「朝が来る」過酷な未来の扉を開かないためにできることがある
河瀬直美の映画が好きなので、限られた期間でも映画館に足を運ぶ。シーンのすべてを一枚一枚切り取って写真にしたいと思うほどに映像は丁寧で美しい。そこまでは思いが及ばなかったことに気づかされ、その思いの深さに驚かせられる。今回もやはりそうだった。そして・・・この人の映画には、いつも光の存在がある。ひとは孤独からは逃れられない。けれども、ひとは決して孤独ではないのだ。光の存在がいつも見守っていてくれるのだから。ーーーーーーーーーーーーー「朝が来る」ーーーーーーーーーーーーーーーーー育てることができないとわかっていながらも、産まざるを得ない命がある。子供が欲しいと願ったところで、叶わない夫婦いる。特別養子縁組という仕組みがある。映画は、14歳の妊娠と特別養子縁組との出合いで展開していく。(解決する良い方法があるんだ!)と単純に思った。世の中にある望まない妊娠には、主人公のように無知が理由のものもあれば、不可避な出来事によるものもあり、相手の不誠実によるものもある。14歳で妊娠した主人公は、広島の小さな島にあるベビーリレーというところで出産を迎え、登録者に子供を引き渡した後は、普通の中学生として高校受験に臨むはずだった。出産の事実は戸籍上にも残らないのだ。けれども・・妊娠も出産も無きものにできるはずがないのだ。特別養子縁組は、子供のためのものだ。生まれてくる子供を守るためのものでしかない。だから・・・育ての親には厳しい条件がある。仕事を持たず、育児に専念すること。子供が小学校に入学するまでに、養子であることを告知すること。この世に生まれる魂は、すべてが奇跡なのだ。未来の大人にできることはただ一つ、望まない妊娠という現実に目を逸らさずに生きること。この映画を未来の大人に見てほしい学校教育の現場にこそ、一番必要な映画だと思った。 にほんブログ村別窓で開きます日常の小さなできごとを愛する生活