校長先生、民話を書く~かっぱのすりばち
かっぱのすりばち3菊池トヨさんの語りを聞いた片貝小学校の佐藤校長。すっかりその話に魅せられ、トヨさんの話を文章に起こして、それをもってトヨさんを訪ねた。トヨさんも、佐藤校長の訪問を大歓迎。おまけに、自分の話を文章にしてくれたものだから、大喜びだ。実は、自分はたくさんの話を知っている。今は元気だから、あちこちで話せるけど、自分が動けなくなったら、物語も消えてしまう。ぜひ、文章にして残しておきたかった。トヨさんは、そう言って、その仕事をやってくれないかと、佐藤校長に頼んだ。頼まれた嫌だと言えない佐藤校長。すぐに、トヨさんの話を録音して、それを文章にするという仕事に取り掛かる。しかし、方言とか、独特の言い回しとか、なかなか骨の折れる作業だった。それでも、律儀な性格の佐藤校長は、100話を文章にし、それを2冊の本にしたのだ。この本は、公民館や図書館を通して、地域の人や子どもたちに読まれた。自分たちのふるさとに、こうした民話があることに誇りを感じると、たくさんの人が喜んでくれた。あるとき、片貝川に遊歩道ができることになった。片貝川には、かっぱのすりばちという巨岩が鎮座していた。これをシンボルに、「かっぱのすりばち遊歩道」と名付けられた。この遊歩道ができるのを記念して、民話を作ってくれないかという依頼が、佐藤校長のもとにきた。佐藤校長は、民話作りなど素人だったが、2冊の本を作ったことで、専門家だと思われたのだ。頼まれたら嫌だと言えない佐藤校長。これを引き受け、3日で仕上げてしまった。それが、かっぱの母子の物語だったのだ。(前回の分と重複しましたが、ご容赦を)