持っていると他人にそれを示して、デニソンがこういう草稿をこしらえていたと話すだろう。私はそういう記録は存して置きたくないから焼いたのだ』とこう申したのです。　私は先生のこの精神は誠にきれいなものだと思います。この日ロ談判の訓電は、非常に完全な外交文書であって、私がその後イギリスに行ったとき、英国外務省の極東部長が私に向かい『日本には偉い人物がいる。日ロ談判の文書を書いたのは一体誰ですか。よほど偉い人だと私は思っている。外交文書の完全なる模範と思っている。イギリスでは外務省に入った人間にはあれを暗誦するように命令している』とこういうことをその局長は言っておりました。その外交談判の記録が戦争勃発と同時に世の中に発表されたので、日本の人気はどっと上がったのであります。その結果、世界の日本に対する信望というものが翕然（きゅうぜん）としてあつまってきました。そして日本はこれまで平和に力を尽した。然るにそれをロシアが聞き入れなかったのは、ロシアが暗愚であるか、さもなくば誰か野心家の犠牲になったものであるとして、日本の人気は大変なものでした。つまりデニソンが苦心惨憺して書いた外交文書は、ここに見事効を奏してきたのであります。そのことをデニソンは知っていたのです。しかしそういうことに自分が関与したという証拠を残して置きたくないと思って焼いてしまったのでありましょう。大抵の人は物事がうまく行くと功を自分で奪って、悪いところだけは責任を人になすりつけるというのが人情であります。しかしデニソンは正反対であって、功を人に譲り、自分は何もしなかったといってそれ以上の記録は存したくないと焼いてしまった。その心情の高潔さは感服の至りだと思うのです。」

  2018年07月29日

• 二宮先生語録巻の5 【381】

  二宮先生語録巻の5 【381】【三八一】上帝(じやうてい)の坤(こん)輿(よ)（大地）に照臨(せうりん)する、至(し)公(こう)無私(むし)なり。聖(せい)世(せい)と雖(いへど)も、而(しか)も敢(あへ)て光(ひかり)を増(ま)さず、暴(ぼう)世(せい)と雖(いへど)も、而(しか)も敢(あへ)て光(ひかり)を減(げん)ぜず。唯々(たゞ)日(ひ)に照(てら)すのみ。其(そ)の聖(せい)世(せい)を見(み)る、猶(な)ほ児(じ)戯(ぎ)を見(み)るごとくなり。児(じ)子(し)大(おゝ)路(みち)に聚(あつま)り、線(せん)を引(ひ)き界(さかひ)を立(た)て、彼(かれ)を汝(なんぢ)が分(ぶん)と為(な)し、此(これ)を我(わ)が分(ぶん)と為(な)す。馬(ば)夫(ふ)至(いた)り罵(のゝしつ)て曰(いは)く、危(あぶな)し、之(これ)を避(さ)けよ。乃(すなは)ち界(かい)線(せん)を踏(たふ)破(は)して行(ゆ)く。聖(せい)人(じん)法(はふ)を設(まう)け道(みち)を立(たて)るも、亦(また)猶(な)ほ是(かく)の如(ごと)し。上帝(じやうてい)動(やゝ)もすれば乃(すなは)ち曰(いは)く、避(さ)けよと。凡(およ)そ王(わう)侯(こう)より、士(し)庶(しよ)早(さう)隸(れい)乞(こ)児(じき)に至(いた)るまで、通(つう)行(こう)する所(ところ)の大(おゝ)路(みち)、焉(いづく)んぞ児(じ)戯(ぎ)を以(もつ)て之(これ)を拒(こば)むを得(え)ん。聖(せい)人(じん)の道(みち)も亦(また)然(しか)り。夫(そ)れ人(じん)道(だう)たる者(もの)、人(じん)生(せい)便(べん)宜(ぎ)の為(ため)に作(つく)る所(ところ)、故(ゆゑ)に動(やゝ)もすれば則(すなは)ち壊(こは)る。然(しか)るに世(せ)人(じん)以(もつ)て自(し)然(ぜん)の道(みち)と為(な)す。亦(また)繆(あや)まらずや。釈(しやく)氏(し)は則(すなは)ち諸(しよ)行(ぎやう)無(む)常(じやう)と為(な)す。馬(ば)夫(ふ)の至(いた)るを見(み)れば、則(すなは)ち曰(いは)く、児(じ)輩(はい)速(すみやか)に之(これ)を避(さ)く。経過(けいか)の後(のち)、請(こ)ふ復(ま)た線(せん)を引(ひ)かんと。故(ゆゑ)に上帝(じやうてい)も之(これ)を詰(なじ)る能(あたは)はず。《訳》上帝（中国の伝統信仰の最高神）が世界に臨み照らすや、公平無私の至りじゃ。聖人の世でも光を増さず、暴君の世でも光を減じない。ただ日を照らすだけじゃ。上帝が聖人の世を見るや、なお子供の遊びを見るようじゃ。子供が大通りに集まって線を引いて境を立てて、そっちはお前の分、こっちはおれの分とする。馬方が通りかかって「危ないぞ、どけどけ」と罵って、子供が描いた線を踏み破って行く。聖人が法を設け道を立てるのも、ちょうどこのようじゃ。上帝はときどき「どけどけ」という。およそ王侯から侍、庶民、非人、こじきに至るまで通行する大通りをどうして子供の遊びでこばむことができよう。聖人の道も同じじゃ。そもそも人道というものは人生の便利のために作ったもので、ややもすると壊れる。ところが世の人はこれを自然の道としているのは誤りじゃ。仏者は諸行無常（この世のあらゆるものは変化して永遠のものはない）とする。馬方が来るのを見ては言う、「子供たちよすぐに避けなさい。通り過ぎてまた線を引くがよい」と。だから上帝もこれをなじることができない。瀬戸内寂聴さんの東日本大震災の被災地に向けたメッセージ

  2018年07月29日

• 二宮先生語録巻の3 【357】その２

  二宮先生語録巻の3 【357】その２門もん人じん問とうて曰いはく。武ぶ王わうの討たう伐ばつを以もつて非ひと為なさば、則すなはち伯はく夷い諫かん争さうを以もつて是ぜと為なすか。曰いはく、伯はく夷いの諫かんも亦また其その道みちを得えず。何なんとなれば則すなはち之これを革かく車しや虎こ賁ふんの下もとに諌いさむ。是これ行おこなはれざる所以ゆえんなり。蓋けだし武ぶ王わう兵へいを挙あげる漸ぜん有あり。伯はく夷い設もしも若もし従しやう容よう諌いさめて曰いはく。紂ちうの悪あく既すでに極きはまり、又また三さん仁じんを失うしなふ。三さん仁じんの殷いんに於おける、猶なほ家か屋をくの柱ちゆう石せきに於おけるごとくなり。三さん柱ちゆう折おれて家か屋をく顛くつがへらざる者もの、未いまだ之これ有あらざるなり。其その自みずから亡ほろびる、立たつて待まつべし。若もし夫それ期き年ねんにして亡ほろびずんば、則すなはち臣しん、民たみの為ために之これを討ちうし、君きみの為ために不ふ臣しんの名なを得うる何なんぞ辞じせん。殷いん亡ほろびば、則すなはち天てん下か周しゆうに帰きす。君きみ是これに於おいて三さん譲じやうして天てん下かを有たもつて、以もつて后こう稷しよく以い来らいの積せき徳とくを光くわうす。亦また善よからずや、此これを以もつて之これを諌いさめば、則すなはち何なんの行おこなはれざる之これ有あらん。嗚あ呼ゝ揖いう譲じやう（位を譲りあう）以もつて天てん下かを有たもたば、何なんぞ管くわん蔡さいの叛はん有あらん。何なんぞ首しゆ陽やうの飢うえ有あらん。世せい祚そも亦また何なんぞ八百載さいに止とゞまらん。豈あに惜おしまざらんや。１　后稷は伝説上の周王朝の姫姓の祖先。中国の農業神。２　公劉は后稷の曾孫。戎狄の間で生活し、農耕に励んだ。３　泰伯　周の大王の長男で、次弟は虞仲、末弟は季歴。季歴の子が昌で、後に周の文王となる。季歴の子・昌が生まれた時、大王は、「周は昌の世に栄えるだろう」と漏らした。泰伯は、父の気持ちを察し、昌の父である末弟の季歴に君位を継がせようと、次弟の虞仲と二人で南方に隠れた。「子日く、泰伯は其れ至徳と謂うべきのみ。三たび天下を以て譲る。民得て称する無し」（論語泰伯第八）。４　伯夷と叔斉は、武王が呂尚を軍師に立て殷討伐に出征しようとした際、武王の馬を叩いて諫めた。「父が死んだのに葬らず干戈に及ぶのは孝といえましょうか。臣でありながら君を弑して仁といえましょうか」殷が滅んで、武王が周を立てた後、二人は周の粟を食べる事を恥とし周の国から離れ、首陽山に隠棲して山菜を食べたが、最後は餓死した。《訳》ある日、門人に史記の周本紀を読ませた。武王が紂王を討つところで『止めよ』と言われた。『それ后稷（周王朝の祖）は農業を教え、人民は大いに恵みを受けた。公劉はその業を修め、多くの人々が懐いた。周の大王は人民のために国を去り、泰伯は末弟に三たび位を譲り、文王はよく殷に服従した。その積徳が積んで、天下の万民が周に帰し、ついに天下を保有した、天命じゃ。殷の紂王の積悪で自ら亡滅したのもまた天命じゃ。紂王が滅べば、天下の諸侯は必ず周の武王を推して帝王としよう。武王はそこで三度辞退して位につき天下を治めれば后稷以来の積徳を全うさせたであろう。そうであればたとえ万民の塗炭の苦しみを見るに忍び難かったとしてもどうして兵を動かし討伐する必要があったろう。それをただ兵を動かし討伐する。菅叔・蔡叔の乱（文王の子で武王没後反乱した）という骨肉が互いに害する禍を生じた理由じゃ。』門人が質問した。武王の討伐がよくないというのなら伯夷が殷の討伐を諫めたのがよいということでしょうか。先生は言われた。『伯夷の諫めもまたその道を得ない。なぜならば出陣の時に諫めた。これが諫めても聞かれなかった理由じゃ。なぜならば武王が兵をあげる前に兆候があった。伯夷がもし穏やかに紂王の悪は既に極まって、また三人の仁者（微子・箕子・比干）を失いました。三人の仁者は家屋の柱石のようでした。三つの柱が折れて家屋が覆らないものはいまだありません。その自ら滅びるのをじっとお待ちください。もし一年たっても滅びなければ私たちは民のために紂王を討伐します、わが君のために不忠の名をこうむることをどうして辞しましょう。殷が滅べば天下は周に帰します。主君はそこで三譲して天下を保有し、后稷以来の積徳を輝かる。また善いことではないか。このように諫めればどうして行われないことがあろう。ああ位を譲りあって天下を保てば、どうして菅叔・蔡叔の乱があろう。どうして伯夷が首陽山で飢えることがあろう。周の王朝もまた八百年にとどまらない。実に惜しいことじゃ。』」

  2018年07月28日

• 「二宮先生語録」もいよいよ第5巻に入る！二宮先生語録巻の3 【357】その１

  「二宮先生語録」もいよいよ第5巻に入る！二宮先生語録巻の3 【357】その１　第五【三八〇】一日(いちじつ)門人(もんじん)に史記(しき)周(しう)の本記(ほんき)を読(よ)ましむ。武(ぶ)王(わう)紂(ちう)を伐(う)つに至(いた)る。曰(いわ)く、止(や)めよ。夫(そ)れ后(こう)稷(しよく)は稼(か)穡(しよく)を教(おし)へ、民(たみ)沢(めぐみ)を被(こうむ)る大(だい)なり。公(こう)劉(りゆう)其(そ)の業(げふ)を修(おさ)め、百(ひやく)姓(せい)之(これ)に懐(なつ)き、大(だい)王(わう)民(たみ)の為(ため)に国(くに)を去(さ)り、泰(たい)伯(はく)の三(さん)譲(じやう)、文(ぶん)王(のう)の服(ふく)事(じ)、其(そ)の積(せき)徳(とく)累(るゐ)仁(じん)、四(し)海(かい)万(ばん)姓(せい)之(これ)に帰(き)し、遂(つひ)に以(もつ)て天下(てんか)を有(たも)つ、天(てん)なり。紂(ちう)の積(せき)悪(あく)、自(みずか)ら亡(ぼう)滅(めつ)を取(と)るも、亦(また)天(てん)なり。紂(ちう)亡(ほろ)びば、則(すなは)ち天(てん)下(か)の諸(しよ)侯(こう)、必(かなら)ず武(ぶ)王(わう)を推(お)し、以(もつ)て帝王(ていわう)と為(なさ)ん。武(ぶ)王(わう)是(これ)に於(おい)て三(さん)譲(じやう)して位(くらい)に即(つ)き、以(もつ)て天下(てんか)を治(おさ)めば、則(すなは)ち后(こう)稷(しよく)以(い)来(らい)の積(せき)徳(とく)を全(まつと)ふすと謂(い)ふべし。然(しか)らば則(すなは)ち縦(たと)ひ万(ばん)民(みん)の塗(と)炭(たん)に忍(しの)びざるも、何(なん)ぞ干(かん)戈(くわ)を動(うご)かし討(たう)伐(ばつ)を用(もちふ)るを之(こ)れ為(なさ)ん。夫(そ)れ唯(た)々(ゞ)干(かん)戈(くわ)を動(うごか)し討(たう)伐(ばつ)を用(もち)ゆ。是(こ)れ管(くわん)蔡(さい)の叛(はん)、骨(こつ)肉(にく)の相(あい)害(がい)するの禍(わざはひ)を生(しやう)ずる所以(ゆえん)なり。

