「日野自、モンゴル市場に参入 販売・整備拠点を設置」との記事が出ました。
10日ほど前の新聞に日野自動車によるモンゴルトラック市場への参入のことが書かれていました。日系企業の進出ぶりが遅いモンゴルですが、ようやくトラックも進出することとなりました。モンゴルでのパートナー企業は、ヒシゲアルビンという会社です。ここの幹部とは私も何度もお目にかかっており、本ブログでも7年前に訪問した時のことが少し書かれています。当時は日本企業の現地パートナー企業探しの関係で訪れたので、ブログ中には会社名は敢えて書かれていませんが、「熱烈歓迎」をうけた記憶は鮮明に覚えています。2012年2月7日付け「私も初体験の歓迎ぶり」(https://plaza.rakuten.co.jp/mongolmasami/diary/201202070000/)をご参照ください。詳細は現地で聞いているわけではないので私の推測も含みますが、ここは日野自動車との直取引をするディーラーではなく、総合商社が総代理店を務める傘下でのモンゴルのディーラーであると思われます。トヨタの場合を例にとると、モンゴルにはトヨタの公認ディーラーは3社ありますが、どこもトヨタとは直接の取引をしておらず、すべては伊藤忠商事経由で決済しています。つまり、トヨタからするとモンゴル金業への信用供与ができるほどモンゴルのことも知らないし、リスクも取れないというわけです。債権管理はすべて伊藤忠に任せているのです。なので、トヨタのホームページを見て「トヨタ海外ディストリビューター一覧」を見ても、モンゴルのディーラーは記載されていません。ちなみに、カザフスタンやアフガニスタン、ブータン、カンボジアなどにはあります。それだけ日本の大手メーカーにとって、モンゴル企業への信用供与は難しいということなのでしょう。日野自動車はトヨタグループですから伊藤忠経由かととも思えますが、ヒシゲアルビンとは住友商事経由と見られます。住友商事はモンゴルでは建設機械のコマツのディーラーを運営しており、ヒシゲアルビン社はそのコマツ建機の有力な販売先でもあり、良好な関係がもたらされています。モンゴル企業にとっては、日欧米の有力メーカーの製品を扱いたいのは当然のことですが、他方ではこの「信用供与」の問題が必ず出てきます。今回日野自動車のディーラーになったヒシゲアルビン社も、8年前は欧州の数千万円もする建設機械を輸入するために、社長自ら飛んで現金前払いで購入していたほどでした。私が驚いて「え?社長自ら行って、現金前払い?」と聞くと「当たり前です。どこにモンゴルの会社を信用して売ってくれる企業がありますか?」と言われたとき、モンゴル企業経営の難しさを知りました。金利が高いモンゴルでの現金前払いは非常に辛い(船便は時間もかかる)ところがありますが、モンゴルでビジネスをやるからには「現金先行決済」を覚悟しないといけないということです。もちろん、実績と共に信用がついてくれば、ユーザンス(支払い猶予)が与えられる場合もあります。水面下では、三菱ふそうなども提携先と協議している可能性もありますが、なかなか契約・発表とはならないようです。自動車と同じで、モンゴルのトラック市場は圧倒的に中古車が多く、しかも乗用車と違って中国製のトラックが大量に輸入されています。(乗用車はほとんど入ってきていません)ですから、一番安いのが中国製中古トラック、次が韓国製中古トラック、そして中国製新車、日本製中古車・・・となるので、日本製新車トラックはかなり高いとみられてしまいます。但し、建設用、一般輸送用のトラックは「コスト重視」ですが、鉱山用のトラックとなると、「性能重視」になります。特にOTのような大規模鉱山となると、ちょっと故障したら大変な機会ロスになるだけに、価格より性能重視です。超大型トラックはコマツやキャタピラーが強いですが、日野も大型トラックで参入できる余地はあるでしょう。モンゴルにはまだまだ、グローバルに活動している日本企業が進出してない例はたくさんあります。是非とも進出企業が増えていってほしいものです。