台湾高鐡(THSR)
「台湾新幹線」とも呼ばれる台湾高速鐡路(Taiwan H igh Speed Rail、略称「高鐡」)に乗りました。東海道・山陽新幹線700系車両をベースにした「700T」車両。(製造は川重・日本車輌・日立の日本メーカーです)先頭の形は700系と異なっていますが、これはあのアヒルのような形が不評だったことと、トンネルの断面積が日本の新幹線より大きいため、わざわざアヒルにする必要がないことが理由となっています。それでも車両そのものは、まさに700系新幹線でした。おなじみの700系車両を台湾で見るとは、なんとも不思議な感じがします。高鐡は日本の16両編成より短い12両編成で、商務車(グリーン車)1両、對號座(指定席)8両、自由席(こちらは同じ表記)3両で編成されています。座席配置も3列-2列で、車内の構造も座席の形もまさに700系でした。(座席に付いている回転用のグリップに700系を感じます)台湾高速鉄路はちょうど4年前の2007年1月に開業し、台北駅から高雄市の左営駅までの345kmを結んでいます。将来的には北は南港駅(台北市)、南は高雄駅まで延びる予定です。各駅停車の列車と途中駅を通過する列車があるのですが、「のぞみ・ひかり・こだま」のような愛称はなく、全て列車番号で区別されていました。最高速度は時速300kmで、最速列車だと台北・左榮間の所要時間は1時間36分です。台北・左営間はちょうど東京・名古屋間と同じ距離なのですが、東海道新幹線区間では最高時速が270kmまでしか出せないので、高鐡の700系方がのぞみよりも少しだけ短い所要時間です。値段の方は台北・左営間が1,490NT$(約4,200円)で、東京・名古屋間が1万円以上するのに比べると、こちらは断トツで高鐡に軍配が上がります。車内の電光掲示は中国語(繁体字)と英語で書かれており、「◆○○新聞ニュース◆」のようなテロップはないものの、天気予報は案内されていました。ちなみに車内放送は中国語・台湾語・英語の順で放送され、高鐡の駅では駅員の人にも英語が通じるので、中国語がわからなくても安心して乗れるかと思います。台北駅から板橋駅までの間は地下を走っていましたが、地上に出るとほとんどの区間が高架のスラブ軌道で、スラブ軌道独特の「ヒュンヒュン」という風切音が聞こえて来ました。(ちなみに線路の建設は、TGVのフランスやICEのドイツと、高速鉄道を持つヨーロッパ勢が担当しています)また、台湾では鉄道もクルマも右側通行なのに対し、高鐡では日本と同じ左側通行になっていました。日本の新幹線と同じ車窓から外の景色を眺めていると、時々東海道新幹線に乗っているような錯覚を起こしてしまいます。安倍川を渡る…豊橋・三河安城間みたいな感じ。田園風景に変わって亜熱帯や熱帯の植生を目にすると、「ここは台湾だった」と、また現実に戻りました。実は台湾高速鉄路は民間の鉄道会社で、そのためか台鐡(国鉄)との接続がほとんどありません。台鐡の駅との間には無料シャトルバスが走っていたりするのですが、私の降りた台南駅などは、台鐡台南駅までバスで40分と、空港並みの不便さがありました。それでも日本が誇る「Shinkansen」に出会って、うれしさと懐かしさがありました。