  2018年07月28日

• 二宮先生語録巻の3 【379】その２　　巻の４　終り

  二宮先生語録巻の3 【379】その２　　巻の４　終り位くらい無なければ、則すなはち位くらい無なきに行おこなひ、禄ろく無なければ、則すなはち禄ろく無なきに施ほどこし、市まちに在あれば、則すなはち市まちに行おこなひ、野のに在あれば、則すなはち野のに施ほどこす。凡およそ血けつ気き有ある者もの、尊そん信しんせざる莫なし。故ゆゑに王わう侯こうより士し庶しよ百ひやく工こう神しん官かん仏ぶつ徒とに至いたるまで、苟いやしくも之これを用もちひる者もの有あらば、則すなはち日にち用よう間かんに行おこなはれて、凝ぎよう滞たい有ある莫なし。何なんぞ時じ世せいを憤いきどほらん。何なんぞ時じ政せいを誹そしらん。以もつて楽たのしみ行おこなふべし。豈あに真しんの大たい道だうならずや。１『報徳秘稿』六四六「古より英才俊傑多しといえども、道体の高明を悟る時は」、世事の紛々を厭い、或いは山林に住し、或いは厳穴に閑居し、枯木の雨露をも吸わず、枝葉をも発せず、又倒れもせざるが如く、空閑を楽しんで性命を尽すあり。或いは又成んと欲すること不如意なれば、世を憤り、人倫を廃し、詩歌を弄し、山水風月を楽しんで年を経るあり。或いは又、進まんと欲して進むこと能わずんば、又是を憤りて世を捨て、世を嘲り、常に飲酒を楽しみとし、荒蕩の行いを以て一生を終るあり。歌に曰く　出ずるとも入るとも月を思わねば心にかかる山の端もなし　是、世を見捨てたる歌也。又　いかめしき音やあられの檜笠　是、世を厭いたる句なり。　笛吹かず太鼓たたかず獅子舞の跡足になる胸の安さよ　是、世を憤りたる也。是等皆、身英才を抱いて、而して人道に益なし。嗚呼、惜しまざらんや。蜀山人の歌に　世を捨て山に住むとも味噌醬油酒の通路なくて叶わじ　是又人を誹りたる歌なれども、理は至極せり。然りといえども又実用なし。故に予、三才報徳の仕法帳を組立つ。夫れ、予の仕法は、明君在って用い玉えば国家天下に施すべし。上用いざれば朋友親族の間に施すべし。或いは市中にあれば市中に施し、或いは村里にあれば村里に施し、一家なれば一家に施し、凡そ血気あるもの尊信せざることのなき大道なれば、処として行われざる所なし。位なければ位無きに行い、禄なければ禄なきに行い、王公大夫、士農工商、及び僧侶・山伏・祢宜（ねぎ）・神主、日用の間に行われて、聊かも凝滞せざること此の如し。故に世を厭わず、世を憤らず、世を捨てず、楽しんで而して行うべし。是を真の大道と云う。」《訳》古来、英雄や俊傑が多いといっても国を治め、民を安やかにする功績を行う者は少ない。あるいは道の高妙を悟れば、塵の世を厭い、閑寂を楽しみ、身を終る者がある。あるいは事業を興そうと思って、思うようにならなければ、時世を憤り、詩歌をもてあそんで生を送る者がある。あるいは進取を望んで進むことができなければ、時世をそしって、飲酒にふけり、世を没する者がある。これは皆その才能が余りあって、国を治め、民を安やかにするに益がないもので、惜しむべきものじゃ。だから私は治国安民の法を創設した。藩主がこれを用いれば、諸藩に行うことができ、おおくの人々に施すことができる。藩主がこれを用いなければ多くの友人や親せきの間に行うがよい。位がなければ位がないなりに行い、禄がなければ禄がないなりに行い、町にあれば町に行い、野にあれば野に施す。「およそ血気ある者、尊信せざるなし。」だから王侯から士・庶民・百工・神官・僧侶に至るまで、いやしくもこれを用いる者があれば、日用の間に行われて、とどこおるところがない。どうして時世を憤る必要があろう。楽しんで行うことができる。なんと真の大道ではないか。

  2018年07月28日

• 二宮先生語録巻の3 【379】その１　　巻の４　終り

  二宮先生語録巻の3 【379】その１　　巻の４　終り【三七九】古(いにしへ)より以(い)来(らい)、英(えい)豪(がう)俊(しゆん)傑(けつ)多(おゝ)しと雖(いへど)も、治(ち)国(こく)安(あん)民(みん)の功(こう)を成(な)す者(もの)、蓋(けだ)し鮮(すくな)し。或(あるひ)は道(だう)体(たい)の高(かう)妙(めう)を覚(さと)れば、則(すなは)ち塵(ぢん)世(せい)を厭(いと)ひ、閑(かん)寂(じやく)を楽(たのし)み、以(もつ)て身(み)を終(おは)る者(もの)有(あ)り。或(あるひ)は事(じ)業(げふ)を興(おこさ)んと欲(ほつ)して、意(い)の如(ごと)くならざれば、則(すなは)ち時(じ)世(せい)を憤(いきどほ)り、詩(し)歌(か)を弄(もてあそ)び、以(もつ)て生(せい)を送(おく)る者(もの)有(あ)り。或(あるひ)は進(しん)取(しゆ)を欲(ほつ)して、進(すゝ)む能(あた)はざれば、則(すなは)ち時(じ)政(せい)を誹(そし)り、飲(いん)酒(しゆ)に耽(ふけ)り、以(もつ)て世(よ)を没(ぼつ)る者(もの)有(あ)り。是(こ)れ皆(みな)其(そ)の才(さい)余(あま)り有(あり)て、治国安(ちこくあん)民(みん)に益(えき)無(な)きなり。豈(あに)惜(おし)まざるべけんや。故(ゆゑ)に余(よ)、治(ち)国(こく)安(あん)民(みん)の法(ほう)を創設(そうせつ)す。邦(はう)君(くん)之(これ)を用(もち)いば、則(すなは)ち諸(しよ)封(ふう)内(ない)に行(おこな)ふべく、諸(しよ)民(みん)人(じん)に施(ほどこ)すべし。邦(はふ)君(くん)之(これ)を用(もち)ひざれば、則(すなは)ち諸(しよ)朋(はう)友(ゆう)親(しん)戚(せき)の間(あひだ)に施(ほどこ)すべし。

  2018年07月28日

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  九州産業大学図書館が「八田與一と鳥居信平」を蔵書としていただいた、感謝！

  平成30年7月27日現在「八田與一と鳥居信平」所蔵館全１７５館国立国会図書館　１件都道府県　２１件岩手県　山形県　茨城県　埼玉県　東京都　神奈川県　富山県　静岡県　石川県　奈良県　和歌山県　岡山県　広島県　徳島県　香川県　福岡県　長崎県　佐賀県　熊本県　鹿児島県　鹿児島県立奄美市立図書館　９４館北見市　帯広市　富良野市　恵庭市　別海町　京極町　佐呂間町　八戸市　五戸町　二戸市　久慈市　名取市　奥州市　遠野市　岩泉町　金ヶ崎町　本宮市　会津若松市　南会津町　郡山市　相馬市　新地町　須賀川市　鹿沼市　那須烏山市　真岡市　富岡市　さいたま市　横浜市　厚木市　大和市　小田原市　伊勢原市　秦野市　海老名市　御殿場市　浜松市　菊川市　掛川市　磐田市　袋井市　静岡市　下田市　富士市　裾野市　川根本町　森町　白馬村　愛西市　安城市　富山市　滑川市　黒部市　羽咋市　加賀市　白山市　輪島市　能登町　野々市　あわら市　大阪市　松江市　藍住町　牟岐町　吉野川市　三好市　北島町　鳴門市　阿南市　阿波市　小松島市　松茂町　海陽町　新居浜市　西条市　大洲市　高松市　丸亀市　善通寺市　宿毛市　南国市　いの町　佐世保市　唐津市　臼杵市　上天草市　都城市　小林市　薩摩川内市　日置市　姶良市　与論町　指宿市　北谷町大学図書館　５９館東京大学　京都大学　北海道大学　東北大学　九州大学　九州大学理系　小樽商科大学　弘前大学　岩手大学　福島大学　宇都宮大学　福井大学　神戸大学　徳山大学　高知大学　福岡大学　長崎大学　大分大学　高崎経済大学　聖隷クリストフアー大学　武庫川女子大学　桐蔭横浜大学　聖心女子大学　放送大学学習センター　酪農学園大学　沖縄国際大学　高崎経済大学　東京農業大学　駒沢大学　敬和学園大学　鹿児島純心短期大学　山梨学院大学　鹿児島短期大学　立命館アジア太平洋大学ライブラリ　水産大学校　東北学院大学　鳥取短期大学　北海道教育大学　宮城教育大学　四天王寺大　創造大学　東洋大学　法政大学　東海大学　東京女子大学　静岡文化芸術大　国学院大　高知工科大学　室蘭工業大学　金沢工業大学　石川県立大学　玉川大学　北海学園大学　日本女子大学　国学院大学　早稲田大学　神戸国際大学　九州産業大学　大倉山精神文化研究所九州産業大学の建学の理念

  2018年07月28日

• 二宮先生語録巻の3 【376】

  二宮先生語録巻の3 【376】【三七六】助(じよ)貸(たい)の理(り)を体認(たいにん)し、余財(よざい)を出(いだ)し、以(もつ)て之(これ)を我(わ)が資(し)金(きん)に加(くは)ふる者(もの)、之(これ)を名(なづ)け加(か)入(にふ)金(きん)と曰(い)ふ。其(そ)の徳(とく)為(た)るや、誠(まこと)に大(だい)なり。何(なん)となれば則(すなは)ち或(あるひ)は竹(ちく)木(ぼく)を伐(き)り、或(あるひ)は不(ふ)急(きふ)の什(じふ)器(き)を鬻(ひさ)ぎ、或(あるひ)は漁(ぎよ)獵(れふ)を為(な)し、諸(もろ)々(もろ)得(う)る所(ところ)の金(かね)、一(ひと)たび之(これ)を加(か)入(にふ)すれば、則(すなは)ち向(かう)後(ご)竹(ちく)木(ぼく)を伐(き)らず。什(じふ)器(き)を鬻(ひさ)がず、漁(ぎよ)獵(れふ)を為(な)さず、資(し)金(きん)と共(とも)に旋(せん)回(くわい)し、貧(ひん)民(みん)を済(さい)救(きう)す。其(そ)の徳(とく)窮(きはま)り無(な)し。凡(およ)そ天下(てんか)の物(もの)、一物(いちぶつ)一用(いちよう)を為(な)すのみ。独(ひと)り此(こ)の助(じよ)貸(たい)金(きん)万(ばん)世(せい)の用(よう)を為(な)す。仮令(たとひ)漁(ぎよ)獵(れふ)生(せい)を殺(ころ)すも、亦(また)永(えい)世(せい)其(そ)の徳(とく)を被(こうむ)る者(もの)有(あ)り。豈(あに)絶(ぜつ)妙(めう)の良(りやう)法(はふ)ならずや。１『報徳秘稿』八四「加入金の徳たること、始め一両金は或いは竹を切り、或いは衣服を売り、又は殺生して差出すとも、其の次の年よりは、木も切らず、竹も切らず、殺生もせずして、年々歳々相助かり、其の徳を蒙ること窮りなし。夫れ、天下の物、一物一用を足すのみ也。然るに此の貸付の法のみ、一物を以て万代用を足し、一生を殺しても永久其の徳に依るものあり。実に妙々の仕法也。」《訳》無利息貸付法の理を自分のものとして会得した者は、余財を出して、無利息貸付金の資金に加える。これを加入金と名付ける。その徳は誠に大きい。なぜならばあるいは竹や木をきり、あるいは不急の家財を売り、あるいは漁獲し、いろいろ得た金をひとたび資金に加入すれば、以後、竹や木をきらず、家財を売らず、漁獲しなくても、資金とともに旋回して貧しい民を救う。その徳はきわまりない。およそ天下の物は一つの物について一つの用を行うだけじゃ。ひとりこの無利息貸付法は万世の用をなす。たとえ漁業で殺生してもまた永世その徳を被る者がある。なんという絶妙の法であろうか。クロムウェル伝その２4このようにして第二内乱は終った。王の処刑、共和政（英国自由の保持者）、違反者の刑罰、虐政の磨滅、でき得るのであれば、義勇真実の政府、少なくとも反屈従主義、反偽信、そして義勇真実を得んという努力―これが第二内乱の始末であった。（第一編終り）

  2018年07月27日

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  二宮先生語録巻の3 【374】その２

  余よ嘗かつて世よの子し銭せん家か（金貸し）を観みる。債さいを起おこして券けん主しゆ応おうぜざれば、則すなはち之これを官かんに訟うつたふ。官かん裁さい必かならず無む息そく流りう抵てい（抵当物を流す）と為なす。乃すなはち官かん裁さいを仮かり之これを責せむと雖いへども、券けん主しゆ失しつ踪そう、之これを如い何かんともする無なきに至いたり、遂つひに之これを棄き捐えんに付ふす。余よ故ゆゑに終おはりを始はじめに致いたし、以もつて無む息そく流りう抵ていと為なす。償しやう還くわんせざれば、則すなはち之これを棄き捐えんに付ふす。此かくの如ごとくならざれば、則すなはち以もつて国くにを興おこし民たみを安やすんずるに足たらざるなり。１『報徳秘稿』七八「此の仕法を行わんと欲する者は、親の子を養う如く利益損失に拘らず、ただ民を安んじ国を興すを以て徳とせざればあたわず。何となれば、親の子を育てるは利益損失にかかわるにあらず。ただ子孫相続を願うのみ也。故に此の無利足金貸付の道は、元金の増を以て徳とせず、貸付高の多きを以て徳とす。元金百両、六十年を繰り返す時、貸付高一万二千八百五十五両余となる。是元金に増倍なくして、国家人民の益多きこと此の如し。正に日月の天下万民を生育し、幾千万歳を経れども、元の一つの日月なるが如し。是を孝経には、敬する処のもの少なくして、悦ぶ者多し。之を要道と云う」とあり。我が此の法を立てし始めは、今、世上の金を貸す者、御尊判を願い、催促し、如何しても取れぬ時、漸く出す了簡を、未だ貸さざる前に、此の心を出し、返さざれば取らぬと極め、又、御尊判を付くる時は、年賦に仰せ付けらるるは必定、是を未だ貸さざる前に見て、此の貸付の法を立てたり。夫れにてもまだ間に合わぬ故に、置据に貸す法を立つ。此の如くならざれば、国を興し、民を安んずるに足らざる也。」《訳》私の無利息貸付法を行おうと思う者は、父母が子供を育てるように、損益に関せず、国を興し民を安らかにすることを徳となす者でなければ行うことはできない。父母が子供を育てるのに、損益に関せず、ただ子孫相続を願うだけじゃ。だから私の無利息貸付法の道は、資金の増加を徳としない、貸付額の多きをもって功とする。元の資金が百両あり、貸付が六十年に及べば貸付の総額は一万二千八百五十五両になる。資金は増さず減ずることがなくて、国を興し民を安らかにする功が多くなる。太陽が万物を生育し、昔から一輪であるのと同じじゃ。いわゆる一人を敬して千万人よろこぶ、敬するところの者すくなくしてよろこぶ者多しというのがこれじゃ。私は以前、世の金貸しを観察するに、貸金を取り立てて借主が応じなければ、これを官に訴える。官の裁定は必ず無利息年賦とする。そこで官の裁定をたてに借主を責めるが、借主が夜逃げをしてどうすることもできなくなってから、ついにこれを貸捨てにする。私はだから終りを始めにして無利息貸付とし、償還しなければ貸捨てとした。このようでなければ国を興し民を安らかにするに足りない。

