『安楽椅子探偵アーチー』 松尾由美
戦前に上海の租界でイギリス人のためにつくられた、時代を経たもの特有の品格を漂わせる安楽椅子。骨董屋の店先から小学生・及川衛の家にやって来たその椅子が、あろうことか口をきいた!? しかもこの椅子、口を開いた途端シャーロック・ホームズばりの推理を披露し始めて――。安楽椅子アーチーと衛の出会い、そして衛の学校で起きた難事件を描いた『首なし宇宙人の謎』。片方の靴を置き去りにし、逃げるように改札へ消えていった男の謎と、天才少女バイオリニストのコサージュから花が消えた事件が結びつく『クリスマスの靴の謎』。横浜外国人墓地に残された暗号(?)の謎を推理するうち、意外な真相に辿りつく『外人墓地幽霊事件』。推理小説新人賞の最終候補作は、アーチーの存在をモデルにしたとしか思えない!?アーチー自身の謎が解明される『緑のひじ掛け椅子の謎』。紳士的な(?)安楽椅子と衛の交流、そして彼らが出合うさまざまな謎。謎解きの面白さと柔らかなユーモアが楽しめる、これぞ正真正銘の「安楽椅子探偵の事件簿」! (東京創元社HPより)「安楽椅子」が「安楽椅子探偵」って・・・(笑)こういう「ダジャレ感覚」っぽい設定って、なんか好きだなぁ♪小学5年生の衛(まもる)くんは、心の優しい素直な少年。一方、人と意思疎通ができる安楽椅子のアーチーは、紳士的だけど、ちょっと理屈っぽくて気分屋なところもあるおじいちゃまといった感じ。アーチーは、衛の身の回りに起きた不思議な出来事をいくつかの情報を元に見事な推理で解決していきます。アーチーと衛は、「年の離れた友人」という関係なんだけどどちらかというと「おじいちゃんと孫」という雰囲気。2人(?)のやり取りがすごく微笑ましくて、心が和みます。この作品、続編も出ているようなので、読むのが楽しみです♪