守屋洋訓で読む「白鹿洞書院掲示」-6
諸君其相与講明遵守、而責之於身焉、則夫思慮云為之際、其所以戒謹而恐懽者、必有厳於彼者矣。諸君、それ相与(あいとも)に講明遵守して、これを身に責めなば、則ちかの思慮云為(うんい)の際、その戒謹(かいきん)して恐懽する所以のものは、必ず彼より厳なるものあらん。諸君、皆一緒にこのことを理解し、遵守し、身につくよう努力すれば、思考、発言、行動する際、何が戒めるべきことか、恐れなければならないことか、かの学則よりは厳しいものとなろう。其有不燃、而或出於此言之所棄、則彼所謂規者、必将取之、固不得而略也。諸君其亦念之哉。その然らざるありて、或いはこの言の棄つる所に出なば、則ちかの所謂規(のり)なるものは、必ず将にこれを取らんとして、固より得て略せざるなり。諸君それまたこれを念(おも)わんかな。そのようにならず、或いはこの言葉を棄てて守らないような態度にでれば、かの学則なるものを作らなければならなくなるし、それはもとより簡単なものではなくなる。諸君、このことをよくよく考えて欲しい。 白鹿洞書院掲示:はくろくどうしょいんけいじ一、父子親あり、君臣義あり、夫婦別あり、長幼序あり、朋友信あり一、博くこれを学び、審かにこれを問い、謹んでこれを思い、明らかにこれを感じ、篤くこれ を行う。一、言は忠信、行いは篤敬、忿(いかり)を懲らし慾を窒ぎ、善に遷り過ちを改む。一、その義を正してその利を謀らず。その道を明かにしてその功を計らず。一、己の欲せざる所は人に施すなかれ。行いて得ざることあれば、諸(これ)を己に反り求 む。