『逃げる』永井するみ
虐待の連鎖に怯え、夫から逃げる主人公澪。暑い日の読書にお薦めかなりの長編でしたが、話の展開が速いので、すらっと読めました。なぜ、逃げなければならないのか幼いころの記憶を改ざんされた悲劇でした。親に虐待され過去をもつ女性が結婚して母になり、娘を叱るときにふと自分も‘般若’になっているのに気付き、親になる資格があるのだろうか、と悩み葛藤する。虐待された自分が、同じように娘を虐待してしまうのではないか、という不安がひしひしと伝わってきて、最後には思わず涙してしまいました。【内容情報】(「BOOK」データベースより)優しい夫と愛しい子供との日々に、突然襲いかかる父との再会。忌まわしい過去を、おぞましい父の存在を、決して知られてはならない。家族を捨て、憎しみを胸に、死と隣り合わせの父親と彷徨う生活が始まる。どこへ行けばいいのか、いつまで逃げればいいのか...。追いつめられた女の苦渋の選択も切ない、哀しみの長編サスペンス。