[報徳記＆二宮翁夜話]の記事一覧

2018年07月07日

二宮先生語録巻の3 【288】

二宮先生語録巻の3 【288】【二八八】稲(いね)と葦(あし)と一(いつ)なり。何(なん)となれば則(すなは)ち葦(あし)を生(しやう)ずるの土(つち)、之(これ)を闢(ひら)けば、則(すなは)ち稲(いね)を生(しやう)ずるの田(た)と為(な)る。稲(いね)を生(しやう)ずるの田(た)、之(これ)を荒(あら)らせば、則(すなは)ち葦(あし)を生(しやう)ずるの土(つち)に帰(かえ)る。均(ひとし)く之(こ)れ一(いち)土(ど)なり。人(ひと)力(ちから)を用(もちう)れば則(すなは)ち稲(いね)と為(な)り、天(てん)然(ねん)に任(まか)せば則(すなは)ち葦(あし)と為(な)る。麦(むぎ)と茅(かや)と亦(また)一(いつ)なり。何(なん)となれば則(すなは)ち茅(かや)を生(しやう)ずるの地(ち)、之(これ)を墾(ひら)けば、則(すなは)ち麦(むぎ)を生(しやう)ずる圃(ほ)と為(な)り、之(これ)を蕪(ぶ)せば、則(すなは)ち茅(かや)を生(しやう)ずるの地(ち)と為(な)る。均(ひとし)く是(こ)れ一(いつ)地(ち)なり。人(じん)力(りき)を用(もちう)れば、則(すなは)ち麦(むぎ)と為(な)り、天(てん)然(ねん)に任(まか)せば、則(すなは)ち茅(かや)と為(な)る。是(こ)の故(ゆゑ)に人(じん)道(だう)は勤(きん)労(らう)を以(もつ)て貴(たつと)しと為(な)す。１『報徳秘稿』二八八「夫れ、米と芦とは元一体なり。芦の　生える処の分は、起こし返せば皆米の生える田となる也。米の生える処の分は、耕やされば又皆芦となる也。人力を得れば米となり、天道に随えば芦となる。又、山芋の生ずる処の分は、起こし返せば畑となりて麦・豆・雑穀を生ずる也。麦・豆・雑穀、凡そ畑物の生ずる処は、耕やさざれば又年を経ずして萱（かや）となる。是則ち天地の自然、是を以て人道は勤めるを尊ぶ也。」《訳》稲と葦と一つじゃ。なぜかといえば葦を生ずる土地を開けば稲を生ずるの田となる。稲を生ずる田を荒らせば、葦を生ずる土に帰る。均しくこれは一つの土じゃ。人力を用いたら稲となり、天然にまかせるならば葦となる。麦とカヤと、また一つじゃ。なぜかといえばカヤを生ずる地を開墾すれば、麦を生ずる畑となり、これを荒らせばカヤを生ずる地となる。均しくこれは一つの地じゃ。人力を用いたら麦となり、天然にまかせるならばカヤとなる。このために人道は勤労を貴いこととするのじゃ。

