南海トラフ地震連呼の必要性はある?
日本は災害大国なんだとつくづく思う。テレビはパリ五輪報道を7月下旬から連日続けた後は、宮崎県の大震災をきっかけに南海トラフ地震をこれでもかと毎日放送した。その後は台風5号以来10号まで、情報番組の大半の時間が台風情報に費やされている。確かに我が国は地震大国であり、どこに住んでるいかに関わらず常に防災を意識しないといけない。だが南海トラフ地震関連となる普段は出ることのない地震学者らが、これでもかと国民に注意を与える。例えば「地震注意報が終わっても常に枕元には靴を置いて寝てください」。このありがたいご注意をいただいてからまだ1か月にもなりませんが、これを実行してる人はいますか?まあ我が国民はこんなことで目くじらを立てる人はいまい。私が問題にしているのは訪日外国人観光客である。今回の地震報道は必要なことだし、南海トラフ地震との関連性の有無もいいだろう。だが途中から各局とも地震学者が出るようになると南海トラフ地震の方がメインになってきた。これは当然のことで、現地の震災情報についてはテレビ局の方が詳しいので、学者は南海トラフ地震のことしか話せないのだ。私はあまり地震学者の話は信用してない、というか気にしてない、というか彼らは過去のこと以外に何も言わないのだ。以前ある日本の地震学の権威と言われた方、京大名誉教授?だったかな?、政府の地震予測プロジェクトのリーダーをされてた方が退任した時に言われたことを思い出す。「地震の予測なんてできないんです。政府から巨額の研究費を出していただきながら、予測については何も成果も上げられなかったのが残念です。わかるのは過去だけで、未来はわからないんです。」と涙交じりにも見えてしまうほど残念そうに語った。私は今回の地震で登場した各大学の諸先生の発言を注意して聞いたが、確かに予測はなくあるのは過去分析からの延長だけだった。「江戸時代からの記録を見るとXX年の周期で、、、考えられます」「今後30年以内に来る確率は、、、」など、過去からの分析結果だけで、数か月先の予測もない。それは仕方ない、研究費をかければ何でもできるわけではない。問題は南海トラフ地震の叫びすぎだ。諸先生らは予測ができないから「水や食料の備蓄が大切」とか「避難経路の確認」など、大学教授を呼ぶほどでもない当たり前の話をする。南海トラフ地震を叫び続けることでどんな悪影響があるのか?それは訪日外国人観光客つまり政府の掲げるインバウンド増加に大きな影響がある。日本国内での地震報道は適切であるし、その度に英語でも報道された。能登半島地震のよう大きな被害があった地震でもインバウンドへの影響は、全国的には限定的であった。しかしながら、南海トラフ地震は違う。日本地図の半分を覆うような被害予想図にはインパクトがある。これが今回の地震地域なのか数年以内に起こるのかもわからず、南海トラフというインパクトある名前と共に拡散していく。大学教授の中には「今後訪日を希望する外国人観光客には、地震対策備品を持参する旨告知したほうがいい」と言い出すものまで。やっぱり大学教授というのは、世の中のことがまるでわかってない。ま、「外国人が日本大好き」というテレビからの知識程度なのだろう。世界の旅行業界は競争しているのだ。現状では円安や安全、食べ物などで一種のブームになっているが、ブームなんてちょっとしたことで変わる。現に今は南海トラフへのネガティブな問い合わせが増えており、予約がなかなか確定しないという。特に欧米人への影響が懸念される。遠い日本に来る彼らには中南米、アフリカ、アジアと選択肢はいくらでもあり、日本は選ばれる立場なのだ。更に南海トラフを叫び続ける先生に聞きたいのは「so, what」、つまり「それはわかった。だから何?」です。つまり国民は明日から何をすべきなのか。備蓄や避難云々はわかるがそれは以前から言われていることであり、30年以内にXX%を発表した時と同じ内容である。つまり地震予測ができないのであれば南海トラフを叫ぶメリットより、インバウンドへのデメリットの方が大きいと言えるのではないかと思う。