頻発する迷惑行為に思うこと
回転寿司のお店など、客の迷惑行為が大問題になっている。ひどい話だ。日本は伝統的に性善説をベースに成り立つ社会だ。「お天道様が見ているよ」ぼくは親からよく言われた覚えがある。だれも見てないからと悪いことをするのは、そうやって戒められてきた。目に見えない力に、畏敬の念をもって生きるのが、日本の文化だったのだと思う。迷惑行為をしている人たちには、お天道様と言っても通じないのだろう。目に見える世界がすべて。見つからなければ何をしてもいいという時代になって、さらには、迷惑行為を自分からひけらかすようになっているわけで、ばれるのがわかっていてもやるという、どうしようもないことになっている。説教したり、ネットで批判にさらされたり、法的に裁かれたりといったことも抑止力にはなると思うが、根本的な解決にはならない気がする。もっと、根っ子から人間教育がなされないといけない。カギになるのは、日本の伝統的なしきたりを見直すことではないか。ぼくたち60代は、「敷居を踏むな」とか「畳の縁を踏むな」と厳しく言われた。でも、ぼくたちの世代が次につなげなかった。生活が洋風になったこと、忙しくてしきたりなど教えている暇がないという事情もあった。核家族になったのも原因の一つだろう。家族がそろって食卓につき、「いただきます」と言って食べ始め、「ごちそうさま」と食事を終わるということもなくなったのではないか。テレビを見ながら、スマホをいじりながら食事をすることも多い。お天道様の存在を感じるには、日ごろの生活が大事だ。日本のしきたり。ぼくも忘れてしまっているが、見直す時期なのではないか。過度な管理をすることなく、人を信じられる社会こそ、豊かなのではないか。