2018年07月07日

「内村鑑三の『代表的日本人』ー品格ある５人の日本人が教えてくれたことー」

「内村鑑三の『代表的日本人』ー品格ある５人の日本人が教えてくれたことー」　童門冬ニ著少し内容を要約しておこう。「１　内村鑑三はなぜこの本を書いたのか「代表的日本人」は明治４１年（１９０８年）４月２９日に英文で発行された（Representative Men of Japan）。この本は、明治２７年（１８９４年）１１月２４日に「Japan annd the Japanese(日本及び日本人）」というタイトルで民友社（徳富蘇峰主宰）から刊行された著書の改版だ。　内村がこの本を書いたときの社会状況と一変したため、明治２７年発行の本から序文その他を除き、新しく４篇を加えた。その改定は次の経緯で行われた。　最初に書いたとき、日清戦争のときで、内村はこの戦争に「日本の対清戦争は義戦である」と主張した。ところが戦争の経緯を見るうちに、疑問を持ち始めた。そして戦争が終わるころには、「この戦争は義戦ではない」と思った。　やがて日露先生が起こり、内村は開戦前から、「絶対非戦論」を唱えた。ところが日露戦争で日本が勝利したことから、「東洋の小さな国が大国ロシアに勝った」ということで、日本への関心が高まり、内村の著書はデンマークとドイツで訳された。この時、「代表的日本人」という題名が決定した。内村は文久元年（１８６１年）２月１３日、高崎藩藩士、内村宜之（よしゆき）を父とし、ヤソを母として生まれた。東京英語学校を経て、明治１０年（１８７７年）、札幌農学校に第二期生として入学した。設立された当時、あめりかのマサセチューセッツ州のクラーク博士を教頭として招いた。内村が入学したころは、クラーク博士は任期を満了しアメリカに帰ってはいたが、その影響を受けた。内村は明治２３年（１８９０年）９月、第一高等学校の嘱託教員となった。ところが翌年１月９日いわゆる不敬事件を起こし、辞任した。石もて追われるように東京を去り、妻子を抱えて極貧の生活のなかで、むしろキリスト教への信仰は深くなり、「基督教徒の慰」や「求安録」などを書いた。このころ、内村は日本人の偉人伝に親しみ、特に西郷隆盛と日蓮に関心を持った。明治２７年、朝鮮をめぐる日本と中国の緊張が高まり、東学党事件をきっかけに日本は派兵した。そして８月１日日本は宣戦布告する。内村が「日本及び日本人」を書き始めたのは９月１８日、日本が清国の海軍を黄海で破った日の翌日だった。この本では西郷隆盛と日蓮を前に押し出していた。　しかし、日清戦争が終わるころから、内村は「この戦争は自分が義戦だと考えてきたことを全く裏切った」と落胆し、「およそ戦争と名のつくものに義戦などありえない、戦争はすべきでない」と非戦論を唱えるようになった。明治４１年１月８日に書かれた序文ではこう言っている。「本書は『日本及び日本人』の書名で１３年前の日清戦争中に出版された本の主要部分に、友人の助けを得て多くの訂正を加え、再発刊したものです。・・・わが国の人びとの美点を外の世界に知らしめる助けとなることが、この外国語での最後の試みの目的です。」

タイ洞窟の少年救出計画が無謀すぎる！「全員が助かる可能性は50％以下」「作業員が死亡する危険も…」　2018.07.05先月23日からタイ北部チェンライ県のタムルアン洞窟内で行方不明となっていた13人が、2日夜、英国人ダイバーによって発見された。全員が命に別状はない。現地は“タムルアンの奇跡”と呼び、歓喜の声を上げているが、喜ぶのはまだ早い。ここからの救出作戦が難航を極めるからだ。　洞窟内で行方不明になっていたのは、地元サッカーチームの11～16歳の少年12人と25歳の男性コーチの13人。先月23日に洞窟内を探検していたところ、雨による増水で引き返せなくなったものと思われる。洞窟の全長は10キロメートル以上で、13人は洞窟入り口から5キロメートルほど中に入った小高い場所に避難していた。飢えは少年が持っていたお菓子を山分けしたり、岩壁からしたたり落ちる水を飲んでしのいだという。　ひとまず発見されて笑顔を見せる少年達だったが、ここからがシャレにならない。最も確実で安心な救出計画は給水ポンプをフル稼働させ、洞窟から水をくみ出し、水位が下がるのを待ってから13人を地上に誘導する方法。しかし雨季のタイではスコールが頻発し、給水ポンプだけではどうにもならない。　現地関係者によれば「近々、豪雨が襲来するという予報が出ている。そうなると、彼らが避難した場所まで水が浸水し、最悪のケースではせっかく生きる希望を見出したのに、全員が水死する可能性がある」と話す。　そうした悲劇を回避するため、タイの海軍当局は少年らに潜水具の使い方を教え、ダイバーと共に自力で脱出する方法を検討しているが、こちらも無謀と言わざるを得ない。地下洞窟救助の専門家の話。「視界ゼロな上、特殊な環境で潜らせれば、パニックになる。自分だけでなく救助作業員の死亡事故にもつながる危険がある」。洞窟内のダイビングは「ケーブダイビング」といい、高難度の潜水技術が求められる。

