NHKスペシャル天空の1本道~秘境・チベット開山大運搬~
昨夜放送されたものを録画して今夜視た。人間の営みのしたたかさ、逞しさ、勇気を視た。中国にはまだまだ、計り知れない人的資源が温存されているとの驚きもあった。人馬が一隊となって同じ峻険な山道を歩く。馬は50キロ、人は30キロを背負い4,000mの峠を越えて3日間歩いて運ぶ。馬も人も頼れるのは自分の足だけ、特に馬たちが振り分けの荷物を背負い手綱に導かれるのでなく自分の意志で力が続く限り歩く姿には心打たれる。村には温暖で、豊かな自然があるが、近代文明がもたらした家具や電化製品を得るには、背中に担いで3日間千尋の峡谷に引かれた岩だらけの1本の細道しかない。標高1,200メートルの村から4,000mの山頂を経て3,000mの町までキャラバンを組んで出かける。山頂を越えられるのは2ヶ月間だけ。場所は西チベットのヤルツァンポ河大峡谷に点在する村の一つで600人が住む。住んでいるのは南から来たインド系?の少数民族・メンパ族とローバ族の人々。びっくりするのは、17歳の少女が5,000キロ東の山東省チンタオへ遊学するということ。姉は、現在北京で学んでいるというから学費だけでも大変。運送業で仕送りをしている。人力、馬力の限界を超える過酷な仕事を一生続けたいと語る主人公に苦痛の表情はなかった。奥さんの求めに応じて「洗濯機」を運び、来年は「冷蔵庫」が欲しいと言う奥さんの言葉に動じる風もない。多分この人々には、スポーツ選手としての潜在能力はすごいものがあると思う。ホモサピエンスが地球を支配し得た基礎的な体力と能力の根源を知ったような人々の姿であった。あんな山道を30キロの獲物を担いで歩けるのは「ホモサピエンス」以外にはいない。