区長選挙、あれこれ。
正直、モンゴルとはあまり関係のない話題です。日曜日にお昼でも食べようと神保町の駅付近を歩いていると、道沿いに遠くからでもわかる黒山の人だかりがありました。そもそもこの辺は日曜日は人通りが少ないので、ちょっと異常な光景に見えました。近づいて見ると、区長候補者の事務所前で、何台ものテレビカメラを含む報道関係者がたくさんいました。「ああ、なるほど、今日は公示日か」と思いました。普段は誰にも見向きもされない小さな区での区長選挙ですが、今回は小池都知事に関係した騒動となっているようで、新聞やテレビを賑わしています。モンゴル人の方には「いったい、何の話?」と思われるでしょう。東京都は人口が1,350万人、そのうち23区と呼ばれる区部の人口は930万人います。その中で一番人口が少ない区が今回区長選挙をやる千代田区で、人口は6万人にも満たない小さな区です。スフバータル区だってチンゲルテイ区だって、もっと人口は多いでしょう。但し、昼間人口は80万人を超えます。そこに5選目を目指す現職と有名政治家の甥が立候補(他1名)しているのですが、それぞれを改革派と称して小池知事が、保守派の代表として自民党が推しているわけです。現在、東京都では小池都知事と都議会自民党が対立しているので、その代理戦争的な様相を見せ、マスコミにも注目されているというわけです。私は「そうだよなー、5選なんてありえないだろう。この機会に小池さんが一新してくれるならそれがいいんじゃないかな」と思っていたのです。が、報道をよく見たら、小池さんが改革派と称した人が今度5選目を狙い、古い人は交代しようと刷新を訴える人を自民党が推しているのです。なんか非常に違和感があります。新人さんと小池さんの組み合わせなら、圧勝しそうな雰囲気があるのに、なんだこのねじれ感覚は?と思ってしまいます。で、近所で50年以上やっている小さな飲み屋のおかみさんに聞きました。「そうなんですよ、小池さん、なんであんな人を推すのかしらねぇ。」と言います。聞けば、区役所関係の人たちからは老害がひどいとものすごい苦情が出ているんだそうです。そりゃあそうです、4期16年もやっていれば老害にもなります。さらに驚いたのが、本人はもう引退したいと言っていたんだそうです。それを小池さんが「改革派の旗手」として推したもんだから、わけわかんない状態なのです。今度は神保町でこれまた50年以上やっている小料理屋の旦那さんに聞きました。「いやー、いくら有名人の甥だって言っても、政策も何もわかないんじゃ判断しようがないですよ。」とおっしゃいます。全くその通りで、新聞やテレビも含めて、代理戦争のことは報道しますが、政策については皆無なんです。住民からすれば、知事と自民党の争いなんかどうでもいいから、千代田区の何が問題で、何をどう変えたいのか訴えてほしいと思うのですが、そんな発言はゼロです。そんな中、この有名人の甥っ子候補の選挙カーが目の前を通りすぎました。男性のうぐいす嬢(?)が「皆さま、候補者本人がこの車の助手席に乗っております。よろしくお願いします。」と叫んでいるのです。「は?本人が乗ってる?じゃあ、自分でマイクもって訴えろよ!」と思ってその車を見ると、助手席に確かにポスターで見た顔が座っていました。うーむ、このおぼっちゃま、運転手に運転させて、うぐいす嬢にマイクを持たせて、自分は助手席にふんぞり返って座っているだけ。自分の意見を言うことすらできないボンボンってことです。私は一気に、この人に投票する気が失せましたね。とはいえ、5選目で今月77歳になる現職もとても選ぶ気にはなれません。4年後は81歳ですから、持つかどうかもわかりませんし。と書いていたら、選挙公報が届きました。公約を見てみましょう。5選目を目指す現職:「住みたい街No.1」「子育てしやすさNo.1」有名政治家の甥っ子ぼんぼん:「日本一、住民が安心安全を感じられるまち」「日本一、国際化の進んだまち」違いは全然わかりませんね。特に新人は「何が千代田区の問題なのか?」を明確にしてほしいのですが、そんなことは何も書かれていません。困ったなー。と思って、もう一人の候補者を見ると・・・おー、あの偉大な横綱じゃないですか!第三の候補者の名前がなんと「朝青」と書いて「あさお」と読むのです。まさに朝青龍じゃないですか。今までこんな名前見たことありませんね。でも公約は「劇場型から参加型の区政へ!」とか「誰もがツナガリを感じられるマチへ!」と、これまた抽象的です。さて、ここで問題です。この3人の公約の違いわかりましたか?小学生レベルの問題なんですけど・・・現職は「街」、甥っ子は「まち」、朝青龍は「マチ」なんですねー。これが唯一の明確な違いです。モンゴルの民主主義を批判的に見てきた日本人も、このレベルの公約を見せられると、なんとも言えなくなります。ま、さすがに賄賂はないでしょいけど。モンゴル派の私としては、朝青龍じゃなく、朝青さんに入れるのかなあ。でも、何も知らないんだけどね。飲み屋のおかみさんには「でも、絶対に選挙行かなくちゃだめよ!」と釘を刺されております。はい、選挙は国民の権利でもあるけど、義務でもあるわけですからね。レベルはものすごーーーく違いますが、トランプとヒラリーの「嫌われ者同士選挙」みたいです。私のように感じている区民は結構いると思いますね。