大統領選は予定通り、ワクチンの割に感染者が多いモンゴル!?
大統領選直後にフレルスフ当選の速報が伝わってきましたが、あまりに「予定通り」の結果なので、わざわざ本ブログで速報することもないと思って書きませんでした。フレルスフの当選は、フレルスフが首相だったときからほぼ既定路線でした。ただ、現職の首相がそのまま大統領候補になるわけにもいかなかったので、いつ辞めるかがポイントでしたが、コロナ関連で妊娠中の女性が大変な目にあわされた事件を契機に、本年1月に「予定通り」辞任しました。こうした大義名分をうまく生かすところは、政治家としての勘の良さを感じます。そしてその時から大統領選に向けてまっしぐらというところでした。唯一の懸念材料は民主党でした。その時点でも民主党は国民から見放されていましたから、難しかったことは事実ですが、それに輪をかけて国民からそっぽをむかれてしまったのが、民主党の党首選挙です。そのことは本ブログでもお伝えしましたが、要するに守旧派の民主党と改革派の民主党に分裂して、2人の党首が党首宣言をするという異常事態となりました。もともと民主党不利と言われていた中でのこの騒動で、完全に民主党から大統領が生まれる可能性はなくなったと言えます。しかも現大統領(新大統領は7月10日からです)の思惑なのかどうかもよくわかりませんが、大統領の任期は4年から6年に延長され、しかもバトトルガ現大統領は立候補者にもなれないという法律(?)まででき、長期独裁政権を目指したい人民党やフレルスフ新大統領には追い風になったように思います。最近気になるのが、モンゴルのエリート層やビジネス幹部らから、諦めに近い声を聞くことが増えてきたことです。もともとモンゴルの政治家への悪評は何度も耳にしてきましたし、その通りだとは思っていましたが、いくらなんでも長年変わらない金権政治や独裁志向の政治が変わらないことに、もう諦めの境地になっているのかなと感じます。海外で留学している人たちも、「今のモンゴルには帰りたくない」とか、海外から戻った人たちが「もう見切りをつけて、モンゴルを出たい」という声は確実に増えているように思います。一体どうなるのでしょうか?フレルスフは「プーチンや習のような独裁者になりたい!」願望があるとも聞きますが、せっかく勝ち取った民主主義が違う形になっていくのでしょうか?モンゴルに関しては悪い話ばかりではありません。それは日本が世界的に見て最も低レベルと言われているワクチン接種です。数週間前のテレビでちらっと見たときに「おー!」と驚いたのを覚えています。それは世界のワクチン接種の状況を伝えるニュースでした。世界一がイスラエルでアメリカ、イギリスに続いて第4位になんとモンゴルの名前が出ていたのです。これはすごいことです。確かそのニュースの頃は、接種率40%くらいだったと記憶しています。最近はどうか?調べてみると、やはり今も世界のトップクラスです。統計は人口100人当たりの摂取回数で表示されています。統計にはセーシェル(東アフリカの島国、人口10万人)などの例外的な小国など接種率の高い国も含まれていますが、主要国で言えば、UAE、イスラエルに次ぐ世界3位の100人当たり107.9回とあります。イギリス(103.8回)、アメリカ(91.8回)さらにはシンガポール(77.0回)よりも上なのです。ちなみに同じ統計では日本は16.1回と話になりません。モンゴルの素晴らしいところは、とにかく国民を新型コロナウイルスから守るために、アストラゼネカだろうが中国だろうがロシアだろうが、あらゆるワクチンをかき集めて国民に接種していることです。日本では65歳未満は予定すら決まっていませんが、モンゴルでは首都から遠く離れた遊牧民の多くが既に2回目の接種を終えているようです。多くの途上国が、ワクチンを入手するだけでも困難に直面しているというのに、モンゴルは八方手を尽くして入手しました。いつも偉そうなことを言っている日本ですが、これに関しては完全にモンゴルの政治家の方が上でしょう。というか、今の菅政権はどの国の政治家と比べても言い訳無用なほど能無しと言えると言えます。そんなワクチン接種先進国のモンゴルですが、その効果に対しては若干疑問が残ります。それは感染者数です。6月13日発表の新規感染者数が1,792人もいるのです。総感染者数は73,896人です。同じデータソースの日本はそれぞれ1,944人、774,237人です。人口40倍の差とすると、モンゴルは日本の人口換算では新規感染者数は71,680人、総感染者数は2,955,840人とけた違いに増えます。これを比較すると、モンゴルの新規感染者数は日本の約37倍、総感染者数は3.8倍となり、これではとても日本よりも感染対策が進んでるとは言えません。なんでなんでしょうか?あくまでも遠く離れた日本からの推測ですが、モンゴルは政府レベルでは日本よりもずっと頑張っているけど、民間レベルではやはり相当遅れているのではないかということです。政府レベルというのは、モンゴル政府が優秀だというのではなく、ワクチン接種が国際的にも上手くいっているという客観的状況です。民間レベルというのは要するに一般的な日常の中の衛生レベルです。日本人は政権レベルはアホですが、民間レベルでは昔から衛生観念が強いです。手を洗う、うがいをする、ハグではなくお辞儀などなど、結果としてコロナ対策になることを当たり前のようにしてきました。モンゴルははっきり言って、その逆です。モンゴルでのトイレに閉口した人はたくさんいると思います。清潔とは程遠い環境です。うがいなどしている人を見たことありません。しかもラテン系のようにハグは大好きです。(いい習慣だと思いますが、コロナには厳しいです)更に、ウランバートルのゲル地区を考えると、そういうレベルの差では語れないほどの大変厳しい状況が目に浮かびます。「ゲル地区はウランバートルの一部の貧困地域」であったのは昔で、今はウランバートルの人口の半数以上を占めていると言われていますから、そこにコロナが感染したら・・・確かに、日本の数十倍のレベルになったとしても不思議ではありません。コロナはいろんな社会問題を「あぶりだした」「将来の課題を前倒しにした」などと日本でも言われていますが、ウランバートルのゲル地区問題はまさにこのコロナで浮き彫りにされたような気がします。なので、モンゴルの場合の新型コロナ対策はワクチン接種もさることながら、根本的にはゲル地区対策が重要だと思います。これはコロナに限らず、将来起こるかもしれなし疫病対策でもあると思います。ただ、この問題は20年も前から毎年首相が「今年は解決する」(主にゲル地区から発生する石炭ストーブのばい煙)と言い続けてきましたが、一向に解決されそうにないのを見ると、簡単でないのは確かです。選