2018年07月06日

昨日の試合は本当に残念だった。すごくモチベーションになったし、私は勝つしかないって思った。　日本対デンマーク戦は本人アスリートの魂に日本人の誇りをもって最後まで戦うという火花をともした

大坂なおみが、Ｗ杯日本の奮闘に感銘し、初戦の難敵突破した。記者会見では、日本代表のユニホームを着て「昨日の試合は本当に残念だった。すごくモチベーションになったし、私は勝つしかないって思った」と語った。錦織選手も同じく日本代表の惜敗に奮起し、初戦を突破した。「選手があれだけ頑張っていて、あのような形で負けたのは同じ選手（アスリート）の立場からすると心が痛かったです」日本対デンマーク戦は単にサッカーだけではなく、日本人アスリートの魂に日本人の誇りをもって最後まで戦うという火花をともしたのである。

2018年07月06日

二宮先生語録巻の3 【286】

二宮先生語録巻の3 【286】【二九六】仏(ぶつ)経(きやう)に曰(いは)く。応(まさ)に仏(ぶつ)身(しん)を以(もつ)て得(とく)度(ど)すべき者(もの)には、即(すなは)ち仏(ぶつ)身(しん)を現(げん)じて為(ため)に説(せつ)法(ぱふ)すと。草(さう)豆(とう)を馬(うま)に与(あたふ)れば、則(すなは)ち食(くら)ふ。与(あた)へずして持(も)ち去(さ)れば、則(すなは)ち必(かなら)ず追(お)ひ来(きた)る。之(これ)を猫(ねこ)に与(あたふ)れば、則(すなは)ち食(くら)はず。鰛(いわし)首(かしら)を与(あたふ)れば、則(すなは)ち食(くら)ふ。与(あた)へずして持(も)ち去(さ)れば、則(すなは)ち亦(また)必(かなら)ず追(お)ひ来(きた)る。之(これ)を馬(うま)に与(あたふ)れば、則(すなは)ち食(くら)はず。故(ゆゑ)に馬(うま)には則(すなは)ち草(さう)豆(とう)、猫(ねこ)は鰛(いわし)首(かしら)。各(おの)々(おの)其(そ)の嗜(この)む所(ところ)を与(あたふ)れば、則(すなは)ち悦(えつ)懌(えき)せざる無(な)し。此(こ)れ事(じ)理(り)の必(ひつ)然(ぜん)なる者(もの)なり。仏(ぶつ)氏(し)も亦(また)此(こ)の理(り)を推(お)すのみ。１　善男子よ、若し国土の衆生ありて、応に仏身を以て得度すべき者には、観世音菩薩、即ち仏身を現じて而も為に法を説き（妙法蓮華経妙音菩薩品二十四）２　天保十年（一八三九）九月二七日、尊徳は面会を許した富田高慶に「お前は豆の字は知っているか」と尋ねた。富田は言われている意味が分からず、紙に豆の字を書くと、尊徳は笑って、「おまえの豆は馬は食わぬが、私の豆は馬が食う」と本当の豆を示したという。《訳》仏教の経典にいう。「まさに仏身をもって得度すべき者には仏身を現わしてその者のために法を説く」と。豆を馬に与えれば馬は食べる。与えないで持ち去れば、必ず追って来る。豆を猫に与えても猫は食べない。いわしの頭を与えれば猫は食べる。与えないで持ち去れば猫は必ず追って来る。これを馬に与えても食べない。じゃによって馬には豆、猫にはいわしの頭。おのおのその好むところを与えれば喜ばないものはいない。これは物事の理の必然で、仏教者もまたこの理を拡充したのみじゃ。

