ミヤンマーからの示唆?
今朝の新聞に「ミヤンマー、脱・中国依存」というのが出てました。「投資受入れ20分の1」というのに驚いて、記事を読みました。ミヤンマーはご存じの通り、つい数年前まで軍事政権下で北朝鮮と並ぶ「中国以外の外国が相手にしない国」でした。中国は、欧米のミヤンマーに対する経済制裁が強まる中、当時の軍事政権に接近し、多くの利権を手に入れてきたのです。当然、軍事政権側はたっぷりと賄賂をもらったことでしょう。そのお蔭で中国はやりたい放題やって、資源を好き勝手に開発し、更にミヤンマーをインド洋への出口国家としてコントロールしようとしました。こうした動きは、民主化したからといって急に変わるものではありません。現に、2011年に民主化しましたが、2012年になってもダントツ1位の投資国でした。が、昨年にはなんと前年の20分の1にまで減少し、国別の投資額順位ではそれまでの首位から10位にまで落ちたというのです。シェアにして、90%超が0.8%に!全く驚くばかりです。あの中国のことですから、「賄賂あり」「脅し透かしあり」など何でもありだったことは容易に想像できますが、それでもそれらを全て蹴って、国際社会との融和に向かったということです。これは「自然な流れでできる」話ではありません。そうです、強いリーダーシップ以外にはありえない結果です。つまり「中国に投資のほとんどを持って行かれるのは仕方ない」のではなく「その国のリーダーがそれを選んだ結果なんだ」ということが、逆説的ですが浮かび上がってくるということです。この報道を見て、モンゴルのことを考えました。言い訳はたくさんあります。「モンゴルが中国とロシアの2国にしか接していない」「中国からの輸入に頼っている」などなど。ですが、ミヤンマーの状況に比べれば、ずっとましです。「中国以外の外国の投資家に意欲がない」のではなく、日本も韓国も欧米豪も関心はあります。ただ、「インチキ臭い取引ができない」というだけです。つまり、モンゴルのリーダーが決断すればできることなんだと、改めてリーダーの重要性を知りました。「甘い汁でモンゴルの将来の可能性を中国だけに狭めるのか?」それとも「甘いも脅しも退けて、モンゴルの将来の可能性を少しでも広げようとするのか?」実はどっちもモンゴル自身で決めることができるんだという証拠が、ミヤンマーの衝撃的な変化によって突き付けられたような気がします。リーダーが「よし、やる!」と決めれば、わずか数年で環境は激変できるということです。とまあ、こんなことをこのブログでほざいたところで、この声が届くとは思えませんが、少なくとも「仕方がない」話ではなく「今も、モンゴルは自分自身で中国化を選んでいる」と認識すべきだと思います。ところで、この記事を見た時「ああ、やっぱりNATOだな、日本企業は」と思いました。No Action, Talk Only。つまり、日本企業は興味を持って話はするけど、何も行動しないというアジア各国で共通の日本評価です。モンゴルも同じで、調査に来る企業はわんさかあるけど、いつも「検討しています」ばかりで、なんの行動もしない日本企業が多いということです。ここ数年、マスコミも含めてミヤンマーは大ブームです。ほぼすべての商社や銀行、大企業はミヤンマーを訪れているのではないでしょうか?日本の新聞の「大本営発表」を見ていると、まるで親日国ミヤンマーは中国から日本へ投資受け入れ国を変更したかのような熱狂ぶりです。大手商社やメーカーによる投資に関する記事が溢れていたように思います。が、どうもそれらは得意の「検討中」のようです。今回の記事を見ると、ダントツ中国が90%以上の投資額シェアがわずか0.8%に落ちたとあります。であれば、ほぼ中国が占めていたポジションは空っぽになったということです。大本営発表通りであれば、日本は相当なシェアを獲得したに違いありません。で、その結果は?2013年4月~12月のミヤンマーへの直接投資の国別シェア1位は、韓国で29%。続いてシンガポールの27.6%。更にタイ、イギリス、ベトナムと続いて日本は7位でなんとたったの1.7%です。まさにNATOの本領発揮です。モンゴルがもし中国一辺倒政策を止めたとしても、国別トップになりうるのは日本ではなく韓国というのは間違いなさそうです。それでも構わないので、モンゴルのリーダーには是非再考してほしいと思います。後戻りできなくなる前に。