無敵の呪文。(一部加筆)
朝、ついうっかり大きめのくるみパンを娘の朝食用に渡したら、案の定、「2食分の大きさだったからお昼ご飯食べられないー」ですって。それでも、何か食べないとダメだろう。少しでも食欲をそそるものを探そう。気分を変えるべくコンビニに行ってみる。「ねえ、この新製品、 昨日食べたら、なかなか美味しかったんですよ」娘のおススメは、ポテトチップス(苦笑)。もう、お菓子ばっかり食べてたら、からだを壊すぞ。でも、おやつにはいいかも。で、買ってみた。○ルビー・ポテトチップス「塩とごま油味」。ごまの香りが香ばしい一品。うーん、私は酸味がさっぱり感を誘う「フレンチサラダ味」のほうが好き。娘はお昼ご飯よりも愚痴が言いたかったらしい。早くも秋の運動会の準備が始まっていて、各自の参加種目を決めたと言うのだけれど、「みんな優勝目指して頑張ろうぜー!」と旗を振るとっても“うざい”人がいるんだって。運動能力が高いくせに、人に何でも押し付けて、自分は得点対象にならない種目への参加を選ぶというわがままなぶりで、不愉快なんだって。ここまで書いてみて、ありゃ、本当にただの愚痴じゃんと呆れる。ただし、この問題の人物に多くの人が引きずられていて、クラスの雰囲気がとても嫌な感じなんだという話を聞いて行くうち、ただの愚痴じゃないな、と気付く。実は、今年度に入ってから、しばらく娘がうつ傾向になっていて、クラブや1年生のときからの親しい友人に励まされようやく立ち直るという事件が勃発している。このときの一番嫌なやつというのが、この問題の人物で、今日やっと名前を教えてくれた。中学時代に同級生になった男子からすれ違い様に罵声を浴びせられるという陰湿な嫌がらせを受け、以来、同年齢集団に近寄るたびに緊張するようになった。そのせいか、娘はひどく汗をかくようになり、密かに悩んでいたのだった。悩みが深くなり、精神的に追い詰められ始めたのがちょうど件の事件勃発の直前辺りで、そんなに汗をかいてその匂いが気になるのなら、一度専門医に診てもらおうか?と、かつて私の妹が治療を受けた専門医を受診した。結果は、「匂いはありません」。大量に発汗するのも緊張してしまうためで、リラックスするように心がけること。ただし、それ以上の治療となると、当院は専門外。(そりゃ、そうだ。皮膚科だもの)受診のあとに、妹と電話でその話をしていて、「そっちの治療なら、私の専門(精神科)だから いつでも診るよ」と言ってくれたのだけれど、おばちゃまに診ていただくなんてこと、娘のほうが嫌がるから無理と笑って、その話は終わった。笑って終わらせてはいるけれど、本人も心療内科の受診を考えたくらい、4月、5月の娘の状態は緊迫していたのだった。専門医を受診する頃にはかなり落ち着いていて、当初は汗の匂いが最大の悩みだったのが、匂いよりも大量の発汗にこそ原因があるのでは?という自己分析に変わっていた。まあ、恐らく問題の人物の言動によって、同じように追い詰められた人物が娘以外にも何人もいるんだろう。現在のクラスには、彼女に表立って反旗を翻す勇気のある人物はひとりもいない。一緒に誰かの悪口の本人の前で言い、彼女がいなくなると悪口を言われた本人に、「あれは本意ではなかった」と謝りながら、彼女の批判をするという具合。一切同調しないのは、娘や娘と親しい数名だけ。当然、同調しない人たちは悪口のターゲットだ。そんな話を聞きながら、高校1年生のときにクラスメートだった、今まで出会った中で最も際立った個性を全面的に押し出していたOさんのことを思い出す。あのくらい際立っていれば、逆に悪口のターゲットにもならない。なぜなら、絶対に誰にも同調せず、とことんマイペースというところを、キャラを立てることで示しているから。「そうだね」娘も笑いながら頷く。Oさんは別格としても、同調しないあなた方も、孤独に追い込まれているわけじゃないんだから、大丈夫。仲間が支えてくれてるよね。それにほら、あなたには犬公園仲間のおばさまたちの無敵の呪文があるでしょ?「あんたなら、どこでだってやっていけるよ」問題の人物とどう闘うのか。いや、闘う必要があるのかどうかさえわからないけど。仲間と呪文ある限り、大丈夫だよ。あ、でも、ご飯はちゃんと食べなさいね。