バヤンウルギーに行ってきました。(7)
今日はこれから県庁所在地のウルギーに向かいます。この辺の景色は、川や山が多く、とても綺麗です。こちらへ来た時から、ちょっと気になっていたことがありました。確か、ウルギーを出発する前にスーパーで買ったお菓子の袋を見た時でした。この辺で売られているものの多くはロシア語、カザフ語、ウズベキ語など4-5種類の言語で説明などが書かれていることが多いです。モンゴル語は人口が少ないためか、書かれていないものもあります。もちろん、そのほとんどがキリル文字なので、私にも意味は分からなくとも音では読めます。その時に不思議な文字に出会いました。ウズベキ語だったと思いますが、文字の途中にfが出てきたのです。通常キリル文字でfを表すときは、фを使います。ところが、ウズベキ語のパッケージにはfが書かれていたのです。Uさんはロシア語、英語、日本語に堪能ですから、聞きました。「このfって何?キリルに、こんな文字あるの?」と。Uさんは「よくそんな文字見つけましたねー?」「インターネットアドレスかなんかですかねぇ?」と言ったものの「確かに、キリル文字の中にありますね?何だろう?」とわかりません。少なくともロシア語ではfは使わないということでした。そんなもやもやした気分で、帰路、とあるカフェに入りました。すると、、、またしても出てきたのです。しかも大文字のFが。「バフィーム?」って読むのでしょうか?どうやら、ウズベキ語だけでなく、カザフ語でも使われている文字のようです。ここバヤンウルギーはカザフ語が公用語ですから。Uさんに再び聞きました。「ほら、あのF、何?」と。ここは聞くしかありません。お店の人に聞いたら、その答えはなんと!Гでした!!これは鍵かっこの「ではありません!アルファベットで言えばG, g。日本語で発音するときはゲーです。それにしてもGがFですか!いくら何でも似てないですよね。なので、この店の名前はバギームなんだそうです。意味は忘れちゃいましたけど。ではカザフではГは使わないのかと言えば、そうではなく使うんだそうです。じゃあ、どう違うのか?Гは軽めのゲーで、Fはもっと強いゲーだそうです。モンゴル人でも知らない、モンゴル国内でのキリル文字の使われ方があったとは不思議です。そのカフェの近くのスーパーを覗いてみました。水はまだあるし、単に興味本位で入りました。すると、再びキリル文字が私の目に飛び込んできました。いわし缶詰です。これは何の缶詰でしょうか?答えは、いわしです。ивасиと書かれているのはロシア語です。иはイ、ваはワに近いヴァ、сиはシですね。つまり、イワシです。これは日本語がロシアに伝わった言葉だそうです。逆にイクラИкраは、ロシア語から日本語になった言葉です。意外と言葉の交流があるんですね。実はウルギーに来る前に、私はまたしてもいけないことを口にしてしまっていました。例のパンク事件みたいな話です。初日も2日目も予約していたのに「予約していない」と言われたことから、私はUさんに「さすがに今日のホテルは大丈夫だよね?」と聞くと「はい、さっき電話して確認しました。予約は大丈夫です。」と。ところが私がまた余計なことを言ったのです。「とにかく丸2日シャワーもなかったから、早く浴びたいね。どうする、お湯が出なくて水シャワーしかなかったら?」とUさんに言うと「だめですよ、そんなこと言っちゃ」とたしなめられたのです。そしていよいよホテルへチェックインです。この辺りでは一番の10階建てのご立派ホテルです。確かにこの辺にしては値段も高いです。が、なんと満室だというのです。「へー、景気いいんじゃないの?」と思いました。とにかくチェックインです。驚いたのは「靴はそこで脱いでください」と言われたことです。「は?旅館じゃないよね?イスラム式??」と聞きましたが、どうやらこのホテルのこの7階だけのようです。この木の板の部分は靴は可ですが、カーペットの部分(ここを通って部屋へ行く)は靴厳禁だそうです。でも従うしかないので、靴を脱いで部屋に入りました。そして即シャワー!ところが10分経っても水しか出ません。いくらなんでも冷たすぎます。フロントへ電話すると、すぐに人を送るとのこと。で、係の人がやってきてちょこちょこっと操作し「もう大丈夫です」と。再び水を出し続けますが、お湯になりません。電話じゃ無理だと、直接フロントに行きました。が、フロントは「問題ない」と言います。最初は低姿勢にお願いベースでしたが、問題ないと言われれば「冗談じゃない!」となります。私が怒ると、近くにいた他のスタッフがやってきます。私が事情を説明すると「問題ありません。お湯は出ます。」だって。は?現場を見ないでなんでそんな自信満々に「お湯は出ます!」って言いきれるの?これはカザフ人の特徴??さすがに頭に着て「私の部屋を見てみろ!」というと、スタッフ3人が見に行きました。で、帰ってきたら「申し訳ありません。故障です。」とのこと。結局、7階から6階の部屋へ引っ越しです。お湯は出ます。このホテルは、湯沸かし器(?)が個別についていました。65という数字は65度のお湯が出るということです。まあ、これでいいやと思いましたが、私がUさんに「お湯が出るからもういいけど、部屋は小っちゃくなるんだね」というと、今度はUさんが「は?それはだめでしょう。」と言います。Uさんはちょっといい部屋を予約していたのです。で、結局また7階へ移動。だったら、最初からこの部屋に移動させればよかったのに、わざと小さい部屋にしたってことですね。カザフ人、油断なりませんね。でも最大の原因は、私が「シャワー、お湯が出ないかも」と将来の悪いことを口にしたからです。これはモンゴルでは絶対言ってはいけない旅のルールなのです。このホテルの話で、もう一つ面白いことが。このホテルは地元の金持ち(政治家?)3人でウルギーで一番のホテルを作ったんだそうです。ところが、その3人が喧嘩をして共同経営を止めたのです。どうなったか?なんと3分の1ずつに分割したんだそうです。しかも同じビルでそれぞれがホテルを別々に経営しているのです。ホテル名も別なのです!このホテルの1階エントランスに受付はありますが、そこは私たちが宿泊したホテルではないホテルの名前があるのです。私たちはその受付前を通って、エレベーターで7階へ行き受付しました。夜は10階の眺めのいいレストランに行きましたが、どうやらそのレストランは私たちが宿泊したホテルとは別の経営者のレストランのようなのです。なんとまあ、複雑怪奇なことやるのか!これがモンゴル人の特徴なのかカザフ人の特徴なのかはわかりませんけど。(この県の90%以上はカザフ人なので)とにかく今日はシャワーも浴びて、暖かいベッドで眠ることができました。(続く)