重力ピエロ〜自由気ままに映画日記
2009 日本
ヒューマン、ミステリー、サスペンス
監督
森淳一
Cast
加瀬亮
岡田将生
小日向文世
鈴木京香
ストーリー
兄の泉水と弟の春、そして優しい父と美しい母。
とても仲の良い兄弟と夫婦は陽気に幸せに暮らしていた。
しかし家族には過去に辛い出来事があった。
その為に平穏とは言えない時もあった。
その記憶を抱え、兄弟が大人になった頃、街では不審な連続放火事件が起きていた。
春は放火現場の近くに必ず謎の落書きが出現することに気付く。
この落書きを放火犯からのメッセージだと考えた春は、半信半疑の泉水を連れ出し犯人探しを始める...。
原作は伊坂幸太郎の同名小説で70万部の大ベストセラーを記録した。
伊坂原作のものとしては「アヒルと鴨のコインロッカー」と同様、原作の舞台である仙台でロケが行われ、生活に根差した仙台の街中が描かれている。
伊坂は5度の直木賞候補に選ばれ、惜しくも受賞を逃しているが「全国書店員が選んだ1番売りたい本」をキャッチコピーとした本屋大賞(書店員であれば誰でも参加可能な一般人が選べる文学賞)では、第1回~第6回すべてにノミネートされた唯一の作家であり、第5回で大賞を受賞した。
さらに「重力ピエロ」は「このミステリーがすごい!2009版」で第1位になった作品。
my評価8点(10点満点中)
なんとも暗~い作品だけど、ものすごく良かったです。
一見、気弱そうだけど、ものすごく強い人だった父。優しくて、芯の通ったいい男でとにかくめちゃくちゃかっこよかったです。
小日向さん、素晴らしいかったです!!
愛の深さは計りしれないです。
兄弟の絆も強く、また弟の苦悩もすさまじかったんじゃないかと思います。
全員、演技が素晴らしかったですし、子役も素晴らしかったです。
言う事なしです。
ただ、見終わってものすごくわだかまりが残ってしまいました。
わだかまりと言うより、イヤミスですね。
作中、葛城が「俺は想像力の固まりだ。相手がどれだけ痛いか苦しいか十分すぎるほど分かってる。で、俺はさらにその先を想像するのね。苦痛を受けてるのは俺じゃない!俺には何の関係もない!ってね。相手の気持ちを想像して、自分の苦しみの様に感じるなんて...それこそ想像力が足りないだろ?」と言う台詞があります。
私はこの言葉を聞いて、ものすごくショックでした!!
青天の霹靂でした!!
確かに苦痛を受けてるのは自分じゃないんだから、ある意味ちょー正しいんです!!
だからこそショックだったんです。
この作品の核である「過去の出来事」をどう考えるべきなのか?
この作品は「家族愛」を描いていますが、ある意味、母を見る目が一番歪んでいたのもまた、家族である自分達だったんじゃないか?と。
他人は第三者として、物事を当たり前に、自分が受けたものじゃない様に見るのですから。
だのに、身内はそうでない様に見る。
それは葛城いわく、想像力が足りないという事になりますね。
まあこの作品は、愛なんてそんな簡単に割り切れるものではないよ!と言いたいのかもしれませんが。
葛城は、少し感性が普通の人のそれとは違う様ですしね。
結局、兄弟の選んだ道が、母にとって嬉しい事なのか悲しい事なのか...。
もしくは本当は自分の為だけにやっただけだったのか...。
葛城の様に想像力がないのでわからないのです。
父は「お前達のやってることはいけないことだ。」とただ、それだけを言いました。
泣けました。
父だけが、歪まなかったのかもしれません。
考えさせる映画です。
オススメです。
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