サッカーのワールドカップ（W杯）ロシア大会は2日、決勝トーナメント1回戦で日本はベルギーに2-3で逆転負け。初の8強進出はならなかったが、優勝候補を相手に堂々と渡り合った日本の姿は海外から続々称賛を集めている。それは試合内容だけではない。試合後、美しく整頓されたロッカールームが脚光を浴びている。立つ鳥跡を濁さず――。これぞ日本人の魂だ。FIFAのジェネラルコーディネーターを務めるプリシラ・ジェンセンズ氏さんが公開したのは驚きの写真だった。ロッカーはピカピカに掃除され、実に美しい状態。極めつけは正面の棚に置かれたメッセージだった。「スパシーバ」　ロシア語で「ありがとう」を意味する手書きのメッセージを残し、関係者への感謝を伝えている。試合直後での悔しさは計り知れないが、だからこその振る舞いなのかもしれない。サッカーのワールドカップ（W杯）ロシア大会は2日、決勝トーナメント1回戦で日本はベルギーに2-3で逆転負け。初の8強進出はならなかった。2点を先行しながら追いつかれ、後半アディショナルタイムに決勝ゴールを献上。壮絶な逆転負けを喫したが、日本人サポーターは試合後、客席のゴミ拾いを気丈に行ったことに海外メディアが脚光。実際の様子の画像を公開し、「なんて素敵なんだ！」と称賛している。　日本らしさを示したのは、ピッチ上の選手たちだけではない。ロシアに駆け付けたサポーターも、矜持を示した。米スポーツ専門局「FOXスポーツブラジル」が試合後、公式インスタグラムに公開したのは、1枚の画像だった。　日の丸の帽子をかぶり、国旗を背にまとった男性日本人サポーターが青いビニール袋を持ち、客席を見回っている。さらに、ほかにもシートの足元を確認する複数のサポーターの姿も。すでにサポーターは席を立っているが、画像に写る限り、ゴミらしきものはどこにも落ちていない。　投稿では「なんて素敵なんだ！日本人がスタジアムのゴミを集めている！」と感動の声。試合は2点リードしながら後半アディショナルタイムに壮絶な逆転負け。ピッチ上では涙を流し、敗戦を受け入れられない選手もいたが、サポーターは気丈にも客席の清掃に励んだ様子だった。　今大会は1次リーグから“風物詩”となった客席の清掃活動が海外メディアに脚光を浴び、他国のサポーターにも広がっていた。選手のみならず、最後まで“日本らしさ”を見せつけたサポーターも称賛に値するものだった。（THE ANSWER編集部）「1週目の愛する7つのこと」に選出、ゴミ拾いを“日本発”の文化として紹介　サッカーのワールドカップ（W杯）ロシア大会は開幕から1週間が経過。早くも様々な名シーンが生まれているが、英公共放送「BBC」は「W杯2018：1週目で我々の愛する7つのこと」と題し、プレーバック。その一つに日本ファンから波及した“ゴミ拾い”が取り上げられている。BBCは大会1週間の印象的な7大出来事として、ブラジル代表FWネイマールなどの「髪形」、今大会から導入された「VAR」などを取り上げているが、その一つに「ファンがスタジアムを掃除」のトピックを取り上げている。　記事では「日本のファンが模範を示した。コロンビアの熱狂ファンがそれに続いた。セネガルとウルグアイのサポーターも最新の勝利試合で加わった」と紹介。「日本の活動が他の国に広がったようだ」と“日本発”の文化として記している。　19日のコロンビア戦では2-1の番狂わせを演じ、大興奮の試合となったが、勝利後のスタジアムで日本人サポーターが持参したゴミ袋を使って清掃する姿が話題となり、海外の各国メディアに取り上げられていた。　今回の記事でもと高い評価を受けている。盛り上がりを見せているロシアW杯の大会序盤の主役の一人に日本人サポーターが選ばれた格好だ。（THE ANSWER編集部）日本代表、ロッカールームを整理整頓また世界が驚く「地球上で最も尊敬できる」2018/7/3 日本代表は2日、ベルギー代表に2-3で悔しい逆転負けを喫し、ロシアW杯の戦いを終えた。ただ90分間の奮闘もさることながら、サムライブルーは試合後の行動まで世界中のサッカーファンを虜にしている。　国際サッカー連盟(FIFA)のゼネラル・コーディネーターを務めるプリシラ・ヤンセンスさんがツイッター(@priscillaboca)にロッカールームの写真を投稿。「94分を戦ってベルギー代表に敗れたあとの日本代表のロッカールームなの。彼らはスタジアムのファンに感謝をし、(ベンチとロッカーを)綺麗にしたあとで、メディアの対応をしたの。しかもロシア語で『ありがとう』とのメモを残してくれた。まさに手本ね!」と驚きを伝えた。　サポーターのゴミ拾いなど、日本人の国民性は模範として称賛されているが、選手たちの行動には驚愕といった様子。このツイートには「地球上で最も尊敬できるよ」「ブラボー、ジャパン!あなたたちは世界最高だ」といった意見が殺到している。「どんなに悔しくても彼らは…」 FIFAが日本サポーターの“去り際”を称える18/7/3[7.2 ロシアW杯決勝トーナメント1回戦日本2-3ベルギーロストフ・ナ・ドヌ]　もはや、おなじみとなった日本代表サポーターのゴミ拾い活動。悔しい敗北を喫した決勝トーナメント1回戦ベルギー戦の試合後にも、普段と変わりなく行われており、国際サッカー連盟(FIFA)が称賛の言葉を投げかけた。「どんなに今日の敗北が悔しかったとしても、彼らはやっぱりゴミを片付けている。日本代表チームのファン、君たちはただただ素晴らしい」　W杯のツイッター公式アカウントのロシア語版(@fifaworldcup_ru)が試合後、4枚の写真を添えて投稿した。直前には涙を流すサポーターの画像もツイートし、涙目と日本国旗の絵文字で表現。これには「礼儀正しい人々だ」「素晴らしい試合だった」というコメントが寄せられている。