  2018年07月27日

• 二宮先生語録巻の3 【374】その１

  二宮先生語録巻の3 【374】その１【三七五】我(わ)が助(じよ)貸(たい)法(はふ)を行(おこなは)んと欲(ほつ)する者(もの)、父(ふ)母(ぼ)兒(こ)を育(いく)する如(ごと)く、損益(そんえき)に関(かん)せず、国(くに)を興(おこ)し民(たみ)を安(やすん)ずるを以(もつ)て徳(とく)と為(な)す者(もの)に非(あら)ざるよりは、則(すなは)ち能(あた)はざるなり。夫(そ)れ父(ふ)母(ぼ)兒(こ)を育(いく)する、損(そん)益(えき)に関(かん)せず、只(た)々(ゞ)子(し)孫(そん)相(さう)続(ぞく)を願(ねが)ふのみ。故(ゆゑ)に我(わ)が助(じよ)貸(たい)の道(みち)、資(し)金(きん)の増(ざう)を以(もつ)て徳(とく)と為(な)さず、貸(かし)額(がく)の多(おゝ)きを以(もつ)て、功(こう)と為(な)すなり。元(ぐわん)資(し)百(ひやく)金(きん)、助(じよ)貸(たい)旋(せん)回(くわい)、一(いち)周(しゆう)度(ど)（六十年）に及(およ)べば、則(すなは)ち貸(かし)額(がく)通(つう)計(けい)一万(まん)二千(せん)八百(ひやく)五十五金(きん)に至(いた)る。是(こ)れ資(し)金(きん)増(ま)さず減(げん)ぜずして、国(くに)を興(おこ)し民(たみ)を安(やすん)ずるの功(こう)多(おゝ)きに居(を)るなり。太(たい)陽(よう)万(ばん)物(ぶつ)を生(せい)育(いく)し終(しふ)古(こ)一(いち)輪(りん)なると一(いつ)般(ぱん)。所(いは)謂(ゆる)一人(ひとり)を敬(けい)して千(せん)万(まん)人(にん)説(よろこ)ぶ。敬(けい)する所(ところ)の者(もの)寡(すくな)ふして、説(よろこ)ぶ者(もの)衆(おゝ)しと。是(こ)れなり。

  2018年07月27日

• 二宮先生語録巻の3 【373】

  二宮先生語録巻の3 【373】【三七四】争(さう)論(ろん)の生(しやう)ずる、其(そ)の居(きよ)処(しよ)を定(さだ)めざるに在(あ)るなり。熱(ねつ)地(ち)に居(を)る者(もの)、清(せい)涼(りやう)を喜(よろこ)ぶ。是(こ)れ清(せい)涼(りやう)を好(この)むに非(あら)ず。熱(ねつ)地(ち)に居(を)る故(ゆゑ)なり。寒地(かんち)に居(を)る者(もの)温暖(おんだん)を喜(よろこ)ぶ。是(こ)れ温暖(おんだん)を好(この)むに非(あら)ず。寒地(かんち)に居(を)る故(ゆゑ)なり。苟(いやし)くも其(そ)の居(きよ)処(しよ)を定(さだ)めば、則(すなは)ち何(なん)の争(さう)論(ろん)か之(これ)有(あら)ん。１『報徳秘稿』六九「厚きに処（お）る者は冷風を喜び、寒きに処る者は暖日を喜ぶ。冷風を喜ぶ者は、性冷風を喜ぶ者に非ず。居る処暑ければなり。暖日を喜ぶ者は、性暖日を好むにあらず、居る処寒ければなり。故に人の論を聞く、須（すべか）らく先ず居る処を察すべし。先ず居る処を察すれば、弁を待たずして明らかなり。」《訳》争論の生ずるのは、その立脚地を定めないことにある。熱い土地にある者は、清涼を喜ぶ。これは清涼を好むのではない。熱い土地にあるからじゃ。寒い土地にある者は、温暖を喜ぶ。これは温暖を好むのではない。寒い土地にあるからじゃ。いやしくもその立脚地を定めれば、なんの争論があろうか。クロムウェル伝２３王軍の根拠地で最も堅実だったかのオクスフォードも五月一日にはフェアファクスに囲まれた。しかし大勢既に定まった今日であるゆえ、戦闘は少なく、投降協定に手間取ったが、七月二〇日遂に最後の調印が終り、ラパート、モーリス両親王は城を棄てて海岸をさして走り、また数千の官兵も皆通行券を与えられて城はことごとく降伏した。ラグラント城の頑強な侯爵も八月下旬には城を明け渡し、ここに第一内乱は全く平定された。

  2018年07月27日

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  二宮先生語録巻の3 【373】　北海道の別海町の牛乳

  二宮先生語録巻の3 【373】【三七三】国(こく)家(か)の衰(すゐ)廃(はい)、君(くん)民(みん)交(こも)々(ごも)利(り)を征(と)る（利益を取り合う）に在(あ)るなり。君(きみ)民(たみ)を愛(あい)せず。唯(た)々(ゞ)賦(ふ)税(ぜい)を貪(むさぼ)り、民(たみ)君(きみ)を敬(けい)せず、唯(た)々(ゞ)逋(ほ)租(そ)（税を逃れる）を逞(たくまし)くし、君(くん)民(みん)各(おの)々(おの)其(そ)の職(しよく)を失(うしな)ひ、貪(どん)と逞(てい)と、両(ふたつ)ながら得(う)る所(ところ)無(なく)して、民(たみ)窮(きゆう)し、君(きみ)衰(おとろ)ふ。夫(そ)れ河(かは)を馮(わた)る者(もの)、衣(ころも)を解(とい)て入(い)らば、則(すなは)ち何(なん)ぞ溺歿(できぼつ)の患(うれひ)有(あら)ん。君(きみ)正(せい)租(そ)を以(もつ)て国(こく)用(よう)を制(せい)し、民(たみ)農(のう)を勤(つとめ)て、以(もつ)て正(せい)租(そ)を致(いた)し、君(くん)民(みん)各(おの)々(おの)其(そ)の職(しよく)を尽(つく)さば、則(すなは)ち何(なん)ぞ衰(すい)廃(はゐ)の患(うれひ)有(あら)ん。１『報徳秘稿』六五「夫れ、国家の盛衰存亡は、上下交々利を争うにあり。上は下を救うに心なく、有るが上にも願い求め、己が身勝手の工夫のみし、下は又何をかして年貢も納めぬ工夫のみし、上下互いに其の職を忘れて、出来ぬ工夫のみし、夫れがはずれし時困窮となる也。譬ば、川へ入るにも、川へ入る積りにて裸になり入る時は溺れず。不図落ちるゆえ溺るが如し。其の如く、上は年貢より外にはとらぬ筈に極め、下は年貢は必ず納むべきものと心得居らば、困窮することはあるまじき也。故に相馬より興復の術を問う時、我これに答うるに、荒蕪にも元あり、興復にも元あり。其の二つの根元を探りて、其の一に法（のっと）る外之無き旨を云いたり。因りて百八十年の物成を調べて土台と定む。」《訳》国家が衰えるのは君主と人民がこもごも利益を取り合うからじゃ。君主が人民を愛せず、ただ租税を貪り、人民が君主を尊敬せず、ただ税を逃れるのに逞しくすれば、君主・人民ともにその職を失い利益の貪りと逞しさとも両方とも得るところがなく人民は困窮し、君主は衰える。川を渡る者が着物を脱いで入るならば、どうして溺れる憂いがあろうか。君主が正しい租税で国用を制し人民が農業に勤めて正しく租税を納め、君主・人民ともその職務を尽すならば、どうして衰える憂いがあろうか。☆7月26日夕方スーパーに行ったら、北海道の別海町の牛乳がおいてあったので買ってきた。別海町は本会刊行物を多く蔵書としていただいている。一度いければとは思うのだが(^^)​別海高校野球部​「別海は人が温かいです。学校の帰りとか、すれ違っただけで『頑張るんだよ！』って、声をかけてくれます。」「『野球で別海をひっくり返してやれ！』町の人たちがびっくりするようなことを、野球でやってやろう」北海道別海町13件八田與一と鳥居信平　二宮尊徳の会2017遠州報徳の師父と鈴木藤三郎　二宮尊徳の会2016報徳記を読む 第4集 二宮尊徳の報徳の教えが世界に広まり真正の文明の実を見ることを　二宮尊徳の会2016報徳記を読む 第3集 報徳は国を興し民を安んずる大業である　二宮尊徳の会2016補注 鈴木藤三郎の『米欧旅行日記』 明治29年(1896)7月24日~同30年(1897)5月8日　二宮尊徳の会2015二宮金次郎の対話と手紙 第一 小田原編(少年・青年期) 中学生からお年寄りまでよくわかる　二宮尊徳の会2015報徳記を読む 第2集 報徳は精神変革である　二宮尊徳の会2014ボーイズ・ビー・アンビシャス 第五集 内村鑑三 神と共なる闘い 不敬事件とカーラ二宮尊徳の会2014ボーイズ・ビー・アンビシャス 第四集 札幌農学校教授・技師広井勇と技師青山士 　二宮尊徳の会2014報徳記を読む地　二宮尊徳の会2014

  2018年07月27日

• 二宮先生語録巻の3 【372】もし近世の読者でこの書中にあらわれた信念を偽善と思うならば、それこそが根本的な間違いである。私は近世の読者に忠告する。諸君はここにクロムウェルが真実を語っていることを信ぜよ、かつ諸君もまたこのような言葉を発する人となれと。

  二宮先生語録巻の3 【372】【三七二】人(ひと)各(おの)々(おの)力(ちから)を其(そ)の職(しよく)に尽(つく)せば、則(すなは)ち貨(くわ)財(ざい)倉(くら)に盈(み)ち、其(そ)の屋(おく)必(かなら)ず潤(うるお)ふ。苟(いやし)くも此(かく)の如(ごと)くなれば、則(すなは)ち深(しん)山(ざん)に住(じゆ)すと雖(いへど)も、肩(けん)販(はん)（行商）招(まね)かずして来(きた)る。日(にち)用(よう)意(い)の如(ごと)くならざる莫(な)し。海(かい)魚(ぎよ)も山(さん)頂(ちやう)に上(のぼ)ると謂(い)ふべし。豈(あに)其(そ)れ力(ちから)を其(そ)の職(しよく)に尽(つく)さざるべけんや。１『報徳秘稿』六二「農人は、作物の為のみして、朝夕力を尽し、只作物の為のみを願う時は、自然願わずして俵蔵に満ち、家潤うなり。俵蔵にある時は、呼ばずも魚売も来たり、絹屋も来たり、実に自在也。又、此の理を以て村を見るに、籬（まがき）丈夫に、家奇麗に、肥し沢山積重ね、何となく福々しき家の田畑は、必ず必ず隅々迄手入届き、丈永く穂先揃い、出来平らに、何となく勢いよく見事なるもの也。又、出来不平に、穂先揃わず、丈短く作物衰えて、見苦しき田畑は、必ず家根（やね）も破れ、籬も倒れ、住居不精にて、何となくさみしき家の作り也。必ず違わず。又、一種不精ものの、困窮ながらも屋敷を奇麗にするあり。是の籬も屋根も奇麗にても、家に俵もなく、庭に肥しもなく、何となくさみしきもの也。又、村出入りなどありて村中和せざる村は、四壁・竹木不揃いにて、道も高低悪（あ）しく、堰なども小笹・柳等生い茂り、甚だ見苦しきもの也。是必ず違わず。」《訳》人がそれぞれ力をその職に尽すならば、財貨は倉にみち、その家は必ず潤う。いやしくもこのようであれば、たとえ深山に住んでいても、行商の者が招かなくても来て、日用も思いのままにならないことはない。海の魚も山頂にのぼるといえよう。人は力をその職に尽さなければならない。クロムウェル伝その２２これはすべて神の為したまうところに外ならないというのは、この報告を読む人の認めるところであろう。このように認めない人は無神論者であろう。この戦役に働いた我が勇士が諸君に願うところは、すべての讃（ほまれ）を神に帰し自分たちが称賛されないことである。神の栄光と国の利益とのために使われることが彼らの希望である。信仰と祈祷とがこの市を占領するようになったと彼らが信じるところであり、また全イングランドの、神により頼むものの信ずるところである。我らはただ神の讃（ほ）められることをのみ願う。すべての称賛は彼に帰すべきものにこそ、長老派も独立派もここに同一の信仰と祈祷の精神を持ち、ここに一致し、異なる所はない。もしそうでないならば禍いである。信ずる者は真の一致結合を持し、その内的霊的で結ばれてキリストを首領とすることゆえに最も美しい。キリスト信者は共に結合して、良心の許す限りにおいて平和のため、勤めることができよう。同胞には、精神上の事については光明及び理性以外には何ら強制を加えることを望まない。その他の事については、神は武力を議会の手中に置いた。これは悪者の恐れるところ、善者の褒めるところである。これを諸君の手より奪わんとするものがあるならば、その成功しないことを望む。神がこの力を諸君の手に長く置かんこと、これが私の祈願である。以上。一六四五年九月二四日、ブリストルにて　　　　　　　　　　　　　　　　　　　オリバー・クロムウェル下院議長ウィリアム・レンサル殿　もし近世の読者でこの書中にあらわれた信念を偽善と思うならば、それこそが根本的な間違いである。私は近世の読者に忠告する。諸君はここにクロムウェルが真実を語っていることを信ぜよ、かつ諸君もまたこのような言葉を発する人となれと。

