『ぶたぶた』 矢崎存美
このところ、色々なことがあって、少し気持ちがブルーになっていたので、いつも私に元気をくれる『ぶたぶたシリーズ』の第一作目を再読してみました。仕事に出かけるために、子供を預けるベビーシッターさんを待っていると、「ピンポン♪」とチャイムが鳴る。ドアを開けるとそこには、ピンクのぶたのぬいぐるみが立っている。そしてそのぬいぐるみが「おはようございます」なんて挨拶なんかしてきたりしたら、誰だってドびっくりですよね…(笑)この作品に出てくるのは、ピンクのぶたのぬいぐるみ。目はビーズでできた点目。バレーボールくらいの大きさで、とってもかわいい。 ←こんな感じのぬいぐるみらしいです。彼の名前は『山崎ぶたぶた』さんぶたぶたさんはただのぬいぐるみではありません。動きます。しゃべります。サンドウィッチを食べます。牛乳も飲みます。料理も作ります。車の運転もします…。生きているんです。そしてお仕事をしちゃったりするんです。可愛い外見とは裏腹に、どうやら中年のおじさんらしいぶたぶたさん。人生の酸いも甘いもかみ分けていらっしゃるようなお方です。そのお仕事は、ベビーシッター・おもちゃ屋の店員・タクシーの運転手・フランス料理のシェフ・サラリーマン・殺られ屋などなど…。時にはホームレスだったり、記憶喪失だったりしますが、とにかくアクティブです。そんなぶたぶたさんと出会ってしまった人達。最初は戸惑い、「ぬいぐるみじゃん!」とか「なんで喋ってるのぉ~!!」などと、心の中で色々突っ込みまくります。でも、ぶたぶたさんの人柄(?)に触れていくうちに、いつのまにか彼の存在を自然に受け入れています。そして、ほんの少し、癒されています。当たり前の日常の中に紛れ込んだ、ちょっと不思議なひととき。すごく笑えたり、ちょっと考えさせられたり、ホワッとあったかかったり…。そんなお話がいっぱい詰まっています。