2018年07月03日

二宮先生語録巻の3 【279】

二宮先生語録巻の3 【279】【二七九】拳螺(たにし)の殻(から)と鰒(あは)魚(び)の介(かい)と、至(し)堅(けん)の物(もの)なり。其(そ)の生(せい)長(ちやう)、奇(き)と謂(い)ふべし。薯(なが)蕷(いも)は至(し)軟(なん)の物(もの)なり。能(よ)く堅(けん)土(ど)を穿(うが)つ。亦(また)奇(き)と謂(い)ふべし。是(こ)れ他(た)無(な)し。或(あるひ)は海(かい)底(てい)の沫(まつ)滓(し)（泡やかす）を食(は)み、或(あるひ)は土(ど)中(ちう)の水(すゐ)気(き)を吸(す)ひ、倶(とも)に食(しよく)を求(もとむ)るの誠(まこと)を存(そん)す。故(ゆゑ)に能(よ)く長(ちやう)ず。人(ひと)の事(こと)を作(な)すも、亦(また)然(しか)り。諸(これ)他(た)に求(もと)めず、実(じつ)行(こう)して惰(おこた)らずんば、則(すなは)ち其(そ)の事(こと)必(かなら)ず成(な)る。此(これ)を至(し)誠(せい)神(かみ)の如(ごと)しと謂(い)ふ。若(も)し夫(そ)れ予(あらかじ)め必(ひつ)成(せい)を期(き)せば、則(すなは)ち怠(たい)惰(だ)生(しやう)じて、其(そ)の事(こと)終(つひ)に成(な)る無(な)し。是(こ)れ自(し)然(ぜん)の理(り)なり。１　至誠の道は、以て前知すべし。（略）故に至誠は神の如し。（中庸第二十四章）《訳》サザエの殻とアワビの貝は、とても堅い物じゃ。それが生長するのは不思議といえる。山芋はとても軟らかいものである。しかも、よく堅い土をうがつ。これもまた不思議といえるだろう。これはほかでも無い。一方は海底のあくたを食べ、一方は土の中の水気を吸って、ともに食を求める誠を尽す。だからよく生長するのじゃ。人の事を行うのも、また同じじゃ。いろいろ他に求めず、実行して怠らなければ、その事は必ず成る。これを至誠神の如しというのだ。もしあらかじめ必ず成功すると予期すると、怠惰の心が生じて、その事は終に成功することは無し。これが自然の道理じゃ。

2018年07月03日