  2018年07月27日

• 二宮先生語録巻の3 【330】

  二宮先生語録巻の3 【330】【三三〇】古(こ)人(じん)仁(じん)字(じ)を製(せい)す、蓋(けだ)し深(しん)意(い)有(あ)り。右(う)旁(ばう)二(に)画(くわく)、便(すなは)ち是(こ)れ天(てん)地(ち)なり。天(てん)地(ち)間(かん)に生(しやう)ずる者(もの)、人(じん)類(るゐ)鳥(てう)獣(じゆう)虫(ちゆう)魚(ぎよ)草(さう)木(もく)、皆(みな)之(これ)を二(に)間(けん)と謂(い)ふ。即(すなは)ち人間(にんげん)なり。二(に)画(くわく)を斜(しや)合(がふ)すれば、則(すなは)ち人(じん)字(じ)と為(な)る。人(じん)字(じ)二(に)画(くわく)間(かん)に在(あ)るは、則(すなは)ち天(てん)人(じん)地(ち)なり。人(じん)類(るゐ)鳥(てう)獣(じゆう)虫(ちゆう)魚(ぎよ)草(さう)木(もく)相(あい)奪(うばつ)て以(もつ)て活(くわつ)を為(な)し、暫(しばら)くも安(やすん)ずるを得(え)ず。人(じん)類(るゐ)も亦(また)此(かく)の如(ごと)し。神(しん)聖(せい)之(これ)を愍(あはれ)み、譲(じやう)道(だう)を立(た)て、鳥(てう)獣(じゆう)と類(るゐ)を別(わか)つ。何(なに)を譲(じやう)道(だう)と謂(い)ふ。吾(わ)が分(ぶん)内(ない)を推(お)し、以(もつ)て之(これ)を人(ひと)に譲(ゆづ)るなり。乃(すなは)ち二(に)画(くわく)間(かん)の人(じん)字(じ)を取(と)り左(さ)旁(ばう)と為(な)し、以(もつ)て仁(じん)字(じ)を製(せい)す。是(こ)れ吾(わ)が身(み)を推(お)し之(これ)を天(てん)地(ち)外(ぐわい)に居(お)くなり。則(すなは)ち舜(しゆん)禹(う)天(てん)下(か)を有(たもつ)て与(あづか)らざるなり。１　子曰く、巍巍乎（ぎぎこ）たり、舜・禹の天下を有てるや、而して与らず。（論語泰伯第八の十八）２『報徳秘稿』五〇九「仁の字を製するや、由る所あるに似たり。今試みに乾の卦（ ）を設け以て之を解く。上爻（じょうこう）は天たり。下爻は地たり、中爻は人たり。夫れ、人は天地間に在り。故に天地二爻を斜合し、以て人の字を製す。凡そ天地間に生ずる者、之を二間と謂う。鳥獣虫魚草木皆是也。然り而して人は天地の霊・万物の長たり。故に神聖、譲道を立て禽獣と類を別ち、以て人倫を全うす。故に譲なる者は人類の至道、之を名づけて仁という。仁は人也。人は天地間に在るや人の象也。鳥獣虫魚草木、皆天地間に在りて食を奪い生を養うのみ。神聖、人を出して天地の外に置く。是即ち人の象也。然れば則ち、譲れば則ち人たり、奪えば則ち禽獣たり。慎まざるべけんや。」《訳》古人が仁の字を作ったのには、深い理由がある。右の二画、これは天地じゃ。天地間に生ずるものは、人類・鳥獣・虫魚・草木、皆これを二間という。すなわち人間じゃ。二画を斜めに合すると、すなわち人の字となる。人の字が二画（天地）の間にあるのが、すなわち天人地じゃ。人類・鳥獣・虫魚・草木は互いに奪って生活し、少しも安んずることを得なかった。人類もまたこのようであった。神聖はこれを憐れんで、譲道を立てて、鳥獣と類をわかった。何を譲道というか。我が分内を推して、これを人に譲る。すなわち二画の間の人の字をとって左として、仁の字を作った。これは我が身を推してこれを天地の外におく。すなわち舜・禹が天下を保って与らないということじゃ。クロムウェル伝その２１貴君よ、フェアファクス将軍の命によって、ここにブリストル占領の報告を行う。シャーボーンの事終わった後、我らは西部に進入するべきか、あるいはブリストルをつくべかについて暫く軍議をこらしたが、種々利害を考えた結果、ブリストル攻撃を決した。このようにしてブリストルに達し、激戦奮闘はようやくにして敵塁近くに押し寄せた･･････ところが敵は市の三か所に火を放って、我らはこれを消すことができず、大きな困惑を感じて、有名な市の全部が灰燼（かいじん）に帰するしかないのかと気遣った。そしてこの悲愴な光景を眺めつつ、どのようにして進撃するべきかを審議していると、敵将ラパート親王は我がフェアファクス将軍まで開城の意を表して協定を求めて来た。将軍はこれに応じて、モンラーグ、レーンズバロー、ピカリソングの三大佐を派遣して談判の任に当たらしめ、遂に別紙の協定を結んだ。その実行のために将軍は人質を交換した。木曜日午後二時頃親王は協定に応じて城を出て、オクスフォードに進んだ。大砲百四〇門、火薬箱百、小銃二、三千挺―これ我が軍の捕獲品である。市長の語る所によれば、敵は歩兵二千五百、騎兵千とより成り、外に市の民兵と予備兵千（あるいは千五百）とを有していたということ、我が軍は疾病の流行地に来たが、一人としてこれに犯されたものもなく、戦闘に死んだ者も二百を超えることはなかった。これはすべて神の為したまうところに外ならないというのは、この報告を読む人の認めるところであろう。このように認めない人は無神論者であろう。この戦役に働いた我が勇士が諸君に願うところは、すべての讃（ほまれ）を神に帰し自分たちが称賛されないことである。神の栄光と国の利益とのために使われることが彼らの希望である。信仰と祈祷とがこの市を占領するようになったと彼らが信じるところであり、また全イングランドの、神により頼むものの信ずるところである。我らはただ神の讃（ほ）められることをのみ願う。すべての称賛は彼に帰すべきものにこそ、長老派も独立派もここに同一の信仰と祈祷の精神を持ち、ここに一致し、異なる所はない。もしそうでないならば禍いである。信ずる者は真の一致結合を持し、その内的霊的で結ばれてキリストを首領とすることゆえに最も美しい。キリスト信者は共に結合して、良心の許す限りにおいて平和のため、勤めることができよう。同胞には、精神上の事については光明及び理性以外には何ら強制を加えることを望まない。その他の事については、神は武力を議会の手中に置いた。これは悪者の恐れるところ、善者の褒めるところである。これを諸君の手より奪わんとするものがあるならば、その成功しないことを望む。神がこの力を諸君の手に長く置かんこと、これが私の祈願である。以上。一六四五年九月二四日、ブリストルにて　　　　　　　　　　　　　　　　　　　オリバー・クロムウェル下院議長ウィリアム・レンサル殿もし近世の読者でこの書中にあらわれた信念を偽善と思うならば、それこそが根本的な間違いである。私は近世の読者に忠告する。諸君はここにクロムウェルが真実を語っていることを信ぜよ、かつ諸君もまたこのような言葉を発する人となれと。

  2018年07月26日

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  ルール・ブリタニア

  ディヴィッド・コパフィールドより「仕方なしに、頭痛のしそうな難しい算術の論文と首っひきになるのだが、そうなるとまた、不思議と度量衡のあの表が『ルール・ブリタニア』や『アウェイ・ウィズ・メランコリー』の曲を奏で出すのである。」☆聴衆みなが「Rule, Britannia! Britannia, rule the waves:Britons never never never shall be slaves.」と大声で斉唱する。おそらく少年ディヴィッドもまた「never never never shall be slaves.」を脳裏に歌い、義父の圧迫に決して奴隷にならじと心に誓うということを意味しているのかもしれない。When Britain first at Heav'n's commandArose from out the azure main;This was the charter of the land,And guardian angels sang this strain;Rule, Britannia! Britannia, rule the waves:Britons never never never shall[will] be slaves.この世のはじめ 神の命を受け碧海の中から興る ブリタニア「これこそ証 国の証ぞ」と守護天使らは斯く 歌い合えり統べよ、ブリタニア!　大海原を統治せよブリトンの民は 断じて 断じて 断じて 奴隷とはならじThe nations not so blest as thee,Shall in their turns to tyrants fall;While thou shalt flourish great and free,The dread and envy of them all.Rule, Britannia! Britannia, rule the waves:Britons never never never shall[will] be slaves.汝より祝福されえぬ国は暴虐なる支配者の前に伏すだろうなれども汝、豊かに自由に繁栄し他の恐れと羨望 その身に浴びるを 感じるだろう統べよ、ブリタニア!　大海原を統治せよブリトンの民は 断じて 断じて 断じて 奴隷とはならじStill more majestic shalt thou rise,More dreadful from each foreign stroke;As the loud blast that tears the skies,Serves but to root thy native oak.Rule, Britannia! Britannia, rule the waves:Britons never never never shall[will] be slaves.他国らがさらに畏怖して見つめる程汝は尚も威厳もて育つべし自然の樫の根付くことを除き汝に服す 天裂く疾風の如く統べよ、ブリタニア!　大海原を統治せよブリトンの民は 断じて 断じて 断じて 奴隷とはならじThee haughty tyrants ne'er shall tame,All their attempts to bend thee downWill but arouse thy generous flame;But work their woe, and thy renown.Rule, Britannia! Britannia, rule the waves:Britons never never never shall[will] be slaves.汝を屈さす力無き 暴君の汝をおとしめんとする 試みは全て怒りに代えて 寛大なる情熱と彼らの悲劇と 汝の名声立たしむ統べよ、ブリタニア!　大海原を統治せよブリトンの民は 断じて 断じて 断じて 奴隷とはならじTo thee belongs the rural reign;Thy cities shall with commerce shine;All thine shall be the subject main,And every shore it circles thine.Rule, Britannia! Britannia, rule the waves:Britons never never never shall[will] be slaves.汝にとって 支配は田舎の平和な地までも汝の都市は 商業の繁栄をうけ汝のものは全て 僕なる海原と汝を取り巻く 数多の海の国統べよ、ブリタニア!　大海原を統治せよブリトンの民は 断じて 断じて 断じて 奴隷とはならじThe Muses, still with freedom found,Shall to thy happy coast repair;Blest Isle! With matchless beauty crowned,And manly hearts to guide the fair.Rule, Britannia! Britannia, rule the waves:Britons never never never shall[will] be slaves.自由を見いだし給う 九女神汝の幸福のため 浜辺を整えり　ああ聖なる島よ! 無比の美を冠し正義を守る 雄々しき心を秘めた統べよ、ブリタニア!　大海原を統治せよブリトンの民は 断じて 断じて 断じて 奴隷とはならじAway with melancholy

  2018年07月25日

• 二宮先生語録巻の3 【361】

  二宮先生語録巻の3 【361】【三六一】卲(せう)子(し)一(いち)元(げん)を以(もつ)て天(てん)地(ち)一(いつ)終(しふ)の数(すう)と為(な)す。余(よ)嘗(かつ)て経(けい)書(しよ)を大(おゝ)石(いし)に刻(こく)し、諸(しよ)天(てん)地(ち)一(いち)終(しふ)の後(のち)に遺(のこさ)んと欲(ほつ)す。今(いま)熟(つら)々(つら)之(これ)を思(おも)ふに、是(こ)れ益(えき)無(な)きなり。大(おゝ)石(いし)形(かたち)を存(そん)せば、則(すなは)ち天地(てんち)混沌(こんとん)せざるなり。大(だい)地(ち)厳(がん)石(せき)融(ゆう)散(さん)、悉(ことごと)く泥水(でいすゐ)と為(な)り、而(しか)る後(のち)天地(てんち)再造(さいざう)の功(こう)を期(き)す。之(これ)を鍋(なべ)釜(かま)を改(かい)鋳(ちう)するに譬(たと)ふ。踏(ふい)鞴(ご)以(もつ)て沸(ふつ)湯(たう)と為(な)り、而(しか)る後(のち)鍋(なべ)釜(かま)改(かい)鋳(ちう)の功(こう)を期(き)す。古(ふる)鍋(なべ)形(かたち)を存(そん)せば、則(すなは)ち新鍋(しんなべ)成(な)らず。豈(あに)止(た)々(ゞ)鍋(なべ)釜(かま)のみならんや。人(ひと)も亦(また)然(しか)り。男女(だんぢよ)踏(ふい)鞴(ご)、以(もつ)て之(これ)を鋳(い)る。豈(あに)止(た)々(ゞ)人(ひと)のみならんや。天地(てんち)も亦(また)然(しか)り。陰陽(いんやう)踏(ふい)鞴(ご)、以(もつ)て之(これ)を鋳(い)る。鍋(なべ)なり、人(ひと)なり、天地(てんち)なり。其(そ)の理(り)一(いつ)なり。１『報徳秘稿』一七五「鐘及び釜を鋳るに、鉄をたたらに掛けてあおいで以て水となし、其の形につぎ込めば、鐘・鍋・釜出来る也。世界の元も是の如きか。世界を陰陽のたたらに掛けて水となし、つぎ込むと見えたり。今石にも岩にも必ず筋のある、是明験也。人生も亦然り。男女のあおぐに依りて水となり、つぎ込めば人の子生ず。亦、春秋のあおぐに依って万物生ず。茄子の幾らもなるもつぎ込むが如し。」２『報徳秘稿』六〇〇「予、世界混沌して、又世界の成る時に及びて、用に立つべき仕方あらんや、伊豆の藤石の大なるに彫り付けて置かば保つべきか、と考うるに益なし。石や金か、其の儘である位にては、世界混沌せず。此の時に及んでは、たたらに掛けたる金の如く、忽ちに解けるゆえに、皆水となるべし。水となるが故に新世界なるなり。人にても同じ。鍋にても鐘にても同じ。人も一滴水となりて生ず。親の皮肉・筋骨を以て作る事はならず。鍋も金のとけざる内は、鍋に作る事はならず。世界の混沌は陰陽のたたらに掛け、鋳直し、人は男女のたたらに掛けて鋳直す。鍋釜計りたたらに掛りて鋳ると思うか。皆同理也。」《訳》邵氏（邵康節、北宋の人で易に精通し、神秘的宇宙観・自然哲学を説いた）は一元（十二万九千六百年）を天地が終りとなる時期とした。私は昔、経書を大石に刻んで、天地が一回終る後に残そうと思った。今つらつらこれを思うに、これは無駄なことで、大石すら壊れることは必然じゃ。国家の亡滅も同様であり、人はこれを災禍という。災禍ではない、君臣が道を失って、自ら亡滅を招くだけということを思わなくてはならない。クロムウェル伝その２０（『ボーイズ・ビー・アンビシャス第5集』より）これは神の為したまいしところ、栄光はただ一に彼に帰すべきである。フェアファクス将軍は誠実・熱誠、事に当り、また勇敢に振舞われた。士卒もまた忠誠もって戦闘に従った。彼らは信ずるに足る者どもである。願わくはその勇気を挫き給うことなかれ。彼らは良心の自由については神を信じ、国家の自由については貴下らを信じて、命を差し出している。以上。一六四五年六月一四日、ハーバローにて　　　　　　　　　　　　　　　　　　オリバー・クロムウェル

  2018年07月25日

• 二宮先生語録巻の3 【377】

  二宮先生語録巻の3 【377】【三七七】草(くさ)沃土(よくど)に栄(さか)へ、水(みづ)卑(ひ)地(ち)に聚(あつま)り、人(ひと)有益(ゆうえき)に帰(き)す。是(こ)れ自然(しぜん)の勢(いきほひ)なり。我(わ)が助(じよ)貸(たい)法(はふ)の有(ゆう)益(えき)為(た)るや大(だい)なり。故(ゆゑ)に当(たう)商(しやう)（質）及(およ)び子(し)銭(せん)家(か)（金貸）世(よ)に存(そん)せば、豈(あに)助(じよ)貸(たい)を請(こ)はざる者(もの)莫(なか)るべけんや。１『報徳秘稿』一四五「草は糞土に栄え、水は窪き土地にあつまり、人情は益ある処に帰す。世間質やと金貸の相続する中は、無利足貸付の仕法、行われざる事はあるまじ。」《訳》草は肥沃な土地に栄え、水は低い土地に集まり、人は益に帰する。これが自然の勢いじゃ。私の無利息貸付法は益するや大じゃ。だから質屋や金貸しが世にあれば、貸付を請わない者はいない。クロムウェル伝その１９（『ボーイズ・ビー・アンビシャス第5集』より）すべてこれは神の恩恵である。私はこれより大きい恩恵にあずかったことはあるが、これほど明らかなるものにはいまだ会ったことがない。第一に神は求めないのに敵を出させ、第二に我らは塁を攻撃しようとしたところ、敵兵を無事に救い出された。また敵塁は堅固で味方に砲がなく奪取がおぼつかなかったが、我らがこれを占領することができたことも恩恵で有る。以上。一六四五年四月二五日、ブレジントンにて　　　　　　　　　　　　　　　　　　　オリバー・クロムウェル

