『臨床の砦』夏川草介
新型コロナ第3波の頃の長野県の病院の話。クルーズ船の患者の受入れから始まった新型コロナの治療。呼吸器内科の専門医師もいないまま治療を始めて1年経った。発熱外来を駐車場に作ったが、車が渋滞するほど患者が来て2時間待ち。コロナ患者だけでなく膀胱炎で発熱している人や虫垂炎で苦しんでいる人も外で待たされる。驚いたのは高齢者はコロナ感染して肺炎になっても投薬や酸素吸入だけの治療で回復しない場合は看取りになり中等症のまま死亡するのです。毎日、陽性者が何人、その内重傷者が何人、死者が何人、と報道されているので、重症の人が死亡するのかと思っていました。ところが、重症者とは高齢者以外で人工心肺装置やエクモを装着してICUに入っている患者さんのこと。だから重症者を受け入れていない病院も大変なんです。現場の医師の作品なのでとてもリアルです。臨床の砦 [ 夏川 草介 ]