『持たざる者』金原 ひとみ
震災のせい?いいえ、原発事故のせいで移住しなければならなかったり、正しい情報が無いせいで離婚の危機に追い詰められたり、人生が180度変わってしまった人たちの物語です天災でさえ行政のせいにして声を上げる日本人が、人災である原発事故に対してなぜもっと声をあげないのか読了後、タイトル『持たざる者』の意味が解りました自分にはない他人のものをうらやむこと、根拠もなく周りに流されること残念ですが、日本人の心の底にはある種の諦念が流れていて、日本の為政者はそれを巧みに利用してきたような気がします原発事故後の正確な情報が国民に伝わらなかったことにより、被曝被害が拡大し、西へ避難した母子が自分勝手だと世間から非難され、移住したくてもできない人たちには何の支援もないまま5年が過ぎようとしている“知ろうとすること”が大事だと痛感しました【楽天ブックスならいつでも送料無料】持たざる者 [ 金原ひとみ ]震災、原発事故、子供の死、義理の家族との軋轢・・・抗いようのない形で人生が進んでゆく4人の30代の男女。四者四様の思いが絡まり合い、人生の葛藤が鮮やかに描かれる。4年ぶり渾身の長編小説。 【内容情報】(「BOOK」データベースより) 僕はどこだが分からないここにいるー修人。全ての欲望から解放された、いや、見放されたー千鶴。人生とは結局、自分自身では左右しようのないものーエリナ。きっと、私がここから別の道を歩む事はないだろうー朱里。他者と自分、世界と自分。絡まり合う、四者の思い。思いがけない事故や事件。その一瞬で、ねじ曲がる。平穏な日常が、約束された未来が。混沌、葛藤、虚無、絶望。四年ぶりの傑作長編小説。