  2018年07月25日

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  二宮先生語録巻の3 【335】

  二宮先生語録巻の3 【335】【三三五】稲(いね)種(たね)を播(ま)けば、則(すなは)ち稲(いね)草(くさ)を生(しやう)じ、稲(いね)花(はな)を発(ひら)き、稲(いね)実(み)を結(むす)ぶ。一(いち)種(しゆ)にして草(くさ)となり花(はな)と為(な)り、時(とき)に其(そ)の形(かたち)を異(こと)にすと雖(いへど)も、遂(つひ)に一(いつ)種(しゆ)に帰(き)す。余(よ)嘗(かつ)て和(わ)歌(か)を詠(えい)じ、以(もつ)て世(せ)人(じん)を戒(いまし)むなり。貧(ひん)人(にん)他(た)財(ざい)を借(か)り、以(もつ)て居(きよ)室(いつ)を飾(かざ)り、以(もつ)て衣(い)服(ふく)を美(び)にし、以(もつ)て酒(しゆ)食(しよく)に飽(あ)く。恰(あたか)も富(ふ)人(じん)の如(ごと)し。然(しか)れども日(ひ)ならずして貧(ひん)困(こん)に帰(き)す。比(ひ)比(ひ)（いずれも）皆(みな)是(こ)れなり。然(しか)れども其(そ)の人(ひと)に対(たい)し、其(そ)の非(ひ)を責(せむ)れば、則(すなは)ち反(かへつ)て憤(ふん)怒(えん)を発(はつ)す。故(ゆゑ)に和(わ)歌(か)を咏(えい)じ、以(もつ)て之(これ)を戒(いまし)め、人(ひと)をして敢(あへ)て憤(ふん)怨(えん)せず、以(もつ)て反(はん)求(きゆう)せしむ。是(こ)れ猶(な)ほ斧(ふ)鋸(きよ)（おの・のこぎり）を轓(はん)根(こん)錯(さく)節(せつ)（入り組んだ木の根）に用(もち)いずして、無(む)根(こん)の地(ち)を掘(ほ)れば、則(すなは)ち高(こう)木(ぼく)風(かぜ)に遇(あ)へば自(おのづか)ら仆(たお)るごとし。１『報徳秘稿』一一六「夫れ、仏説の妙なる事、或いは弥陀と説き、或いは薬師と説き、或いは極楽と説き、或いは地獄と説く。人の身の上と云う事知らぬ遠くの咄（はなし）をするが如く、人の気に障らず。たとえば、木をきるが如き、根のなき所へ鍬を打つ時は、木しらずして倒る也。又穢物を捨てんと欲する時は、けがれぬ処より鍬を打ち入るべし。然る時は鍬も庭もけがれず。穢物計り取らんとする時は、庭も鍬も共にけがるる也。是人の念のなき所を云いて悟らしむる術也。木の根のなき所、人の念のなき所なる故、根にもさわらず気にも障らぬ也。我が帳も又是に同じ。米まけば米草はえて米の花さきつつ米の実る世の中　麦も粟も其の通りと、人の事を言わずして則ち人の事也。何れの帳も皆其の雛形也。予思うに、仏に所謂天人と云うものは、吾が国に所謂雲の上人ならん。形を画く時に至りて、或いは羽衣を画き、或いは鳥の足を画くならん。此の如きの者、有るの理なし。夫れ、雲の上人は恒に堂上に生まれ、行くに車にのり、故に之を譬て、空中に住するが如し。仏に所謂天人は必ず是を指すならん。」２　「日光御神領村々荒地起返方仕法雛形」は、日光神領のため作られたものであるが、内容はどこの土地にも適用できる普遍的なものである。「日光神領の文字、誠に妙なり、世界のことと見て可なり」とある。「日光雛形」の「百行勤惰得失先見雛形（甲六冊）」は、金利の増殖の例を示して、この利殖を我欲とせず、金利を活用すれば、荒地を沃野とし、衰廃を復興し得る方法であることを明示している。「先見」は、真の姿を前もって知り得ることであり、「雛形」は、手本でありその様式を指している。天地間の植物の無い処に、一種が開花すれば、千万年も年々歳々、不止不転し、一種が数百数千粒を生み、一両の財貨は、数百両千両と増す、との説明文を前に掲げ、次に百種百草の歌がある。米蒔けば米草生えて米の花咲きつつ米の実のる世の中と米・麦・稗・粟・黍・豆・瓜・茄・蕪から樫まで順に同様の歌を並べて、百種百草の各々が輪廻転生を繰り返すごとくに、永遠の増益を見るという結果を示している。善悪・正邪・曲直・貧富・受施・貸借・貪欲等も同様であり、「百行勤惰」によって得失のあることは、万代不易の真理であることをさとしている。《訳》稲の種を播けば、稲の草を生じ、稲の花を開き、稲の実を結ぶ。一つの種から草となり花となり時にその形を変えても、遂に一つの種に帰する。私は以前和歌を詠じて世の人を戒めた。貧しい人が他人から借金して、住居を飾り、衣服を美しくし、酒食にあきること、金持ちのようにしても、日ならずして貧困に帰する。いずれもこれじゃ。しかしそんな人に対してその非を責めれば、かえって怒りだす。だから和歌を詠んで、これを戒め、人を怒りださせないで反省させる。これは斧やのこぎりを入り組んだ木の根に用いるのではなく、根の無いぐるりの地を掘れば、高い木が風にあって自ら倒れるようなものじゃ。​クロムウェル伝その１８​（『ボーイズ・ビー・アンビシャス第5集』より）　（一三）三回の演説　　自己否定律次の六か月間は、上下両院その他で時々大討論があって、新気運発展の準備時代、計画時代であったが、その結果、有名な「自己否定律」や「新式軍隊」の出現となって、これが議会の仕事に一新期を画した。

  2018年07月25日

• 二宮先生語録巻の3 【332】

  二宮先生語録巻の3 【332】【三三二】僧(そう)親(しん)鸞(らん)野(や)州(しゆう)に放(はなた)れ、日(ひ)に某(ぼう)寺(じ)に詣(まう)で、法(はふ)を説(と)く。衆(しゆう)之(これ)に帰(き)す。祠(し)官(くわん)（神主）道(だう)者(しや)之(これ)を悪(い)み、路(みち)に要(えう)し之(これ)を殺(ころさ)んと欲(ほつ)す。路(ろ)上(じやう)下(げ)有(あ)り。上(じやう)路(ろ)要(えう)せば、則(すなは)ち下(か)路(ろ)より来(きた)り、下(か)路(ろ)要(えう)せば、則(すなは)ち上(じやう)路(ろ)より去(さ)る。世(よ)以(もつ)て神(しん)通(つう)を得(う)ると為(な)す。是(こ)れ然(しか)らざるなり。山(やま)下(げ)水(みづ)有(あ)り。分(わか)れ二(に)と為(な)る。其(そ)の一(いつ)、下(か)流(りう)を堰(せき)し、以(もつ)て日(にち)用(よう)に便(べん)す。故(ゆゑ)に一(いち)流(りう)は緩(かん)、一(いち)流(りう)は急(きふ)。落(おち)葉(ば)流(なが)れ来(きた)り、暫(しばら)く止(とま)り、乃(すなわ)ち急(きふ)流(りう)に就(つ)く。動(どう)物(ぶつ)は必(かなら)ず緩(くわん)流(りう)に就(つ)く。我(われ)無(なけ)れば則(すなは)ち急(きふ)流(りう)に就(つ)き、我(われ)有(あれ)ば則(すなは)ち緩(くわん)流(りう)に就(つ)く。親(しん)鸞(らん)は我(われ)無(な)き者(もの)なり。故(ゆゑ)に殺(さつ)気(き)要(えう)する所(ところ)の路(みち)に就(つか)ざるなり。何(なん)の神(しん)通(つう)か之(こ)れ有(あら)ん。１『報徳秘稿』一三〇「夫れ、盗に逢わば盗るべき財宝故、人に殺さるるは元来殺さるべき故也。此の理は目を以て見る事あたわね共、此の世界は下駄の緒が切れても、提灯（ちょうちん）の火が消えても皆用に立つ也。故に世間一足違いにて難に逢い、難をまぬかるる事間々あり。難に逢うべき人は一足違いにて難に逢い、難をまぬがるべき人は一足違いにてまぬがるる也。皆偶然ならず。昔、我親鸞上人の事を聞きぬ。上人野州板敷山にて説法し玉いし時、近隣の僧、山伏など集まりて、不届きなり打ち殺さんといいて、途中に待ち居りける時、上人下の道を通りて無事に帰り給いぬと云えり。我甚だうたがう。親鸞上人といえども途中に己を殺さんと待ち居る事を知り給うべきいわれなしと。爰（ここ）に秋の暮、水枯れたる川の二股になりしあり。かたかたは農民とも足なりとも洗う為に、丸木を倒して水をせき留めて置きぬ。折節、秋風が颯と吹き来たり、木の葉はらはらと散りけるに、皆向うの方へ流れ往きぬ。是木の葉は我もなく知恵もなく、只水勢へ任する故に、水気の支えたる方へ流れずして、支えぬ方へ流れ往きぬ。若し蛇蛙ならば、我もあり、心もあり、知恵もあり、我が力にておよぐ故、何れ云う事なく堰留めたる方へも来る也。上人の無我無心は、元来枯れ果て落ちる無情の木の葉と異ならざる故に、打ち殺さんと待ち支えたるは殺気のある方へは来り給わぬ事明らか也。豈自然の理あらんや。」２　親鸞の関東の生活は、草庵のある常陸国を中心に各地に出かけ、念仏の教えを広めるのが日課でした。この地方は昔から、修行によって呪術を学び、加持祈祷を（かじきとう）する修験道が盛んで、板敷（いたじき）山には、その山伏たちが修行する護摩壇まであった。修験道は、祈りによって病気や災難、不幸を除き、欲望を満たそうとする教えです。しかし聖人の説く念仏は、修験道とは相容れない仏の教えですから、聖人の熱心な布教によって加持祈祷をたのむ人が減っていくので、山伏達は苦々しく思っていました。聖人四九歳の秋のこと。山伏弁円は、聖人をこらしめようと板敷山で待ち伏せしたが、すれ違いばかりで出会えず、ついに聖人の草庵まで乗り込んできた。そして、大声で「親鸞おるか！出てこい」と怒鳴った。この声を聞いて玄関に出られた親鸞は、何の気構える様子もなく、静かな態度で応対した。親鸞の和顔に接した弁円は、敵意や害心が一遍に消えて、親鸞の前にひれふして弟子となった。（真宗高田派専修寺講話）《訳》親鸞上人が関東に追放された時に、日々、ある寺に行って説法して、人々は親鸞に帰依した。神主・山伏はこれをにくんで、道に待ち受けて殺そうとした。道には上下があり、上の道で待ち受けると親鸞は下の道から来り、下の道で待ち受けると上の道から来た。世の人は神通力があるとした。これはそうではない。山の下に水があり、二つに分かれる、その一つに堰をして、日用の便とする。だから一つは緩やかで一つは急となる。落葉が流れて来て暫く止り、急な流れにつく。動物は必ず緩い流れにつく。我というものがなければ急な流れにつき、我があれば緩い流れにつく。親鸞は我が無い者じゃ。だから殺気がある道につかないのじゃ。どうしてこれが神通力であろうか。クロムウェル伝その１７（『ボーイズ・ビー・アンビシャス第5集』より）　　（一二）書簡第二二、第二三

  2018年07月25日

• 二宮先生語録巻の3 【360】

  二宮先生語録巻の3 【360】【三六〇】我(わ)が法(はふ)之(これ)を草(さう)木(もく)に施(ほどこ)すべし。則(すなは)ち才(さい)鋒(はう)舌(ぜつ)刃(じん)用(もちひ)るに足(た)らざるなり。何(なん)となれば則(すなは)ち才(さい)鋒(はう)舌(ぜつ)刃(じん)、以(もつ)て人(ひと)を驚(おどろ)かすべくし、草木(さうもく)を欺(あざむ)くべからざるなり。夫(そ)れ五(ご)穀(こく)九(きゆう)菜(さい)、之(これ)を糞(つちか)へば則(すなは)ち栄(さか)へ、糞(つちか)はざれば則(すなは)ち衰(おとろ)ふ。仮令(たとひ)才(さい)鋒(はう)舌(ぜつ)刃(じん)蘇(そ)張(ちやう)の如(ごと)きも、耕耘(かううん)培養(ばいやう)せざれば、則(すなは)ち五(ご)穀(こく)九(きゆう)菜(さい)栄(さか)へざるなり。故(ゆゑ)に我(わ)が法(はふ)は才(さい)鋒(はう)舌(ぜつ)刃(じん)を貴(たつと)ばず。唯(た)々(ゞ)誠(まこと)を推(お)すを貴(たつと)しと為(な)す。誠(まこと)の字(じ)為(た)る、言(げん)成(な)るなり。言(げん)は猶(な)ほ華(はな)のごとく、成(なる)は猶(な)ほ実(みのる)のごとし。之(これ)を要(えう)するに、専(もつぱ)ら実(じつ)行(かう)を務(つとむ)るに在(あ)るのみ。１『報徳秘稿』一〇四「此の仕法は、草木・鳥獣にても行わる道也。故に弁舌才智にて為すべからず。夫れ、弁舌才智は人は欺くべし。然れども、如何ぞ草木を欺く事を得ん。茄子にても、瓜にても、米にても、粟にても、菊にても、蘭にても、糞培すれば栄え、糞培せざれば枯落す。百木百草皆然り。仮令（たとえば）弁舌蘇張を欺く者ありといえども、不耕不耘、又糞培を外にして才智謀術を施す処なき如し。故に此の道は弁舌才智をたっとしとせず。只誠をたっとしおす。夫れ、誠の字は言の成る也。言花の如し。成るといえば其の実り也。則ち正業なり。」《訳》私の法は草木に実施することができる。才智弁舌を用いるに足りない。なぜならば才智弁舌というものは人を驚かすことはできるが、草木を欺くことはできないからじゃ。穀物や野菜は肥料を与えれば栄え、肥料を与えなければ衰える。たとえ才気や弁舌が古代中国の蘇秦や張儀のようであっても、耕うん・培養しなければ、穀物や野菜は栄えることはない。だから私の法は才智弁舌を尊重せず、ただ誠を推すことを尊重する。誠の字は言が成ると書く。言は花のようであり、成るは実るで、要するにもっぱら実行を務めることにあるのみじゃ。クロムウェル伝その１６（『ボーイズ・ビー・アンビシャス第5集』より）貴君よ、幸福にも患難にもわれらはすべての場合に神に感謝するべきものと思う。

  2018年07月25日

• 石川県立図書館が「八田與一と鳥居信平」を蔵書としていただいた、感謝！

  石川県立図書館「八田與一と鳥居信平」書庫（郷土書庫）（カウンターにお越しください。）｡ K289/1275｡ 禁帯｡平成30年7月24日現在「八田與一と鳥居信平」所蔵館全１７３館国立国会図書館　１件都道府県　２０件岩手県　山形県　茨城県　埼玉県　東京都　富山県　静岡県　石川県　奈良県　和歌山県　岡山県　広島県　徳島県　香川県　福岡県　長崎県　佐賀県　熊本県　鹿児島県　鹿児島県立奄美市立図書館　９４館北見市　帯広市　富良野市　恵庭市　別海町　京極町　佐呂間町　八戸市　五戸町　二戸市　久慈市　名取市　奥州市　遠野市　岩泉町　金ヶ崎町　本宮市　会津若松市　南会津町　郡山市　相馬市　新地町　須賀川市　鹿沼市　那須烏山市　真岡市　富岡市　さいたま市　横浜市　厚木市　大和市　小田原市　伊勢原市　秦野市　海老名市　御殿場市　浜松市　菊川市　掛川市　磐田市　袋井市　静岡市　下田市　富士市　裾野市　川根本町　森町　白馬村　愛西市　安城市　富山市　滑川市　黒部市　羽咋市　加賀市　白山市　輪島市　能登町　野々市　あわら市　大阪市　松江市　藍住町　牟岐町　吉野川市　三好市　北島町　鳴門市　阿南市　阿波市　小松島市　松茂町　海陽町　新居浜市　西条市　大洲市　高松市　丸亀市　善通寺市　宿毛市　南国市　いの町　佐世保市　唐津市　臼杵市　上天草市　都城市　小林市　薩摩川内市　日置市　姶良市　与論町　指宿市　北谷町大学図書館　５８館東京大学　京都大学　北海道大学　東北大学　九州大学　九州大学理系　小樽商科大学　弘前大学　岩手大学　福島大学　宇都宮大学　福井大学　神戸大学　徳山大学　高知大学　福岡大学　長崎大学　大分大学　高崎経済大学　聖隷クリストフアー大学　武庫川女子大学　桐蔭横浜大学　聖心女子大学　放送大学学習センター　酪農学園大学　沖縄国際大学　高崎経済大学　東京農業大学　駒沢大学　敬和学園大学　鹿児島純心短期大学　山梨学院大学　鹿児島短期大学　立命館アジア太平洋大学ライブラリ　水産大学校　東北学院大学　鳥取短期大学　北海道教育大学　宮城教育大学　四天王寺大　創造大学　東洋大学　法政大学　東海大学　東京女子大学　静岡文化芸術大　国学院大　高知工科大学　室蘭工業大学　金沢工業大学　石川県立大学　玉川大学　北海学園大学　日本女子大学　国学院大学　早稲田大学　神戸国際大学　大倉山精神文化研究所

  2018年07月24日

• 記録的猛暑で京都大会ナイター試合

  京都大会でナイター試合、記録的猛暑で健康面を考慮7/23(月) ＜高校野球京都大会：立命館宇治６－５鳥羽＞２３日◇準々決勝◇わかさスタジアム京都　京都大会準々決勝の４試合目、鳥羽－立命館宇治がナイター試合で行われた。午後１０時３０分を過ぎても戦いが続いた一戦。立命館宇治が延長１１回表に勝ち越し、６－５で勝った。試合終了時間は午後１０時３７分だった。この日、当初は午前８時３０分から順に４試合が行われる予定だったが、最近の記録的猛暑による選手や審判の健康面が考慮された。　第３試合が午後１時３０分、第４試合が午後４時開始の予定だったが、第２試合の後に休憩時間をはさみ、第３試合を午後４時、第４試合を午後６時３０分開始に遅らせた。第３試合が長引いたこともあり、第４試合は午後７時１分に開始されていた。【京都】前代未聞！午後１０時を過ぎても第４試合が続行　その理由は…7/23(月) 準々決勝４試合が行われ、午後７時１分に始まった立命館宇治と鳥羽の試合は、延長戦に突入して午後１０時を過ぎても試合が行われた。　この日は酷暑対策として第２試合終了後に休憩を挟み、第３試合が午後４時、第４試合が午後６時３０分開始予定だった。第４試合は午後７時１分に開始され、３時間を超える熱戦になっている。　当初は第３試合が午後１時３０分、第４試合が午後４時の予定だったが、京都府高野連は選手、審判の健康に留意して２１日に変更を発表した。【京都】酷暑対策でナイター開催、終了時刻は午後１０時３７分に2018年7月23日　　◆第１００回全国高校野球選手権記念京都大会　▽準々決勝　立命館宇治６―５鳥羽（２３日・わかさスタジアム京都）　準々決勝４試合が行われ、午後７時１分に始まった立命館宇治と鳥羽の試合は午後１０時３７分に終了した。延長１１回、３時間３６分の激闘だった。「こんなに遅くなるとは思っていなかった。うちの子は、１０時半に野球をしているという経験がないので、すごく心配だった。僕も集中力が徐々に…という感じだった」。里井祥吾監督（３５）は、ぐったりした表情で振り返った。　午後１０時３０分の延長１１回２死一、二塁で決勝の右前適時打を放った中村滉成外野手（２年）は「率直に言うと、めっちゃしんどかった。気付けば１０時を過ぎていた。精神的にきつかった。ほんまに決めようと思った」と、疲労感をにじませた。　この日は酷暑対策として第２試合終了後に休憩を挟み、第３試合が午後４時、第４試合が午後６時３０分開始予定だった。午後１時７分に終わった第２試合の後、約３時間の休憩が入った。第４試合は午後７時１分開始のナイターで開催されたうえに延長１１回に突入。３時間半を超える熱戦になった。　午後１１時を過ぎれば、２４日の午後４時から再試合を行う予定だったという。府高野連の井上明理事長（６０）は「（試合が深夜に及ぶことは）想定していたので、非常に怖かった。遺恨が残らなくてよかった」と、疲れ切った表情で取材対応した。　当初は第３試合が午後１時３０分、第４試合が午後４時の予定だったが、京都府高野連は選手、審判の健康に留意して２１日に変更を発表していた。

  2018年07月24日

• 二宮先生語録巻の3 【358】

  二宮先生語録巻の3 【358】【三六八】賭(と)博(ばく)を為(な)す者(もの)、勝(か)てば則(すなは)ち銭(ぜに)を得(え)。敗(まけ)れば則(すなは)ち銭(ぜに)を失(うしな)ひ、甚(はなはだし)きに至(いた)れば、則(すなは)ち衣(い)を脱(だつ)し之(これ)を償(つぐな)ふ。我(わ)が興(こう)国(こく)安(あん)民(みん)法(はふ)を行(おこな)ふ者(もの)、功(こう)成(な)れば、則(すなは)ち賞(しやう)を貪(むさぼ)り、功(こう)成(な)らざるも、亦(また)位(い)禄(ろく)を全(まつたふ)せんと欲(ほつ)す。豈(あに)繆(あやま)らざるや。苟(いやし)くも功(こう)成(な)らずんば、則(すなは)ち速(すみやか)に位(い)禄(ろく)を致(いた)して去(さ)る可(べき)なり。伝(でん)に曰(いは)く、人(ひと)の邦(はう)邑(いう)を謀(はか)り、之(これ)を危(あやう)ふすれば則(すなは)ち之(これ)を亡(ほろぼ)すと。亦(また)宜(むべ)ならず。１『報徳秘稿』五三五「賭博は道ある者にあらず。然れどもその場に出合う者を見れば、銭を出して当たれば銭を得、外れば銭を失う。甚だしきに至りては衣服を渡す。今や開田撫育の大業を志して行う者、功あらば必ず賞あるべし。功無くとも其の位禄を全うするを以て心とす、迷謬ならずや。功成らずんば、速やかに位禄を返して当然にあらずや。」《訳》賭博をなすものは、勝てば銭を得、負ければ銭を失い、甚だしいのになると着物を脱いでこれを償う。私の興国安民法を行う者は、功がなれば賞を得、功がならなくてもまた位禄を全うしようと思う。なんと誤っていることか、いやしくも功がならなければ、すぐに位禄を辞して去るべきじゃ。礼記檀弓篇に言う。「人の邦邑を謀り、これを危うくすれば則ちこれを亡ぼす」と。またもっともなことではないか。クロムウェル伝その１４ヒッチ氏よ、士卒達が寺院を改革せんとして乱暴の処置に出るかも知れないため、無益有害な楽隊を廃することを願う。余は貴下が民衆に聖書を講じることを勧告する。なお説教の多いことをも望む。以上。一六四四年一月一〇日、エライにて　　　　　　　　　　　　　　　オリバー・クロムウェルエライにある　　　僧ヒッチ様

  2018年07月24日

• 二宮先生語録巻の3 【357】

  二宮先生語録巻の3 【357】【三五七】報(はう)徳(とく)助(じよ)貸(たい)二(に)法(はふ)有(あ)り。其(そ)の一(いつ)、資(し)金(きん)一(いつ)百(ひやく)、年(ねん)年(ねん)歳(さい)歳(さい)、助(じよ)貸(たい)旋(せん)回(かい)（無利息金がめぐる）するのみ。蕪(ぶ)田(でん)辟(ひら)け、廃(はい)家(か)復(ふく)し、衰(すゐ)邑(いう)興(おこつ)て、資(し)金(きん)増(まさ)ず減(げん)ぜず、是(こ)れ猶(な)ほ太(たい)古(こ)開(かい)闢(びやく)の始(はじ)め、大(だい)地(ち)巌(げん)山(ざん)（岩山）平(へい)砂(さ)（すなち）の如(ごと)く、一(いち)物(ぶつ)を生(しやう)ぜずと雖(いへど)も、太(たい)陽(やう)照(てら)す所(ところ)、万(ばん)物(ぶつ)漸(ぜん)を以(もつ)て生(しやう)じ、遂(つひ)に豊(ほう)饒(ぜう)を致(いた)すごとくなり。其(そ)の二(に)、資(し)金(きん)一(いつ)百(ひやく)、助(じよ)貸(たい)旋(せん)回(くわい)、蕪(ぶ)田(でん)辟(ひら)け、廃(はい)家(か)復(ふく)し、衰(すい)邑(いう)興(おこ)り、報(ほう)徳(とく)の資(し)増(ざう)倍(ばい)に至(いた)る。是(こ)れ猶(な)ほ当(たう)今(こん)太(たい)陽(やう)照(てら)す所(ところ)、百(ひやく)穀(こく)生(しやう)じ、草(さう)木(もく)茂(しげ)り、禽(きん)獣(じゆう)殖(しよく)し、益(ますます)々豊(ほう)富(ふ)を致(いた)すなり。然(しか)らば則(すなは)ち太(たい)陽(やう)終(しふ)古(こ)一(いち)日(にち)も照(てら)さざる無(な)き、助(じよ)貸(たい)旋(せん)回(くわい)止(や)まざれば、則(すなは)ち廃衰(はいすゐ)既(すで)に極(きは)まると雖(いへど)も、必(かなら)ず興(こう)復(ふく)の功(こう)を奏(そう)し、報(ほう)徳(とく)金(きん)を生(しやう)ずるや、疑(うたが)ひ無(な)し。１『報徳秘稿』五五「夫れ、無利足金の徳たること云いがたし。欲にあらず、無欲にあらず。損もなく、益もなく、十両貸して十両取り、百両貸して百両取るのみ。而して、廃地は起き返り、絶家はつづき、借財は返済出来、貧窮は免るべし。貸す者毫厘の損なく、借る者広太の益あり。実に恵んで費やさず、欲して貪らざるの大道也。譬えば日月の徳の如し。夫れ、日月は東に出、西に入りく只行道し玉うのみにて、草も育ち、木も育ち、米が実り、粟が実り、柿がなり、梨がなり、天下の万物生育す。三百六十度にして万民の衣食豊饒するが如し。又、日輪東に出玉う時は、士は参勤し、農は耕作し、天下の生民皆業をなすが如く、水火・病難等の節は直に救い遺す。故に商は商を励み、酒屋は酒を作り、無差別渡世すべきなり。又、釈迦如来の何菩薩は何の利益ありくと説き玉うが如く、此の無利足金は商人が借るときは商いに利益あり、農人が借る時は農事に利益あり。皆其の人々の念ずる所に利益ある也。その徳たる、広太無辺、人倫に於ては無上の大道也。誦して曰く、大なる哉、聖人の道、洋々乎として万物を発育し、峻（たか）く天に極（いた）る。」《訳》報徳の貸付に二つの方法がある。その一つは元金百両を年々歳々無利息金を繰り返し貸し付けるだけじゃ。荒地は開け、廃れた家は回復し、衰えた村は復興し、しかも資金は増すことも減ずることもない。これは太古の国が開けた初めの頃、大地や岩山や砂地のように一物をも生じなかったが、太陽の照らすところ、万物が次第に生じ、ついには豊穣となったようなものじゃ。その二は、元金百両をを年々歳々無利息金を繰り返し貸し付け、荒地は開け、廃れた家は回復し、衰えた村は復興し、しかも資金は倍増するに至る。これはちょうど現在太陽の照らすところ、百穀が生じ、草木が茂り、鳥や獣が増殖し、ますます豊富となるようなものじゃ。そうであれば太陽は昔も一日も照らさないことはなたったように、無利息金を繰り返し貸し付けてやまなければ、家や村が廃れたり衰えたりしても、必ず復興の功績をもたらし、報徳金を生ずることは疑いない。​クロムウェル伝その１３​我らはホランドに向って進んだ。しかるにホランド付近まで来たって、多大の兵力を増した敵のむかえうつ所となったが、神の恩恵によって敗北を免れ、隊伍は整然として無事背進した。損害はほとんど無く、ただ神の恩寵の大なるに感泣するのみである。

  2018年07月24日

• 二宮先生語録巻の3 【359】

  二宮先生語録巻の3 【359】【三五九】樹(じゆ)木(もく)の仆(たお)る者(もの)、幹(みき)朽(く)ち根(ね)腐(くさ)ればなり。籓(はん)籬(り)（まがき）の壊(やぶ)る者(もの)、材(ざい)朽(く)ち索(なは)腐(くさ)ればなり。一(いつ)旦(たん)風(かぜ)起(おこ)れば、則(すなは)ち仆(たほ)れ、則(すなは)ち壊(やぶ)る。豈(あに)斯(かく)の樹(き)を仆(たほ)し、斯(かく)の籬(まがき)を壊(こはた)んと欲(ほつ)するの風(かぜ)あらんや。朽(きう)樹(じゆ)腐(ふ)籬(り)（腐ったまがき）、風(かぜ)無(な)しと雖(いへど)も、自(みずか)ら仆(たほ)れ自(みずか)ら壊(こは)る、必(ひつ)す。国(こつ)家(か)の亡(ぼう)滅(めつ)も、亦(また)然(しか)り。人(ひと)之(これ)を災(さい)禍(くわ)と謂(い)ふ。災(さい)禍(くわ)に非(あらざ)るなり。君(くん)臣(しん)道(みち)を失(うしな)ひ、自(みずか)ら亡(ぼう)滅(めつ)を招(まね)くのみ。思(おも)はざるべけんや。１『報徳秘稿』五〇「風に倒れし松は、根朽ち、木腐れ入りて、将に倒れんとするの木也。風に破れし籬（まがき）は、杭朽ち、縄腐れて、将に破れんとするの籬也。如何となれば、風は国中同じくして、松を倒さんと吹く風もなく、籬を破らんと吹く風もなし。しかれば、風なくとも破れ倒るべきなり。今、人々の禍と云うもの是と異ならず。鎌倉の亡びしも朽木の倒れんと同じ。鎌倉のみにあらず。人々の家皆然り。歌に、時鳥（ほとどきす）鳴きつる方をながむれば只有明の月ぞ残れる　とあり。昔の繫花は跡のみ残り、今は家を作り、蔵を立て、賑しきも、乍（たちまち）借財のみ残り亡ぶべし。鎌倉は亡び、何某は亡びたりと云うとも、土地は其の儘有る形也。凡そ何にても人造の物は皆亡ぶれども、天道自然のものは亡ぶることなし。只有明の月ぞ残れるとは、是を云う也。」《訳》樹木の倒れるのは、幹が朽ち根が腐れているからじゃ。まがきの倒れるのは、材料が朽ち縄が腐れているからじゃ。いったん風が起こればすぐに倒れ壊れる。どうしてこの木を倒し、このまがきを壊そうと思う風があろうか。朽ちた木や腐ったまがきは、風が無くても、自ら倒れ自ら壊れるのは必然じゃ。国家の亡滅もまた同様じゃ。人はこれを災禍というが、災禍ではない。君臣が道を失い、自ら亡滅を招いただけということを思わなければならない。クロムウェル伝その１２騎兵及びその隊長の人選にご注意くだされたく、正直者の少数はいたずらな多人数に勝る。隊長にして高潔の清士ならば部下にも自ら誠実の士が集まるであろう。

  2018年07月23日

• 二宮先生語録巻の3 【366】

  二宮先生語録巻の3 【366】【三六六】衰(すゐ)邑(いう)を興(こう)復(ふく)するや、篤(とく)実(じつ)励(れい)精(せい)の良(りやう)民(みん)を挙(あ)げ、大(おゝい)に之(これ)を表(へう)旌(しやう)し、一(いち)邑(いう)の模(も)範(はん)と為(な)し、以(もつ)て放(はう)逸(いつ)無(ぶ)頼(らい)の貧(ひん)民(みん)、遂(つゐ)に化(くわ)し篤(とく)実(じつ)励(れい)精(せい)の良(りやう)民(みん)と為(な)るに馴(じゆん)致(ち)するなり。今(いま)放(はう)逸(いつ)無(ぶ)頼(らい)の貧(ひん)民(みん)を措(おき)て、其(そ)の離(り)散(さん)亡(ばう)滅(めつ)に任(まか)す。是(これ)我(わ)が法(ほう)の秘(ひ)訣(けつ)なり。何(なん)となれば則(すなは)ち悔(くわい)悟(ご)改(かい)心(しん)善(ぜん)良(りやう)に帰(き)せば、則(すなは)ち之(これ)に与(あた)ふるに田宅(でんたく)を以(もつ)てすればなり。是(こ)れ怨(うらみ)を懐(いだ)く能(あた)はず。又(また)善(ぜん)良(りやう)に帰(き)せざる能(あた)はざるなり。１『報徳秘稿』三六「衰邑を興すは、出精奇特の善者を取立て、又如何とも致し方なき者は潰す事、是秘訣也。然れ共、無慈悲にして然るあらず。好き人になり来れば、何時にても元の如く取立て遣わすべしと云うものあれば、彼も善に帰するの外道なく、是も亦怨みなし。」《訳》衰えた村を復興するには誠実で精励する良民を取り立て大いに表彰し、一村の模範として、勝手気ままで怠け者の貧民をついには感化し誠実で精励する良民となるようにならして化することじゃ。今、勝手気ままで怠け者の貧民については放置しておいて、離散・亡滅するままにまかせるのが、私の法の秘訣じゃ。なぜならば、彼らが後悔し改心し善良になれば、これに田地や住宅を与えるから、怨みを抱くことがない。また善良に帰さないわけにはいかないのじゃ。クロムウェル伝その１１議会党の兵はすべて不利に立つ。サー・ウィリアム・オーラは三週間前、ランスダウンの野にさんざんに破られ、フェアファクス兄弟も敗れ、五月の末にスタンフォード伯は西南地方に敗れ、ブリストルは今、突然敵の雄将ラパート親王の手に落ちた。

  2018年07月23日

• 二宮先生語録巻の3 【365】

  二宮先生語録巻の3 【365】【三六五】旱(かん)魃(ばつ)虐(わざわひ)を為(な)す。是(こ)の時(とき)に当(あた)り、加(か)州(しう)侯(こう)百(ひやく)万(まん)封(ほう)境(きやう)の為(ため)に雨(あめ)を祈(いの)り、小(しやう)農(のう)数(すう)畝(ほ)田(でん)の為(ため)に雨(あめ)を祷(いの)る。大(だい)小(せう)貴(き)賤(せん)霄(せう)壌(じやう)の如(ごと)しと。而(しか)も至(し)誠(せい)天(てん)に通(つう)ずるに至(いたつ)ては、則(すなは)ち一(いつ)なり。何(なん)となれば則(すなは)ち蒼(さう)天(てん)安(いづく)んぞ大(だい)小(せう)貴(き)賤(せん)を弁(べん)別(べつ)する有(あら)ん。若(も)し之(これ)を弁(べん)別(べつ)する有(あ)り、小(せう)農(のう)の祷(いのり)を措(おい)て、加(か)州(しう)侯(こう)の祈(いのり)を允(みた)さば、則(すなは)ち焉(いづく)んぞ能(よ)く旱(かん)を為(なさ)ん。苟(いやし)くも我(わ)が道(みち)を行(おこな)ふ者(もの)、宜(よろし)く斯(こ)の理(り)を体(たい)認(にん)すべし。１『報徳秘稿』三二「今、旱魃（かんばつ）あり。百万石の加州侯の雨乞も、賎の女の三畝五畝の栗の為に雨に祈るも、天意感通に至りては同じ。高下貴賤は見えぬものの降らする雨なれば也。加州侯の御頼み故、聞かずばなるまいと云う位、貴賤の別るるものに、降らすも照らすも出来ず。」《訳》干ばつは農民を非常に苦しめる。この時にあたって加賀藩主は百万石の人々のために雨を祈願し、小農は小さい田んぼのために雨を祈願した。大小・貴賤、天と地ほどあっても、至誠が天に通ずるに至っては一つじゃ。なぜならば天がどうして大小・貴賤を弁別することがあろうか。もしこれを弁別して小農の祈願をさしおいて、加賀藩主の祈りをみたすならば、どうして干ばつが起こることがあろうか。いやしくも私の道を行う者は、よくこの理をしっかりと身につけなければならない。クロムウェル伝１０まことに恩恵の神は我らを激励している。願わくは恩恵が絶えないよう努力されたい。恩恵は、良い時に下って、「起って為せ。われ、なんじの味方となり、なんじを助けん」という大命を伝える。我らの罪悪は遅緩のほかに恐るべきものは無い。

  2018年07月23日

• 二宮先生語録巻の3 【364】

  二宮先生語録巻の3 【364】【三六四】天(てん)地(ち)固(もと)より増(ぞう)減(げん)無(な)し。故(ゆゑ)に生(しやう)滅(めつ)無(な)し。禍(くわ)福(ふく)吉(きつ)凶(きよう)増(ぞう)減(げん)有(あ)る、唯(た)々(ゞ)夫(そ)れ循(じゆん)環(くわん)するのみ。猶(な)ほ鶏(にはとり)卵(たまご)を産(う)み、卵(たまご)鷇(ひな)と為(な)り、鷇(ひな)鶏(にはとり)と為(な)り、鶏(にはとり)亦(また)卵(たまご)を産(う)み、一(いち)日(じつ)も止(や)む無(な)きごとし。聖(せい)人(じん)増(ぞう)減(げん)無(な)きの天(てん)地(ち)間(かん)に生(うま)れ、人(じん)道(だう)を立(た)て、以(もつ)て増(ぞう)減(げん)を為(な)す。故(ゆゑ)に人(ひと)の道(みち)為(な)るや、惰(おこた)れば則(すなは)ち減(げん)じ、勤(つとむ)れば則(すなは)ち増(ま)す。耕(かう)耘(うん)せざれば、則(すなは)ち百(ひやく)穀(こく)登(みの)らず。蠶(さん)織(しよく)（蚕を養い糸を織る）せざれば、則(すなは)ち衣(い)服(ふく)成(な)らず。構(こう)営(えい)せざれば、則(すなは)ち家(か)屋(をく)就(なら)らず。故(ゆゑ)に斯(こ)の世(よ)に在(あ)る者(もの)、焉(いずく)んぞ勤(つと)めざるを得(え)んや。１『報徳秘稿』三一「世界は元増減無き也。生滅・吉凶・禍福とも増減なし。玉子雛となり、鶏となり、又子を生む。一日も止むことなし。云々明らか也。斯く増減無きの世界に生れて、人道を立て、増減をなす。故に人道は怠れば減ず。米は植えずば実らず。衣は織らずば成らず。」《訳》天地はもとより増減はない。だから生滅もない。禍福・吉凶に増減があるのは、ただ循環しているだけじゃ。ちょうど鶏が卵を産み、卵がひなとなり、ひなが鶏となり、鶏がまた卵を産み、一日もやむことがないようなものじゃ。聖人は増減のない天地の間に生れ、人道を立て、増減をなした。だから人の道は怠れば減じ、勤めれば増す。耕うんしなければ穀物は実らない、蚕を養い織らなければ衣服はできない。建築しなければ家屋はできない。だからこの世界にある者は勤めなければならない。クロムウェル伝その８神は今夕我らに光栄ある勝利を賜った。神はこの少人数をもって、あえて敵に当たることを命じたもうた。敵は半時間以上も銃撃を加えたけれども進んで来ないため、我らは猛然として進撃したところ、神の助けが我が軍にあって、敵はたちまち退却し、我らは二、三マイル追撃した。私は自分のために金を求めるのではない。しかし人の不満をいかにしよう。願わくは至急にされんことを。祈祷を忘れないように。

  2018年07月23日

• 二宮先生語録巻の3 【306】

  二宮先生語録巻の3 【306】【三〇六】語(ご)に曰(いは)く、権(けん)量(りやう)（はかります）を謹(つゝし)み、法(はふ)度(と)（法律）を審(つまびらか)にすと。是(こ)れ啻(たゞ)天(てん)下(か)を治(をさむ)るのみならず、又(また)四(し)民(みん)家(いへ)を治(をさむ)るの法(はふ)と為(な)すべきなり。士(し)や宜(よろ)しく禄(ろく)俸(ぼう)の分(ぶん)に随(したが)ひ、入(い)るを量(はか)り出(いづ)るを制(せい)し、家(か)規(き)を確(かく)定(てい)し、慎(つゝし)み以(もつ)て之(これ)を守(まも)るべし。農(のう)工(こう)商(しやう)も亦(また)然(しか)り。四(し)民(みん)各(おの)々(おの)其(そ)の権(けん)量(りやう)を謹(つゝし)み、其(そ)の法(はふ)度(と)に審(つまびらか)にし、以(もつ)て固(かた)く之(これ)を守(まも)らば、則(すなは)ち長(ちやう)久(きう)を保(たも)つべきなり。若(も)し夫(そ)れ権(けん)量(りやう)無(な)く法(はふ)度(と)無(なけ)れば、則(すなは)ち亡(ぼう)滅(めつ)を免(まぬが)れず。豈(あに)能(よ)く長(ちやう)久(きう)を保(たもた)んか。１　権量を謹み、法度を審らかにし、廃官を修むれば、四方の政行われん。（論語堯曰篇二）２　三十年の通（つう）を以て国用を制し、入るを量りて以て出ずるを為す（礼記王制）３『報徳秘稿』三六四「凡そ、分度を越えて窮せざる者なし。」《訳》論語にいう。「権量を謹み、法度を審（つまびらか）にす」と。これはただ天下を治めるだけでなく、また人々がそれぞれ家を治める法とするべきじゃ。武士はよろしく禄俸の分に随い、入るを量って出るを抑制し、家の規則を確定して、慎んでこれを守るがよい。農・工・商もまた同じじゃ。四民がおのおのその権量を謹んで、その法度をに審らかにして、固くこれを守るならば、長久を保つことができよう。もしその権量が無く法度が無ければ、亡滅を免れない。どうしてよく長久を保つことができようか。クロムウェル伝その8クロムウェル伝その8私の誠直も諸君が知ることができよう、諸君を助けるものが一人もなくなっても、私は神の助けによって職分を尽くすことを怠らないであろう。

  2018年07月23日

• 二宮先生語録巻の3 【328】

  二宮先生語録巻の3 【328】【三二八】我(わ)が利(り)倍(ばい)帳(ちやう)は、本(もと)利(り)を生(しやう)じて、利(り)本(もと)と為(な)り、本(もと)又(また)利(り)を生(しやう)じ、歳(さい)歳(さい)反(はん)復(ぷく)、本(もと)利(り)増(ぞう)倍(ばい)算(さん)勘(かん)（計算）の書(しよ)なり。仏(ぶつ)氏(し)因(いん)果(ぐわ)因(いん)縁(えん)を説(と)く。然(しか)れども眼(め)之(これ)を看(み)る能(あた)はず。譬(たと)へば力(りき)田(でん)、粟(ぞく)（米）を得(え)て之(これ)を播(ま)けば、則(すなは)ち幾(いく)倍(ばい)を得(う)。歳(さい)歳(さい)反(はん)復(ぷく)、幾(いく)千(せん)万(まん)倍(ばい)に至(いた)り、遂(つひ)に算(さん)勘(かん)の及(およ)ぶ所(ところ)に非(あらざ)るなり。故(ゆゑ)に余(よ)此(こ)の書(しよ)を作(つく)り幾(いく)千(せん)万(まん)倍(ばい)に至(いた)るも、亦(また)計(けい)会(かい)を審(つまびらか)にす。是(こ)れ眼(がん)前(ぜん)因(いん)果(ぐわ)因(いん)縁(えん)の理(り)を見(あら)はすなり。１『報徳秘稿』三〇「利倍帳も亦同じ。己々が功徳を照す鏡也。一両は一両、五両は五両、十両は十両、百両は百両、十年は十年、二十年は二十年、必ず違わず。又其の如く、善なれば善、悪なれば悪、邪は邪、正は正、皆同じ。其の故は、生ずるは利倍なり。滅するも利倍也。」《訳》私の利倍帳は、元本が利子を生じて、その利子が元本に加わり、その元本がまた利子を生じて、年々反復して元本、利子が増倍することを計算した書物じゃ。仏教で因果因縁を説く。しかし肉眼でこれを見ることはできない。たとえば田を耕すことに勤めて米を得てこれをまけば、幾倍を得る、年々反復して、幾千万倍になり、ついに計算ができないところとなる。だから私はこの書物を作って、幾千万倍になっても、また合計がくわしくわかるようにしたのじゃ。これは目の前に因果因縁の道理をあらわしたものである。クロムウェル伝その８すべてのたすけは神より来る。神がもし助けるならば、この願いはやすやす達するであろう。

  2018年07月23日

• 二宮先生語録巻の3 【363】その２

  二宮先生語録巻の3 【363】その２今いま夫それ勤きん倹けん余よ財ざいを譲ゆづり、以もつて我わが法はふを行おこなはゞ、天てん禄ろくを殖しよくし子し孫そんに福ふくし、其その徳とく永ながく存そんし、其その沢たく衆しゆうに及および、其その名な朽くちず。是これ死しして命めい有あるなり。豈あに勤つとめざるべけんや。若もし夫それ懶らい惰だ放はう逸いつ、以もつて他た財ざいを奪うばはゞ、則すなはち天てん禄ろくを縮しゆくし子し孫そんに禍わざわひし、身み生うまれて名な無なし。是これ生せい日じつ既すでに命めい無なきなり。則すなはち身みを亡ほろぼし後のちを絶たつに至いたる。豈あに戒いましめざるべけんや。１『報徳秘稿』一二「野常の風俗、頽廃すること久し。先ず葬地定処なく、或いは山林原野、或いは田畑屋鋪、皆忌まず。数年を過れば墓を崩して平地となし、菽麦（しゅくばく：豆と麦）を植えて又忌まず。故に荒地起返し、用水掘割、旱地地下げ、湿地畑捲り等普請中、体骨を掘り出す数々（しばしば）なり。其の骨腐朽折破すといえども、頭骨と脛骨とは必ず存す。夫れ、頭は衆体の上に在って寒暑を受くること甚だ多し。脛は衆体の下に居て功労尤も多し。其の人世に在りて功労多き処、没後百年にして其の骨朽ちず。嗚呼、至妙の理なる哉。是を以て観ずるに、吾が王朝及び摂政家の如き万代の至尊、天壌と共に無窮もの、他無し、国家人民の為大勲功ましませば也。予が歌に、世の中は草木も供に生如来死して命のありかをぞ知れ。夫れ、命ありて生れるは草木・虫魚皆然る也。尊ぶにたらず。死して命あるをこそ尊し。如何となば、古昔聖賢の如き、其の名万代に伝わりて絶えず、其の法永久に及んで民其の沢を蒙る。是、古昔聖賢今現に在すと一般。然りといえども、是、凡人の跂（つまだち）て及ぶべき処にあらず。然らば則ち如何せん。只己を倹して分内を譲るにあり。分を譲れば其の徳死後に余り、其の沢久に及び、身没して名滅せず。是を死して命ありと云う。能く勤むれば天命を長じ、天禄を殖し、福を子孫に流す窮まりなし。勤めざるべけんや。分外を奪えば存命中天禄を縮し、子孫の福を縮し、身生じて名称えられず。是を生中已（すで）に命なしと云う。甚だしければ子孫を断ち身を亡ぼす。恐るべきかな。《訳》人が死んだ後、頭蓋骨とすねの骨は腐ることなく、ながく土の中に存している。頭は上にあり、常に寒熱に耐える。すねは下にあって、常に労働に任ずる。生きているとき、労するものは死んで朽ちないのは、理由があって存するのじゃ。皇室が代々天地とともに窮まりないのも、天下を営み、万民をあわれみ安らかにした大功績があったからじゃ。思うに人類が生活するだけで草木と同じならばどうして尊ぶに値いしよう。死んでも生命があるところを尊いとするのじゃ。神聖は法を設けて天下を治め、身体は死んでも名は朽ちることなく、その法が永く存し、人民がその恵みを受ける。これは神聖が今もなおこの世にあるのと同じことじゃ。これを死んでも生命があるというのじゃ。今、勤労・倹約して余財を譲り、私の報徳の仕法を行うならば、天禄を増殖し、子孫は幸福になり、その徳はながく存し、その恵みは衆に及び、その名は朽ちない。これが死んで生命があるということじゃ。どうして勤めないわけにいこうか。もし怠惰で遊びほうけて、他人の財を奪うならば天禄を縮小し、子孫に災禍し、生まれてきても名もない。これは生きていても生命がないのと同じじゃ。身を亡ぼして子孫を絶つに至ろう。どうして戒めなくてよかろうか。クロムウェル伝その８私は彼の勇気を沮喪することを恐れる。願わくは彼を思い、また民党を思いたまえ。これは貴いことではないか。そうであれば応分のご助力をノーフォークにすることをひとえに願う。

  2018年07月23日

• 二宮先生語録巻の3 【363】その１

  二宮先生語録巻の3 【363】その１【三六三】人(ひと)の死(し)骨(こつ)、頭(あたま)と脛(すね)と腐(ふ)朽(きゆう)せず、永(なが)く土(ど)中(ちう)に存(そん)す。夫(そ)れ頭(あたま)は上(うへ)に在(あ)り、常(つね)に寒(かん)熱(ねつ)を冐(おか)し、脛(すね)は下(した)に在(あ)り、常(つね)に労(ろう)力(りょく)に任(にん)ず。生(せい)日(じつ)労(らう)する者(もの)、死(し)して朽(く)ちず、理(り)有(あつ)て存(そん)すなり。皇(くわう)朝(てう)（皇室）世(せ)祚(そ)（代々）天(てん)地(ち)と与(とも)に窮(きはま)り無(な)き者(もの)、天(てん)下(か)を経(けい)営(えい)し、万(ばん)姓(せい)を撫(ぶ)安(あん)し、大(だい)勲(くん)労(らう)有(あ)ればなり。蓋(けだ)し気(き)類(るゐ)の生(せい)を養(やしな)ふ。草(さう)木(もく)と一(いつ)般(ぱん)。何(なん)ぞ以(もつ)て貴(たつと)ぶに足(たら)ん。其(そ)の死(し)して命(めい)有(あ)るを貴(たつと)しと為(な)すのみ。神(しん)聖(せい)法(はふ)を設(まう)け天(てん)下(か)を治(おさ)め、身(み)死(し)して名(な)朽(くち)ず、其(そ)の法(はふ)永(なが)く存(そん)し、衆(しゆう)庶(しよ)沢(たく)に沐(もく)す。是(こ)れ神(しん)聖(せい)今(いま)尚(な)ほ世(よ)に在(あ)ると一(いっ)般(ぱん)。此(これ)を死(し)して命(めい)有(あ)りと謂(い)ふなり。

  2018年07月23日

• 二宮先生語録巻の3 【362】

  二宮先生語録巻の3 【362】【三六二】下(しも)館(だて)封(ふう)内(ない)一(いち)農(のう)夫(ふ)有(あ)り。気(き)質(しつ)鄙(ひ)吝(りん)（けち）。欲(よく)を逞(たくまし)くし財(ざい)を積(つ)み、他人(たにん)の貧(ひん)を救(すく)はず。他人(たにん)の窮(きゆう)を恤(あわれ)まず。隣(りん)里(り)郷(きやう)党(たう)の怨(えん)望(ぼう)する所(ところ)と為(な)り、敢(あへ)て意(い)に介(かい)せず。其(そ)の行(おこなひ)蓋(けだ)し悪(にく)むべきなり。然(しか)りと雖(いへど)も、力(りき)農(のう)（農業につとめる）に於(おい)ては則(すなは)ち封(ふう)内(ない)比(ひ)無(な)し。耕(かう)耘(うん)灌(くわん)培(ばい)播(は)種(しゆ)収(しゆう)穫(かく)其(そ)の時(とき)に違(たが)はず。春(はる)は嫰(どん)草(さう)（わかくさ）を刈(か)り、秋(あき)は落(おち)葉(ば)を筢(か)き、夙(つと)に興(お)き夜(よる)に寐(い)ね、暑(しよ)熱(ねつ)寒(かん)凍(とう)を避(さ)けず、孜(し)孜(し)勤(きん)勉(べん)、敢(あへ)て懈(おこた)る有(あ)る無(な)し。聖賢(せいけん)に農(のう)を為(な)さしむるも、亦(また)豈(あに)之(これ)に過(すぎ)んや。怠(おこた)れば則(すなは)ち貧(ひん)。勤(つとむ)れば則(すなは)ち富(と)む。其(そ)の之(これ)を知(し)る。如(によ)来(らい)と雖(いへど)も、亦(また)豈(あに)之(これ)に過(すぎ)んや。若(も)し夫(そ)れ、此(こ)の理(り)を推(お)して、之(これ)を人(ひと)に施(ほどこ)さば、則(すなは)ち其(そ)の行(おこな)ひ聖(せい)賢(けん)如(によ)来(らい)に彷(ほう)彿(ふつ)たらん。心(こゝろ)を救(きう)恤(じゆつ)に用(もち)いず。惜(おし)むべし。教(けう)化(か)陵(りよう)夷(い)（教化が衰える）、風(ふう)俗(ぞく)頽(たい)敗(はい)も、亦(また)歎(たん)ずべきのみ。１　周の衰えるに及び、賢聖の君作（おこ）らず、学校の政修まらず、教化陵夷して風俗頽敗す。（大学章句序）２『報徳秘稿』一一「灰塚村（常州下館領）に円次と云うものあり。私欲熾盛（しじょう）にして積財を勤め、人の艱難を救わず、人の貧困を憐れまず、怨みを村裏に結んで自ら快しとす。其の行い甚だ悪（にく）むべし。然りといえども、力農に於ては近郷比類すべきなし。耕耘・糞養・秄耘・刈穫（がいかく）・皆時に先後せず。春は山草を刈り、秋は落葉を搔き、夏は炎暑を厭わず、冬は雪霜を侵し、晨（あした）に起き、夜に寝、専ら力を農事に尽す。先生曰く、円次の勤業や至れり。聖人をして農業を勤めしむるとも是に外ならず。其の作物の為に尽して秋過に利あることを了知すること、如来といえども又是に過ぐべからず。若し、此の理を人倫応接の間に用い、専一精農をなすが如く精誠を尽さば、則ち聖人如来に彷彿たらん。嗚呼、惜しむべきかな。」《訳》下館領（茨城県下館市）に一人の農民がいた。気質はけちで、欲がたくましく蓄財し、他人が貧しくても救わず、他人の困窮を憐れまなかった。遠近の村里も恨まれても気にしなかった。その行いはにくむべきじゃ。しかし農業につとめることについては領内に比類がなかった。耕うん、培養、種まき、収穫などその時期をあやまらず、春は若草をかり、秋は落ち葉をかき、朝早く起き、夜に寝、暑さ寒さをさけず、こつこつと勤勉であり、おこたることがなかった。聖人・賢人に農業を行わせても、これにまさることはなかったろう。怠たれば貧しくなり、勤めれば富む、このことを知っていた。如来であってもこれに過ぎることがあろうか。もしこの理を人に及ぼすならば、その行いは聖人や如来の行いのようであったろう。心を救済に用いなかった、かなしいことじゃ。教化が衰え、風俗が退廃する、また嘆くべきことじゃ。クロムウェル伝その7怜悧は、あるいはあなたを誤ることもがあろうが、誠直はあなたを誤ることは無い。

  2018年07月23日

• 二宮先生語録巻の3 【379】その２

  二宮先生語録巻の3 【379】その２凡およそ血けつ気き有ある者もの、尊そん信しんせざる莫なし。故ゆゑに王わう侯こうより士し庶しよ百ひやく工こう神しん官かん仏ぶつ徒とに至いたるまで、苟いやしくも之これを用もちひる者もの有あらば、則すなはち日にち用よう間かんに行おこなはれて、凝ぎよう滞たい有ある莫なし。何なんぞ時じ世せいを憤いきどほらん。何なんぞ時じ政せいを誹そしらん。以もつて楽たのしみ行おこなふべし。豈あに真しんの大たい道だうならずや。《訳》古来、英雄や俊傑が多いといっても国を治め、民を安やかにする功績を行う者は少ない。あるいは道の高妙を悟れば、塵の世を厭い、閑寂を楽しみ、身を終る者がある。あるいは事業を興そうと思って、思うようにならなければ、時世を憤り、詩歌をもてあそんで生を送る者がある。あるいは進取を望んで進むことができなければ、時世をそしって、飲酒にふけり、世を没する者がある。これは皆その才能が余りあって、国を治め、民を安やかにするに益がないもので、惜しむべきものじゃ。だから私は治国安民の法を創設した。藩主がこれを用いれば、諸藩に行うことができ、おおくの人々に施すことができる。藩主がこれを用いなければ多くの友人や親せきの間に行うがよい。位がなければ位がないなりに行い、禄がなければ禄がないなりに行い、町にあれば町に行い、野にあれば野に施す。「およそ血気ある者、尊信せざるなし。」だから王侯から士・庶民・百工・神官・僧侶に至るまで、いやしくもこれを用いる者があれば、日用の間に行われて、とどこおるところがない。どうして時世を憤る必要があろう。楽しんで行うことができる。なんと真の大道ではないか。巻の４　終りクロムウェル伝その６（『ボーイズ・ビー・アンビシャス第5集』より）クロムウェルの長男オリバー・クロムウェル（父と同名）も第八中隊の旗手に任ぜられた。彼は既に二〇歳の若者である。「なんじオリバーよ、なんじもまた既に剣を振うに適す。今度の戦いこそ神の戦いであり、戦うべき価値がある。なんじもまた来れ」と。ああ四三歳の着実温和な農民は剣を手にし、この世の権勢と戦わんとするのである。

  2018年07月22日

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